デザイナーの仕事はAIでなくなる?職種別の実際

公開日:2026-09-15

デザイナーの仕事はAIでなくなる?職種別の実際

デザイナーの仕事はAIでなくなる?職種別の実際

公開日:2026-09-15

「デザイナーの仕事はAIに奪われるのでは」——画像生成AIやノーコードツール(プログラミングの知識がなくてもサイトやアプリを制作できるツール)の進化を目にするたびに、そんな不安を感じる方は少なくないはずです。結論から言うと、AIによってなくなりやすいのは定型的な「作業」であり、企画力や情報設計力といった「設計・判断」を担う力は今後も人の役割として残りやすいと考えられます。本記事では、Webデザイナー・グラフィックデザイナー・UI/UXデザイナー・CGデザイナーという職種別に、AIで代替されやすい業務・されにくい業務の実態を、公的資料をもとに客観的に整理します。不安をあおるのではなく、実態を知ったうえで今後のキャリアを考える手がかりにしていただければと思います。

「デザイナーの仕事はAIでなくなる」と言われる理由

画像生成AIやノーコードツールの急速な普及により、これまで手作業で行っていたデザイン制作の一部工程を自動化できるようになったことが、こうした不安の背景にあると考えられます。バナー画像の生成やレイアウトの提案など、AIが担える範囲は着実に広がってきています

こうした変化のスピードが速いこと自体が、多くの人にとって不安の種になっていると考えられます。数年前まで人手で行うのが当たり前だった作業が、今では数十秒のプロンプト入力で代替できるようになった例も少なくなく、「次に自分の仕事がどう変わるか分からない」という漠然とした不安につながりやすいのです。

ただし、こうした議論はデザイナー職に限った話ではありません。AI・ロボット等の技術進歩による職業代替可能性は、生成AIが普及するはるか以前から、様々な職種を対象に広く議論されてきたテーマでもあります。まずはこの前提を踏まえたうえで、デザイナー職の実態を見ていきましょう。

不安の声が大きくなる一方で、実際にどの業務がどの程度AIに置き換わりつつあるのか、具体的なイメージを持てていない方も多いのではないでしょうか。漠然とした不安のまま情報を追い続けるよりも、公的な資料をもとに現状を整理し、自分の働き方にどう関係してくるのかを具体的に考える方が、建設的な一歩につながると考えられます。

AIに代替されやすい業務・されにくい業務の考え方

2015年に発表された野村総合研究所とオックスフォード大学(マイケル・A・オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士)の共同研究では、10〜20年後に日本の労働人口の約49%が就いている職業がAI・ロボット等で代替可能と推計されています。(出典:総務省「平成30年版情報通信白書」、2026年9月確認)ただし、これは601職業全体を対象にした2015年時点(生成AIが普及する以前)のマクロ推計であり、デザイナー職に特化した数値ではない点に注意が必要です

一般に、こうした職業代替可能性に関する研究では、データ分析や秩序的・体系的な操作が求められる業務は代替可能性が高い一方、抽象的な概念の創出や他者との協調・説得が必要な業務は代替可能性が低いとされる傾向があります。この整理は、デザイナーの仕事を考えるうえでも参考になる視点です。デザイン業務の中にも、定型的なパターンに沿って進める部分と、案件ごとに異なる文脈を踏まえて判断する部分の両方が混在しているため、一律に語るのではなく、業務内容を分解して考えることが大切だといえます。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の資料では、北海道大学の川村秀憲教授の指摘として、ITエンジニアにもAIに代替されにくい人間の感性や上位概念の「デザイン力」が求められるとされています。(出典:IPA「DX動向2025 - AI時代のデジタル人材育成」、2026年9月確認)単なる作業の巧拙ではなく、何を・誰に・どう伝えるかという上流の設計力が、AI時代においても人に求められる力として重視されていることがうかがえます。

この「作業」と「設計」という2つの軸で考えると、デザイナーの仕事を漠然と一括りにして「なくなる/なくならない」と論じるよりも、自分が普段担っている業務の中で、どの部分が定型的な「作業」で、どの部分が創造的な「設計・判断」なのかを切り分けて考える方が、実態に即した理解につながります。同じ「デザイナー」という肩書きでも、担当する業務の内訳によってAIの影響の受け方は大きく変わってくると考えられます。

職種別に見るAIの影響と実際

ここからは、デザイナーの職種別にAIの影響を整理します。あくまで一般的な傾向であり、案件の内容や企業によって実態は異なる点にご留意ください。

Webデザイナー

バナーやランディングページの構成案作成、簡単なコーディングの一部は、AIツールによって効率化しやすい業務だと考えられます。一方で、ユーザー体験を踏まえたサイト全体の設計や、クライアントの意図を汲み取って提案する力は、引き続き人が担う重要な役割として残りやすいといえます。

特に、Web制作の現場では複数の関係者(クライアント・営業・エンジニア等)と調整しながら要件をまとめていく場面が多く、こうしたコミュニケーションを伴う工程はAIだけで完結させにくい領域だと考えられます。

グラフィックデザイナー

画像生成AIを活用した素材制作の効率化は、グラフィックデザインの領域でも進んでいます。ただし、ブランドの世界観を一貫して構築するための企画力・コンセプト設計力は、AIだけでは代替しにくい部分だと考えられます。

複数の広告媒体やパッケージにまたがってブランドイメージの一貫性を保つには、単発の素材生成だけでなく、全体を俯瞰した設計判断が必要になります。この部分は、AIが個々の素材を効率よく生成できるようになった後も、引き続き人が担う役割として残っていくと考えられます。

UI/UXデザイナー

ワイヤーフレームの自動生成など、画面構成のたたき台づくりはAIによる効率化が進んでいる領域です。一方で、ユーザーリサーチや情報設計、実際の使いやすさを検証するプロセスの重要性は、むしろ増していく可能性があります

AIが提示する画面案は、あくまで一般的なパターンに基づいたたたき台にすぎません。実際のユーザーが本当に使いやすいと感じるかどうかは、リサーチや検証を通じてしか確かめられないため、この工程の専門性は今後も重視され続けると考えられます。

CGデザイナー

モデリングやレンダリングの一部工程は、AI技術の活用によって作業時間を短縮できるようになりつつあります。しかし、作品全体の世界観設計や演出面でのクリエイティブな判断は、依然として人の役割として残ると考えられます。

特に映像・ゲーム等の分野では、細部の作り込みだけでなく、物語やキャラクターの魅力をどう伝えるかという演出意図が重要になるため、技術的な効率化が進んでも、その意図を組み立てる力の価値は下がりにくいと考えられます。

いずれの職種にも共通して見られるのは、「作業」に分類される定型的な工程はAIに任せやすく、「設計・判断・提案」に分類される上流の工程は人の役割として残りやすいという傾向です。この境界線を意識しておくことが、今後のキャリアを考えるうえでのヒントになるでしょう。

また、職種の枠組み自体も今後変化していく可能性があります。たとえば「AIが出した複数の案を評価し、目的に合わせて調整する」という役割は、従来の職種区分をまたいで求められるようになっていくかもしれません。特定の職種名にこだわりすぎず、自分がどの工程(作業か設計か)に強みを発揮したいのかを軸に考えることが、変化の激しい時代を乗り越えるヒントになると考えられます。

これからのデザイナーに求められるスキル

AIツールを使いこなす操作スキルはもちろん重要ですが、それ以上に、企画力・情報設計力・ユーザー理解といった「上位概念の設計」にあたるスキルの重要性が増していくと考えられます。

また、AIが一度に複数の案を出してくれるようになった今、その中からどれが目的に合っているかを見極め、取捨選択する判断力も、今後より重視されるスキルになっていくでしょう。AIに振り回されるのではなく、AIを使いこなして最終的な意思決定を担う立場を目指すことが、これからのデザイナーに求められる方向性だといえます。

さらに、AIツール自体は日々進化しているため、特定のツールの操作方法を覚えることよりも、新しいツールが登場した際にすぐキャッチアップできる学習姿勢を持つことも重要になってきます。技術の変化を前提に、継続的にスキルをアップデートしていく心構えが、長期的にキャリアを築くうえでの土台になると考えられます。

AI時代のデザイナーとして学び直すという選択肢

「AIに仕事を奪われるかもしれない」という不安をそのままにするのではなく、AIを理解し使いこなすスキルを体系的に学ぶことで、デザイナーとしての価値を高めていくという選択肢もあります

学び直しを検討する際は、公的な支援制度の活用も選択肢の一つです。経済産業大臣が認定する「第四次産業革命スキル習得講座」(2026年度時点で運用されている認定制度)のうち、厚生労働大臣による専門実践教育訓練の指定もあわせて受けた講座は、専門実践教育訓練給付金の対象となります。(出典:経済産業省「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」、2026年9月確認)制度の詳細や、対象講座が給付金の対象講座に該当するかどうかは専門実践教育訓練給付金(第四次産業革命スキル習得講座)の対象講座で確認できます。給付金の給付率や申請条件、対象講座の指定状況は年度・講座ごとに更新されることがあるため、利用を検討する際は必ず最新の公式情報を確認してください

こうした制度をうまく活用できれば、学習にかかる費用負担を抑えながら、キャリアチェンジや専門性の底上げに取り組みやすくなります。現職を続けながら受講できる講座もあるため、いきなり大きな決断をするのではなく、まずは情報収集から始めてみるという進め方も現実的です。

デジタルハリウッドでは、これまで10万人の卒業生を送り出してきた実績のもと、未経験からでも実務レベルのスキル習得を目指せる講座を用意しています。個人差はありますが、AI時代の変化に不安を感じている方こそ、一度学び直しという選択肢を検討してみる価値があるかもしれません。

独学でAIツールを試してみるだけでも一定の理解は得られますが、企画力・情報設計力といった上流のスキルは、体系的なカリキュラムのもとで基礎から学ぶことで、より効率的に身につけやすくなると考えられます。現職を続けながら学べる講座もあるため、まずは自分のペースで情報収集から始めてみるとよいでしょう。

AI時代のデザイナーとして、次の一歩を

AIが普及した時代だからこそ、企画力・情報設計力・ユーザー理解といった「設計・判断」のスキルを体系的に学ぶことが、これからのデザイナーの価値を高める鍵になります。デジタルハリウッドでは、未経験からでも実務レベルのスキル習得を目指せる講座を用意しています。条件を満たす場合は、専門実践教育訓練給付金等の制度を活用できる場合もあります。

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よくある質問とまとめ

よくある質問

QAIが最も得意とするデザイン業務は何ですか?

素材の量産やレイアウトのたたき台作成など、パターン化しやすい定型的な作業が得意な領域だと考えられます。逆に、案件ごとに異なる文脈や意図を汲み取って調整するような業務は、AIだけでは対応しきれない部分が残りやすいといえます。

Qどの職種のデザイナーが最も安泰ですか?

職種によって一様に決まるものではなく、同じ職種の中でも「作業」中心の業務か「設計・判断」中心の業務かによって影響の受け方は異なると考えられます。特定の職種名だけで安泰・不安泰を判断するのではなく、自分の業務内容を具体的に振り返ってみることが大切です。

QAI関連の資格を取得すればデザイナーとして有利になりますか?

資格の取得自体が直接的な安泰を保証するわけではありませんが、体系的な知識を得るきっかけにはなり得ます。資格の有無よりも、実際にAIツールを使いこなして成果物を作れるかどうかが重視される傾向にあると考えられます。

Q未経験からデザイナーを目指すのは今からでも遅くありませんか?

個人差はありますが、AIツールを活用しながら企画力や情報設計力を身につけていくという新しい学び方の選択肢も広がっています。時期を気にしすぎるより、何をどう学ぶかを具体的に考えることが大切です。

QAIツールを学べばデザイナーとして安心できますか?

AIツールの操作を覚えることは有効な一歩ですが、それだけで安心とは言い切れません。企画力や判断力といった、AIでは代替しにくい力をあわせて磨いていくことが重要だと考えられます。両方をバランスよく身につけることが、変化に強いキャリアづくりにつながるでしょう。

まとめ

デザイナーの仕事がAIによって完全になくなるかどうかを一概に断定することはできませんが、職種を問わず「作業」はAIに任せ、「設計・判断」は人が担うという役割分担が今後の基本線になっていくと考えられます。Webデザイナー・グラフィックデザイナー・UI/UXデザイナー・CGデザイナーいずれの職種でも、AIツールを使いこなしながら、企画力や情報設計力といった上流のスキルを磨いていくことが、これからのキャリアを築くうえで重要になるでしょう。

不安な気持ちになるのは自然なことですが、漠然とした不安のまま立ち止まるよりも、具体的に何を学べばよいかを知り、一歩ずつ行動に移していくことが、変化の時代を乗り越える一番の近道だと考えられます。

  • 「デザイナーの仕事はAIでなくなる」という不安の背景には、画像生成AI・ノーコードツールの急速な普及がある
  • 2015年のNRI/オックスフォード研究の「労働人口の49%が代替可能」という数値は、生成AI普及前の601職業全体のマクロ推計であり、デザイナー職に特化した数値ではない
  • 職種別に見ると、Web・グラフィック・UI/UX・CGデザイナーいずれも「作業」はAIに代替されやすく、「設計・判断・提案」は人の役割として残りやすい
  • これからのデザイナーには、AIツールの操作スキルに加え、企画力・情報設計力・判断力がより重要になる
  • 学び直しを検討する場合、経済産業省の「第四次産業革命スキル習得講座」など公的な給付金制度を活用できる場合がある

AIの動向は今後も変化していくため、不安をあおる情報に流されすぎず、公的な情報をもとに冷静にキャリアを考えていくことをおすすめします。

デジタルハリウッド 編集部

Web・グラフィック・UI/UX・CGなどクリエイティブ職のキャリア形成に役立つ情報を発信。生成AIの実務活用動向から、公的な学び直し支援制度まで、専門スクール運営で培った知見をもとに解説しています。

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