CG業界は女性でも働ける?割合・キャリア・子育てとの両立までリアル解説

「CG業界に興味があるけれど、女性でも働けるのか不安」説明会や個別相談の場で、こうした声をいただくことがあります。

クリエイティブ職は魅力的な反面、働き方や体力面、キャリアの先が見えにくく感じやすい業界でもあります。
この記事では、女性がCG業界で働くことについて、割合などの客観データや、実際のキャリア例を交えながら業界の様子を紹介します。

働ける。ただし「環境選び」が重要

結論から言うと、CG業界は女性でも十分に活躍できる仕事です。
ただし、長く続けられるかどうかは職場環境や働き方の選び方によって大きく変わります。

なお近年は、キャリアを語るうえで「男女で区切って語ること」自体に違和感を持つ人も増えています。実際、育児や介護などのライフイベントは女性だけのものではなく、男性が育休を取得したいと考えるケースも当たり前になりつつあります。
一方で、妊娠・出産など身体的な負担を伴うライフイベントは女性が担う側面もあり、働き方への影響が出やすいのも現実です。

CG業界とひとことで言っても、映画・アニメ・ゲーム・広告・VTuberなど領域は幅広く、職種も多岐にわたります。制作現場の進め方や働き方も会社ごとに差があり、同じ“CGの仕事”でも働きやすさは一様ではありません。

そのため、女性がCG業界でキャリアを築くうえでは「自分に合った職種を知ること」と「無理なく働ける環境を選ぶこと」が非常に重要になります。
本記事ではまず、客観データをもとに「女性は本当に少ないのか?」という実態から整理していきます。

CG業界の女性割合は?業界別調査(アニメ・ゲーム)から見る実態

「CG業界は女性が少ない」と言われることがありますが、まず押さえておきたいのは、CG制作は映画・アニメ・ゲームなど複数領域にまたがるため、業界全体を一括で示す統計が多くないという点です。

そこで本記事では、CGと職種の重なりが大きい アニメ制作・ゲーム開発の公的/業界調査を参照し、業界構造の理解に活用します。

たとえば、(一社)日本アニメーター・演出協会(JAniCA)の「アニメーション制作者実態調査2023」では、アニメ制作従事者の性別比率は 男性53.9%、女性44.0% という結果が示されています。

アニメーション制作者実態調査2023
https://www.janica.jp/survey/survey2023_report.html

ゲーム分野の調査では、全体では回答者の性は男性が 76.6%、女性が 21.9%(※その他/無回答を含む)という数字になっているものの、職種別に見るとアーティスト職(3DCG制作に近い領域)は約30%の女性が活躍していることが読み取れます。

ゲーム開発者の就業とキャリア形成(CESA)
http://cedec.cesa.or.jp/2024/past_cedec/enquete/

つまり、女性比率は決して高いとは言えないものの、職種や制作領域によって差があり、環境次第で十分に活躍できる余地があると言えるでしょう。

女性が少ないと言われる理由

「CG業界は女性が少ない」と言われる背景には、いくつかの構造的な要因があります。
ただし、それらは必ずしも「女性が向いていない」という意味ではなく、業界の見え方や情報の偏りによって生まれている面も大きいことは押さえておきたいポイントです。

技術職=男性、というイメージが残りやすい

CG制作はソフトウェアや機材を扱う専門職であり、一定の技術理解が必要になります。
そのため、「技術職=男性が多い」という固定観念が業界外にも残りやすく、結果的に「女性が少ない」「入りにくい」という印象につながりがちです。

しかし、実際の制作現場では、CGは単なる操作技術だけで完結する仕事ではありません。
観察力や表現力、コミュニケーション、設計力など、さまざまな能力が求められる領域であり、性別によって適性が決まるものではありません。

ロールモデル(身近な実例)が見えにくい

もうひとつ大きいのは活躍している女性がいても“見えにくい”という問題です。
現場で制作に集中しているほど、SNS発信や登壇などに時間を割きづらく、外部からはロールモデルとして認識されにくくなります。

さらに、記事やインタビューで取り上げられるのは「代表」「リード」「監督」といった目立つポジションが中心になりやすく、そこに男性が多い場合、業界全体が男性中心に見えやすくなってしまいます。

「辞めた」のではなく、働き方を変えて続けているケースもある

ライフイベントをきっかけに、働き方を調整する人もいます。
たとえば、会社員として現場に所属する働き方から、在宅・時短・フリーランスへと移行するケースもあります。

この場合、統計や表に出にくい働き方になることもあり、「業界から離れた」と見えやすいのが特徴です。
しかし実際には、制作領域を変えたり、得意分野に特化して案件を選んだりしながら、キャリアを継続している人も少なくありません。


このように、「女性が少ない」と言われる背景には、構造的な偏りや情報の見えにくさが関係しています。
そして重要なのは、こうした状況を踏まえたうえで、自分に合った職種や環境を選べば、十分に活躍できる業界であるという点です。

CG業界の仕事はきつい?長く続けるために知っておきたい現実

CG業界について調べると、「きつい」「ブラック」「徹夜」などの言葉を目にして、不安になった方もいるかもしれません。
たしかにCG制作は、締切のある制作物を扱う仕事であり、忙しい時期が発生しやすい業界です。

ただし重要なのは、「常にきつい業界」ではなく、働き方や環境によって大きく差が出るという点です。
ここでは、長く続けるために知っておきたい“現実”を整理します。

納期前に忙しくなりやすい(繁閑差がある)

CG制作は、プロジェクト単位で進行するケースが多く、スケジュールの波があります。
特に納期が近づくほど作業量が増え、修正対応が重なることもあるため、時期によっては忙しさが増すことがあります。

一方で、プロジェクトの区切りがつくタイミングでは落ち着く期間もあり、同じ職場でも「繁忙期」「閑散期」がはっきりしている場合もあります。
そのため、“ずっと激務が続く”というより、波を理解して乗りこなすことが現実的な対策になります。

修正が多い仕事=チームでの制作が前提

CGの仕事は「作ったら終わり」ではなく、監督・ディレクター・クライアントの意図に合わせて調整するプロセスが欠かせません。場合によっては、仕様変更や方向転換が入ることもあります。

この点は大変さにもつながりますが、同時に、一人の感性だけで勝負する仕事ではないということでもあります。チーム制作の中で成長しやすく、分業によって得意を活かしやすいのもCG業界の特徴です。

学び続ける必要がある(スキル更新)

CG制作は、使用するソフトウェアや表現技術の進化が早く、トレンドも変化していきます。
そのため、キャリアを続けるには学び続ける姿勢が必要になります。

ただし、これは「ずっと勉強しないと生き残れない」という意味ではありません。
大切なのは、すべてを追いかけることではなく、自分の専門領域を定めてアップデートすることです。

長く働くための職場選びで大切な視点

CG業界の働きやすさは、会社や案件によって大きく変わります。
同じ「CGの仕事」でも、残業時間や制作体制、育児・介護などへの理解度は職場ごとに差があるため、長く続けたい方ほど「環境を選ぶ視点」を持つことが大切です。

たとえば、入社前や転職前に以下のような点を確認しておくと、ミスマッチを防ぎやすくなります。

  • ・繁忙期の傾向(どの時期が忙しいか、どれくらいの残業があるか)
  • ・チーム体制(属人化していないか/相談できる先輩がいるか)
  • ・フィードバック・育成環境(レビュー文化があるか/教育担当がいるか)
  • ・制度の“実績”(産休・育休・時短勤務の取得例があるか)
  • ・柔軟な働き方(在宅・フレックスなどが可能か)
    「向いているかどうか」だけで判断するのではなく、自分が無理なく続けられる条件を言語化し、その条件に合う環境を選ぶことが、長く働くための現実的なポイントになります。

CG業界のキャリアの選択肢と実例紹介

「結婚・出産後もCGの仕事を続けられるのか」は、多くの方が不安に感じるポイントです。
その一方で、実際に子育てと両立しながらキャリアを継続している女性CGクリエイターもいます。

デジタルハリウッド東京本校の卒業生インタビューでは、育休中の酒井さんが、会社の文化や働き方について語っています。
たとえば、育休について

「育休を取るのが当たり前の雰囲気で休むことを遠慮しなくていい」
「勤務中も『お願いしづらい』『帰りづらい』といった空気がありません」
といったコメントが紹介されています。

【卒業生インタビュー】女性の感性はCGの武器になる。子育てもキャリアも選べる時代へ
https://school.dhw.co.jp/school/tokyo/blog/cg_20251209.html

こうした会社選びによって自身の働きやすさを確保するという視点もあれば、CG業界の魅力のひとつは、スキルを軸にさまざまな働き方を選びやすい点も挙げられます。
「就職して終わり」ではなく、経験を積んでから自分に合った働き方へ広げていけることが、長期キャリアを考えるうえで大きな安心材料になります。

たとえば、『ゲーム業界でアニメーターとして活躍するには』というイベントにて3DCGアニメーター/アニメーションディレクター/フリーゲームクリエイターとして活躍する登壇者が、イベント登壇者は、ゲーム開発会社での就業を経て、フリーランスとして活動。その後、産育休を経て法人設立に至るなど、キャリアの選択肢が広いことが紹介されています。

『ゲーム業界でアニメーターとして活躍するには』イベントレポート
https://school.dhw.co.jp/school/tokyo/blog/20230331.html

CG業界ではこのように、

・企業で経験を積む(正社員・契約社員など)
・派遣などで現場経験を広げる
・フリーランスとして案件を選ぶ
・経験を活かして起業する
といった形で、ライフステージに合わせたキャリア設計が可能です。

女性が活躍できる理由(強みになるスキルとは)

「CG業界は技術職」というイメージから、体力面や働き方に不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし実際には、CG制作はソフトを操作する技術だけで成り立つ仕事ではなく、観察力・表現力・コミュニケーションなど、さまざまな力が求められる領域です。

たとえば、デジタルハリウッド東京本校の卒業生・酒井さんのインタビューでは、「女性の感性」が強みになることについて触れられています。

【卒業生インタビュー】女性の感性はCGの武器になる。子育てもキャリアも選べる時代へhttps://school.dhw.co.jp/school/tokyo/blog/cg_20251209.html

現場では、光の空気感や質感、キャラクターの所作など、細部の表現が作品の説得力に直結します。そうした繊細な表現づくりは、日常の観察や感性の積み重ねが強みとして活きやすい部分です。

またCG制作は、一人で完結する仕事ではありません。
チームで制作する中で、ディレクターや制作進行、他職種と連携しながらクオリティを高めていくことが求められます。そのため「相手の意図を汲み取り、伝える力」「相談しながら進める力」など、コミュニケーション力も大きな武器になります。

さらに、スキルが積み上がるほど、作業者としてだけではなく、リードやディレクションといった役割にもキャリアを広げていくことができます。
CG業界では、長く続けるほど選択肢が増えやすいという点も、将来を考えるうえで大きな魅力です。

活躍する女性クリエイター紹介

デジタルハリウッドを卒業した女性の皆さんも、さまざまな領域で活躍しています。インタビューにてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

まとめ:CG業界で長く働くために大切なこと

CG業界は、女性でも十分に活躍できる仕事です。
一方で、働き方やキャリアの続けやすさは、職種や制作領域、そして職場環境によって大きく変わります。

また、CG業界単体で男女比を一括で示す統計は多くないものの、アニメ制作やゲーム開発など隣接領域の調査からも、女性比率は決して高いとは言えない現状が見えてきます。
しかしその一方で、アーティスト職などでは一定数の女性が活躍しており、環境や選択次第でキャリアを築ける余地が十分にあることもわかります。

長く働くために大切なのは、次の3つです。

・自分に合った職種・領域を知ること
・無理なく働ける環境を選ぶこと
・スキルを軸に、働き方の選択肢を持つこと
「女性だから難しい」と決めつける必要はありません。
大切なのは、自分のライフステージも含めて“続けやすい形”を選び、少しずつ経験を積み上げていくことです。

デジタルハリウッドでCGを学ぶ受講生もおよそ半数が女性です。この記事が少しでも皆さんの将来を考えるうえで参考になれば幸いです。