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【卒業生インタビュー】女性の感性はCGの武器になる。子育てもキャリアも選べる時代へ

2025-12-09

今回デジタルハリウッド卒業後、アバター制作の現場で活躍し続け、デジタルハリウッドでは講師としても活躍するなど、みなさんのロールモデルとなる酒井愛美さんにインタビューしました。

“女性の感性はCGの武器になる” と語る彼女の言葉には、これから業界を目指す女性にとって大きなヒントが詰まっています。 語っていただいた学生時代の歩みから現在の働き方はヒントがたくさん。そしてみなさんへのメッセージをいただきましたので是非お読みください!

酒井 愛美さん


デジタルハリウッド本科CG/VFX専攻卒業
ジュエリーブランドの企画生産管理から現在はREALITY株式会社にて3Dキャラクターアーティストとして活躍中。


目次

  1. CGに興味を持ったきっかけを教えてください。
  2. なぜデジタルハリウッドで学ぶことを選んだのですか?
  3. デジタルハリウッドで印象的だったことは?
  4. 就職活動はどのように進めましたか?
  5. 現在の仕事内容を教えてください。
  6. 制作にAIは活用していますか?
  7. 会社の環境はいかがですか?
  8. 「女性だからこそ活かせる部分」はどこだと思いますか?
  9. 女性クリエイターとして実現したい未来はありますか?
  10. これからCGを学びたい方へのメッセージをお願いします。
  11. CG業界へ飛び込むことを悩んでいる女性のみなさんにメッセージをお願いします。

Q. CGに興味を持ったきっかけを教えてください。

CGを学ぶ前は、ジュエリーブランドで働いていました。3Dプリントを使ってサンプルを作る工程に触れ、 データとして作ったものが実際に“形”になって出てくる、その体験がとても楽しかったんです。 もともとファイナルファンタジーVIIをはじめとしたゲームが好きだったこともあり、 「自分もこういう世界を作りたい」と思うようになりました。

Q. なぜデジタルハリウッドで学ぶことを選んだのですか?

入学して3ヶ月目にMayaで制作した静止画課題

3Dを本格的に学べる環境が必要だと感じ、実際に学校を探す中で、 デジタルハリウッドは1年で集中して学べる点に魅力を感じました。 正直にお話すると、決して安い受講料ではありませんし、自腹で払う以上「絶対に取り返さないと」という気持ちが強く、 その 覚悟が学び続ける原動力に なりました。

Q. デジタルハリウッドで印象的だったことは?

通学していた頃、TAとして受講生をサポートしていた頃、そして講師をしていた頃…すべての経験で感じたのは、 「ガッツのある人は強い」 ということです。

目指すものが明確で、突き進める意志がある人は、足りない部分を工夫で補ったり、つながりを作ったりして、 最終的に就職につなげていっていましたね。 スキルだけでなく、“強い意志” の方が人を動かす場面を何度も見てきました。

Q. 就職活動はどのように進めましたか?

マーベラスデザイナーを学習しコンテストに応募/入賞した作品

在学中、私の制作物を見た企業の方から「アルバイトしませんか?」と声をかけていただきました。 卒業制作を作りながら週2〜3働き、卒業後に契約社員から正社員という流れで今のキャリアにつながっています。

どのように制作物を見ていただいたかというと、SNSで発信していたんです。作品を投稿し続けていたことで アーティストさんともつながり、アドバイスをいただける機会もありました。

ーーSNSにアップするレベルがなくて恥ずかしい、という受講生の声を聞くのですが…

マーベラスデザイナーを学習しコンテストに応募/入賞した作品

私はその考えはありませんでした。学生だったら下手でいい、下手でなんぼ! 下手だから教えてというのは学生のうちだからこそ言える特権だと思うんです。 SNSは“やらない人が多いから、やる人は目立つ” と思っています。

Q. 現在の仕事内容を教えてください。

アバター制作を中心に行うスタジオで、Mayaを使った3Dモデル制作や監修、 ゲームエンジンでの実装を担当しています。スカートなどは生地感を考えながら揺れを実装していく必要があるため、 技術的にも難しく大変な作業ですが、実際に使って喜んでいただける姿を見ると、やってよかったと感じます。

自分が作ったアバターを実際に配信者さんが身につけてくれて、その姿を見られるのが何より嬉しい です。

Q. 制作にAIは活用していますか?

はい、仕事でも個人制作でもAIをほぼ毎日活用しています。
AIが使われ始めた当初は「難しい時代が来た…」と身構えてしまったのですが、実際に職場でさまざまな使い方を学ぶうちに、AIは使い方次第で本当に心強い味方になると感じるようになりました。
今では、企画段階のアイデア整理からソフトのオペレーション作業まで幅広く活用していて、
AIとの併用が自分の可能性や視野を広げることにつながり、大きな自信にもなっています。

Q. 会社の環境はいかがですか?

現在育休中の酒井さん、今年の夏にお子様が生まれました

今私は育休中なのですが、会社の文化として女性クリエイターが多く、子育てへの理解も深いため、育休を取るのが当たり前の雰囲気で休むことを遠慮しなくていいのが良いですね。勤務中も「お願いしづらい」「帰りづらい」といった空気がありません。

CGは在宅でもできるため子どもの都合にも合わせやすく、 制作進行に状況を共有しておけば、他のスタッフと連携しながら進められる体制もあります。

入社直後にコロナ禍が重なり、しばらくは完全リモート勤務でした。
その後状況が落ち着いてきてからは週1出社の体制になったのですが、出社はあくまで任意で、
現在も柔軟に働ける環境が続いています。

リモートワークが整っている弊社はこれからの ライフステージにも寄り添ってもらえる環境 だと感じています。

Q. 「女性だからこそ活かせる部分」はどこだと思いますか?

女性ならではの感性が活きる分野は多いと思います。コスメ、ファッション、小物、インテリアなど、 「どう可愛く仕上げるか」というセンスは、CGの世界でも大きな強みに なります。

男性はテクニカル寄り、女性はデザイン寄りを好む傾向があり、女性の感性が求められる場面は実は多いんです。 まだ表に出ていないだけで、 女性が活躍できる場所はたくさんあると感じています

Q. 女性クリエイターとして実現したい未来はありますか?

今の会社で5〜6年続けてきたので、新しい挑戦もしてみたいと思っています。ゲーム・映像どちらも興味がありますし、 前職がジュエリーだったこともあり、ZBrushでジュエリーを作る企画もやってみたいです。
女性が好きそうな小物や雑貨をテーマにした制作コミュニティも作れたらと思っています。

Q. これからCGを学びたい方へのメッセージをお願いします。

“好き”はあなたの一番強いエネルギー” 「好きなものを大切にしている人は強い。作品に“魂”が宿るから。」 誰かの評価よりも、 “自分が見て心が動くかどうか”を大事にしてください。 その感覚があなたの軸になり、唯一の強みになっていきます。

Q. CG業界へ飛び込むことを悩んでいる女性のみなさんにメッセージをお願いします。

私は学生時代に、“CGって男性が多いのかな…。やっていけるかな....。”と不安に思っていた時期がありました。
将来のライフイベントでキャリアが途絶えるんじゃないか、収入が不安定になったらどうしよう…そんな心配もありました。

でも思い切って進んでみて分かったのは、 女性が持つ細やかな観察力や、美しさに対する直感は、ただの練習量では真似できない価値だということ。
実際に働き始めてみると、 働き方にもキャリアの積み方にも想像以上の柔軟さがあって
「心配していたほど大変じゃなかった」という実感もありました。

それに、子育てしながら現場で活躍している女性クリエイターと話せたことも大きかったです。
仕事の相談だけでなく、出産や子育ての経験がある先輩から“産休や育休はどう乗り越えたのか”“どんな働き方が続けやすかったのか”といったライフプランの話まで聞くことができて、“こういう続け方もあるんだ”と知れたことで、不安が少しずつほどけていったんです。

プロになるための努力の土台は、男女関係なく全てのクリエイターに必要なもの。
でも、その上に“あなたの感性”が重なると、唯一無二の強さになります。

迷っているなら大丈夫。
あなたの色は、この業界に確かに必要です。

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