公開日:2025-11-27
スマホアプリやWebサイトを使っていて「使いやすい」「分かりづらい」と感じた経験はありませんか?
その印象を大きく左右するのが UI(ユーザーインターフェース) と UX(ユーザーエクスペリエンス) です。
しかし、この2つの概念を正しく理解しないまま制作を進めると、成果につながらないデザインになってしまいます。
本記事では、UIとUXの違いをはじめ、どのように設計し改善すべきかまでを体系的に解説します。
UI/UXデザイナーを目指す方、Web制作・アプリ開発の初心者、事業の改善をしたい方にも役立つ内容です。
目次
UIとは?
UI(User Interface:ユーザーインターフェース)とは、ユーザーとサービスをつなぐ“接点そのもの”です。
スマホアプリやWebサイトでユーザーが操作する 画面の見た目・触れる部分のすべて がUIに含まれます。
具体的には次のような要素です。
- ボタン、アイコン、ナビゲーション
- 文字サイズやフォント
- 色、余白、レイアウト
- 入力フォームの構造
- メニューの並び順
- アニメーションやフィードバック
UIが見づらい、押しづらい、分かりづらいと、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。 逆に、UIが洗練されていると「迷わず操作できる」「気持ちよく使える」という体験を生むことができ、サービスの印象を大きく向上させます。
UI設計の具体例
UI設計は「見た目を整える」だけではなく、ユーザーが迷わず行動できるように、情報を分かりやすく整理し、操作しやすい画面をつくることが目的です。以下は代表的なUI設計の例です。
① 色と視認性のコントロール
重要なボタンはブランドカラーで強調
背景色と文字色のコントラスト比を確保
エラーは赤、成功は緑などの分かりやすい配色
→ 決済ボタンの強調や警告の伝達に効果的。
② タップしやすいボタン設計
スマホでは最低44px以上
指の動きを考え、親指が届きやすい位置に配置
押したあとに色や影が変わるフィードバックを追加
→ SNSアプリの「投稿」ボタンはほぼ右下にある。
③ 情報整理とレイアウト
上から重要順に情報を並べる
パンくずリストやタブで構造を分かりやすく整理
余白を使い、スクロール誘導を自然にする
→ ECサイトでは「商品写真 → 価格 → カート」を優先表示。
④ フォントと読みやすさ
小さすぎる文字を避ける
行間やカーニング(文字間)を調整
強調部分には太字や色変化を使用
UIは、ユーザーの「視線の動き」や「指の動き」を想像しながら設計することが重要です。
UXとは?
UX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーがサービスを利用して得る 体験全体 を指します。
UIが画面の見た目や操作性であるのに対し、UXはもっと広い概念で、ユーザーが感じる便利さ、期待、満足度などをすべて含む概念です。
UXの要素には次のようなものがあります。
- 目的の行動にスムーズに到達できるか
- ストレスなく操作できるか
- 欲しい情報がすぐ見つかるか
- 感情的に満足できるか
- 「また使いたい」と思えるか
UXはアプリを開く前から、使った後の印象までを含むため、サービス設計の根幹となる重要な領域です。
UX設計の具体例
UX設計は「ユーザーが目的を達成するまでの体験」をスムーズにし、満足度を高めるための設計です。
① ペルソナ設定
「誰が使うのか?」
年齢、性別、職業
目的、行動特性
どんなデバイスを使うか
→ ユーザー像を明確にし、体験を最適化。
② カスタマージャーニーの作成
サービスに触れる前、使用中、使用後の体験を時系列で整理。
例:ECサイト
- 商品を探す
- 比較する
- カートに入れる
- 決済する
- 商品を受け取る
この一連の道筋を滑らかに設計する。
③ ユーザーテスト
実際のユーザーに触ってもらい、
- どこで詰まるか
- どこで迷うか
- どこでストレスを感じるか
を可視化し、改善ポイントを洗い出す。
④ エモーショナルデザイン
- 心地よいアニメーション
- スムーズな遷移
- 成功時の“嬉しい”フィードバック
→ 使っていて気持ちのよい体験をつくる。
UXは「ユーザーが困らない・迷わない・満足する」流れをつくることが最も重要です。
UIとUXの違い
UIとUXはセットで語られることが多いですが、役割は全く異なります。
- UI=見た目・触れる部分の設計
- UX=使ったときの体験・感情・目的達成までの流れの設計
UIは“インターフェースのデザイン”であり、UXは“サービス全体の体験のデザイン”です。
例:飲食店に例えると
- UI = 店内の内装、座席、メニューの見た目
- UX = 入店から食事、会計、満足度までの一連の流れ
UIが良くてもUXが悪ければ、ユーザーは「使いにくい」と感じますし、UXが良くてもUIが悪いと操作自体が難しくなります。
どちらか片方だけを改善しても成果は出にくく、
“UIとUXの両軸で考える”ことが成功するサービスにとって必須 です。
UIとUXが同一に扱われる理由とは?
UIとUXが混同される理由は次の通りです。
- 画面改善(UI)が体験改善(UX)につながる場面が多い
- 小規模プロジェクトでは1人のデザイナーが両方を担当する
- 「見やすい=使いやすい」と錯覚されやすい
- どちらもユーザー視点で考えるため境界が曖昧になりがち
しかし、UIは“見た目の設計”、UXは“体験の設計”と役割は明確に異なります。 混同せず、それぞれの目的に沿って改善することが重要です。
UI/UXデザインが求められる理由
現代のWebサービスやアプリは、競争環境が激しく「使いにくい」だけでユーザーが離脱してしまいます。
そのため、UI/UXデザインの質は 成果に直結する最重要要素 となりました。
求められる理由は以下のとおりです。
- ユーザーの離脱率を下げられる
- 滞在時間・CV率(購入率・登録率)が向上する
- ブランド体験全体の質が上がる
- 顧客ロイヤルティ(ファン化)が生まれる
- SNSでの評価が改善される
特にスマホ時代では、操作性やストレスの有無がすぐに結果に現れるため、UI/UXの重要性は以前よりはるかに高まっています。
UI/UXデザインを改善するポイント
UI/UXを改善するには、以下のポイントを押さえることが重要です。
① 利用者の使用イメージを検証する
ユーザーがどんな目的で、どんな環境で使うのかを明確にする。
- 立ったまま使うのか
- 片手で操作するのか
- 初心者が多いのか
→ 想定ユーザーを変えるだけでUI/UXは大きく変わる。
② 情報を減らして“迷わせない”画面にする
情報過多は離脱の原因。
- 文字数を減らす
- ボタンを絞る
- 優先順位をつけて整理する
→ 1画面1メッセージが基本。
③ スクロール誘導・視線誘導を設計する
- アイキャッチ → メリット → CTA の流れ
- 余白を活かし、目線の流れをコントロール
- スクロール誘導の矢印やアニメーション
視線の動線を設計するとUXが大幅に改善する。
④ フィードバックを必ずつける
- タップしたら色が変わる
- 読み込み中のアニメーション
- 成功・エラーの通知
ユーザーが「正しく操作できている」と安心できる。
⑤ ユーザーテストで“詰まりポイント”を発見
実際に触ってもらうと、
- どこで迷うか
- どこで帰るか
- どこに不満を持つか
が一目で分かる。
デザイナーが気づけない“盲点”が必ず出てくるため、UX改善に最も効果的。
⑥ データ分析で課題を特定する
Google Analyticsなどで
- 離脱ポイント
- クリック率
- スクロール率
を確認し、仮説を立てて改善する。
⑦ 競合のUI/UXを研究する
同じ目的のサービスを比較し、
- 使いやすさ
- 表示速度
- 導線
- 表現方法
を分析することで改善のヒントが得られる。
UI/UXデザインが重要なページや箇所
UI/UXはサイト全体に関わりますが、特に成果に直結するページでは最優先で改善が必要です。
以下に、重要度の高い箇所を具体例とともに解説します。
① サイト全体
サイトの第一印象が決まるため、以下が特に重要:
- ページの読み込み速度
- 色・レイアウトの統一感
- スマホ最適化(最重要)
- メニューの分かりやすさ
- コンテンツの情報構造
サイト全体のUI/UXが統一されていると、ユーザーは迷わずストレスなく利用できる。
② ファーストビュー(最初に見える画面)
離脱率に最も影響がある部分。
- 何のサービスか一目で伝わる
- メリットや価値が明確
- 行動ボタン(CTA)が見える位置にある
- デザインが洗練されている
ファーストビュー改善だけでCV率が数倍になることも珍しくない。
③ CVエリア(問い合わせ・購入・申込)
最も成果に影響する部分。
- ボタン色やコピーの最適化
- 入力フォームの簡略化(項目を減らす)
- エラー理由を具体的に表示
- 入力補助機能(自動入力など)
フォーム改善は、UX改善の中で最も効果が出やすい領域。
④ 商品紹介・サービス紹介ページ
ユーザーが購入を判断する重要なページ。
- 写真・動画の見やすさ
- 情報の優先順位付け
- スペック・比較情報の整理
- 口コミや事例の信頼性要素
「何を得られるか」が直感的に理解できるUIが求められる。
⑤ ナビゲーション(メニュー)
迷わせないための最重要領域。
- シンプルなメニュー構成
- グローバルナビとフッターナビの整理
- カテゴリ名を分かりやすくする
ナビゲーション改善はサイト全体のUX向上に直結する。
⑥ 検索・フィルター機能
ECサイトや情報サイトの要。
- 絞り込み項目を整理
- デフォルトの並び順を最適化
- 入力補助機能
UXが良いほど、購入率も上がる。
⑦ スマホ版のUI/UX
現代では スマホが最優先。
- 片手操作に最適化
- 親指の可動範囲に主要ボタン
- 縦スクロールベースで設計
- タップミスを防ぐ余白設定
スマホでの使いにくさはそのまま離脱につながるため最重要。
まとめ
UIは「見た目や操作性」、UXは「体験全体」という異なる役割を持っています。
どちらもサービスの成果を左右する重要要素であり、UI/UXを正しく理解し改善することで、ユーザーの満足度やCV率を大きく向上できます。
本記事で紹介したポイントを踏まえ、ユーザー視点に立った設計を意識すれば、より使いやすく価値の高いサービスへと成長させることができます。
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