公開日:2023-07-01
「UXデザイン」の「UX」とは、「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」を略したもので「ユーザー体験」を指します。すなわちUXデザインとは、オンライン、オフラインを通じてユーザーの体験をデザイン(設計・企画)することです。ユーザーの行動を導き、「楽しい」「心地よい」といった優れた体験を提供することを目的としています。近年は特にスマートフォンの普及もあり、重要な用語となっています。
UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインとは?
UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインとは、人の手によって作られたサービス・システム・製品などの使用・利用を通してユーザーが体験するすべての顧客体験のことを指します。多くの製品/商品やサービスのある現代では、競合との差別化を見た目のデザインだけで図るのは難しくなってきました。そこで重要になるのが、UXデザインです。
身近なUXデザインの例
LINE
従来のメールでは相手の送ってきた内容を確認しながら送信をすることができませんでしたが、コミュニケーションアプリ「LINE」では、ひとつの画面で会話の流れを見ながらコミュニケーションが可能です。
メールとLINEのユーザー体験の違いには、メールではメッセージの交換、LINEでは会話が気軽に行えるという点があると考えられます。LINEでは吹き出し形式のUIで気軽に会話ができるため、コミュニケーションのハードルが下がり、会話の流れもスクロールするだけで追うことができます。さらにグループ機能によって複数人の会話も行いやすく、スタンプの利用で気軽に返答ができます。このような体験はユーザーにとっても魅力となります。
スターバックス
アメリカのスターバックスの元会長兼社長兼CEOのハワード・シュルツ氏の『スターバックスはコーヒーを売っているのではない。体験を売っているのだ。』という言葉は有名ですが、スターバックスは第3の場所という意味の「3rd Place」というコンセプトを掲げています。バリスタがコーヒーを提供してくれる、おしゃれなインテリアで設計された店内でゆっくりとコーヒーが飲めるという、日常の中で手に入る少しリッチな体験を提供しています。
UXとUI(ユーザーインターフェイス)の違いとは
UXとは、ユーザーエクスペリエンスの略称です。
その名の通りユーザーが製品・サービス等を通して得られるすべての顧客体験のことを指します。
UIとはユーザーインターフェースの略称です。サービスや商品とユーザーの接点を表しています。
例えば、Webサイトのデザインや使われているフォント等のユーザーから見える情報は、すべてUIになります。ユーザーとの接点と表現した通り、Webサイト上の情報だけではなく、デバイス(PCやスマートフォン)の外観もUIに含まれます。
UIはUXの一部と言えます。ユーザーとの接点を表しているUIは、UXに内包されていると考えると良いでしょう。
UXと似て非なるCX(カスタマーエクスペリエンス)とは
UXと似ている言葉で、CX(カスタマーエクスペリエンス)という言葉を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。
CXとは、顧客体験の価値を表す言葉です。
CXは、UXは一時的な顧客体験を意味するのと異なり、UI(ユーザーインターフェース)と言われる見た目や機能や価格といった目に見える情報だけではなく、ユーザーが商品やサービスに触れる前の対応から購入後・使用した後の顧客体験までの一連を表す言葉です。
UX(ユーザーエクスペリエンス)も「顧客体験」を指す言葉ですので、CXと混同しやすいですが、UXに比べCXは、購入する前から購入した後のユーザーの感じた価値・感想などを含むためUXよりも広範囲であると捉えると理解しやすいかと思います。
ある商品を購入した際に、「購入後のサポートがしっかりしていて安心できた。」「購入後のアフターサポートが充実していて、今度は同じブランドの別の商品を買おうと思った。」など体験や気持ちはCXに含まれるので、UXに比べ体験の範囲が広いのがCXの特徴です。
また、ユーザーは商品やサービスの利用者を指す一方、カスタマーは商品やサービスの購入者を指すので、ユーザーとカスタマーの意味も異なるケースもあるでしょう。
UXデザインが重要視される理由
なぜUXデザインの重要性が高まっているのでしょうか。
理由の一つは、ユーザーがモノからコト(体験)を求めるようになったことがあげられます。多くの商品がある現代では、モノを所有することだけではなく、そのモノ(商品・サービス)を通して、楽しい体験や貴重な体験をしたいと考えるユーザーが増えています。また、モノが増えている現代社会においては、競合他社より優れたUXデザインをユーザーに提供しないと手に取ってもらうことも難しくなっており益々UXデザインの重要性は高まっています。
UXデザイナーとしての仕事内容
UXリサーチ
UXリサーチとは、ユーザーの体験に関する調査を行うことです。
ユーザーの今の状況の把握とニーズの調査が主な目的です。既に表面化しているニーズは、顕在ニーズと呼ばれユーザーへアンケートやインタビューを行うことで調査が可能です。
一方で、まだ目に見えていないニーズもあります。潜在ニーズと呼ばれこういった潜在的なニーズの調査は状況や課題に合わせた探索型のリサーチ方法などがあります。
カスタマージャーニーの作成
まずは、市場調査からスタートしユーザーの求める体験をサービスへ反映させる必要があります。専用の調査ツールを使ったり、ユーザーへ直接ヒアリングやアンケート・インタビューを実施することで市場調査が行われます。
その後、カスタマージャーニーと呼ばれるユーザーの行動や思考を可視化していく作業をしていきます。カスタマージャーニーを作成することで、ステージごとに、ユーザーの分析がしやすくなります。ここでいうステージとは、UXデザインにおける時系列のことで、検討前・検討のきっかけ・情報収集・実際にサイト等の閲覧・行動・その後の体験の5段階の行動のことです。カスタマージャーニーでは、ステージごとに課題を分析していきます。
ワイヤーフレームの作成
ワイヤーフレームを踏まえて、実際にサービスで求められる機能のプロトタイプを作っていきます。プロトタイプとは、試験段階を意味する言葉です。ワイヤーフレームとは、サービスの骨組みを意味します。一般公開する前に、UXデザイナーはプロトタイプで使い心地を確かめます。問題点を見つけたら動作を改良し、実用へと近づけていきます。
UXデザイナーの作業環境について
MacBookPCの場合
メリット
MacBookPCのメリットは、デザインをする上で必要な要素を最初から兼ね揃えていることです。例えば、デザインをするにあたり頻繁に使うフォントであるヒラギノやクレーなどは最初からインストールされています。
また、モニターの色の表現も非常に優れています。高解像度ですので、細かい色彩の調整などがしやすいです。
デメリット
高性能であるため価格が高いことがあげられます。性能を追及してモデルを選ぶと価格帯も高くなりがちですので、金銭面で負担になることもあるでしょう。
また、Windowsとかなり操作性が異なります。ショートカットキーなどもWindowsとは違うので長年Windowsに慣れ親しんだ方に取っては操作をするのに戸惑う部分もあるでしょう。
WindowsPCの場合
メリット
Windowsのメリットは、Macに比べ比較的手ごろな値段で十分なスペックがあることです。基本的にデザインをするにおいても不便なく作業ができますのでコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。複数のウィンドウを立ち上げてもエラーが起きづらいのでこういった部分でもデザイナーが使いやすい良い点の一つです。また、クライアントとのやり取りで良く使用することの多いofficeデータも文字化けがほとんどすることはありません。
デメリット
Windowsmのデメリットは、Mac ほどのフォントが最初から入っているわけではないことです。WebデザインをするにあたりフォントはUIにおいてもUXにおいても重要ですので、Windowsmの場合は必要なフォントを追加で購入する必要があります。
UXデザインの流れ
UXデザインを行うには、クライアントと同じ視点を持ってユーザーを理解し、さらにクライアントの抱えている課題に向き合いながら解決手段を考えてデザインすることが求められます。
具体的にはアクセス解析、企業の経営層やユーザーへのインタビューやアンケートを通じたリサーチを行い、顧客像を定義しユーザーの利用体験の流れを整理するカスタマージャーニーマップを作成します。
利用体験の流れは、簡単なイラストで可視化(ストーリーボード)することで目標とするユーザー体験の完成度を高めることができます。
その後、プロトタイピングで仕様書や遷移図では確認できない使い心地を確認し、本格的な開発に移ります。UXデザインはUIデザインと切り離すことの出来ない概念のため、習得にあたっては両方のスキルを磨く必要があります。
UXデザイナーとして仕事をするなら身に着けたいこと
近年、デジタルハリウッド専門スクールでもUXデザイナーを目指す方が増えてきました。
UXが今注目されている理由などについては、本記事の前半でお伝えしてきましたが、UXデザイナーとして仕事をするなら身に着けたいのはどういったことでしょうか。多くのことが求められるUXデザイナーですが、いくつかご紹介しますので、UXデザイナーを目指す方はぜひ参考にしてみてください。
分析する力
UXデザイナーは、時にはGoogleアナリティクスやヒートマップといった分析ツールから見える数字を分析することで、データから顧客動向を分析することが求められます。そこから顧客はどのようなものを求めているのか、どういったコンテンツならより興味を持ってもらえるのかを導き出すことができ商品やサービスの改善・開発につながります。
ユーザー(顧客)視点で物事を考える力
UXデザイナーは、顧客のニーズを理解し、顧客の立場に立って物事を考えられる視点が必要です。実は、作り手であるUXデザイナーがこの視点を持ち続けることは簡単なようで難しいことなのです。
市場調査の実施やプロトタイプを作ってテストを行い、出た課題に対して顧客目線を持って解決していく力が必要になります。顧客(ユーザー)への共感力が高いことが、ユーザーの満足度を上げたり、リピーター増加させたりすることにつながります。
コミュニケーション力
UXデザイナーには、コミュニケーション力も必要です。クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションはもちろんのこと、時にはユーザーから直接話を聞いたりすることもあります。自分のアイディアを戦略だてて進めたり、商品やサービスのコンセプトを決めていったりするなど物事を進めるにあたって、立場の異なる人々と関わることも多く、たくさんの人と交わりながら物事を進めていく必要があります。
優れたUXデザインにするためのポイント
目的やゴールを明確にし課題を見つけ出す
優れたUXデザインにするためには、その商品やサービスを通して、ユーザーにどのような体験をしてほしいのかゴールを明確にする必要があります。その上で、カスタマージャーニーマップを作成し、どのようにしたら顧客満足度を高められるのか、今の時点との差は何なのかを見つけ、検証しながら改善していくことが重要です。
定量データや定性データから課題の原因を調査する
定量と定性の両方を見て情報を整理し、どこから着手すると効率的にUXデザインの改善につながるのかを見つけ出すことが重要です。
ユーザーへのヒアリングから得られる情報は、定性的な情報になります。しかし定性データだけでは不十分なことが多く、数字から分析できるような定量的なデータもあわせて見ることが大事です。
こまめなPDCAサイクルを繰り返す
UXデザインの改善に終わりはありません。というのも、こまめにユーザーヒアリングやABテストを実施し、課題を見つけ改善のPDCAを繰り返していくことがユーザーのニーズに寄り添い、より良いUXデザインへしていくためのステップになるからです。
UXデザインに役立つ資格について
UXデザイナーになるために、必須の資格はありません。ただし、スキルを確認・証明するために資格取得は有効な手段の一つではあります。3つほど有効な資格をご紹介します。
人間中心設計(HCD)専門家資格認定制度
人間中心設計(HCD)専門家資格認定制度は、人間中心設計推進機構が実施するHCDの専門家認定制度です。HCDの専門家に必要とされる「コンピタンス」を明らかにして、そのような能力を満たしている人を認定します。使いにくいプロダクトやサービスはまだまだ数多くあり、これらに対して、HCD的活動を推進するための「専門家」が必要です。(公式サイトより抜粋)
スペシャルと専門家の2種類のレベルに分かれています。実際に関わった案件(プロジェクト)の提出が求められますので、未経験では試験自体が受けずらいですが、この資格を取得しているということがUXデザイナーとしてスキルがあるということを証明する一つでもあります。
Webデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、国家検定制度である技能検定制度の一つとして、
厚生労働省より職業能力開発促進法第47条第1項の規定に基づき指定試験機関の指定を受け、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会(以下、当協会)が実施するものです。
試験は実技および学科試験で実施され、関連国際標準規格等に基づきウェブデザインに関する知識・技能、実務能力等が問われます。
1級の合格者には厚生労働大臣より、2級及び3級の合格者には当協会理事長より、
ウェブデザイン技能士の合格証書が発行されます。(公式サイトより抜粋)
Web制作に関連する資格のなかで唯一「ウェブデザイン技能検定」が国家資格になります。
ユニバーサルデザインコーディネーター認定資格
「ユニバーサルデザインコーディネーター認定資格」とは、実利用者研究機構が認定する「ユニバーサルデザインコーディネーター」資格の略です。
ユニバーサルデザインの視点で、商品づくりや印刷物、施設、サービス、接客などを効果的に改善する知識・スキルの資格です。ユニバーサルデザインコーディネーター認定資格を有する人を、「ユニバーサルデザインコーディネーター」と言います。(公式サイトより抜粋)
この資格では、3級、準2級、2級、準1級、1級の段階があります。すべての方に使いやすいモノを提供し、顧客(ユーザー)視点を持つことが大事なUXデザイナーは、持っていて有効な資格の一つです。
未経験者がUXデザインの勉強をするなら
独学で勉強する
未経験から独学で目指すことは不可能ではありません。
独学のメリット
最大のメリットは、時間に縛られることなく参考書を用いたり、セミナーに参加したりと自分の好きなペースで学習ができることです。学校に通わずに学ぶことで、子育て中などどんなフェーズでも学習を進めることができます。無料のオンラインサービスを使ったり、書籍を用いての学習は、最低限の費用で学ぶこともできます。
独学のデメリット
一方で、独学の場合は分からないことがあっても質問がしずらいことがデメリットの一つです。独学の場合、メリットもある反面、スキルの習得には時間がかかることが多いです。
通信講座で学ぶ
UXデザインを通信講座で学ぶことも可能です。
通信講座のメリット
こちらも独学と同じく自分のペースで学習を進めることができることはメリットの一つです。
通学時間がないことでのタイムロスをなくし、交通費もかからず自宅などどこでも学習が可能です。また、自分のペースでの学習なので学校に通うよりも短期間でスキルを身に着けることもできる方もいるでしょう。
通信講座のデメリット
一方で、通信講座は基本的には自分の意思で学習を進める必要があるため、モチベーションの維持が大変な面もあります。監視の目がないので今日は学習を辞めようと思えばいくらでも休むことは可能です。また励ましあう仲間も見つけづらく、一度落ちてしまったモチベーションの回復には時間がかかることもあるでしょう。
専門学校(スクール)で学ぶ
専門学校(スクール)でUXデザインの知識やスキルを身に着けUXデザイナーを目指すこともできます。
専門学校(スクール)のメリット
専門学校(スクール)に通うことのメリットは、最新の知識やスキルを、効率的・体系的に学習を進められることです。講師がいて、作品に対してフィードバックをしたり励ましあったりできる仲間がいるのでモチベーションの管理がしやすい点も良いところです。
専門学校(スクール)のデメリット
時間割が決められていることも多く、通学の時間や学校に通うという時間の制約がかかります。また、学校に通うことで費用もかかります。また、UXデザイナーは経験を積んだり、商品やサービスに対してPDCAを繰り返すことで優れたUXデザインになっていくことも多く、学校の勉強だけで完結するものではないため、卒業後も継続した学びが必要になります。
UXデザイナー志望ならデジタルハリウッド専門スクールへ
未経験からUXデザイナーを目指すのであれば、デジタルハリウッド専門スクールの本科UI/UXD専攻がおすすめです。
制作現場で求められるデザイン思考とUX、プログラミングスキルを1年で習得し、未経験から1年で企業から求められるデザイナーを目指すことのできるコースです。デザイン基礎からUI・UXを体現したデジタル表現を徹底的に追求し、インタラクティブ表現、サービスデザインなどをアウトプットするデザイン系最高峰のコースになります。また、学習だけではなく、充実した就職・転職のサポートも付いています。
【選べるコース】
本科UI/UXD専攻では、作りたいもの、学びたいスキル、就職したい企業の種類から選らべるコースが用意されています。
・サービスデザインコース
顧客のニーズを捉えたサービス設計に特化したコースです。UXの基礎から応用、マーケティング、サービス企画設計を学び、様々なWebサービスのデザインと実装をするコースです。IT・Webサービス系企業のUI/UXデザイナーとして就職・転職をしたい方に最適なコースです。
・インタラクションUI実装コース
UXを体現するUIをプログラミングにて実現することができるコースです。
デザイナーに求められるUI/UXを理解したデザインを制作します。ユーザーの使い勝手を向上させることはもちろん、WebGLによる3D表現など、幅広いアウトプットをします。クリエイティブ業界をリードする制作プロダクションへデザイナー、エンジニアとして就職・転職を希望する方にお勧めのコースです。
【このコースが学べる校舎】
まとめ
UXデザインとは何か・なぜ重要視されているのかといったことから、UXとUI・CXとの違い、そしてUXデザイナーを目指す方法などをご紹介してきました。
Web業界の中でも注目度の高いUXデザインですが、今後UXデザイナーを目指したいという方はぜひ、スキルを磨き挑戦してみてください。効率的・体系的に学びを進めたい方、一度デザイナーを目指すうえで相談に乗ってほしいとい方は、デジタルハリウッドで開催されている無料の説明会に参加してみてください。