サービスデザインとは?その思考プロセスや方法論について紹介

公開日:2023-07-01

サービスデザインとは?

サービスデザインという言葉にはどの組織にもそれぞれの定義がありますが、すべての要素を広く網羅し、異なる立場や業種の人・団体が協力して新たなサービスや価値観を作り出しながらユーザー中心にサービスの質を向上させる手法のことを大きく指します。特に、サービスデザインはサービス提供者、ユーザー、その他のステークホルダー(利害関係者)全員の体験を重視しています。


サービスデザインの歴史

1982年にLynn Shostack氏によって生まれたのが「サービスデザイン」という言葉です。当時はサービスをデザインする活動をMARKETINGや経営の領域の一部として考えられていましたがサービスサイエンスやサービスマネジメント領域にデザイン思考や人間中心設計(HCD)を含むアプローチやサービスと製品(プロダクト)の融合を観点に加えた領域を超えたものとして発展を遂げていきました。 その後、2000年代にはデザインコンサルティングファーム、いわゆるデザインを軸にデザイン以外の業務や事業を提案する企業などでサービスデザインプログラムの提供が始まり、仕事の肩書として「サービスデザイナー」という言葉が使われ始めました。サービスデザインを主力として事業を立ち上げる会社も同時期に多く誕生しました。

サービスデザインのもとになっているデザイン思考とは

デザイン思考というのはサービスや製品などの先にいるユーザーを理解し、仮設を組み立てることでさらなる戦略や解決策を見出すために問題を再定義する考え方のプロセスを指します。思考の特徴としては問題関係者のすべての満足度、アイデア出しと組み合わせの試行錯誤を繰り返してブラッシュアップしていくこと、前例や固定概念、バイアス(先入観)などを排除して考えること。が大きく上げられます。  デザイン思考はクリエイティブなセンスは関係なく、思考方法を学びそれを実践すること、いわゆるインプットアウトプットを繰り返すことでスキルとして身につくものとなります。

サービスデザインとは実際にどういったことをするのか

1、リサーチ 

人とサービスを結ぶ行動や日々の習慣などを理解します。 想定される利用者にアンケートやインタビュー現場の観察などを行うことで事実を詳細に理解していきます。本質の課題を見出すことが重要となります。

2、ペルソナの設定   

利用者の典型的な人物像を仮定して定義したものをペルソナといいます。

3、カスタマージャーニーマップの作成  

仮定して定義したペルソナを元にその顧客の流れや動きなどを考えます。一連の行動を時系列で把握していくことを指します。

4、問題の洗い出し  

可視化された現状を元にどこが問題か現状で解決が可能か、などを洗い出します。

5、問題を限定する  

すべての問題に解決策を作っていくことは非現実的となるため、優先度をつけて絞っていき、提供者のみの視点や判断で進めないように注意することが基本となります。

6、クリエイティブブリーフを作成する  

今まで調査やまとめてきた概要、狙い、課題、問題などをどう取り組んでいくか計画していくため文書化していくことを指します。

7、ストーリーボード  

課題に対してどのようなサービスであればよいかという視点で利用者の理想体験を洗い出します。その後ストーリーボードという絵や写真で作成した一連の流れとしてまとめることで可視化し、その後不足しているものや誤っているものがあれば見直していくという繰り返しの作業です。

8、開発する  

上記でいままでまとめてきたものを基盤として設計、開発、評価を行います。まずプロトタイプ(未完成品)をつくりそれをフィードバックしてもらうことでさらなる改善をはかります。 このように分析、デザインと設計、プロトタイプ、評価という枠を大きく繰り返していくことがサービスデザインのプロセスといえます。

ペルソナとは

製品やサービスのメインターゲットとなるユーザーの価値観や年収、趣味などの詳細まで描写した人物像のことを指します。 ペルソナはそのサービスや製品の意思決定をする際の重要な軸となります。 プロジェクトを進めるにあたり、関係者が「誰に向けたサービスなのか」という共通の認識を持つことが必要不可欠であり、そのためにはペルソナが有益なのです。

カスタマージャーニーマップとは

ユーザーが製品またはサービスを購入、利用するまでの一連の行動や思考を視覚化したものをカスタマージャーニーマップと言います。 ユーザーと製品の接点から実際に購入するまでの流れを俯瞰できるため、ユーザーの潜在的なニーズをつかむことや、関係者の目線を合わせることが可能です。

ストーリーボードとは

ストーリーボードとはサービス(製品)によってユーザーがどのような体験をするのかをストーリーにして視覚化する表現技法です。基本的には1つの体験をイラストにして時系列で並べ、場面をフロー化し、そのフローステップごとにユーザーの感情を考えます。ユーザーが感じるサービスへの価値を視覚化することで、そのサービスへの理解や検討、評価がしやすく、顧客視点で考えることができます。

ステークホルダーマップとは

ステークホルダーマップとは、自社のサービスに影響を与える利害関係者との関係性を視覚化したものです。サービスに関わる人を視覚化することで、よりターゲットの理解が深まり、モノや情報、お金の流れが明確になります。また、リーチできていない人を発見したり、新規事業領域を探索することにも役立ちます。

サービスブループリントとは

サービスブループリントとは、ビジネスでUXのリソースを最適化するために、組織内のプロセスを視覚化するものです。顧客のアクション、フロントステージ、バックステージ、プロセスなどの要素によって構成されており、プロセスや人の動きがわかることにより、そのサービスの弱点を見つけたり、自動化できる工程を見つけることもできます。

サービスデザインを行うサービスデザイナーとは

サービスデザイナーとは、ユーザーが利用したくなるコンテンツやサービスそのものをデザインする仕事です。サービスデザイナーの代表的な仕事内容としては新しい事業・コンテンツ創出のためにクライアントにアイデアを提案したり、クライアントの問題を解決するためにアイデアや意見などをデザインによって視覚的にわかりやすく表現し、アイデア創出、事業実現が円滑に進むよう構造や環境を整えることもサービスデザイナーの業務になります。

サービスデザイナーに向いている人の特徴

ユーザーやクライアントが抱える課題を調査し、調査結果から課題の分析・整理、提案することが求められます。そのため、結果から課題を理解する論理的に物事を考える思考力と、0から物事を作っていくことに興味がある人が向いていると言えます。また、様々な人々と関わるため円滑に物事を進めるためのコミュニケーション能力と、よりよいコンテンツをユーザーに提供するという経営者視点でのマネジメントスキルも持ち合わせることが必要となります。

サービスデザイナーになるためには

サービスデザイナーは、クライアントやユーザーが抱える問題を解決するために調査、分析整理を行うことが必須であるためマーケティングの知識やUXデザインの手法理解が必要となります。また、様々な人々と関わるため円滑に物事を進めるためのコミュニケーション能力とそれぞれの人々の立場に立って物事を考えるための、多角的な視点を持つことも必須のスキルとなります。さらに、新たなサービス創出やアイデア提案を多くの人との関わりの中で、行っていくため、チーム単位やクライアントを想定したプロダクトやサービスの制作経験・実績が求められます。

まとめ

「サービスデザイナー」という職種や言葉をここ数年で耳にする機会も増えたのではないでしょうか。

今回の記事ではサービスデザインとは?といった内容から、その思考プロセスや方法論について紹介させていただきました。

サービスデザイナーとは、本記事で紹介させていただいたようにサービスや事象をデザインするのが仕事内容となります。UX(ユーザーエクスペリエンス)はサービスデザインを行う上で重要な知識になります。

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著者:デジタルハリウッド スクール 編集部