グラフィックデザインを独学で勉強するには?学ぶべきスキルや学習方法を解説

グラフィックデザインを独学で勉強するには?学ぶべきスキルや学習方法を解説

公開日:2023-12-08

グラフィックデザイナーは特別な資格が必要ないことから、独学で目指す人も多い職業です。実際に本やWebサイトなどでコツコツ勉強し、プロのグラフィックデザイナーとして仕事をしている人はたくさんいます。最近では、無料の動画サービスなども充実し、お金をかけずに学べる環境はますます整ってきています。

そこでこの記事では、グラフィックデザインを独学で学ぶためにおすすめの本や動画、独学のポイントをまとめました。たくさんの情報がオンライン上にあふれているこの時代ならではの学び方を、ぜひチェックしてみてください。

【目次】

グラフィックデザイナーとは?

雑誌の表紙や書籍の装丁、商品のパッケージ、ポスター、カタログ、看板など、さまざまなデザインを手掛けるグラフィックデザイナーは、主に広告制作会社やデザイン事務所、企業の広告宣伝部や商品開発部などで活躍しています。グラフィックデザイナーとして実績を積んだのちは、広告全体を指揮するアートディレクターへとステップアップする人もいれば、独立してフリーランスとして働く人もいます。

グラフィックデザイナーはものづくりが好きな人にとっては、その楽しさを存分に味わえる仕事です。自ら手掛けた作品が世の中に発信され、反響があればクライアントからも高い評価を受けますし、大きな達成感を得られます。

その他のデザインのジャンル

デザイナー、デザインと大きくみると、グラフィックデザイン・グラフィックデザイナー以外にもデザインには様々なジャンルがあります。

Webデザイン

デザインといえば、Webデザイン・Webデザイナーを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。「Webデザイナー」は、主にWebサイトの制作・Webサイトのデザインをします。デザインだけではなく、Webサイトの構成やレイアウト、配色を考え、画像、ボタン等のパーツも制作します。デザイン性に富むだけでなく、Webサイトの使いやすさ、分かりやすさを意識した機能的なデザインが求められます。

UIデザイン

Web制作に置けるUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)における設計や制作、見る人を惹きつけるグラフィック制作などを行います。

UIデザインは主にデジタル製品やソフトウェアのインターフェースをデザインすることに焦点を当てており、使いやすさと効果的な操作に重点が置かれています。

関連リンク:UIデザインとは


グラフィックデザイナーの学ぶべきスキル

まず必要なスキルとしては、Illustrator・Photoshopなどのデザインソフトを操作するスキルが挙げられます。
Illustratorはその名の通りイラストを描いたり、文字のレイアウトなどができるソフトです。Photoshopは写真加工や合成などに便利なソフトです。グラフィックデザイナーはほぼ100%こうしたソフトを使用してポスター、商品パッケージ、ロゴマーク等のデザインをしますので、基本操作は必ずマスターしておきましょう。

またツールを使えるだけではなく、デザインスキルも必須です。たとえば、新商品の広告ポスターをデザインするとします。見る人に商品の特徴や良さが伝わり、「買ってみようかな」と思わせるためには、写真やフォント、配色を考慮してレイアウトを構成するスキルが必要となります。

グラフィックデザインの独学のポイント

独学の場合、自分のペースで勉強することができる反面、専門学校やスクールに比べて習得に時間がかかりがちです。また、まわりの目がない分、スランプに陥ったり勉強を途中でやめてしまったりする可能性も。そうならないよう、あらかじめ独学のポイントを押さえておきましょう。

目的・目標を明確にする

独学でグラフィックデザイナーを目指すなら、最初に具体的な目的や目標を決めましょう。グラフィックデザインの学習範囲は非常にひろく、さまざまなスキルが要求されるため、ただ漠然と勉強していてもなかなか成長は見込めません。目指す姿が具体的であればあるほど、身につくスピードもアップするでしょう。「こんなグラフィックデザイナーになりたい」という目標でもいいですし、「オリジナルのTシャツをデザインしたい」といった目標でもOKです。

いつまでに達成するかを明確にする

目的・目標を明確にしたら、いつまでに達成するのかという具体的なスケジュールもあわせて決めましょう。たとえば、「半年後のライブに向け、バンドのポスターを制作できるようになる」といった具合です。具体的な日時があれば、計画的に勉強を進めることができるでしょうし、モチベーションも保ちやすくなります。まわりに目標や計画を話して、やるしかない状況に自分を追い込むのもおすすめです。

現状を正しく認識する

仕事としてグラフィックデザイナーを目指すなら、グラフィックデザイナーを取り巻く現状や需要、将来性などについてもよく知っておかなければなりません。最近の動向や求められるスキル、新しい技術などについても、調べておきましょう。

実際に手を動かす

水泳をマスターしたいとき、ハウツー本を読んでいるだけでは泳げるようにはなりません。グラフィックデザインも同じで、手を動かしてたくさんのデザインを作ってみることが何よりも大事です。まずは、自分がいいと思うデザインを見つけ、そのデザインのどこがいいのか、箇条書きで書き出してみましょう。次に、その要素をできるだけ取り入れながら、自分でも真似してフライヤーやロゴを作ってみましょう。最初はうまく作れなくてもかまいません。とにかく作品をたくさん作り、トライ&エラーを繰り返すことが、グラフィックデザイナーになる一番の近道です。

グラフィックデザイナーの独学方法

ここでは具体的な独学の手段として、本で勉強する方法と、動画で勉強する方法をご紹介します。

本で勉強する

まずは本で勉強する方法です。段階別におすすめの本を8冊紹介しますので、参考にしてみてください。

  1. 最初にデザイナーの心構えを学ぶ
  2. デザイナーになる前に読んでおきたいデザインの本
  3. デザインの基礎を学ぶ
  4. ソフトの操作方法を学ぶ
  5. 実践してみる
  6. より実践的なテクニックを学ぶ
  7. 配色アイデアを学ぶ
  8. センスのいいフォント使いをマスターする

1. 最初にデザイナーの心構えを学ぶ

[新版]デザイナーになる! 伝えるレイアウト・色・文字の大切な基本と生かし方
永井 弘人 (著)/単行本(ソフトカバー)144ページ/エムディエヌコーポレーション 2019/5/27

グラフィックデザイナーを目指す人が最初に読むべきおすすめの一冊。入門書にありがちな「初心者向けなのに専門用語が多くてわかりにくい……」は一切なし!デザイナーとしての心構えからデザインの基本知識までがやさしい表現でつづられています。グラフィックデザイナーになるにはどうすれば良いのか?がわかります。

<こんな人におすすめ>
・デザインとは?デザイナーとは?を最初に押さえておきたい人
・何から始めていいか分からない人

2. デザイナーになる前に読んでおきたいデザインの本

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]
Robin Williams (著)/単行本260ページ/マイナビ出版 2016/6/30

その名の通り、デザイナーではない人のためのデザイン指南書。20年以上読まれているザ・定番の一冊です。「悪い例」とそのデザインのなにがダメなのかを説いたあと、「良い例」に修正してくれます。読み進めるだけでデザインがぐっと良くなる「4つの基本原則」を、名刺・チラシ・パンフレッなどの具体例で理解できます。初心者のうちに読んでおきたい名著です。

<こんな人におすすめ>
・これからデザインを学ぶ初心者
・デザインの良し悪しが理由も含めてわかるようになりたい人

3. デザインの基礎を学ぶ

なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉
筒井 美希(著)/単行本 272ページ/エムディエヌコーポレーション 2015/7/31

デザインする上で必要な基礎、概念、ルール、プロセスが、図解やイラスト、写真などのビジュアルとともに丁寧すぎるほど丁寧に解説されている良書。Amazonの「グラフィック入門書」部門1位。未経験の方はもちろん、プロも復習に使うほど実践的な内容です。デザイナーに必須の「7つ道具」も必見です。

<こんな人におすすめ>
・楽しみながら頭の中を「デザイン的思考」に切り替えたい人
・実際のデザイナーがどんなふうにデザインをしているか、その裏側と思考を知りたい人

4. ソフトの操作方法を学ぶ

世界一わかりやすい Illustrator & Photoshop 操作とデザインの教科書 CC/CS6/CS5対応
ピクセルハウス (著)/大型本336ページ/技術評論社 2015/3/24

グラフィックデザイナー必須の「Illustrator」「Photoshop」の基本操作を1冊でマスターできる本。初心者向けのデザイン教科書としてはトップクラスのわかりやすさです。最初はよくわからなくても、「こんな機能があるのか」程度でいいので、一度ざっと通してみましょう。2つのソフトのデータ連携の仕方もわかります。

<こんな人におすすめ>
・Illustrator、Photoshopの基礎をきちんとマスターしたい人
・ソフトの使い方全般を俯瞰してまずはざっくりと学びたい人

5. 実践してみる

デザインの教室 手を動かして学ぶデザイントレーニング(CDROM付)
佐藤 好彦 (著)/大型本 160ページ/エムディエヌコーポレーション 2008/4/28

デザインの基本的なスキルを、実際に手を動かして体得できる画期的なトレーニングブック。課題の名刺やポストカードなどの作成に取り組めば、自然と画面構成やタイポグラフィー、カラーコーディネートなどの力がつきます。一見すると地味ですが、一冊を徹底的にやりきったあとには着実に実力が伸びていることを実感できます。

<こんな人におすすめ>
・実際に手を動かして実践力をつけたい人
・おろそかにしがちなデザイン情報設計の基本のキの部分を徹底的に強みにしたい人

6. より実践的なテクニックを学ぶ

要点で学ぶ、デザインの法則150 -Design Rule Index
William Lidwell,Kritina Holden,Jill Butler(著)/単行本320ページ/ビー・エヌ・エヌ新社 2015/10/16

実践的なテクニックと知識を学ぶならこの本。ページ左側にデザインの鉄則、右側に写真・画像例が掲載されており、要点がわかりやすく学べます。心理的なアプローチも多く、説得力のテクニックが満載。マーケティングなどで使われている法則をデザインに当てはめるなど、とにかく内容が濃く、デザイナー必携の一冊です。

<こんな人におすすめ>
・デザインの実践的なテクニックと知識を学びたい方
・説得力のあるデザイン力を身につけたい人

7. 配色アイデアを学ぶ

配色アイデア手帖 めくって見つける新しいデザインの本[完全保存版]
桜井 輝子 (著)/単行本304ページ/ SBクリエイティブ 2017/12/16

印象別、年代別、国別などテーマごとの配色見本が3000種類以上も掲載されている色の教科書。色によるイメージの違いと実際の使い方の解説は目から鱗!自分では思いもつかないような色の組み合わせにイメージ力が刺激され、悩むことなく目的に合った配色ができるように。色の数値も記載されているので、パソコンで色を出すのも便利です。

<こんな人におすすめ>
・配色技術を磨きたい人
・色のもつ力を自由自在に使いこなしたい人

8. センスのいいフォント使いをマスターする

ほんとに、フォント。 フォントを活かしたデザインレイアウトの本
ingectar-e (著)/単行本(ソフトカバー) 240ページ/ソシム 2019/2/2

新米デザイナーのNG例と先輩デザイナーのOK例を見比べながら、デザイン初心者が陥りがちなポイント、おしゃれなデザインに仕上げるためのフォント使いを伝授。フォントだけでここまでデザインが変わるのか!と驚きの内容です。勉強と意気込まなくても読みやすく、作例のデザインが洗練されている点もGood。初心者から次の段階へ進むためのヒントを得たい人はぜひ。

<こんな人におすすめ>
・結局どのフォントを使えばいいのかわからない人
・デザインをひと通り学んだが何となくデザインがあか抜けない人

動画で勉強する

動画は本に比べると実際の動作などがわかりやすいため、グラフィックデザインの勉強には最適。最近では、無料の動画サービスなども充実していますので使わない手はありません。早速、いくつかの動画サービスを紹介していきましょう。スマホを使えばすきま時間にデザインの勉強をすることができ、効率もアップしますよ。

Adobeラーニング

リアルや使い方のビデオを見ることができます。とくにIllustratorの操作方法についてはAdobeラーニングの「Learn Illustrator CS6」がわかりやすくておすすめです。

YouTube

YouTubeにはグラフィックデザインに必要なスキルやテクニック動画が数多くアップされています。おすすめの使い方は、参考書でわからないところが出てきたり、作品作りで行き詰ってしまったときに検索してみること。たとえば、「グラフィックデザイン 基礎」「Photoshop 背景透過」「Illustrator ロゴ 作り方」といった具合に検索すれば、詳しい解説付きの動画がずらりと出てきます。

オンライン講座の動画

専門のスクールなどが提供するオンライン講座の動画も質が高くておすすめです。自宅にいながら、Illustrator・Photoshop実習やデザイン概論、カラーやレイアウトの講義、実践まで系統立てて学べる点は魅力。別途料金がかかる場合もありますが、質問サポートや課題添削サービスなどが付くものもあります。

Pinterest

気になった画像やイラストを”ピン”という機能でクリップできる画像収集系SNS。動画ではありませんが、デザイン感度の高いユーザーが多いため、なんとなく眺めているだけでも確実にデザインの引き出しが広がります。お気に入りのデザインをクリップしたら、真似して作ってみるとデザインの勉強になりますよ。

グラフィックデザインの独学が難しそうなら、スクールがおすすめ!

グラフィックデザイナーを目指すのに独学はハードルが高いと感じた人は、グラフィックデザインの専門スクールに通うことも検討してみましょう。初心者の方におすすめなのは、デジタルハリウッドの「グラフィックデザイナー専攻」です。

「グラフィックデザイナー専攻」は、未経験から広告・デザイン事務所、Web 制作、印刷・出版業界への就職・転職を目指すコース。グラフィックソフトの操作はもちろん、デザインの基礎から実践まで、現役デザイナー講師がていねいに指導してくれます。必要となるグラフィックソフトも学生価格で購入可能。クリエイティブ業界への就職のカギを握る「ポートフォリオ」の指導も含まれており、就職・転職・フリーランスを目指す人へのサポート体制も万全です。

まとめ

ひと昔前はPhotoshopを個人で購入しようとすると約10万円もかかりました。独学のために画像編集ソフトを使ってみたいと思っても、なかなか手がでなかったのです。ところが2012年以降、CreativeCloudというサービスが始まり、各ソフトの最新版が月額なんと980円で使用できる時代になりました。独学でグラフィックデザイナーを目指したい人にとってはありがたい環境ですね。

独学で勉強をする際には、一緒に勉強できる仲間を見つけたり、SNSなどに自分の勉強の成果や作品をアップしたりすることをおすすめします。そうすればモチベーションを保ちながら楽しく学ぶことができます。自分一人だけでなく、人に見せることを前提に作品作りをすれば適度なプレッシャーも加わり、成長スピードも加速!また、多くの人に自分のデザインを見てもらうことで世間の評価もわかります。自分では自信がなくても、自分の作風を気に入ってくれて仕事を依頼してくれる人も出てくるかもしれません。

独学する自信がない方は、専門のスクールや学校に通うといいでしょう。または間をとって、専門スクールが提供するオンライン講座を利用して自宅で学ぶという手もあります。ぜひ自分に合った方法を見つけて、未来のグラフィックデザイナーを目指してみてください。

著者:デジタルハリウッド スクール 編集部