グラフィックデザイナーの将来性|AI時代に求められるスキル
公開日:2023-07-01(更新日:2026-09-15)
いまグラフィックデザイナーを取り巻く環境は大きく変化しています。紙媒体からWebへのシフトに加え、近年は生成AI・AIデザインツールの普及が業界に新たな変化をもたらしています。グラフィックデザイナーを目指す人も、すでに活躍している人も、現状と将来性についてしっかりと把握しておく必要があるでしょう。本記事では、グラフィックデザイナーの仕事の現状と今後の需要、AI時代に求められるスキルについて解説していきます。
グラフィックデザイナーを取り巻く環境の現状
グラフィックデザイナーは雑誌や書籍、ポスターや看板など、出版や広告における視覚的なデザインを担当する仕事です。その出版業界は、雑誌や書籍の売り上げが低迷するとともに、発行部数自体が減少傾向にあります。また、なかなか「物が売れない」時代の中、各企業は広告宣伝費削減を余儀なくされています。
このような状況の中、紙媒体や広告制作を中心に仕事をしてきたグラフィックデザイナーは、キャリアプランの変更などなんらかの対応を迫られています。
とはいえ、これから先も紙媒体は一定の規模で残り続けます。またあらゆる分野においてグラフィックの需要がなくなることはありません。とくに、インターネット市場が拡大する中、Webにおけるグラフィック表現やネット広告などの需要は伸び続けています。現在の状況を新たなチャンスととらえ対応していけるかどうかが、今後長く活躍し続けるグラフィックデザイナーになるための分かれ道となるかもしれません。
今後のグラフィックデザイナーの需要
企業の広告宣伝は、従来のテレビや雑誌などの媒体から、企業サイトやSNSなどのインターネット上のWeb広告へとシフトしてきています。すでにグラフィックデザイナーとして働いている人も、Web関係の仕事を依頼されることが増えてきているようです。こうした状況は、実はグラフィックデザイナーにとって有利な面もあります。なぜなら、デザインの基礎やグラフィックソフトの扱い方など、グラフィックデザインとWebデザインには共通する項目も多いことから、グラフィックデザイナーはWebマーケティングスキルなどのピンポイントの知識をプラスするだけで、すぐに活躍シーンを広げられるからです。
そもそも、大きなキャンペーンや広告展開の場合、商品パッケージやポスター等の印刷物のデザインと、Webのデザインや企画を連動させることも多いため、Webマーケティングスキルをもったグラフィックデザイナーは活躍できる傾向にあります。こうした手法はメディアミックスとよばれ、今後もますます進むものと考えられます。同じグラフィックデザイナーでもWeb関連の知識が豊富な方が重宝されやすく、今後も需要は高まっていくでしょう。
グラフィックデザイナーの将来性
Web分野におけるグラフィックデザイナーの需要が見込まれるだけでなく、映像やゲーム業界などにおいても、高いグラフィック表現ができるデザイナーは常に求められています。また、ビジネスの現場においてデザインやクリエイティブの重要性が注目されており、デザイナーやクリエイターといった専門職の採用を積極的に行う一般企業も増えてきています。デザインが必要とされる仕事の幅はますます広がり、領域が曖昧になってきていることから、今後はよりこうした時代の変化に対応し、マルチな活躍ができるグラフィックデザイナーの将来性が広がっていくものと考えられます。
同時に、グラフィックデザイナーの働き方も変わりつつあります。これまでグラフィックデザインの仕事は都心に集中していましたが、デバイスやネット環境、クラウドソーシングサービスの発展などにより、クリエイティブ業界全体のリモート化がすすみ、地方や在宅でもグラフィックデザイナーとして働けるようになってきています。今後、正社員や会社勤めにこだわらなければ、フリーランスや副業として自分の仕事と掛け持ちができる雇用形態での求人も増える可能性があります。
生成AI・AIデザインツールの普及とグラフィックデザイナーへの影響
グラフィックデザイナーの将来性を考える上で、近年欠かせないテーマになっているのが生成AI・AIデザインツールの存在です。
Adobe社のPhotoshopやIllustratorといった、グラフィックデザイナーが日常的に使用するソフトウェアには、生成塗りつぶしや生成拡張、ベクター生成、生成再配色といった生成AI機能がすでに統合されています。Adobe Fireflyという独自の生成AIモデルから生成されたコンテンツは商用利用が可能とされており、ライセンス取得済みのコンテンツやパブリックドメインのコンテンツを学習に用いていることが公式に明示されています(2026年9月時点、Adobe公式サイトで確認)。なお、Photoshopのベータ版機能で生成したコンテンツは商用利用の対象外とされているなど、機能や利用環境によって条件が異なる場合があるため、実務で使う際は都度確認しておくと安心です。
また、Canvaが提供するAI画像生成機能についても、利用規約に従う範囲で個人利用・商業利用の両方が認められているとされています(2026年9月時点、Canva公式サイトで確認)。ただし、生成した画像を商業的なプロジェクトに使用する場合、その画像に対する独占的な権利は持たない(他のユーザーも同じ画像を使用できる可能性がある)という注意点も示されているため、実務で使う際には利用規約を確認しておくことが望ましいでしょう。
こうした生成AI機能は、あくまでデザイナーの作業を補助するツールという位置づけです。「AIによって仕事が奪われるのではないか」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、現時点で確認できる範囲では、AIはアイデア出しや作業時間の短縮を助ける存在として活用されている場面が多いようです。むしろ、こうしたAIツールを使いこなせるかどうかが、今後のグラフィックデザイナーにとって新たな付加価値の一つになっていくと考えられます。
AI時代に将来性あるグラフィックデザイナーになるためには
指示された内容通りのデザインしか作れないグラフィックデザイナーには、今後厳しい状況が予測されます。では、そうならないよう付加価値を高めるにはどうすればいいのでしょうか。
ディレクション能力を高め、数字を出せるようにする
未来のグラフィックデザイナーの成功パターンは、数値的に明確な結果を打ち出せるグラフィックデザイナーです。商品の売上が何パーセント上がった、リピーターの獲得率が何パーセント伸びたなど、クライアントの利益を数字で明確に示すことができるグラフィックデザイナーには仕事が集中していくでしょう。これからのグラフィックデザイナーには卓越したデザインスキルとともに、市場を分析する力や解析ノウハウなども求められていくと考えられます。分析・解析ツールを使いこなし、数字を見ながら最適なデザイン設計や企画を打ち出せるグラフィックデザイナーを目指し、力をつけましょう。Webのマーケティングスキルを合わせることができれば、より強力な強みとなります。
また、ヒアリングやディレクション、コンサルティング能力を伸ばすことができれば、事業戦略や経営などにも携われるようになる可能性もあります。デザイン思考を持ったバランスの取れたビジネスパーソンとして、安定した将来が描けるでしょう。
AIデザインツールを使いこなす
前章で紹介したような生成AI機能を実務に取り入れることも、これからのグラフィックデザイナーにとって重要な付加価値の一つです。アイデア出しの段階でAIを活用して発想の幅を広げたり、単純な作業をAIに任せて自分にしかできない仕上げの部分に時間を使ったりと、AIとの上手な役割分担ができるデザイナーは、今後さらに重宝されていく可能性があります。ただし、AIが生成したものをそのまま使うのではなく、クライアントの要望や表現の意図を汲み取りながら仕上げていく人間ならではの判断力は、引き続き重要なスキルであり続けるでしょう。
デザイン以外の付加価値をつける
「個の時代」がすすむこれからの時代、個人力を磨いておくことは必要不可欠です。グラフィックデザイナーも例外ではなく、デザイン以外にもなんらかの付加価値が必要です。それは自らの得意分野というふうにも言い換えられるかもしれません。
たとえば英語が得意な人であれば海外向けのデザインを任されることもあるでしょう。プログラミングができればアプリの開発も同時に依頼されるかもしれません。「グラフィックデザイン×英語」「グラフィックデザイン×プログラミング」「グラフィックデザイン×AIデザインツール活用」「グラフィックデザイン×マネジメントスキル」など専門性をかけ算していくことで、グラフィックデザイナーとしての希少価値は高まりますし、可能性は無限に広がります。これまでの常識にとらわれない多面的なスキルを提供できれば、オンリーワンのグラフィックデザイナーとして活躍し続ける可能性は高くなるでしょう。
こうしたスキルは、グラフィックデザイン系講座の詳細のように体系的に学べる環境で身につけていくのも一つの方法です。
まとめ
海外の大学ではダブルメジャーという仕組みがスタンダードとなっています。学生は1つめの専攻に自分の学びたい分野を選択し、もう1つの専攻として仕事に直結しそうなITやビジネス科目を組み合わせて学ぶことができます。「近い将来、1つの専門性では勝負できない高度な時代がくる」と予測されている中、ダブルメジャーは卒業後のキャリアの可能性を広げるのに役立っています。
時代の流れとともに、グラフィックデザイナーを取り巻く環境は少しずつ変化しています。生成AIの登場もその変化の一つですが、この状況はグラフィックデザイナーに限った話ではありません。テクノロジーが急激な進化を遂げるこの時代において、どのような仕事も将来性が保証されているわけではないということを心しておく必要があるでしょう。AIを敵視するのではなく、うまく付き合いながら自分にしかできない価値を高めていくことが、これからのグラフィックデザイナーに求められる姿勢といえそうです。
AI時代に通用するデザインスキルを身につけるなら
AIツールが普及する時代だからこそ、デザインの基礎力とAIを使いこなす力の両方が求められています。デジタルハリウッドでは、未経験からでもグラフィックデザインの実務スキルを体系的に学べる環境が整っています。
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この記事のポイント
- グラフィックデザイナーを取り巻く環境は紙媒体からWebへとシフトしており、メディアミックスの需要が高まっている
- Web・映像・ゲーム業界など、グラフィック表現が求められる場は今後も広がると考えられる
- Photoshop・IllustratorやCanvaには生成AI機能が統合されており、商用利用が可能とされている
- AIに仕事を奪われると不安になるより、AIを使いこなすスキルを新たな付加価値にする視点が重要
- ディレクション能力やAIツール活用力、英語・プログラミングなど専門性の掛け算が将来性を高める鍵になる
AI時代の変化を前向きに捉え、自分にしかできない価値を磨いていきましょう。
デジタルハリウッド 編集部
グラフィックデザイナー・グラフィックデザイン業界のキャリア形成に役立つ情報を発信。生成AI・AIデザインツールの普及を踏まえたグラフィックデザイナーの将来性や必要スキルについて、専門スクール運営で培った知見をもとに解説しています。
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