公開日:2023-07-01
グラフィックデザイナーの年収・給料は?
年収を上げる方法をご紹介
「給料よりやりがい重視」 とはいえ、生きていくためにはお金のことも気になるのが人情というもの。
現在グラフィックデザイナーとして働いている人は、まわりのデザイナーの給料がいくらなのかと考えたことはありませんか?
また、これからグラフィックデザイナーを目指すという人にとっても「実際いくら稼げるのか?」は、やはり気になるポイントですよね。
このページでは、グラフィックデザイナーの実際の年収と、給料を上げるための具体的な方法をまとめました。会社員だけでなく、フリーランスのグラフィックデザイナーについての情報も掲載しています。
現役グラフィックデザイナーの方も、未来のグラフィックデザイナーの方も、今後のキャリアプランの参考にしてみてください。
グラフィックデザイナーの給料、年収は?
グラフィックデザイナーとひと口にいっても、働き方や働く場所によって年収は違ってきます。
ここでは会社員とフリーランス、年代別の年収など、グラフィックデザイナーの収入データを詳しく見ていきましょう。
グラフィックデザイナーの平均年収は?
詳しいデータは後述しますが、グラフィックデザイナー全体の平均年収はおよそ400万円前後のようです。この数字は企業の規模や業種によっても異なります。また、フリーランスのグラフィックデザイナーの年収も経験や実績によってさまざまなようです。
会社で働くグラフィックデザイナーの年収、給料は?
転職・求人サイトDODAが調査した「平均年収ランキング2019」によると、会社員のグラフィックデザイナーの平均年収は335万円。クリエイティブ職種全体の平均年収が377万円であることを考えると、グラフィックデザイナーの年収はやや低めとなっています。
ちなみに、クリエイティブ職種の中で比較的年収が高額なのは、「クリエイティブディレクター/アートディレクター」465万円、「Webプロデューサー/ディレクター」446万円など。デザイナーからキャリアアップし、マネジメント等を行う管理職・責任者ポジションになるとやはり収入は目に見えてアップするようです。
グラフィックデザイナーの年収は、勤め先の会社の規模によっても差があります。厚生労働省が2019年に公開した賃金構造基本統計調査を参考に算出したところ、
- 社員数100人未満 平均年収407.1万円
- 社員数1,000人未満 平均年収402.8万円
- 社員数1,000人以上 平均年収512.1万円
という結果となりました。(※統計データはデザイナー全体の平均年収)
中小企業の場合は400万円前後とあまり差がありませんが、従業員1,000人以上の大企業になると年収が大きく伸びていることがわかります。これは毎月の給料が増えるだけでなく、ボーナスなどの特別給与の支給額が大きく影響しています。社員数100人未満の企業で働くデザイナーの年間賞与が41.7万円に対し、社員数1,000人以上の企業で働くデザイナーの年間賞与は88.1万円と倍以上です。
また、大手広告代理店などには年収1,000万円を越えるやり手のグラフィックデザイナーも存在することから、こうした人が平均年収をグッと押し上げている可能性も考えられます。
フリーランスや在宅のグラフィックデザイナーの年収、給料は?
次は、フリーランスのグラフィックデザイナーの年収を見てみましょう。
グラフィックデザイナーのみを対象とした統計データではありませんが、「フリーランス白書 2019」によると、IT・エンジニア系フリーランス(Web/グラフィックデザイナー、エンジニア)の年収は「200~400万」21.2%、「400~600万円」22.2%、「600~800万」18.7%で、400~600万円がもっとも高い割合を占めています。
全体的にみると、依頼されたものを形にするだけでなく、UXデザインやコピーライティングなどのプラスαのスキルがあれば報酬もアップする傾向にあります。また、うまくスケジュールを調整して複数の案件を掛け持ちすることができれば、年収1,000万円超えも夢ではありません。実際に、「フリーランス白書 2019」によると、IT・エンジニア系フリーランスの約10人に1人が年収1,000万万円以上を達成しています。
このように、独立してフリーランスになれば、労働時間は同じでも、会社勤めをしていたときよりも多く報酬を得られる場合があります。ただし、フリーランスは、諸経費に加えて年金や健康保険も全額自己負担しなければなりません。そのため、同じ年収の会社員よりも手取りは少なくなってしまいますので、注意が必要です。
年代別のグラフィックデザイナーの平均年収
年代別にみるグラフィックデザイナーの平均年収データは次の通りです。
- 20代 296万円
- 30代 356万円
- 40代 389万円
- 50代~ 414万円
20代では300万円に届かず、30代でもあまり増えていません。
とくにグラフィックデザイナーとしての実務経験がない若年層の場合、アシスタントとしての修行を兼ねた採用形態も多く、給料は一般的な会社員より少なめとなっています。
また、一般的な職種にあるような、年齢に応じた収入の大幅な伸びが見られないことも特徴です。この理由として、グラフィックデザイナーに限らず、クリエイティブ系の職種全体において勤続年数と昇給が比例した仕組みになっていないことが挙げられます。年齢を重ねていけば自動的に年収が上がるのではなく、実力や経験がものをいう職業といえます。
参考:平均年収ランキング 最新版(167職種の平均年収/生涯賃金)2020年1月20日公開|転職・求人DODA(デューダ)
参考:平成30年度 賃金構造基本統計調査,2019年3月29日公開|e-Stat 政府統計の総合窓口
参考:フリーランス白書 2019, 2019年3月6日公開 |一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
グラフィックデザイナーの年収・給料を上げる方法
ここまでのデータから、同じグラフィックデザイナーでも企業規模で年収が大きく変わることや、年齢に応じた昇給がむずかしい職種であることがわかりました。逆にいえば、若くても実力次第では高給取りを目指せる職業ともいえるでしょう。
では、グラフィックデザイナーとして効率的に年収をアップさせるにはどうしたらよいのでしょうか?
グラフィックデザイナーの収入を上げる具体的な方法として、以下の4つの方法が挙げられます。
- スキルアップを図る
- キャリアアップを目指す
- フリーランスとして独立する
- 副業する
一つひとつ解説していきます。
スキルアップを図る
実力主義のクリエイティブ業界において年収を上げるには、何を差し置いてもスキルを上げることが先決。デザインスキルを磨くとともに、時代に合った新しいデザインの在り方にも目を向けましょう。
UXデザイン・デザイン思考等、新しいデザインのフレームワークを身につける
UXとは、User Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、日本語では「ユーザー体験」と訳されます。モノがあふれる現代において、消費者は商品・サービスを通して得られる「体験」を重視して商品・サービスにお金を払うようになってきました。これまで以上にユーザー視点に立ったものづくりが求められており、ユーザー体験をデザインする「UXデザイン」はこれからのデザイナーにとって必須のスキルです。すでに海外では、グラフィック系のデザイナーよりUXデザイナーのほうが圧倒的に高給取りといわれています。
また、デザイナーがデザイン業務で使うデザイン思考のプロセスを活用できれば、クライアントがもつビジネス上の課題とユーザーの抱える課題をまとめて解決できる、希少価値の高いグラフィックデザイナーを目指すことができるでしょう。
コピーライターの知識を身につける
コピーとは広告における文章のことです。キャッチコピーともよばれます。
テレビCMなどで繰り返される商品のキャッチコピーが耳に残り、つい口ずさんでしまうという経験をもつ人も多いのではないでしょうか。コピーは商品や企業のイメージアップにも大きく貢献するとともに、グラフィックデザインには欠かせない要素でもあります。
このコピーライターの知識やスキルをグラフィックデザイナーが身につけることができれば、クライアントとしてはデザインとコピーの両方を任せることができる人材として重宝されます。もちろん、デザインに加えコピーの分を上乗せした報酬を得ることができます。「コピーライターに頼んだコピーがイマイチで使えない……」ということもなくなるため、デザインとコピーが完全に連動した、質の高いものづくりができるという強みもあります。
キャリアアップを図る
グラフィックデザイナーとしての経験と実績を積み重ねれば、チーフデザイナーやアートディレクターとしてステップアップする道も見えてきます。また、より格上の企業や大企業への転職も、年収アップには有効です。
チーフデザイナーを目指す
チーフデザイナーとは、デザイナーを束ねるリーダーです。ディレクターからの指示を各デザイナーに伝えたり、デザインの進捗管理などを行います。チーフデザイナーのポジションに就くには、グラフィックデザイナーとしての経験を積み、実力をつけることが必須。一般的には5~6年程度のキャリアが必要な場合が多いようです。
アートディレクターを目指す
アートディレクターとは、プロジェクト全体の指揮をとる責任者です。案件ごとにデザイナー、コピーライター、カメラマンなどを含めたチームを統括します。スケジュール管理や納期の調整、クライアントとの制作費の交渉やコスト管理はもちろん、制作物のクオリティを担保するのもアートディレクターの重要な役割です。そのため、デザインのスキルはもちろん、豊富な制作経験とマネジメント力、高いコミュニケーション能力が求められます。アートディレクターは、グラフィックデザイナーとして十分なキャリアを積むことが必要です。概ね7~10年程度のキャリアが必要な場合が多いようです。
転職する
より大きな広告代理店や制作会社へ転職することで、大幅な収入アップを狙うのもひとつの方法です。
また、一般企業のインハウスデザイナーを目指す手もあります。インハウスデザイナーは企業の広告宣伝部や商品開発部などに所属して、自社製品やサービスなどのデザインを行います。インハウスデザイナーを募集している企業は比較的大企業が多く、待遇面も良い傾向があります。
フリーランスとして独立する
フリーランスは会社員と異なり、自身のスキルがそのまま収入に直結します。そのため、努力次第で年収が伸びやすく、大きなやりがいがあります。さらにプランニングやディレクションにも精通してくると、通常のデザインワーク以外に企画費やディレクション費の収入も見込めます。独立しフリーランスとして実績を積んでいくと、グラフィックデザイナーとしてはもちろん、アートディレクターやクリエイティブディレクターとして大手企業の広告制作プロジェクトメンバーに指名されることもあります
副業する
最近では、企業と個人がオンライン上で直接受発注できる「クラウドソーシングサービス」が充実しています。グラフィックデザインの案件も数多く募集されてますので、本業で身につけたスキルを副業でアウトプットすることも可能です。また、知り合いからの依頼でデザインの仕事を受けることもできます。デザインの需要は意外と身のまわりにも多くありますので、企業に勤めながらグラフィックデザイナーとして副業をすることができれば、本業収入と合わせた年収アップが見込めます。
このように、グラフィックデザイナーは自分のスキルと経験次第でキャリアアップと年収アップが目指せる仕事といえるでしょう。
まとめ
グラフィックデザイナーは作品を仕上げ、世の中から評価されたときに大きな達成感を味わえる仕事です。そして、自身のスキルやまわりの評価が収入に直結するという、クリエイティブ職ならではの醍醐味もあります。
今回はグラフィックデザイナーとして年収をアップさせる具体的な方法をご紹介しましたが、どの方法を目指すにせよ、グラフィックデザイナーとしてのスキルを磨き続けることは欠かせません。クリエイティブをめぐる環境や技術は日進月歩であり、数年後にはどんなメディアやデバイスが主流になっているのかは予測不可能ですが、少なくともデザインの基礎がしっかりとできていて、つねに学び続ける姿勢があれば、どんなに世の中が変わっても柔軟に対応できるデザイナーになれるはずです。遠回りのようですが、これこそが年収アップの近道かもしれません。
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