3DCGがメタバースに活かされている?仮想空間との違いや実用化事例などを一挙紹介

メタバースは、ただの仮想空間ではない?

メタバースは、「インターネット上の仮想空間である」と言われることもあります。この考えは間違いではないのですが、メタバースは単なる仮想空間を指す言葉ではありません。

というのも、メタバースはVR(仮想現実)、AR(拡張現実)といった技術もメタバースの一部です。メタバースが構築されると一時的ではない場が提供され、仮想空間の中にコミュニケーションが発生します。

メタバースと仮想空間との違い

メタバースとは、一言でいうと「3次元の仮想空間」のことです。

ただし、ここで重要になってくるのは、メタバースはただの仮想空間ではないという点です。メタバースは、仮想空間の中で様々な体験をしながら現実世界のように他者とのコミュニケーションが発生します。

メタバースの登場によって、普段過ごしているような生活をメタバース内で過ごすことができるようになったり、現実世界では体験できないような理想の世界を創造しその中で過ごすことができるようになったりします。

メタバース内では、自分自身をアバターとして操作することで、世界中の人と会話をしたり、学校で学んだり、コンサートなどのイベントに参加するといった体験を行うことが可能です。

メタバースと既存の技術との違い

メタバースという言葉が一般的に使用されるようになる前からメタバースに似たような技術は存在していました。実は、メタバースは新しい概念ではなく既に存在していた技術や機能をさらに発展させたものです。

既存の技術とはどのようなものを指すかというと、ゲームやSNS(アバターコミュニティ)で使われている技術です。MMO RPGやFPSタイプのゲームでは、仮想空間の中で他のプレイヤーとチャットなどで会話をし協力しながら戦うことがあります。ゲーム上ではメッセージやチャットのやり取りやアイテムの交換、他のプレイヤーの空間への訪問などゲームを行うにあたって限られた行動やコミュニケーションであるのに対し、メタバース内では、より自由度が高く、現実世界に近いコミュニケーションができるようになります。

既存の3DCGの技術はメタバースで活かされる

メタバースにおいて、3DCGの技術がかなり活用されています。メタバース内の背景やアバター作成は、主に3DCGで作られています。3DCGは、ゲームや映画、アニメなど様々なジャンルで活用されていますが、こういった3DCG技術はそのままメタバースでも活用されています。


今回は、メタバースにおいて、モデリングができる代表的なソフトを3つご紹介します。

■Maya

Mayaは、Autodesk社の代表的な製品の1つであり、映画、CM、ゲームなどあらゆる3DCG制作工程にて導入されているハイエンドソフトウェアです。

CG業界においては、現在最も使われている3DCGソフトの一つです。モデリング・アニメーション・シミュレーション・レンダリングなど3DCG制作に必要なすべての機能が備わっています。また、ソフトは日本語対応もしており、カスタマーサポートも充実しています。

関連記事:Mayaとは

■3ds Max

3ds Maxとは、Autodesk社製品であり、主要3DCG制作ソフトです。Mayaと同じく3DCG制作に必要な機能は備わっています。Mayaと比べプラグインが充実している点が良い点です。プラグインを追加することでプログラミングの知識がなくとも機能を追加することが可能です。アニメーション系のプラグインが豊富なことからアニメ業界で使用されることも多いソフトです。

関連記事:3ds Maxとは

■Blender

Blenderとは、「Blender Foundation(ブレンダー・ファウンデーション)」というオランダの非営利団体が主要開発元で、オープンソースの無償で提供されている3DCGソフトです。Mayaや3ds Maxは有料ソフトですが、Blenderは無料で利用が可能です。Blenderも、3DCG制作に必要なあらゆる機能が備わっています。

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メタバースの実用化事例1:バーチャルイベント

最近では、メタバースでバーチャルイベントを実施する企業やアーティストなどが増えています。

例えば、アーティストが開催するバーチャルイベントでは、ライブを観たり、ライブに参加したファン同士でコミュニケーションを取ったりすることができるなど、まるで現地の会場にいるような感覚でイベントを楽しむことができます。メタバース内では、より自由度の高いコンテンツを紹介することができるようになってきているため、アーティストだけではなく、企業がバーチャルイベントを開催することも増えてきています。

メタバースの実用化事例2:バーチャルシティ

バーチャルシティとして代表的な実用化事例でいうと「バーチャル渋谷」があげられます。

バーチャル渋谷とは、KDDI株式会社、一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光協会が中心となり、「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」が企画運営する2020年5月にオープンした渋谷区公認のプラットフォームです。

まるで現実の渋谷にいるようなバーチャル空間の中で、実際に渋谷に展示されているアート作品などを見ることができる展示会に参加できたり、イベント等に参加したりすることができます。


バーチャルイベント/バーチャルシティのメリット・デメリット

バーチャルイベント/バーチャルシティのメリットをいくつか紹介します。


・人数や天候の制限なくイベント開催ができる

リアルでの開催とは異なりメタバース内でのバーチャルイベントは、人数制限を行う必要がありません。また、大雨や台風や強風といった天候に左右されずに開催をすることができます。


・ユーザーにメタバースならではの自由な体験をしてもらうことができる

ユーザーに非日常的な体験を届けることが可能です。ユーザー同士の交流ができる点を活かしアトラクションを体験してもらったり、遠方のユーザーと一緒に参加してもらい同じ空間を楽しんでもらったりすることが可能です。


・開催コストを抑え、開催頻度を上げることが可能

バーチャルイベントの場合、会場を抑える必要がありません。そのためリアルで開催するイベントよりも開催コストを抑えることができる場合があります。コスト削減によりイベント開催の頻度が増えれば、イベントでユーザーとの接点も増やすことが可能です。


・新たなビジネスのチャンスのきっかけになる可能性

バーチャルイベントやバーチャルシティ内でイベントや展示を開催することにより今までになかったビジネスチャンスをつくるチャンスになります。入場券やメタバース内だけでのコンテンツの販売など新たな収益の軸を作ることにもつながります。

一方、バーチャルイベント/バーチャルシティのデメリットは以下のようなものがあげられます。


・臨場感の減少

リアルで開催するよりも臨場感が劣る場合があります。例えば、メタバース内では、飲食や手に取って商品を触るといった体験はまだ出来ません。


・参加者に安定したネット環境を準備してもらう必要がある

バーチャルイベントは、基本的にユーザーはPCもしくはスマホからサイトにアクセスしてもらうことで参加が成り立ちます。そこでユーザーには安定したインターネット環境を事前に準備してもらうことが必要になります。

メタバースの実用化事例3:ビジネスでの活用

メタバースは、ビジネスでの活用も進み始めています。

実用化事例ですと、バーチャルストアを作成しEC活用や社員研修、展示会の実施などがあげられます。

展示会事例としては、2022年5月に、日産自動車がメタバース上で新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表・試乗会を実施しています。イベントは参加者は世界最大のVR上のメタバースSNSプラットフォーム「VRChat」で参加をし、アバターで試乗をしたり後部座席に座ったりなどの体験ができたそうです。


ビジネスで活用するメリット・デメリット

ビジネスでの活用メリットとしては以下があげられます。


・議論に参加しやすくなる

リモート会議はコロナ禍で進んだ会議方法の一つではありますが、基本的には映像と音声がメインの会議になります。また、リモート会議では、資料や画面の共有など共有資料は限られます。メタバース空間で会議ができることで、より共有できるコンテンツや事項を増やし、まるで対面で話しているかのようにアバターを通して議論を行うことが可能です。


・オフィスを構える必要がなくなりコスト削減につながる

アバターが出社し仕事ができるようになりすべてがメタバース内で完結できるようになれば、オフィスを構える必要がなくなります。固定費としてかかる家賃や光熱費等の削減につながります。


・ブランドの世界観が表現しやすい

例えば、バーチャルストアを作ってEC活用を行った場合、バーチャル上での店舗空間をブランドの世界観を崩すことなく3DCGで作成しオンラインで接客ができる状態にすることができます。


一方で、バーチャルイベント/バーチャルシティのデメリットであげたように、臨場感の減少や参加者に安定したネット環境を準備してもらう必要があるといった点は同様に考えられます。また、メタバース内でイベントを主催する際は、主催側も操作やユーザーへの案内方法を理解しオペレーションを行う必要があり、ある程度、専門性が求められます。

3DCGを本格的に学ぶなら“デジタルハリウッド専門スクール”

メタバースに、3DCGの技術は欠かせません。メタバースの空間作り、アバターは3DCGで制作されます。今後メタバースはより広がりを見せる市場になるでしょう。そういった需要の拡大に伴い、3DCGクリエイターの需要も高まると考えられます。

未経験からCGクリエイターになりたい、社会人で別の仕事をしているがCG業界への転職を考えている、大学生でWスクールしながらCG業界への就職を叶えたいといった希望をお持ちの方には、デジタルハリウッド専門スクールの受講がおすすめです。

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まとめ

今回の記事でメタバースは単なる仮想空間ではなく、コミュニケーションを取ることを主体とした社会性を持った仮想空間を指すことをご理解いただけたでしょうか。

3DCGは、メタバースを構成しており切っても切れない存在です。今後、メタバースの需要が高まるにつれ3DCGのスキルを持つクリエイターもより求められる存在になる可能性があります。

これから3DCGのスキルを身につけたい方は、ぜひデジタルハリウッド専門スクールをご検討ください。

著者:デジタルハリウッド スクール 編集部