
公開日:2025-03-24
無料で使えるオープンソースである「Blender(ブレンダー)」は、3DCGの学習をはじめる人に人気です。最近ではプロも使用するようになったり、最近ではBlenderで作られたアニメ映画が公開されるなど話題になっています。今回はBlenderについてご説明します。
Blenderとは?どんなソフト?
「Blender(ブレンダー)」とは、「Blender Foundation(ブレンダー・ファウンデーション)」というオランダの非営利団体が主要開発元で、オープンソースの無償で提供されている3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)ソフトウェアです。Blenderのプロジェクトには専門家や科学者、学生、ゲームアーティストやVFXエキスパートなど多くの人が世界中から参加しています。初版は1998年にリリースされました。
操作方法が特殊で機能も多いため、初心者には向いていないと言われた時代もありました。ですが現在は操作方法は一貫され日本語にも対応し、ここ近年のソフトウェアとしての完成度の向上は著しいです。
さらにマルチプラットフォームが前提となっており、「Windows(ウィンドウズ)」「Linux(リナックス)」「MacOS(マックオーエス)」「UNIX(ユニックス(Solaris、IRIX))」版も提供されています。
Blenderの主な機能・特徴
Blenderは「モデリング」「ライティング」「テクスチャマッピング」「アニメーション」「モーショントラッキング」「リギング」「レンダリング」「物理シミュレーション」「動画編集」「ゲーム作成」「合成」など、このほかにも多数の機能があります。
3Dモデリング
ポリゴンモデリング(押し出し、ベベル、ブーリアン演算など)
スカルプト機能(デジタル粘土のように自由に形を作れる)
プロシージャルモデリング(ジオメトリノードで非破壊編集)
UV展開(テクスチャを適用するための展開機能)
アニメーション & リギング
リギング(ボーンを設定してキャラクターを動かす)
IK(インバースキネマティクス)対応
キーフレームアニメーション
モーションキャプチャデータの活用
ジオメトリノードによるプロシージャルアニメーション
レンダリング
Cycles(サイクルズ):高品質なパストレーシングレンダリングエンジン
Eevee(イーヴィー):リアルタイムレンダリングエンジン(ゲームやアニメ向け)
ワークベンチ:作業用の軽量なレンダリング
GPU & CPUレンダリング:NVIDIA、AMD、Apple Mシリーズなどに対応
トゥーンレンダリング(セルルック):「Shader to RGB」+「ColorRamp」 でアニメ風の影を表現
したり「Freestyle」 機能で輪郭線を描画したりEevee を使えばリアルタイムでアニメ調のプレビューが可能です
マテリアル & テクスチャ
ノードベースのシェーダーエディター(視覚的にマテリアルを調整)
PBR(物理ベースレンダリング)対応
サブスタンスペインターとの連携
プロシージャルテクスチャ生成
VFX(ビジュアルエフェクト)
モーショントラッキング(実写映像と3Dを合成)
コンポジット機能(ノードベースで映像編集)
ダイナミクスシミュレーション(流体、煙、火、クロス、剛体、ソフトボディ)
ボリューメトリックレンダリング(霧や雲などの表現)
動画編集
動画編集機能(VSE:Video Sequence Editor)
基本的なカット・トランジション・エフェクト
カラー補正、クロマキー合成
オーディオ編集
Blenderでできること・作れるものと操作方法
Blenderは非常に機能が豊富です。覚えてしまえばなんでも作れると言っても過言ではありません。リアリティのあるものからアニメーションまで対応できるため、まるで本物の人間のようなキャラクターを描くことや奥行きのあるイラストのアニメまで幅広く制作することができます。3DCG制作ソフトにして動画編集も行えることで、映像作品も作ることができます。
3Dキャラクター・アニメーション
ゲームやアニメ向けの3Dキャラクター、VTuberアバター、アニメ風キャラクターを作ることができます。
操作方法
- モデリング:基本的なポリゴンモデリングやスカルプトモードでキャラクターを造形
- リギング:アーマチュア(ボーン)を使ってキャラクターに骨組みを追加
- アニメーション:キーフレームを設定してキャラクターを動かす、ポーズをつける
- トゥーンレンダリング:「Eevee」を使いアニメ風に仕上げる、輪郭線は「Freestyle」で追加
プロダクトデザイン(家具や工業デザイン)
3Dプリント用のモデル、家具や工業製品のデザイン、プロトタイプを作ることにも使用されます。
操作方法
- モデリング:基本的なメッシュ編集(押し出し、スケーリング)を使ってデザイン
- マテリアル:質感を調整するためにノードエディターでマテリアルを設定
- 3Dプリント:STLフォーマットでエクスポートして3Dプリンターに対応
映像・VFX(ビジュアルエフェクト)
映画やCMのCG合成、爆発・煙・水のシミュレーション、実写映像との合成(クロマキー)も作ることができます。
操作方法
- モデリング・シミュレーション:煙や炎のエフェクト、液体シミュレーション
- VSE(動画編集):カット編集やエフェクトの追加、クロマキー合成
- Freestyle:映像に輪郭線を追加して手描き風の仕上げが可能
- レンダリング:EeveeやCyclesを使ってVFXシーンをレンダリング
ゲーム用アセット
ゲームキャラクター、アイテム、背景、環境モデル、UnityやUnreal Engineで使用するアセットは他のものより低ポリゴンで作るのが特徴です。
操作方法
- モデリング:低ポリゴンのアセットを作成
- リギング:ボーンでキャラクターをリグし、アニメーションを追加
- エクスポート:FBXやGLTF形式でゲームエンジンにエクスポート
- リアルタイムレンダリング:Eeveeでリアルタイムにプレビューし、ゲームエンジン向けに最適化
Blenderを使った作品例
デジタルハリウッドの卒業生である安田現象さんの作品はBlenderで作られていることは有名です。2025年には映画も公開されました。
安田現象監督映画初監督作品『メイクアガール』
同じくBlenderで作られた映画『数分間のエールを』も2024年に公開されました。
『数分間のエールを』
Blenderのダウンロード・インストール方法は?
Blenderのダウンロード方法を解説します。
1.Blender公式サイトにアクセス
2.「Download」ボタンをクリック
3.オペレーティングシステムを選択
ダウンロードページでは、Windows、macOS、Linuxの各オペレーティングシステム向けのBlenderが表示されます。自分の使用しているOSを選択してダウンロードします。
Windows: インストーラー(.exeファイル)をダウンロード
macOS: dmgファイルをダウンロード
Linux: tar.xzファイルをダウンロード
以上でダウンロード完了です。
3DCGの独学にも使えるBlender
個人、また小規模のスタジオでの使用に向いているBlenderは、独学でCG学習に取り組む際に使用する人も多いです。Blenderを使い独学で学習したのちにデジタルハリウッドに入学し、更に業界標準のハイエンドソフトウェア「Maya(マヤ)」を学ぶといったケースが多いです。
Mayaとは「Autodesk社」の代表的な製品の1つであり、映画、CM、ゲームなどあらゆる3DCG制作工程にて導入されているハイエンドソフトウェアです。デジタルハリウッドで開講をしている本科/専科のCGコースもメインで学習するのはMayaで、加えて学んだ他のソフトで作成したものをMayaに取り込んで作品を仕上げていくパターンが多くあります。