リガー

リガーとは

「リガー」とは、「Rigging(リギング)」と言われるCGキャラクターにアニメーションを付けるための「リグ(動かす仕組み)」を設定するお仕事です。「リギングアーティスト」とも呼ばれます。
リギングという言葉は、『船の帆とマストを支えるロープ・ワイヤ・滑車などの総称』『(舞台の)仕掛け装置』『(建設足場などの)支持材』などを指します。CGの業務においてもその意味の通りで、「スケルトン」を入れ骨組みをする職種です。スケルトンは「ボーン(骨)」とも呼ばれます。リギングによって骨組みを設定することで初めてキャラクターを動かせるようになるため、非常に重要な工程です。

どんな仕事・業務?

3DCG制作では、キャラクターなどを動かすためには2つの方法があります。1つはモーションキャプチャという人物の動きをデータ化しキャラクターに反映する方法、もう1つが初期から使われている「リグ」と言われる手付けの方法です。リガーはこのリグの工程を担当する、重要な役割です。
モデラーが制作したキャラクターに対して、アニメーターが動かしやすくするための工程を担当します。リガーはキャラクターに対して「ジョイント付け」を行い、「コントローラ」を作ります。ジョイント付けとは、キャラクターを動かす骨組みで、コントローラは骨組みの動きを制御するためのものです。

どんなソフトウェアを使うのか

リギングを行うには、「Maya(マヤ)」や「3ds Max(スリーディーエス・マックス)」などの3DCGソフトウェアを使用します。これらにはもともと人のリグが完成しているセットなどが入っているソフトウェアもありますが、両腕や髪の毛や服飾品などは「カスタムリグ」といって自分で組む必要があり、全身カスタムリグで組むこともあります。

どのような職場がある?

リガーの職場は、大手ゲーム制作会社やアニメーション制作会社などがあります。大手企業などではリガーの仕事が分業されている場合もありますが、中小企業などではリグ部門を設けていない企業もあり、他のクリエイターが兼任しているところも多いです。
簡易的なプログラミング言語も必要なため、「テクニカルジョブ」という枠に入ることもあります。会社によっては、テクニカルよりのモデラーやアニメーターがリガーを兼任し、アニメーションとリギングを一緒に行う場合があります。会社やプロジェクトによっては、キャラクターモデリング、背景モデリング、リギングチームが1つの部門になっていたり、モデラー、リガー、アニメーターがまとまって1つのチームを構成したりすることもあります。

業務例

「スケルトン」の制作、「スキニング(スケルトンの関節部分での回転運動により皮膚が伸縮する)」の設定、「FK(Forward Kinematics)」や「IK(Invers Kinematics)」の設定を行い、キャラクターを動かせるようにします。
そして、喜怒哀楽に代表されるような表情を作るためには顔を動かすために、デフォーマーやクラスターによるポリゴンのバーテックス移動での変形やブレンドシェイプに代表される変形機能の仕組みを設定する必要もあります。 人間型のキャラクターにリグを設定するだけではなく、乗り物にも設定した方が動かしやすくなるため、このような作業を行うときもあります。

働き方は?

リガーは先述にもある通り、多くは分業されていません。そのため、リグ専門として働く場合は企業に勤務することが多くなります。企業にもよりますが裁量労働制やフレックスタイム制を導入しているところが多く、スケジュールなどに合わせてメリハリをつけて働くことができます。
フリーランスの場合は案件ごとに参加をして自宅で作業を行う、一定期間企業に常駐などをして働きます。

収入(年収・月収)は?

平均的なCG業界のクリエイターの収入を参考にするとおよそ300万円〜500万円と言われています。
リガーは新卒採用もありますが、中途採用の求人が多いため、経験次第では少し高い年収を狙える可能性も考えられます。また、大手アニメーション制作会社などがCGに力を入れていることもあり、そういった企業では比較的高い年収を見込めることも考えられます。

将来性は?

CGの技術は現在でも多くの産業で利用されており、今後もCGを使う業界やシーンは増えていくことが予想されるため、将来性は十分にあると言えます。Web業界やゲーム業界の発展が著しいのはもちろんのこと、そのほかの多くの業界でもCGは活用されています。こう言ったCG業界の発展の背景や、テクニカルな知識も必要になるリガーという職業の需要は、今後も続いていくと言えます。

どんなキャリアが歩めるか

スキルを強めてリガーの「スペシャリスト」になる、他の制作工程も行えるようになり「ジェネラリスト」になる道もあります。また、マネージャーやテクニカルアーティスト、プロデューサー、ディレクタなどへのキャリアアップも考えられます。リガーのような専門職は海外に多いため、海外就職も視野に入れることができます。

求人動向

リガーはプログラミングの技術が必要で敷居が高く担い手が少なくなりがちです。そのためどこの企業も人手が不足している傾向にあります。 3DCGデザイナーとして募集をしている企業もありますが、リガーの職種が存在していて分業している企業は大手となり限られます。求人情報などを参考にすると、そこまで多くはありませんが安定してリガーの募集が出ています。

なるには

一般的にどのようななり方があるのか

実務未経験歓迎の企業に応募する、モデラーなど他のクリエイター職からスキルシフトする、企業内でリガーチームに移動する、リギングを兼任していたアニメーターなどがリガー専任として別の企業に転職するなどが挙げられます。リガーという職種がある企業はあまり多くないですが、プログラミング知識なども必要になることが多く人手が不足しているため、別業種からの転身も大いにあります。また、新卒採用を行なっている企業もあります。

未経験からなるには

未経験からリガーになるには、未経験歓迎の企業に応募するという方法もありますが、完全な未経験から応募できる企業はそこまで多くありません。リガーにはアニメーターがアニメーションをしやすくリギングするスキルが必要で、さらにモデラーが制作したキャラクターの素材を扱いリギングをすることになるため、3DCGを専門に学ぶことができるスクールなどに通い、専門知識とスキルを身につけておくとよいです。

必要なスキル

リガーには、プログラミングやスクリプトの知識、技術が必要です。特に、Mayaで実装されているMELやPythonといったスクリプトの知識が必要になってきます。それと同時に、一定レベルのコミュニケーション能力も必要です。なぜなら、CGモデルを奇麗に変形させられるかどうかはCGモデルのトポロジー(位相幾何学)に左右される部分も多いため、モデラーとの意見交換が必要になってくるからです。加えて、アニメーターにとって使いやすく作業効率の良いリグを設定するためには、アニメーターとの意見交換も不可欠だからです。

必要な機材

モデルにリギングをするには、コンピューターが必須となります。専用のソフトウェアなどが不自由なく操作できるレベルの処理能力が高く、CGや映像などの大きなサイズのデータも保存しておくことのできるコンピューターが望ましいです。
画面サイズの大きなデスクトップタイプの利用やノートパソコンの場合はメインとなる外部出力モニターを使用し、さらにサブモニターを組み合わせて使うことで作業効率も上がります。業務内容や必要に応じてペンタブレットや液晶タブレット、クリエイター用マウスを使用する人もいます。

勉強法

難しい作業であるため、誰もがリグを組めるわけではないです。その一方で3DCGキャラクターアニメーションを作りたい人は多くいます。その場合、Mayaでは「Human IK」という方法を使うことで簡易定期なリグを自動で生成する方法や、アドバンスドスケルトンというプラグインを使用することにより簡単な操作で、人型キャラクターを動かすリグを生成する方法などもあるので、これらの方法を使う人も多くいます。しかし、専門職(スペシャリスト)としてリガーを目指すのならば、これらの方法を使わずに自力で制作できるようになることを目指して勉強をしましょう。

なるための適性は?

リグを埋め込む際、スクリプト(簡易的なプログラミング言語)が必要なため、テクニカルに対する理解や興味のある人は、リガーに向いています。アーティストとプログラマの間の橋渡し的な役割も期待されるため、ワークフローの構築や技術的な支援と問題解決能力が必要です。
また、モデラーやアニメーターなどは監督や制作者自身が(制作予算や制作期間内の中で)納得のいくまで作ります。しかし、それが良いモデルなのか?悪いモデルなのか?良いアニメなのか?悪いアニメなのか?は客観的に評価をすることはできません。その作品を見ている人やその作品の監督による主観的な判断での良し悪しです。一方で、リギングとは「アニメーターがこういう風に動かしたい」という希望を叶えることがゴールなので明確な「正解」があります。よって、「正解」がないアーティストが行うような作業よりも、数学のような「答え」がある方が好きという方に向いているでしょう。

なるにはどれくらいお金がかかる?

CGを学べる専門スクールに通う場合、およそ90万円~140万円前後です。内容や期間によっても価格は大きく変わってくるため、自分の目的やライフスタイルに合うスクールを選ぶことが大切です。書籍を参考にする場合、1冊2,000~3,000円が相場です。
そのほかにも3DCGソフトウェアの使用料やインターネット費用(3,000~4,000円/月)や、ポートフォリオサイトを持つ場合はレンタルサーバー代(300円前後~/月)などが挙げられます。
すでに使えるパソコンがあれば必要ありませんが、パソコン購入費なども必要になります。CG制作にはある程度のスペックが必要なため、この辺りも検討が必要となります。