公開日:2023-07-01
モデラーとは
「モデラー」とは、3DCG制作において「モデリング」と呼ばれる『形状の制作』業務を中心に行っていくお仕事です。 モデリングは日本語で模型制作という意味を指します。
ゲームやアニメなどに登場する人物やアイテム、背景などを制作する「ポリゴンモデラー」、機械的な繊細さを厳密に表現する工業デザインに多く用いられる「サーフェイスモデラー」、コンピューター利用設計システムである「CAD」などのソフトウェアを使い製品に必要な材料を算出できるようにソリッド属性のモデリングをする「ソリッドモデラー」などがあります。
どんな仕事・業務?
前項でモデラーにもいろいろな種類があることを説明しましたが、ここではCGクリエイターに分類される「ポリゴンモデラー」の仕事内容について説明していきます。
まず、作業に入る前に原画や資料をもとに構図を考えます。デザイナーやアートディレクターとコミュニケーションをとりながらクライアントの依頼内容を把握します。
効率良い作業をしていくために、ここのすり合わせは重要で、映像内のカメラの移動の有無などで作り込む範囲を考えていきます。制作していくにあたり、必要があれば自身で写真を撮影するなどの資料やテクスチャー用の素材を調達します。
続いて、全体的なレイアウトを決めていきます。どんな絵作りを目指すのかを意識し、一枚の絵として見たときに違和感がないものを作り上げていくための大事な作業です。
そしてレイアウトが決まってから個々のモデルの制作に入っていきます。時間がかかり、かつ緻密さが必要な工程です。
基本的には「ポリゴンモデリング」と呼ばれる、「ポリゴン」という多角形の組み合わせで物体を表現します。ほとんどのモデリングソフトウェアがこのポリゴンモデリングに対応しているため、ソフトウェア互換が柔軟です。板の集合体で形状を作っていくため、板の数が多いほど緻密な形状を作ることができる反面、演算処理に負荷がかかります。そのため、必要最小限のポリゴン数でも目標イメージに近づけた形状を作る技術に長けている人が優秀なモデラーといえます。
最近では粘土をこねるようにして物体を生成するスカルプトモデリングという手法も使われるようになってきました。これは「ZBrush(ズィーブラシ)」が得意とする手法で、一般的にペンタブレットを使います。最初からスカルプトモデリングをすることもあれば、ポリゴンモデリングしたものをベースにして、微妙な凹凸をつけることもあります。クリーチャーなどの有機的なものや、布などのやわらかいもの、複雑な形状のモデリングに向いています。
その他、3Dスキャンなどを使っての特殊なモデリングも少しずつ使われるようになってきています。
モデリングが完了したら、テクスチャーを制作します。同じ形状でも石のテクスチャーを貼り付けると石の様になりますし、金属のようなテクスチャーにすると金属の塊の様になります。このように、形だけではなくテクスチャーによっても印象が変わってきます。このテクスチャーの設定は「Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)」などを使って作っていきます。そのテクスチャーをモデルに貼り付けて色や質感を出す作業を「マッピング」と言います。テクスチャーの色はライティングに左右されて変化するため、行ったり来たりを繰り返し、完成度を上げていきます。
こうしてでき上がったモデルに動きを付けていくために、リガー、そしてアニメーターに作業が引き継がれていきます。
どんなソフトウェアを使うのか
モデリングに特化したソフトウェアとしては、ZBrushなどがあります。
そのほかにも、いろいろな機能を網羅している統合型ソフトウェアとしては「Maya(マヤ)」「MODO(モド)」「Blender(ブレンダー)」「Houdini(フーディニ)」「3ds MAX (スリーディーエス・マックス) 」などがあり、企業によっても使用しているツールは異なります。また、テクスチャを作る場合は「Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)」などのグラフィックソフトウェアを使用します。
どのような職場がある?
ゲーム制作を行う制作会社や、VR制作会社、映像制作会社などがあります。特に近年コンシューマーゲームやソーシャルゲームの発展により、ゲーム業界での需要が増えています。また、現在は多くの産業で3DCGが使用されており、3Dモデルを制作するモデラーの活躍の場は広いです。ポリゴンモデラーのほかにも、自動車メーカーなどの製造業でモデラーとして働く人も多くいます。
働き方は?
モデラーの働き方は、3DCG制作を専門とする制作会社や映像制作会社などの企業で正社員や派遣社員、アルバイトなどの勤務形態で働く人、そのほかにもフリーランスでプロジェクトごとに参加しながら働く人もいます。会社勤務の場合は基本的には平日8時間勤務となっています。納期やスケジュール次第では、土日や夜でも作業が発生することもあり時間が不規則にあることも多いですが、メリハリをつけて働けるようにフレックスタイムを導入している企業も多くあります。
収入(年収・月収)は?
平均的なCG業界のクリエイターの収入を参考にするとおよそ300万円〜500万円と言われています。正社員である場合の基本給はそこまで高くはなく、残業代などで給与がアップしているケースも多いです。フリーランスで働く場合は、0の場合もありますが、経験を積みうまく軌道に乗れば年収1,000万円を目指していくことも目指せます。フリーランスは過去の実績や実力にも大きく左右されます。
将来性は?
近年、3DCGの技術を使う業界は急速に増えています。そのため、モデリングを行うモデラーのお仕事も同じように需要が増えています。今後もこの動向は変わらないと予測されるため、将来性は高いと言えます。このような背景があるため、今後もスキルがしっかりと伴っていれば仕事に困ることはないとも考えられます。
求人動向
ゲームの人気やVRなどの普及と人気により、大手ゲーム制作会社や映像制作会社、アミューズメント系制作会社など、いろいろな企業からモデラーの求人が増加しています。
全体を通して正社員での求人が多いですが、派遣社員や業務委託契約での求人もあります。業務委託では在宅勤務が可能なフリーランスの求人などもあります。
なるには
未経験からなるには
未経験者歓迎の企業もあり、若手の育成に力を入れているところもあります。しかし、基本的なソフトウェアの使い方や合成に関する知識やセンスを養っていることは少なくとも必要です。専門のスクールなどに通い、CG業界に関する基礎的な知識と、3DCG制作に使用するソフトウェアの操作方法をつけておいたほうが就職活動の際の視野も広がります。ポートフォリオなど作品をアピールするものを作り、自分のレベルやスキルを企業にしっかり伝えることが必要です。
必要なスキル
まず3DCGソフトウェアを使ってモデリングができる必要があるため、ソフトウェアの習得が必要です。テクスチャ―を作るためのPhotoshop、CG業界で一番シェアを占める統合型CGソフトウェアのMayaあたりを抑えておくことがおすすめです。Mayaは実写映像と非常に相性がよく、映像業界で高い人気を誇ります。Mayaと同じ『Autodesk』社の統合型CGソフトウェアでは、3ds MAXもアニメーション系プラグインが多く、アニメ系のCG制作で使用されることがよくあります。CADソフトウェアとの連携ができるため、建築物の完成予想のビジュアライゼーションにも使われています。
モデリング、スカルプトなど、特定の機能だけを備えている特化型のCGソフトウェアであるZBrushも使用される場が増えてきており、Mayaや3ds MAXとも連携でき、有機的なモデリングをしたい場合は身に着けるとよいでしょう。
ソフトウェアスキルのほかには、細部まで作りこむ想像力や、立体的な造形力、デッサン力、アートスキルや観察力も必要になってきます。加えて、キャラクターモデラーの場合は、人体や動物の筋肉、機能に関する深い知識が、背景モデラーの場合は建築物や自然風景に関する深い知識が求められます。
必要な機材
モデリングを行うためには、まずコンピューターが必須となります。デザインソフトウェアや3DCGソフトウェア、映像編集ソフトウェアなどが不自由なく操作できるレベルのスペックがあり、CGや映像などの大きなサイズのデータも保存しておくことのできるコンピューターが望ましいです。
画面サイズの大きなデスクトップタイプの利用やノートパソコンの場合はメインとなる外部出力モニターを使用し、さらにサブモニターを組み合わせて使うことで作業効率も上がります。業務内容や必要に応じてペンタブレットや液晶タブレット、クリエイター用マウスを使用する人もいます。
勉強法
モデリングのチュートリアル動画などを見ることで、優れたモデリングの技術を知ることができます。モデリングに関するチュートリアルはCG関連の中でもかなり充実しており、さまざまなソフトウェア向けにたくさん公開されています。また、形を作るという意味ではプラモデルなど立体物を触り組み立ててみることで構造を知ることができます。そして、自分の身近にある実際のもの(スマートフォンやリモコンなど)を反復して制作することで観察力と考える力も身につきます。
なるための適性は?
モデラーは、実際に3Dで物を作る仕事であるため、細部まで作りこむ想像力豊かな人に向いています。加えて、正確に物を描く正確性が求められるので、正確、かつ忠実に物を描きたい人、立体的な造形力、デッサン力を持っている人、こだわりのある人、粘り強い人が向いています。
キャラクターモデリングをする場合には筋肉や骨格をしっかり意識することが必要なため、筋肉の構造を理解しているとよいでしょう。背景モデリングは経年劣化やそのものの構造など現実世界で起こりえる要素をしっかり盛り込むことが必要なため、建築物や自然風景に関する深い知識を持っているとよいので、建築の知見がある方に向いています。加えて、背景を彩る膨大な量のCGモデルを、効率的かつ丁寧に制作するため、技術力や集中力、データ管理能力、3DCGソフトウェアのオペレーション技術も求められます。
なるにはどれくらいお金がかかる?
CGを学べる専門スクールに通う場合、およそ90万円~140万円前後です。内容や期間によっても価格は大きく変わってくるため、自分の目的やライフスタイルに合うスクールを選ぶことが大切です。書籍を参考にする場合、1冊2,000~3,000円が相場です。
そのほかにもPhotoshopなどのAdobe関連のソフトウェア使用料(全て使えるコンプリートプランで5,680円/月(税別)※学割あり)や3DCGソフトウェアの使用料が必要になります。
またインターネット費用(3,000~4,000円/月)や、自分のポートフォリオサイトを持つ場合はレンタルサーバー代(300円前後~/月)などが挙げられます。
すでに使えるパソコンがあれば必要ありませんが、パソコン購入費も必要になります。ある程度のスペックが必要なため、この辺りも検討が必要となります。
その他のお仕事
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- リガ―
- プロダクションマネージャー
- ジェネラリスト
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