ユーザーインタビュー設計|質問と分析のコツ

公開日:2023-07-01

ユーザーインタビュー設計|質問と分析のコツ

ユーザーインタビュー設計|質問と分析のコツ

公開日:2023-07-01(更新日:2026-09-16)

ユーザーの本音を引き出すユーザーインタビュー。実施すること自体は難しくなくても、「どんな質問を用意すればよいのか」「何人に聞けばよいのか」「聞いた話をどう分析すればよいのか」に悩む方は多いのではないでしょうか。本記事では、ユーザーインタビューの設計方法を、質問設計・進め方・インタビュー形式の選び方から分析のコツまで、順を追って解説します。

ユーザーインタビューとは

「ユーザーインタビュー」とは、インタビュアーが参加者に質問を行い、回答を聞いて、さらに詳しく学ぶために追加質問をしていく調査手法です。アンケートのような定量調査とは異なり、ユーザー1人ひとりの言葉や背景にある考えを深く掘り下げられる点が特徴です。

ユーザーインタビューは、日本産業規格であるJIS Z 8530(国際規格ISO 9241-210に対応する人間中心設計の規格)が定める人間中心設計プロセスの中に位置づけられる調査手法です。このプロセスは「利用状況の理解」「ユーザー要求事項の明確化」「設計解の作成」「評価」というサイクルを繰り返すものです。ユーザーインタビューは主に最初の2段階、つまり利用状況を理解し、ユーザーが本当に求めているものを明らかにする段階で活用されます。

作り手側の思い込みだけで設計を進めてしまうと、実際のユーザーのニーズとずれたプロダクトになりかねません。ユーザーインタビューを通じてユーザー体験を深く理解することが、こうしたリスクを減らし、プロダクトの成功確率を高めることにつながります。

なお、ユーザーインタビューは参加者自身の記憶や自己申告に基づく調査手法であるため、記憶の欠落や、実際とは異なる「望ましい」回答をしてしまう社会的望ましさバイアスが生じやすいという限界もあるとされています。行動観察など他の調査手法とあわせて活用することで、こうした限界を補いながらより確度の高い理解につなげることができます。

ユーザーインタビューの3つの形式

ユーザーインタビューは、大きく「構造化」「半構造化」「非構造化」の3つの形式に分類されます。

「構造化インタビュー」は、あらかじめ決めた質問を、すべての参加者に同じ順序で尋ねる形式です。参加者ごとの回答を比較しやすい一方、会話の自由度は低くなります。

「半構造化インタビュー」は、基本となる質問項目を用意しつつ、参加者の回答に応じて柔軟に深掘りしていく形式です。一定の比較可能性を保ちながら、想定していなかった気づきも得やすいため、多くのユーザーインタビューではこの形式が採用されます。

「非構造化インタビュー」は、決まった質問リストを持たず、自由な会話の中でテーマを探っていく形式です。参加者の自然な言葉を引き出しやすい反面、進行にはある程度の経験が必要になります。

目的に応じてこの3形式を使い分けることが、有意義なインタビューにするための第一歩です。

ユーザーインタビューの進め方とインタビューガイドの作り方

ユーザーインタビューは、大きく次のような流れで進めます。まず①インタビューの目的(学習目標)を明確にし、②その目的に合った対象ユーザーを選定します。続いて③インタビューガイド(質問票)を準備し、④可能であれば少人数でパイロットテストを行ったうえで、⑤本番のインタビューを実施し、⑥得られた結果を整理・分析します。

このうち特につまずきやすいのが、③のインタビューガイド作成です。効果的なガイドを作るには、まず明らかにしたい研究質問を明確にし、そこから聞くべき質問をブレーンストーミングで洗い出します。次に、それぞれの質問をオープンな形に言い換えていきます。たとえば「価格に満足していますか?」のような「はい/いいえ」で終わる閉鎖的な質問は、「最近、価格について感じたことを教えてください」のような開放的な質問に言い換えると、より具体的な回答を引き出しやすくなります。最後に、質問を時系列や経験のフェーズに沿って論理的な順序に並べ、深掘り用の追加質問もあわせて準備しておくとよいでしょう。

質問設計と実施のコツ

質問設計・実施の段階では、いくつか気をつけたいポイントがあります。

まず、誘導質問は避けましょう。たとえば「価格は重要ですか?」のような質問は、参加者が社会的に望ましいと感じる回答をしてしまうバイアスを生みやすいとされています。研究目的を早い段階で明かしすぎることも、同様のバイアスにつながる可能性があります。中立的な言い回しを意識し、参加者が「正解」を探して答えようとしてしまわないよう配慮することが大切です。

また、本題に入る前にラポール(信頼関係)を築くことも大切です。簡単な自己紹介や軽い雑談から始め、参加者がリラックスして話せる雰囲気を作りましょう。回答を聞いたら、そこで終わらせず「それはなぜそう感じたのですか?」のように掘り下げる「プローブ(深掘り)質問」を重ねることで、表面的な回答の奥にある背景を引き出せます。

実施中は、メモを取ることに集中しすぎないようにも注意が必要です。メモに気を取られると参加者との目線が離れ、ラポールが損なわれてしまうことがあります。可能であれば録音し、文字起こし(トランスクリプション)は別途行うとよいでしょう。同席する観察者がいる場合は、質問への割り込みでインタビューが「尋問」のような雰囲気にならないよう、人数を絞り、参加者の視界に入らない位置に配置することも効果的です。

こうした点はいずれも、頭で理解していても実践するとなると難しいものです。特に初めてインタビューを担当する場合は、練習として同僚を相手に模擬インタビューを行ってみたり、経験者に同席してもらいフィードバックをもらったりすることで、少しずつコツをつかんでいけるでしょう。

何人にインタビューすべきか|サンプルサイズと飽和点

ユーザーインタビューを企画する際によく聞かれるのが、「何人に聞けばよいのか」という疑問です。参加者数に決まった正解はありませんが、まずは5〜6名程度から始め、必要に応じて段階的に増やしていくのが一般的な進め方です。

判断の目安になるのが「飽和点(サチュレーション)」という考え方です。これは、新しくインタビューを重ねても、既存のテーマを変えるような新しい洞察が得られなくなる段階を指します。対象が広く多様な場合は20〜30名以上が必要になることもあります。一方、対象が限定的で同質な場合は5名程度で飽和に達することもあるとされています。段階的に分析しながら「もうこれ以上新しい情報が得られない」と感じた時点で区切りをつけることで、不要な追加インタビューを避けられます。

インタビュー結果の分析方法

インタビューを実施したら、得られた情報を整理し、意味のある形にまとめる分析のステップに進みます。

代表的な分析手法の1つが「アフィニティダイアグラム」です。インタビューで得られた発言やメモを1つずつ付箋やカードに書き出し、内容が似ているもの同士をグルーピングしていく手法です。グループごとにタイトルをつけていくことで、複数の参加者に共通する課題やニーズのパターンが見えてきます。

分析の際に大切なのは、参加者の発言をそのまま鵜呑みにしないことです。人は自分の行動や考えを正確に言語化できるとは限らず、無意識のうちに実際の行動と異なることを話してしまう場合もあります。発言そのものだけでなく、その背景にある行動や動機まで読み解こうとする視点が、質の高い分析につながります。

また、分析は1人で抱え込まず、インタビューに同席したメンバーやチーム内の関係者と一緒に行うこともおすすめです。複数の視点でグルーピングを見直すことで、1人では気づけなかった共通点や、思い込みによる偏った解釈を防ぎやすくなります。分析結果は、最終的に設計や改善の意思決定に使える形(優先度の高い課題リストや、ユーザー像を整理したペルソナなど)にまとめておくと、次のステップにつなげやすくなるでしょう。

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まとめ

ユーザーインタビューには構造化・半構造化・非構造化という3つの形式があり、目的に応じて使い分けることが大切です。目的の明確化からインタビューガイドの作成、誘導質問を避けるといった実施時の工夫、サンプルサイズの考え方、アフィニティダイアグラムによる分析まで、進め方の各段階を押さえることが大切です。こうしたポイントを1つずつ押さえていくことで、ユーザーの本音に近づく質の高いインタビューが実現できます。本科UI/UXデザイン専攻の詳細では、こうしたUXリサーチのスキルを体系的に学べるカリキュラムを紹介しています。

この記事のポイント

  • ユーザーインタビューには構造化・半構造化・非構造化の3形式がある
  • インタビューガイドは研究質問の明確化→オープンな質問への言い換え→順序整理で作成
  • 誘導質問を避け、ラポール構築とプローブ質問で本音を引き出す
  • 参加者数は5〜6名から始め、飽和点を目安に調整する
  • 結果はアフィニティダイアグラムなどでチームと一緒に分析する

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デジタルハリウッド 編集部

UXリサーチ・ユーザーインタビューの手法をわかりやすく発信。Nielsen Norman Group等の専門情報に基づき、実務で使える知見を解説しています。