レンダリングとは?意味や種類、3DCG・動画で使われる技術を解説

レンダリングとは?意味や種類、3DCG・動画で使われる技術を解説

公開日:2023-11-08

今回の記事では、「レンダリング」の意味や種類を解説します。

「レンダリング」という言葉は、3DCGの制作現場において聞くことが多いですが、実はデザインや映像など様々な分野で使用されています。

レンダリングの基本的な概念やどのような種類があるのか、レンダリングの事例などわかりやすく紹介します。

【目次】

レンダリングとは

レンダリング(rendering)とは、とあるデータを処理もしくは演算することで画像や映像・テキストなどを表示させることです。 とりわけ動画制作では、さまざまな形式のデータに処理を加えることにより、映像や画像、音声などを生成する作業を指します。

音楽におけるレンダリングとは?

音楽においてもレンダリングは必要な工程の一つです。DTMとは、「Desktop Music(デスクトップミュージック)」を指す言葉ですが、DTMでは、音楽を書き出す際にレンダリングが使われます。DTMでは、PCやソフトウェアで「ピアノ」「ギター」「ドラム」「ベース」「SE(効果音)」など複数のデータを使用します。DTMは、MIDIと呼ばれるコンピュータが認識できる音楽データを用いることが多く、MIDIを人間が聞けるような状態に変換を行う際にレンダリングが行われています。この作業を専門用語で「バウンス」「ミックス」と呼ぶこともあります。

Webページにおけるレンダリングとは?

普段、私たちの目にしているWebページはレンダリングが行われた状態で目にしています。

Webサイトは、HTMLやCSSなどのような様々な言語で構成されていますが、このままの状態では、プログラミング言語の文字の羅列になってしまいます。レンダリングが行われることによってプログラミング言語が変換され、私たちが普段目にするWebサイトの表示になります。

動画や3DCGコンテンツで使われるレンダリングとは?

動画制作においてのレンダリングは、映像に使用した素材やエフェクト、テロップ、音声、BGMといった複数のデータを1つの動画ファイルとして処理します。レンダリング前の複数のデータは非常にデータ量が重く、レンダリングを行うことでデータを圧縮し再生可能な状態にします。レンダリングを行うことで視聴者は複数のデータを1つの動画として視聴することができるようになります。

【もっとわかりやすく】レンダリングの具体例

それでは、もう少し分かりやすくWebサイトにおけるレンダリングの具体的な仕組みを見ていきましょう。

Webサイトにおけるレンダリング

Webサイトを閲覧する際には、ブラウザの裏側で「HTMLレンダリングエンジン」というものが動いており、HTMLやCSSのようなプログラミング言語を文字や画像に変換しています。HTMLレンダリングエンジンは、ブラウザごとに作られており、ブラウザの数だけレンダリングエンジンが存在します。

代表的なものをいくつかご紹介します。

Trident

Internet Explorerで採用されているHTMLレンダリングエンジン

※現在は、IEの廃止によりTridentの利用はほぼなくなっています。

Edge HTML Microsoft Edgeに利用されているHTMLレンタリングエンジン
Blink Google Chromeで動いているHTMLレンダリングエンジン
Webkit Safariで利用されているHTMLレンダリングエンジン

それでは、大まかにWebサイトにおけるレンダリングの仕組みを見ていきましょう。

Webサイトを見るときには、まずWebブラウザがWebサイトのファイルが置いてあるWebサーバに対して、このページを開いてくださいと指示します。その指示に対し、Webサーバからブラウザにこのページですと返答があります。

例えば、デジタルハリウッド専門スクールのページのソースコードはどのように作られているか見てみましょう。閲覧中のWebページのソースコードは、ウェブブラウザーの閲覧画面で Ctrl+Uを押してみましょう。別タブにてソースコードが表示されます。デジタルハリウッド専門スクールのWebサイトも様々なプログラミング言語で表現されているのが分かるかと思います。

しかし、実際にWebブラウザでユーザーが開く際には、このように見た目が整えられて表示されます。この動きがレンダリングと呼ばれるものです。

3DCGにおける3Dレンダリングの種類

3DCGにおける3Dレンダリングには、レイトレーシング、トゥーンレンダリング、ラジオシティなどいくつか種類があります。ここでは様々なレンダリングの例を紹介します。

プリレンダリングとは

プリレンダリングとは、事前にレンダリングされているCGのことです。

プリレンダリング(pre-rendering)は、プリレンダーと略称で呼ばれたり、オフラインレンダリングと呼ばれたりすることもあります。一般的には、プリレンダリングしたものをレンダリング映像(画像)と言い、リアルタイムレンダリングと区別をする際に使用する場合が多いです。

リアルタイムのCG映像以外は、すべてプリレンダリングにあたります。プリレンダラーの例では、ゲームのオープニングや、アニメ、映画などの映像作品があげられます。

リアルタイムレンダリングとは

レンダリングとは計算をしてCGを生成することを指しますが、その計算がリアルタイムの場合のことを「リアルタイムレンダリング」と呼びます。リアルタイムレンダリングのプロセスは、プリレンダリングと同じですが、リアルタイムレンダリングの方がはるかに高速で実行されます。

ゲームをプレイしながらリアルタイムで行われるレンダリングはリアルタイムレンダリングになります。

現在ではリアルタイムレンダリングでの表現も非常に高くなっていますが、ゲームプレイ中は膨大な計算処理は行うことは難しくなります。CG制作の現場では納期内であれば更にリアルな表現を追求できます。映像の場合は完成した静止画を1分間で少なくとも1800枚の画像として大量に作成するため、レンダリングには数時間や数日など膨大な時間がかかります。

さまざまなレンダリングの例

レイトレーシング(Ray Tracing)

レンダリングの中でも特に一般的なレンダリング法であり、実写と区別がつかないような表現が可能です。SF映画などでも使われており、光や炎、煙などの描写が非常にリアルに表現されます。レイトレーシングのレイとは、「Ray:光」を指し、光線追跡法とも言われます。

トゥーンレンダリング(Toon Rendering)

イラスト風やアニメ風といった、デフォルメされた表現にするレンダリング法です。立体的な影ではなく、単純化した影(シェーディング)をつけて2Dにように見せることから「トゥーンシェイド」とも呼ばれ、他にも「シェルシェーディング(Cel shading)」や「トゥーンシェーディング(Toon shading)」という呼び方もあります。2Dのような表現となりますが、ポリゴン数などは変わらず容量は同等かさらに多くなります。

ラジオシティ(Radiosity)

形状の面のエネルギーの前処理計算を行い、レンダリングをする方法です。レイトレーシングよりもさらにリアルな表現が行うことができます。ラジオシティ法には、同じ位置に面を重ねないようにすることや、コーティクスが表現できないなど、いくつかの制約があります。また、方程式が複雑であるという点もありレイトレーシングよりも時間がかかります。

スキャンライン(Scanline)

シェーディングが美しく、アニメーションの制作現場で現在も使われています。スキャンラインはディスプレイの走査線という意味で、カメラ基準で水平にスライスを行い、サーフェイスを求めるレンダリング法です。レイトレーシングとは違いレイの計算を行いません。そのため、レイトレーシングよりも早くレンダリングができますが、複雑な要素の多いシーンでは時間がかかります。

Zバッファ(Z-buffer)

アルゴリズムが他のレンダリングに比べて単純であり高速化しやすいですが、バッファ確保のためのメモリ領域は大きくなり、透過処理を苦手としています。隠れている部分は省略を行い、奥行きを比較して手前の要素だけ表します。隠面消去という手法のひとつです。

Adobe Premiere Proを使用した動画のレンダリング手順

動画編集でAdobe Premiere Proを使用する方も多いかと思います。Adobe Premiere Proでは、編集時と書き出し時のレンダリングの作業を行うことが可能です。それぞれのレンダリング方法を簡単に紹介します。

編集を行う際のレンダリング

Adobe Premiere Proを用いて編集をしている時には、基本的には、自動的にレンダリングがされています。編集した動画の内容を反映させるために行われているのが、編集時のレンダリングです。自動でレンダリングはされますが、複雑なエフェクトなどが要因でレンダリング処理が間に合わず、プレビュー画面がカクカクすることがあります。そのようなときは、「シーケンス」→「インからアウトをレンダリング」を選択し、インジケーターを動かしインとアウトを設定し、レンダリングを行ってみましょう。

書き出しを行う際のレンダリング

書き出しとは、編集したデータをYouTubeやSNSにアップロードできるように動画ファイルやオーディオファイルなどのファイルに変換し保存をすることです。

動画の書き出しの際にレンダリングを行うことで動画の質を上げることが可能です。

レンダリング方法は、「書き出し設定パネル」を開き「最高レンダリング品質を使用」を選択します。

動画をレンダリングするときの注意点

動画制作においてレンダリングは欠かせない作業の一つです。動画レをンダリングする際の注意点を今回は2点ご紹介します。

動画を高品質にする際は、レンダリングに時間がかかる場合が多くなる

映像に様々なデータが組み合わさって制作された動画の場合、レンダリング作業に数時間かかる場合があります。レンダリングの時間は、データ量に比例して長くかかります。どこまでの仕上がりを求めるのか、いつまでに完成させなければならないのかを考えた上でレンダリング作業の時間を加味し作業を行う必要があります。

PCスペックによってレンダリングの速度が変わる

お伝えしてきた通り、レンダリング作業は大量のデータを処理しています。レンダリングにかかる時間はデータ量に比例するとご紹介しましたが、PCのスペックも処理スピードに影響します。PCのスペックによってデータ量の処理スピードも変わってきます。動画編集をメインにPCを使用する場合は、高性能なPCを使うのがおすすめです。

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まとめ

今回は、レンダリングとはどのような意味なのかといった概要から種類を紹介しました。レンダリングは、人間が認識できる状態の見た目に変換する作業なため動画制作やWebサイト制作においては欠かすことのできない作業です。仕組みや種類を理解し、今後の制作に活かしていただければと思います。

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著者:デジタルハリウッド スクール 編集部