デジタルハリウッド東京本校 ブログ

<イベントレポート>Chase Your Dream!
夢を叶えたプロフェッショナルたち
モデカフェ 野々口氏によるキャラクターモデリングの世界

2022-10-05

Chase Your Dream ! 夢を叶えたCGのプロフェッショナルたち





~クリエイティビティで最高のものをつくる~
をモットーに数々の有名作品を手掛けられているModelingCafeのリードモデラー
野々口風吾氏がこの度、デジタルハリウッド伝統のCGコース 本科CG/VFX専攻のゼミ講師に就任いたしました。
そこで就任記念といたしまして『キャラクターモデラーになるには』を題材にセミナーイベントを実施いたしました。
『CG業界に興味がある』『現場での働き方を知りたい』など興味のある方など、総勢30名前後の方にご参加いただきました。

イベント内容の一部を抜栓してご紹介していきます!



1.登壇者の紹介

登壇者 ModelingCafe 野々口風吾氏をご紹介!



株式会社ModelingCafe


リードモデラー

野々口 風吾 Fugo Nonoguchi


1996年生まれ、大阪府出身。
2019年 専門学校を卒業(HAL大阪) その後キャラクターモデラーとしてModelingCafeへ就職。
大手ゲーム会社の数多くのゲームモデルなどを手掛け、現在はリードモデラーとして活躍中。


2.イベントの様子

イベント内で語られた内容をご紹介!


会社の紹介

モデリングカフェはアセットワークの専門家集団です。コンセプトからプロダクション用の制作まで様々な環境に対応したサービスを提供。AAAゲームの開発、トップコンテンツ、映画、CMの制作に貢献し、日本国内はもとより世界各国の企業から高い技術力を認められています。



現在のCG業界について


リモートワーク

ここ2年くらいでガラッと社内の雰囲気が変わり、1年目は出社していたが2年目にコロナが原因でリモートワークになったそう。入社してまもなくリモートになったので顔を見てない方が沢山いるみたいです。
働き方は変わったが、それぞれメリット・デメリットをご紹介してくれました。


メリット
・通勤県内に引っ越さなくてよい
・貯金が出来る
・海外への挑戦がしやすい
・人によっては集中できる
・コロナに罹る心配が減る

デメリット
・人との接触がなくなる
・情報伝達がしづらい
・人によっては集中できない
・ネットワーク状況に左右される
・精神的に病んじゃう
・slack病み



リアルタイムの発達

UE5などがものすごく進化していて、PVを見ていてもプリレンダリングの動画とリアルタイムの区別がほとんどつかなくなってきた。最近ニュースにも話題に上がっていた駅を再現した動画は本当に現実と区別がつかないので、どんどん進化して、その内プリレンダリングっていうものが減っていくのかなって思います。


無料3Dソフトの進化

blenderの進化。これもまた進化の速度が凄いです。既存の代表ソフト達を侵食していってほしいですね。


ジェネラリストの再評価

上司に聞いたお話になるんですけど、最近CG業界の状況も変わってきていて、昔はスペシャリストを集めるのが当たり前だったんですけど、最近はジェネラリストが重宝されていて注目されています。



お仕事でのエピソード


キャラクターとハードサーフェスの関係性

お仕事で一発目でつまづいた問題なんですけど、僕モデル作る時、硬いものより軟らかいものを作るのが好きなんですよね。一番初めにやった案件でゲームのキャラクター1体を担当させてもらっていて、キャラクター自体が人間と機械の軟らかいものと硬いものの入り交じりだったのでワイヤーフレームとかポリゴンの形状とかちゃんとやらないと変な歪みとか出てきちゃって大変な思いしちゃうんですよね。少し知識はあったので少し躓く程度でしたが、めちゃくちゃフィードバック入ってきました。未経験でもある程度ポリゴンモデリングも出来るようになった方がいいのかなと思います。


リアルタイムとプリレンダー案件の速度感の違い

リアルタイムよりもプリレンダー案件の方が圧倒的にスケジュールが短いことが多い。プリレンダー案件はやることに関してはシンプル。リアルタイム案件は制限されたポリゴンの中でめちゃくちゃクオリティを詰めていかないといけない、テクスチャを沢山描いたりしなきゃいけないとか。そういう速度感の違いですかね。今でもプリレンダーの案件来たら「速度いけるかな・・・」って不安になります。


データの作り方(整理)

僕、ズボラで最初の方は凄く適当だったんですよね。データの名前初期設定のままだったり、データの場所グチャグチャとか。仕事最終段階とかで「あれ?このデータどこやったっけ」とかよくなってたんです。なので自分のルールでもいいんでルール化して整理した方がいいです。会社に入ってもそこで困ることはなくなりますし、自分でも見やすくなるし、クライアントさんにも怒られない。しておいた方がいいというよりはしないといけない事ですね。



キャラクターモデラーになるためには


リファレンスを集める能力

なろうとしてる人はやれば絶対なれるんですよね。人の真似をすること、好きになる作品はクオリティが高いものだと思うんで、そういった参考物、この業界では嫌というほど耳にするリファレンスを集める能力が一番大事なんだと思います。初心者の方は特に何も見ずに作ったりすると思うんですけどプロの方からのフィードバックでモチベーション下がっちゃったりとかあるんで、キャラクターモデラーになるにはリファレンスです本当に。

人に見てもらう自己完結しない

人に見せてフィードバックをもらう。僕も後悔するくらい、もっと人に見せておけばよかったなって思うくらい重要です。絶対に良くなるなっていう事を言ってくれる方が大半いるので、それを取り入れる姿勢をちゃんと見せればですけど。一つの作品を沢山の人に見せて同じとこを指摘されたらそこが絶対に直せる部分なのでどんどん見せて取り入れていった方がいいですね。
SNSにも業界の人も沢山いるのでガンガンアタックしていいと思います。


ポートフォリオの公開

人に見せるの恥ずかしいんですけど、ご参考程度にご覧くださいとのことで特別に見せてくださいました!
企業の方にはCG辞めようかなって思うほどボロボロに指摘されたとか、今思えばというエピソードも交え1枚1枚説明しながらご紹介してくださいました。



3. 質疑応答コーナー

参加者から寄せられた疑問を野々口氏が回答!



Q 「アナトミーはどのように勉強されましたか。ZBrushでスカルプトして練習するのは効果的でしょうか。」

めちゃくちゃ効果的だと思います。アナトミーの勉強、僕は本を見てます。人体工学みたいな本が2冊くらいあるんですよ。あとスカルプターに必要なやつみたいな本があるんですけど、それを見て勉強するのが一番効果的だと思います。


Q 「キャラモデラーでも仕事でリグをつけることはありますか?」

僕が経験している案件はリグまではつけたことないです。軽くセットアップするくらい。セットアップとはいっても絶対にめりこんではいけないとか、そんなんではなくて”モデルとして破たんしていないかどうか”というのを確認する為のセットアップをすることが多いです。


Q 「キャラクターのモデルにおいて、綺麗なトポロジーとはどういったものなのでしょうか。?リトポする際よく迷走してしまいます。」

ちゃんと正方形のカタチで構成されたものが綺麗なものなのかなと思います、僕は。
ゲームとかだと法線とかそーいった知識ないと変なシェーディングになっちゃうので。
あとはループした時、腕をリトポする時に間接部分を一周しようとしてもグルグルなっちゃうのはよくないですね。


Q 「ポートフォリオの作品の使用ソフトにマーベラスデザイナーがありましたが、実際に就職してから使う機会は多いのでしょうか?」

めちゃくちゃ少ないです。案件にもよりますが、使っても大まかな布の形にしかならなくて、そっから情報量入れるの自分なんですよね、スカルプトとかで。
でも使える分には便利だし、時短にもなると思います、知識がある人にとっては。


Q 「学生時代、どのようなことに注力されていましたか?」

深く考えないことですかね。考えすぎて作品のスケールを小さくしてほしくないので、自分で出来る力量のものを作ってった方がいいのかなって思います。
あとは行きたい会社にアピールしまくるって感じですかね。


Q 「モデリングで作業で行き詰った時のリフレッシュ方法はありますか?」

他の人と話すのとかリフレッシュになるのかなって思います。リモートワークなのでやっぱり...モデリング作業って単純な作業の積み重ねなので、世間話しながら作業するだけでも大分リフレッシュになりますね。あとは座りっぱなしも身体によくないので、少し経ったらストレッチとかよくしますね。


Q 「リファレンスを集めるのがとても難しいなと感じています。モチーフにもよるとは思うのですが、探し方のコツやポイントなどがあれば教えていただきたいです。」

リファレンスの集め方って慣れだと思うんですよね。検索するときって基本英語じゃないですか。日本語だと全然質の良い画像とか出てこないんでね。自分の探してる画像に近いなって思ったら関連画像からめちゃくちゃ辿っていくみたいな。ちょっとでも近いものがあれば全部保存していく感じですかね。
あと必ずしも現実のものを参考にしないといけないということでは僕はないと思っているので、アートステーションとかのキャラクターの質感とかも参考にしてもらってもいいのかなと思います。


Q 「この世界、技術もツールもアップデートが必要な世界と思いますが、オフでの勉強、会社での勉強、どのようなバランスで日々補給されてますか?また、モチベーション等どうやって維持されていますか?オフでも、パーソナルワーク等は取り組んでらっしゃいますか?」

オフでも取り組んではいるんですが頻度としては少ないです。仕事もCG、帰ってSNS開いてもCGで勉強しないといけないってなると閉塞感が凄いんですよ。嫌いになってしまうこともあると思うんでオフの日は出来る限り別の事をしてます。嫌いになるよりは、普通以上の基準でいることが大事だと思うんで長く続けていくっていうのは。なので根詰め過ぎないのがいいと思います。
パーソナルワークはやってます!


Q 「キャラクターモデラーの世界を目指されたきっかけや経緯を教えて頂きたいです。私自身、幼少期からの夢であったCGアニメーターの道を進むことに不安があります。」

不安がらなくて大丈夫です!やる気があれば絶対に1年で業界に入れるので。
きっかけは、イラスト描いてたんですけど色塗りが絶望的に下手くそで挫折しちゃったんですよね。でもこのスキル活かせるの考えた時、3Dだったんですよ。なので漠然と3Dしようと入りました。


Q 「キャラクターといってもセルルックとリアル系だとアプローチの違いなどはあるのでしょうか?」

僕自身はアニメ系には強くないんですよ。なんですけど、リアル系だとある程度テクスチャ描いてレンダラーに任せるとリアルになるんですけど、セルルックってそういう訳にはいかないじゃないですか。やっぱアプローチって言ったらテクスチャですよね。




4.参加者の声

参加された方の属性や参加後の感想をご紹介!



▼属性

デジハリの受講生以外にも、他のスクールでCGを学んでいる方やこれからCG業界を目指される方など幅広くご参加いただけました。

▼ご年齢

20代を中心に多くご参加いただきました。
他にも10代・30代・40代と幅広くこのイベントにご興味を持たれた印象です。

▼お住まいの都道府県

Zoom開催なだけに関西近隣だけでなく、様々な県からのご参加となりました!

▼満足度

全体的に満足度が高く、好評なご意見を
たくさんの方にいただけました!

▼参加者の声

質問など丁寧に答えて頂き、大変参考になりました。

プロの方から直接、助言をいただけて本当によかったです。
キャラクターモデリングについてより理解が深まりました。

自分は別の職種へいったりきたりで、ブランクもあって数年前からのリスタートになります。
日々楽しみつつ継続していきたいとおもいました。

今まで自分とは別の世界で輝いている天才たちばかりだと思っていましたが、やりたい気持ちは絶やさずに、挫けそうなことがあっても必死に食らいついていくことが重要だと改めて実感しました。

私も先月までCGパースの会社で制作をしていたので、リファレンスや人に見てもらうことの重要性などのお話を聞いて、やっぱりどこの業界でも大切なんだ…!と実感しました。

貴重なお話を聞いて大変満足しました!
また野々口さんのお話を聞ける機会があれば無料有料問わず参加したいです!




5.最後に

Chase Your Dream!



初めてのイベントで緊張して上手くしゃべれませんでしたが、僕の言葉で少しでも参考になってくれたら嬉しいです。
フィードバックとか個別でも僕でよかったら全然お答えするんで見せに来てください。その為にTwitter開設します(笑)

モデラーはやる気と姿勢があれば絶対になれる職業なんで頑張ってください!



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