こんにちは。
デジタルハリウッド東京本校の河内です!
デジタルハリウッドの卒業生で、VRアニメーション監督、XRクリエイターの伊東ケイスケさんがベネチア国際映画祭XR部門にノミネートされました!
Introduction
この夏、東京本校では ” 好きなことを追求する ” をテーマに
「Chase Your Dream!-夢を叶えたCGのプロフェッショナルたち-」 と題して
イベントを開催いたします。
米岡氏がデジタルハリウッドで学ぶことを決めたのは
「デジタルハリウッドの作品は質が違うと思った」
ことがきっかけ。
日本の企業に勤め、海外でさらにCGを学んだあと、2019年にStealthWorks台湾を設立。
CGの魅力はコンテンツを消費する側から作り出す側にいけること。
そしてたくさんの作品に関わって、世にでたとき視聴者がすぐリアクションをとってくれる。
自分がこれをつくったといえることは嬉しいこと。
と以前も語ってくれました。
今回は
米岡氏
より、エフェクトとは、そしてエフェクトの映像における役割、海外でのお話しについて、また現在のお仕事についてなど、幅広くお話いただきます。
イベントに参加した方、または参加できなかった方、興味のある方は是非ご覧ください!
▼ゲスト紹介
エフェクトアーティスト
株式会社ステルスワークス代表
米岡 馨/Yoneoka kei
企業サイト:https://www.stealthworks.jp/
1976年生まれの山口県出身。2001年早稲田大学第二文学部卒。
同年デジタルハリウッド卒業。
アニマ(旧笹原組)からキャリアをスタートし、フリーでアニマロイド、デジタル・メディア・ラボ、株式会社オムニバス・ジャパン、OXYBOT株式会社などの著明プロダクションを渡り歩いた後2011年ベルリンのPIXOMONDO、2012年にバンクーバーのScanline VFXでハリウッド作品に関わる。
その後帰国し2016年StealthWorksを設立し今に至る。
2019年StealthWorks台湾を設立し事業拡大中。
▼StealthWorks FX Reel 2020
小倉 以索 講師
映画「劇場版銀河鉄道999」「ハッピーフライト」、ゲームソフト「デッド オアアライブ」ライブビデオ・DVD「ウラスマ」(スマップ)、TV番組「たけしとひとし」、iPadアプリ「中田英寿2010南アW杯」、などのCG担当やその他CMのCGなど多数手掛けている。 また、1999年からデジタルハリウッド講師として人材の育成にも注力している。
破壊、爆発、炎、煙、水、雲、雪などの自然現象をはじめ、 布、草木の揺れ、などをカバーすることもある。 ■エフェクトアーティストとは
(小倉)
ステルスワークスとかもですけどエフェクトってHoudiniがメインですか?
(米岡)
ステルスワークスではHoudiniと3dsMAXが混在していて比率は半々ですね。
(小倉)
いやいや(笑)
実際にはそもそも再現が不可能だったり、危険もしくは費用が高すぎて起こせないような
(小倉)
実際に破壊する映画もありますよね。
(米岡)
病院破壊したり、リアリティにこだわる監督は実写撮りとか、ミニチュア撮影とかもしていますね。エフェクトとすみ分けている気もします。実写とCGのバランスの取れた作品もたくさんありますよね。
◆Houdini 習得難易度:★★★★★
(※1)プロシージャルとは
◆3dsMAX 習得難易度:★★☆☆☆
◆MAYA 習得難易度:★★★★☆
◆Blender 習得難易度:★★★☆☆
(小倉)
Houdiniは難しいソフトだって聞きますけど覚えると仕組みとしてはわかりやすそうですね。
(米岡)
みれば一個一個手順が分かるので、仕組みはわかりやすいですね。
目に映るものすべてが
リファレンス(参考)
!毎日が楽しくなる。
(小倉)
結構見る目がかわりますよね。映り込みが、波の形が、とか。
(米岡)
水しぶきの白さとかって気泡が入ってるから白いんだ。とか。
(小倉)
なんか童心にかえりますね。
シュミレーションした素材に質感をつけライティング、レンダリングしてコンポジットまでする必要もある。
(米岡)
自分も山口県下関市出身なんですけど。山川海って感じで。いざ東京きてCGやってエフェクトやってると、「あれ、地元めっちゃリファレンスあるじゃん・・・」って思ったりするんですよね。
(小倉)
確かにそうですね(笑)
(米岡)
崖とか作るときとか結構難しくて、地元に帰った時に家族で”いい崖探し”とかしたりしました。(笑)
<代表作>
ハリウッド映画に引けを取らない大規模なエフェクト、特に破壊エフェクトを得意とする。 シン・ゴジラのヤシオリ作戦のビル倒壊エフェクトや、鋼の錬金術師の書斎破壊や石畳を割って出てくる石獣、サイレント・トーキョーでのハチ公前爆弾破壊などが代表作です。
(米岡)ベルリンのPIXOMONDOやScanlineVFXで勤めていたときの経験が生きています。
(小倉)
エフェクトを知らない人からするとガラスとか煙とか全部一つだと思ってる人もいると思うんですけど、バラバラですし、煙に種類もありますよね。
(米岡)
爆発とかだと衝撃波を一番目に考えてどこでどのタイミングでなんの衝撃がきて影響があるかみたいなのをメンバーと話して作っていくんですよね。
(小倉)
そういえば
卒業生もお世話になっていますよね。
(米岡)
はい、ゴリゴリやってもらっています。ステルスワークスのスタッフは業界の若手も結構映画のシーンをしっかり担当してもらってたりします。一つ作ると成功体験が生まれるのでいいんですよね。これも海外の働き方を参考にしています。
①観察力
②忍耐力
③想像力
④知識力
(米岡)
知識力は必須ではなくて、自分も苦手というか。感覚で今までやってきたんですけど、あったほうがいいですよ。ってものですね!
(小倉)
どれも重要ですね。
(米岡)
業界に入ると嫌でも直面するのが絵作りってとこですけど。
(小倉)
絵作りって結構難しいですよね。学生時代これをやったらいいよとかってあるんですかね。
(米岡)
美的センスだけではないので、理詰めで行ける部分って結構あるんですよね。(笑)
Image Engine 木村昭太氏のアドバイス
・求められる人材は即戦力。(英語力も含む)
ILM 三海亮氏のアドバイス
・即戦力と英語力
(小倉)
実際にSTUDIOって地域ですごいところ!とかってあるんですか?
(米岡)
バンクーバーが一番な気がします。モントリオールとかも増えていますけどね。
・学生版で大体の機能を使えるのでエフェクトに興味を持ったならHoudiniで学習を進めて
好きなものを作ってほしい
(米岡)
いまのCGって本当必要なものがどんどん年々増えてるんですよね。
(小倉)
わかります。(笑)
(米岡)
なので一人で頑張るんじゃなくてたくさんの人たちに知見をもらうといいと思う。
(小倉)
仕事もたくさんあるからこその手段ですかね。
(米岡)
そうですね。ポテンシャルのある若者とかを集めたいなって思うんです。育てたい。
Q「有機的な動きを作るコツはなんですか?」
(米岡)
リアリティのあるものを作るってことであれば手付けの要素とかを入れていくことかもしれません。
エフェクトの気持ちになる
というか(笑)自分が煙とか炎だったらどうしてこう動くんだっけ・・・熱いよな・・・とか。起きている事象を想像してねって、かんじですかね。
Q「SNSなどで採用を決める際の決め手とかってありますか?」
(米岡)
なんとなくよさそうっていうところまでは作品のレベルを上げることと、やり取りしててアドバイスがほしいって聞いてくれたとしたら、すぐ反映してすぐバックが返ってくると、
「お、仕事しててもこういうふうに仕事してくれそう!」
って思ったりするのでいいですね。レスポンスも同様です。
Q「作って提案したときに作品に違和感を感じて。周りにプロがいなくて相談相手がいなくて違和感を感じるけど何が間違っているかわからない、正解を見つけれないなって思ったときはどうしたらいいでしょう」
(米岡)
まさにSNSを使ってほしい
ですね。周りにプロのエフェクトアーティストっていないことの方が多いと思うので、直接話しかけて聞くといいと思います。それこそ提案するときだと非現実的なエフェクトを作るときってクライアントも想像つかないことも多いのでリファレンスたくさん集めてどっちが近いですか?とか提案してみたり。
イメージを引き出す力
みたいなのも結構あるといいですよ。
Q「エフェクトをつくる楽しさはどこにありますか?」
(米岡)
作品を派手にするっていう
花形
っていうところもあって。破壊衝動じゃないですけど。そういうのも満たせるとかもありますよね(笑)
Q「海外勤務で困ったことはありますか?」
(米岡)
英会話ですね。専門用語とかが出たときはまだわかったりするんですけど。食事中の会話とかで全然わからなかったり、
ギャグのセンスとかも違うんです(笑)
え、なんでいま笑ったの?!みたいな(笑)
(小倉)
僕の友達も
昔みてたアニメ
ってみたいな話とかも全然違うからできないっていってました。(笑)
(米岡)
誰もが見てる作品とかをちゃんと見ておく
と話が成立したりするとかはありました。
Q「笹原組での思い出を教えてください」
(米岡)
メンツが本当にすごかったですね。ステルスワークスの立ち上げも
共同代表の河野と笹原組がきっかけ
ですし、ノウハウも蓄積できました。
Q「これ絶対大変だったでしょ。って笑ってしまったエフェクトありますか?」
(米岡)
古巣スキャンラインの水エフェクトは今でも別格。Gozzila VS Kongの海上バトルとか。
Q「自身もとても興味がありますが未経験者です。CGやVFXを仕事とする場合、向いてる人、向いてない人はどんな人ですか?」
(米岡)
違和感に気づける人
かなって思っています。それをベースにモノづくりに拘れるかどうかです。また新しい技術に興味があるとかっていう
探求心
も大事です。僕は仕事で『チェックお願いします』とだけ言ってくるのをダメ!ってしてるんですけど自分で考えることをやめないで、これを作った根拠は?とか聞いていくと自分でわかっているけど考えないように、他人任せにしたくなるところを、
自分でちゃんと違和感に気づけるようになる
ので。『チェックお願いします』とだけ言うのは許可しないっていうのをやってます。
Q「米岡さんが思うかっこいいエフェクトとはどのようなものですか?」
(米岡)
チュートリアル臭くないもの。シミュレーション任せではなくきちんと動きにメリハリがあ
Q「未経験から就職するうえでの必要事項はありますか?(エフェクトアーティスト志望の場合)」
(米岡)
クオリティの低いものを量産するより
少数の高いクオリティのモノを作る
。独学でもSNSを使って完全に一人で学習するのを避ける。ハリウッドに憧れていきなりビル破壊とかから手を付けない。
Q「今年からアニメ業界でエフェクトアーティストとして働いています。キャラクターや場面を引き立てるエフェクトを作る際、悪目立ちせず、役割ん果たしつつ印象に残るようなエフェクトを作るために心がけるポイントなどがあれば伺いたいです。」
(米岡)
見せたいものの視認性を意識する
だと思います。エフェクトはやりすぎくらいがちょうどいい場合があるけど見せたいものがキャラなのか背景なのかを理解して演出の意味をしっかり理解して隠しすぎない。キャラの動きを理解して干渉を意図的に盛り込む。(ハリウッドゴジラの煙の例とか)
Q「米岡さんが、今まで数ある作品を手掛けた中で、一番力を入れたという作品があれば教えていただきたいです。」
(米岡)
鋼の錬金術師3部作
はとにかく物量が半端じゃなかったので
これが一番かもしれません
。これを超える物
Q「日本のアニメ業界と海外の業界で使われている多く使われているソフトが違うようです。企業さんに質問したらMayaではなく日本では3dMAXです。3dMAXなのはエフェクトもアニメーションも効果的に作れるからなのかと思いました。日本は2Dアニメーションが主流で、エフェクトを使う事が多い。海外ではどのソフトが主流でしょうか?またどのソフトを使用するのがおススメでしょうか?」
(米岡)
海外で実写系であればHoudiniが主流です。3dsMAX、MAYAは少数です。日本のアニメエフェクトでMAXが使われているのは、キャラアニメ自体を3dsMAXでやるところが多く、エフェクトもモディファイアによるオブジェクトの変形ベースで作りやすかったり(スフィアにノイズをかけて煙にしたり、シリンダーにノイズをかけて雷にしたりなど)FumeFXのような手軽に使えるフルイドのプラグインで煙をシミュレーションしてAEで諧調を落としてセルっぽく見せる、などもよく使われているので3dsMAXが多いという印象です。
Chase Your Dream!
自分の夢を諦めず追いかけ続けてください。
夢がまだ明確ではない方々は、是非色々な事に興味を持って自分が何をしたいのかを探し続けてみてほしいです。
自分の人生を決めるのは自分自身です。夢を追いかけて、ひたむきに努力をし続けて夢を叶えてください。デジタルハリウッドで学ぶことでその第一歩となるのであれば、私たちスタッフも全力でサポートいたします。
デジタルハリウッドには、アニメ、映画、ゲーム等とにかくCGで表現することが大好き!CGを仕事にしたい!という同じ目的を持った受講生が日々学んでいます!デジタルハリウッドで学ばれている8割の方はクリエイティブ経験がない未経験の方です。同じ境遇、同じ目的を持った「仲間」と切磋琢磨できる環境もデジタルハリウッドの魅力の一つです!
是非夢を叶える第一歩を踏み出してみてください。
米岡さんにサインももらいました!ファシリテーター
千葉工業大学 工学部電気工学科卒業、デジタルハリウッド研究所研究生として、eAT KANAZAWAにて特別賞を受賞し退所後、フリーのCGデザイナーとして活躍。1.エフェクトとは
魔法、オーラ、花火などの火現実的なファンタジーー系の表現の総称。
デジタルハリウッドでも授業もあったりするのでHoudiniを使った作品も増えてきて。
元々は3dsMAXユーザーが集まって立ち上がった会社です。今後Houdiniの比率が増えていくと思います。
自分も今MAXからHoudiniへ頑張って移行している最中なのでデジハリさんでHoudiniの授業を受けられるのは羨ましいです。自分も入学したいくらいです(笑)
2.エフェクトの役割
竜巻、地震、怪獣によるビル破壊などの、災害、事故の出来事を再現できる。
アクション映画などでは作品のラストを
ド派手に締めくくる
役割。派手であればあるほど作品の格があがる。
3.ソフトについて
プローシージャル(※1)なフローが強力なソフト。ハリウッド標準。日本国内でもスタンダードに。習得が難しいがユーザー数が多いのでコミュニティが活発!エフェクトに必要な要素がすべてそろっている。
FumaFX、ThinkingParticles、TyFlow等プラグインが豊富。ただプラグインありきなので環境をそろえづらい面も。
Houdini、3dsMAXに押されエフェクト業界ではメインで扱うところは少なめな印象。ノードベースのBifrostは優秀なので今後に期待!業界で、そして大きなプロジェクトでは必須。
フリーソフトで最も勢いのあるソフト。プロの現場でも採用する会社も増えている。まだエフェクトの使用実績はそこまで多くない。ただしアドオンが豊富で今後注目
4.エフェクトを学んでからここが変わった!
草木の揺れや雲の形、質感、川の流れ、海岸の波打ち際等、日々起こることすべてが勉強になる。
ジェネラリスト的素養も見につくのでCGに対する全体的な理解度が増す。
5.StealthWorksについて
鋼の錬金術師三部作/シン・ゴジラ/KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV/サイレント・トーキョー/ガメラ30周年記念ムービー/Evangelion Another Impact など
大規模エフェクトって大中小のエフェクトの集合体なんですよね。
シーンを作るときに例えば何が必要かって考えるんですが、
煙・火花・炎・火の粉とか。スーパーバイザーがその要素ごとにタスクを振り分けて一つのシーンを作るって感じだったので。
日本ではあまり見ない光景だとおもいます。
ここをしっかり話しておくとスタッフはバラバラで作業してるけど、最後の絵にずれがでません。破壊エフェクトは中身を作らないと破壊の絵がおかしくなったりするのでモデラーさんとも連携しないと大事故になったりします。(笑)
6.エフェクトアーティストに求められるもの
リファレンスをよく見て正確に再現する力
重たいシュミレーションでも根気よく待つメンタリティー
魔法やエネルギー爆発など実際に見たことがないものを想像する力
ある程度の物理・数学・プログラムの知識
学生のうちにそこを意識してできていると苦労しないと思います。
チュートリアルをこなすことだけがすべてではないので、自分でこういう絵を作ってみよう!っていうのを意識できるといいと思います。
均等なエフェクトってなくてすべて均等に石がおちてくるとか。
よくリズムがって話をするんですけど、そういう気持ち悪さとか違和感とかに気づけると。
あとはいい映画を見るとか写真を撮る見る、とか。
3ヶ月くらい意識するだけで変わってくると思います。
7.エフェクトアーティストに求められるもの(海外編)
・デモリールに入れるものにはリファレンスも一緒に載せて比較してもらいやすくなる。
・若いころにした努力が結びついているものがある。
・手付アニメーションスキルが大事
「ILMってどんなショットやりたい?過労になってない?とヒアリングしてくれる。レベルの高い人が多いので参考にできる職場です!」
海外に出る敷居が下がってきているので海外に興味があるなっていう人は挑戦していってほしいです!
最後に
・いきなりスケールの
大きいものは作らなくていいので小さなものから
作ってみよう
・Houdiniむずかしいとおもったら3dsMAXとかMayaとかつかって
エフェクトに慣れ親しむ
ことからスタートしよう
・TwitterやFaceBookとか
SNSを活用
して先輩たちからアドバイスをもらおう
SNSは見てる企業さんも先輩も多いので。
ステルスワークスもTwitter経由で声かけること多いです。
連絡とって就職きまってるの?って聞いて「いや決まってなくてステルスさんに・・・」って。
じゃあきちゃえば?って声かけたり。(笑)
変な話うちにくる学生さんってクラスのNo1がくる!とかじゃなくて、一番って大手に進むって人多いと思うんですけど。
やる気はたくさんあるけど、なにからしたらいいかなっていってる学生ってポテンシャルすごい高いと思っていて。
色々やりたいことあるんだな、じゃあうちで勉強しようよ!って。
■質疑応答
るもの。爆発、破壊などその
ジャンルのツボを分かってる
見せ方が出来ているものですね。
チュートリアル丸写しのデモリールは一番警戒されます。
量の国産映画は暫く出てこないかも・・・曽利監督がステルスの破壊エフェクトの技術を前提に演出をしてくれたので破壊まみれに。シンゴジラのヤシオリ作戦も同様。
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