VFXとは

公開日:2025-07-05

VFXとは

VFX(Visual Effects/ヴィジュアル・エフェクツ)とは、実写映像に視覚的な効果(エフェクト)を加える技術のことです。映画やテレビ、CM、アニメ、ゲームなどの映像作品において、現実には存在しないものや、実際には撮影できないシーンを視覚的に再現します。

「視覚効果」の例

例えば以下のようなものが、VFXの代表例です:

  • 崩れ落ちるビル、爆発する車、舞い上がる煙
  • 魔法やエネルギーの光、空中を飛ぶ人物
  • 宇宙空間やファンタジー世界の風景
  • 同じ俳優が二役で同時に登場するシーン


これらの演出は、CG(コンピュータグラフィックス)だけでなく、実写映像の合成や加工を通じて実現されており、VFXというカテゴリに含まれます。

CGとVFXの違いは?

混同されやすいですが、CG(Computer Graphics)はコンピュータで描かれた画像・映像全般のことを指します。一方、VFXはそのCGやエフェクトを実写映像と組み合わせて、ひとつのリアルな映像作品に仕上げる手法を指します。

つまり CGは「素材」もしくは「要素」、VFXは「演出としての最終形」

VFXにはどんな技術が使われているか


VFXは、複数の工程・技術の組み合わせで成り立っています。

  • コンポジット(合成):実写とCGを組み合わせて一つの映像に仕上げる技術
  • マッチムーブ/カメラトラッキング:動く映像の中にCGを自然に馴染ませるための位置合わせ
  • グリーンバック(クロマキー)合成:背景を透過して別の映像に置き換える手法
  • シミュレーション:爆発・煙・水・布などを物理法則に沿ってCGで再現
  • デジタルマットペイント:写真や絵で作られた背景を映像に合成

映画だけじゃなくVFXの使われる場面


VFXは映画だけでなく、私たちの身近な映像にも多く使われています。

  • テレビCM:商品が浮かんだり、視覚的に派手な演出がされている場面
  • ドラマやバラエティ:合成背景やモザイク処理など
  • MV(ミュージックビデオ):幻想的な空間演出やCGキャラクターの登場
  • ゲームのムービーシーン:映画と同等のリアルさを持つ映像演出

身の回りの映像は、ほとんどが「加工済み」

現代の映像制作では、VFXを使わないことの方が少ないほどです。
たとえ爆発も魔法も出てこない日常シーンであっても、色味の補正や背景の加工など、目に見えないVFXが多く使われています。

VFX制作に使用するソフト

VFX制作では、工程ごとにさまざまな専用ソフトウェアが使われます。


コンポジット(合成)ソフト
実写映像とCG・エフェクトをなじませる作業に使用します。

Nuke(ヌーク)
→ 映画・CM業界の標準。ノードベースで高精度な合成が可能


After Effects(アフターエフェクツ)
→ モーショングラフィックスやテレビ・Web向けの軽量VFXに強い(レイヤーベース)

エフェクト/シミュレーション系
爆発・煙・水・破壊など、物理ベースの現象を再現します。

Houdini(フーディニ)
→ プロシージャルなエフェクト生成に特化。爆発・水・煙・破壊などで必須


EmberGen
→ リアルタイムで煙・炎などの流体を生成できる軽量ツール。ゲーム向けに人気

レンダリングエンジン
完成した3Dデータをリアルな映像として描画(レンダリング)します


Arnold(アーノルド)
→ 映画レベルの高品質レンダラー。Mayaとの連携が強力


Redshift(レッドシフト)
→ GPU対応の高速レンダラー。Cinema 4Dなどと相性が良い


V-Ray(ブイレイ)
→ 建築・CG業界で広く使われる高精細レンダリングエンジン

日本のVFXに強いプロダクション

日本はアニメが有名ですが、実写VFXやハイブリッド作品でも優秀なスタジオが活躍しています。


白組

映画『ゴジラー1.0』『STAND BY ME ドラえもん』などで有名
VFX・CGアニメーションの両方に強く、国内屈指の老舗
『ゴジラ-1.0』では第96回アカデミー賞「視覚効果賞」を受賞(2024年)


Spade and Co.

映画『キングダム』シリーズ(合成・エフェクト)、アニメ『ゴールデンカムイ』(実写パート含むVFXや映像制作)などリアリティに富んだVFX表現で、業界内でも高い評価を得ています。


デジタル・フロンティア
『今際の国のアリス』『シティーハンター』『幽☆遊☆白書』、ゲームCGムービー(バイオハザードなど)
実写+CG、ゲームムービーの分野で圧倒的な実績があります。

関連ワード

著者:デジタルハリウッド スクール 編集部