公開日:2023-07-01
「モーションキャプチャ(Motion Capture)」とは、カメラやセンサーを使い人間や動物の動きを取得してデジタルデータ化し、そのデータを3DCGキャラクターに反映することでロボットっぽさの無いリアルな動きを表現できる技術です。人物などの対象にマーカーやセンサーなどを取り付け、2台以上のカメラを使って3D座標を取得します。呼び方は「モーキャプ(mo-cap)」と略して呼ばれることもあります。
モーションキャプチャには「光学式」「機械式」「磁気式」「ビデオ式」「慣性センサ式」その他にも「Kinect(キネクト)」を使ったものなどあり、それぞれに長所と短所があります。
モーションキャプチャが使われるシーン
3DCGの映像制作現場では、映画やゲームなどに用いられるキャラクターのアニメーションなどに用いられています。その他にもリハビリテーションなど、医療における身体の動きのフィードバックの取得や、自動車など機械製品の挙動のデータ化や評価にも使われています。
最近では「Vtuber」と呼ばれるバーチャルキャラクターを使ってYouTube配信する人もなども増えており、このようなシーンでも応用されています。
モーションキャプチャを使った作品
2009年に公開されたSF映画、『アバター』をきっかけにモーションキャプチャの技術が注目されました。アバターでは、顔の表情や筋肉の動きまでも再現しています。これにより登場人物の感情まで感じることができ、それまでとは一線を画すレベルで仕上がっています。これは監督のキャメロン氏が作った「エモーション・キャプチャー」と言われる独自の技術です。
初期のモーションキャプチャの作例としては、磁気式を使った2001年リリースのホラーゲーム『サイレントヒル 2(SILENT HILL 2)』などがあります。
モーションキャプチャの現状
従来、モーションキャプチャを実現するには大規模なスタジオと、数百万円に及ぶ投資が必要でしたが、近年は機材の発達でこれまでよりは安価にできるケースもあります。それと同時に、生成されるデータの精度も発展しています。
今でも日本では、専用スタジオでモーションキャプチャを行うのが主流となっていますが、ハリウッドでは専用カメラなどの設備が無い本当の撮影現場でもモーションキャプチャが行える「iMoCap(Image Motion Capture)」と言う手法を用いる場合が多いです。これにより別撮りの必要がなくなることや、本物の役者との演技や共演などが可能になるため、非常に便利となっています。
身近になってきたモーションキャプチャ
最近ではiPhoneだけでモーションキャプチャできるiOS専用アプリ「ミチコン-VisionPose Single3D-」を『ネクストシステム』が無料で提供しています。スマートフォン1台で3Dの座標を取得できるため、気軽に体験できます。アプリにはグリーンバックの背景も用意されており、動画編集ソフトやライブ配信ソフトでクロマキー合成も可能なため、モーションキャプチャはより身近なものになっています。
また、先述にもあるようなVtuberの人気もあり、コンピュータのカメラで表情のトラッキングをすることのできるソフトウェアや、スマートフォンのカメラを使いリアルタイムでアバターを連動させてボイスチェンジまですることのできるアプリなどもあり、VR機器なども普及しています。