公開日:2024-08-26
【目次】
サーバーの構築方法とは?サーバーを作るために必要な基礎知識やポイントを紹介
ホームページやWEBサービスを作りたいと思い立ったら、まず最初に取り組むべきは「サーバー構築」ですね。でも実際どうやってサーバーを構築すればいいんだろうか、サーバの立て方を調べている時点で、挫折しそうになっている人も多いかもしれません。サーバー作り方は実は非常にシンプルですが、具体的な作業をする前に、今回解説するサーバー構築のポイントを押さえておくことで、構築作業で挫折したり、サービスインの段階になって後悔することを防ぐことができます。初心者の方が構築前に知っておくことをポイントごとに簡単に解説していきます。
サーバーとは?
サーバーとは簡単にいうとすると「情報を保存する箱」のことです。ネットワークを介し「情報・データ・サービスを提供するコンピューター」とも言えるでしょう。企業の顧客情報や購入情報・個人で運営するWebサイトの画面情報などの保存機能だけでなく、データベースの管理やセキュリティ担保の機能も果たしています。
サーバーの種類
WEBサービスを立ち上げる際に、どんなサーバーがあるのかを大まかに抑えておくと、自分のサービスに適したサーバーを選ぶことができます。一般的にWEBサービスを立ち上げるために知っておきたいサーバーは4種類です。
- レンタルサーバー
- クラウドサーバー
- VPS
- 専用サーバー
それぞれのサーバーに特徴があり、サービスごとに最適なサーバーというのは違ってきます。安易にレンタルサーバーを選んでしまうと、利用制限が厳しくて思うようなサービスが作れなかったり、ごく小規模なサービスなのに専用サーバーを選んでしまい、サービス規模に合わない料金を支払わなくてはいけなかったり、サーバーはサービスの形態や規模に合ったものを選びましょう。
サーバーの形状
サーバーには、主に3種類の形状があります。サーバーを導入する際は、構築するのに必要なシステムの大きさやサーバーをどこに設置するのかといった条件をふまえて形状を決めていきます。
①タワー型
タワー型のサーバーは、少ない台数で運用する小規模なシステムに向いている形状です。サーバールームが無いオフィスでも据え置きで少スペースで置くことができます。単体で設置するのが前提の形状のため、台数が増える場合はかさばっていくため注意が必要です。
②ラック型
ラック型はラックマウント型とも呼ばれます。タワー型と違い、複数のサーバーを組み合わせて構築する大規模システムに向いている形状です。多くのサーバーを効率的に収納ができるため全体の体積を小さくできます。機能を拡張したい場合は、サーバーの台数を増やしていくことが多いです。
③ブレード型
ブレード型は、システムを集約したい場合に有効な形状です。限られた場所に多くのサーバーを設置したいという場合はこちらの形状が適しています。電源や冷却装置をサーバー間で共有しているため部品数が少なく保守がしやすいといったメリットがあります。
ただし、タワー型・ラック型に比べ高額であるため予算の兼ね合いで導入が難しいこともあるでしょう。また、サーバー本体のサイズに業界標準の規格がないため、一度導入した後に何らかの理由で変更したいとなってもメーカーを乗り換えにくいというデメリットもあります。
サーバーを構築するための「サーバーOS」の種類と選び方
サーバーの種類を理解したら、今度はサーバーを動作させるためのOS(Operating System)を選びます。WEBシステムを作る上では、どのOSを選んだとしても問題なく構築できるため、サーバOS選びのポイントは、「使いやすさ」と「参考文献の多さ」でしょう。それぞれのOSについて簡単に解説していきます。
Linux系
Linux系OSは、最も世界に普及しているOSであり、ライセンスフリーで誰でも無料で利用できるというのが大きな特徴です。Linuxを操作するのに一般的な方法は、シェルによる操作です。シェルによってLinuxOSに様々な命令を送り操作します。コマンドを書いて実行する画面は、とても「エンジニアっぽい」ですが、慣れていない人にとっては、非常に分かりづらいと言えます。コマンドによる操作が難しそうという人は、WindowsのようなGUIの表示に対応しているものもあります。サーバーを触ったことがないという初心者にとっては若干ハードルが高いですが、インターネット上にたくさんの資料が落ちているため、しっかり読めば使いこなせるようになるでしょう。
Windows系
Windows系のOSは皆さん慣れ親しんでいますよね。レンタルサーバーやVPS、クラウドサーバーにインストールされている場合でも、あなたの普段使用しているパソコンのOSがWindowsなら、同じように使うことができます。初心者にとっては最もハードルの低いOSと言えます。インターネット上にもたくさんサーバー構築の資料が落ちていますが、Windowsは世代やサービスを提供している企業の初期設定によってGUI(グラフィカルな画面)のデザインが大きく異なっていることもあり、触りやすいですが、構築するうえで自分の悩んでいる問題への解決方法が見つけづらい場合もあります。
Unix系
Unix系と聞くと分かりづらいかもしれませんが、私たちが最も慣れ親しんでいるもので言えば、MacOSもUnixベースのOSです。使い心地は、ほとんどLinuxと変わりません。そもそもLinuxはUnixを真似して作ったものであり、エンジニアでも違いがうまく説明できないほど似ています。大きな違いはライセンスです。Unix系OSは商用ライセンスの縛りが厳しく、そのような背景もあって、ライセンスフリーのLinux系のOSが普及したんですね。
ここで一つ注意点ですが、普段私はUnix系のMacを使っているから、サーバーもUnix系のものを使うという考え方は、良くありません。Unix系と言ってもMacは非常にGUIの洗練された製品で、見た目も操作も美しいですが、それはMac独自の仕様であってUnix系に共通する特徴ではありません。基本的にはLinuxのようなコマンドをつかった操作を想像しましょう。
BSD系
BSD系OSを聞いたことがあるIT初心者の方はほとんどいないでしょう。BSDという言葉を聞いたことがあるという人は初心者ではないと言えるほどマニアックなOSということができると思います。BSD系はUnixから派生したOSでUnixのライセンスに関わる部分を削除・独自構築しライセンスの問題を解決したOSです。しかし、その普及率はとても低いため、初心者がサーバー構築するために参考となる資料はほとんど見つからないと考えておきましょう。あえてBSD系のOSを使ってみたいという人以外は、おすすめしません。
サーバー構築の流れ
サーバー構築の流れを紹介します。
サーバーは、大きく2つに分かれます。
・物理サーバー
・クラウドサーバー
物理サーバーの場合は、サーバーの場所の確保や設置作業が発生します。サーバーの設置に人手が必要なため人手の確保や余裕を持ったスケジュール設定が必要になります。
一方、クラウドサーバーの場合は、物理サーバーに比べスピード感を持って導入ができます。
クラウドサーバーは、主に以下2種類に分類されます。用途によって使い分けが必要です。
①PaaS(Platform as a Service)
PaaSには、最初からOS・ミドルウェアがインストールされています。ソフトウェアやアプリ開発が可能な環境を利用できるサービスです。
②IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSは、CPU、ストレージ、メモリ、OSなどが自由に構成できます。基本的なインフラを利用できるサービスで物理サーバーと同等の機能を持ちます。
今回は、クラウドサーバーの中でも、IaaS(Infrastructure as a Service)の構築方法を4つのステップに分けて紹介します。
①要件定義
まずは、必須工程である要件定義をします。要件定義は、構築のみならず開発でも必要な工程であり、サーバーの種類を問わず行います。プロジェクトの実行の前に、プロジェクトの要求をまとめ、システム要件として落とし込み、どのような作業を行うのかなど作業範囲を明確にします。サーバー構築の場合は、工程で発生するであろうリソースの確認などを行います。例えば、サーバーの利用用途や接続する端末は何台で、用途や接続端末数に対応するために必要なリソースはどの程度なのか、何が必要になるのかなどの洗い出しを行います。
②システム設計
要件定義の後は、その要件を実行するための具体的なシステム設計を行います。
必要なOSやCPU、メモリやストレージを通信データの種類を踏まえて決めていきます。必要なリソースが決まったら予算外になっていないかなどコストの算出を行います。
クラウドサーバーの場合は、一度決めた後でも必要であればリソースの増減ができる点がメリットです。
③構成図の作成
サーバー構築における構成図とは、設計図の役割を持ちます。システムの全体像を関係者間で共有したり、分かりやすくしておいたりするために図で表したものです。改修を行う際は、構成図があるととても便利です。構成図と一言でいっても複数の種類があります。
・ネットワーク構成図
ネットワーク構成図とは、ネットワーク上にあるコンピューターやルーターといった通信機器や端末同士がどのように接続されているかを図で示したものです。ネットワークトポロジーマップと呼ばれることもあります。
・サーバー構成図
サーバー構成図には、サーバーの役割や配置場所などが記載されています。
ネットワーク構成図とサーバー構成図でまとめてインフラ構成図と呼ばれます。新規でサーバーを構成する際に非常に重要な図表になります。
④サーバー構築
①~③まで完了したら、クラウドサーバーのコントロールパネルより操作を行い設定を完了させます。クラウドサーバーは、物理サーバーと違い物理的な購入や設置作業がなく、クラウドの操作のみでサーバー構築を完成させられるのがメリットです。
全ての設定が完了したら、クラウドサーバーにログインし起動を行います。何も問題が起きないのが確認できればサーバー構築は完了です。
サーバー構築のポイント
目的別のサーバー選び
自分の構築しようとしているWEBサービスが、どのようなサービスで、どのような目的があるのか、定義しておきましょう。
スペック(容量・処理速度)は利用者の規模・利用頻度を考えて決定する
多くの利用者がいて、利用頻度も多いようなサービスを構築する目的の場合、サーバーのスペックはそれに耐えうるレベルのものを選ばなくてはいけません。逆に小規模で少人数が利用するようなものは、それほどスペックにこだわる必要はなく、料金を重視して選ぶとよいでしょう。
OSは誰がサーバーを管理するかを考えて決定する
OSによって構築できるサービスが異なるということはありません。OSは誰がサーバーを管理するのかという観点で選ぶことをおすすめします。あなた一人で管理する場合、あなたが使いやすいOSを利用すればよいですが、複数人で管理する場合、Windowsでなければ分からないという人もいると思います。サーバー管理者となる人が、スムーズに作業ができるためのOSを選定するとよいでしょう。また前述したように参考情報がたくさんあるOSを選ぶと、初心者でも比較的早く操作方法を覚え、スムーズに管理ができるようになるでしょう。
セキリュティ
サーバーを立てる上で、セキュリティはとても重要な観点です。あなたの作るサービスが個人情報などの重要情報を管理する場合、特にセキュリティへの対策が必須です。セキュリティが甘く、情報漏洩すれば、莫大な損害賠償を払ったり、関係各所に様々な悪影響を及ぼしたりします。誰でもインターネットを使う時代だからこそ、セキュリティについては最も意識したいところです。基本的な対策としては、root権限の廃止、パスワードの複雑化やSSL通信の設定です。他にも契約するサーバーによって追加料金で様々なセキュリティ対策が可能となっています。
安定性
サーバーの安定性とは、主に2つの観点があります。
- 安定的なレスポンス
- 不足の事態への備え
「安定的なレスポンス」は普段のシステムの動作が、スムーズに行えているかという観点です。これはサーバーを提供している企業ごとや、サーバーの種類によって異なります。格安のレンタルサーバーを利用した場合など、他利用者の処理状態によって、あなたのサービスのレスポンスが影響を受けたりすることもあります。サーバーを契約する際は、サービスのレスポンスについても、しっかりと確認しましょう。
「不足の事態への備え」というのは、災害時や機器の故障への対応です。例えば、あなたの構築するサービスが、人命にかかわるような情報を提供しているシステムであった場合、機器の故障等でサービスの提供がストップすることは許されません。その場合は、普段稼働しているサーバーとは別に、予備のサーバーを用意したり、日次や月次ごとにバックアップをとっておく「バックアップサーバー」も必要になったりしてくるかもしれません。
あなたのサービスがどのような目的で構築されたものかによって対応が異なります。
サーバー構築について学ぶなら“デジタルハリウッド専門スクール”
デジタルハリウッド専門スクールでは、サーバー構築について専門的に学ぶコースのご用意はありませんが、サーバーについての基礎知識を学ぶのであればWebデザイナー専攻がおすすめです。実際にWebサイトを構成からデザイン、Webサーバーへのアップまで行います。基礎から学びWebデザイナーやWebクリエイターへの就職・転職を考えている方はデジタルハリウッド専門スクールの受講をご検討ください。
まとめ
サーバーを構築するにあたり、あなたの作りたいサービスがどのような目的なのかを明確にすることで、サーバーの種類や、OSの選び方、サーバーの立て方は異なってきます。サーバーの構築を始める前に、今回ご紹介した様々な観点で目的を整理し、サービスの稼働や運用にマッチしたサーバー構築を行いましょう。