公開日:2023-12-08
2DCGとは、「2次元の平面で描いたCG」のことを意味します。
2DCG(2次元コンピュータグラフィックス)は、奥行きの情報も持った3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)と区別する場合に用いられます。2DCGとは、PhotoshopやIllustratorなどで作成するCGのことであり、デザイン系で使用したり、Webサイトの素材として用いたりする場合があります。
また、3DCGにおいても画像をマッピングする際に使用するため、3DCGアーティストも2DCGの使い方を知っていることがほとんどです。今回は、2DCGデザイナーについて詳しく紹介します。
【目次】
2DCGデザイナーとは?
2DCGデザイナーとは、キャラクターデザインや背景、UIなど「Photoshop」や「Illustrator」といったデジタルツールを用いて平面のデザインを描くデザイナーのことです。
2DCGデザイナーは、キャラクターデザインや背景以外にも、産業用イラストや画像や図面、アニメーションも製作することもあります。「2DCGクリエイター」、「2DCGアーティスト」とも呼ばれます。
3DCGデザイナーとの違い
3DCGデザイナーは、基本的にポリゴンを用いて3DCG(立体)を制作します。一方、2DCGデザイナーはドットを用いて2DCG(平面)の制作を行います。
また、制作に使用するデジタルツールも異なり、3DCGデザイナーは3DCG専用のMayaなどのツールを用いるのに対し、2DCGデザイナーは基本的に「Illustrator」「Photoshop」や「Corel Painter」といった描画ソフトを用いることが多いです。
2DCGデザイナーの役割とは?
それでは、2DCGデザイナーの役割を具体的に見ていきましょう。今回は、大きく4つの役割に分けて紹介します。ただし、2DCGデザイナーだからこの4つの担当業務だけを行うという訳ではなく、制作会社では、2DCGデザイナー、3DCGデザイナーに問わずチームで制作を進めていくことが多いということは頭に置いておきましょう。
キャラクターデザインの担当
2DCGデザイナーがキャラクターデザインの絵を描くという役割があります。デザインだけではなく、アニメーションが必要になる場合もあります。アニメーションの方法は大きく2パターンに分かれます。
①GIFアニメのように作成する
1枚1枚、パラパラ漫画のように描いて動かす方法です。派手なアクションが求められるような格闘系のゲームではこういった手法が使われることがあります。
②パーツごとに作成する
髪や顔など身体をパーツごとに分け、必要な動作にあわせてそれぞれのパートを動かして作成する方法です。それぞれのパーツに分けることでキャラクターデザインを描く担当とパーツに動きをつける担当というように作業を分けることができるため、それぞれの担当業務に専念でき、効率良く進めることができます。
いずれの方法にせよ今ではゲームの世界観やターゲットにあわせ、2DCGデザイナーはキャラクターデザインだけではなくアニメーションのスキルも求められるようになってきています。
キャラクターデザイン以外の画像作成の担当
ゲーム中に出てくるキャラクターデザイン以外の画像作成も2DCGデザイナーが担当します。ここでいうキャラクターデザイン以外の画像というのは、一例としては、エフェクトです。エフェクトとは、敵にダメージや攻撃を行った際の波動や衝撃、魔法陣といった表現のことです。
3DCGで作成されている部分となじむように描く技術が求められます。また、カメラに対してどのように配置すれば自然に見えるかを考えながら作成を進める必要があります。
さらに、エフェクトだけではなくゲーム背景の担当も行うことがあります。
UI(ユーザーインターフェース)を担当
UI(ユーザーインターフェース)とは、ゲーム内のボタンやオープニング表示などの見た目のデザインのことを指します。基本的には、プランナーが考えた案を絵に落とし込んで表現することが多いです。アイコン、ステータスの画面や、ゲームの結果表示画面、文字や数字、字幕といった部分もUIに含まれます。
また、UIを作るうえでUXを加味したデザインに落とし込むスキルが欠かせません。UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、ユーザーにとっての視認性や操作性を良いものにすることを指します。
2DCGデザイナーは、UIやUXまで考えながらデザインを描く必要があるため、デザインスキルの向上は必須と言えるでしょう。
Web広告バナーなどバナー作成の担当
2DCGの担当が、ゲームの告知用バナーやWeb広告用のバナー作成を担うこともあります。特にソーシャル系の課金型ゲームでは、キャラクターやアイテムなどの課金度のようなKPIが設けられることもあり、KPI達成のためにはバナー作成も重要な仕事の一つです。ゲーム内に出てくるキャラクターやアイテム画像をそのままバナーに使用することでバナー制作をスピード感を持って進めることができます。
2DCGデザイナーの仕事内容とは?
2DCGデザイナーの代表的な仕事内容をいくつかに分けて紹介します。
①キャラクターのデザインやイラスト制作
2DCGデザイナーは、ゲーム業界で活躍していることが多いです。依頼をもとにゲームキャラクターのデザインやイラストの制作を行います。キャラクターだけではなくゲーム内に出てくるアイテムや武器を制作することもあります。仕様書を基に作成はしますが、ゲームの世界観にあわせてキャラクターデザインを行うことが必要になります。
②背景の制作
キャラクターデザイン同様に、世界観を崩さないよう背景デザインを制作します。ゲームのグラフィックのクオリティは近年上がっており、単純な背景だけではなく、時には背景に対してエフェクトをかけるなどクオリティの高い背景が求められています。
③UIの制作
ゲーム内のメニューやボタン等のUIデザインの制作を行います。今のステータスを表す際に表示される数字やアイコンなどの制作も行います。ゲームを操作するユーザーの操作性や視認性に関わるデザインになるため重要なデザインです。
④2Dアニメーションの制作
デザイン制作だけではなく2Dアニメーションの制作を行うこともあります。その際は、プログラマーとも連携を図りながら制作を進めることが必要になるためコミュニケーション力も必要です。
⑤バナー制作
時には、告知に使用する告知バナーやWebバナーの制作を行います。バナー広告で必要なキャッチコピーなどは別の部署から指定されることも多いですが、どのようなデザインであればユーザーの目を引くのか、読みやすいのかなどキャラクターデザイン以外にもデザインスキルが必要になります。
2DCGデザイナーの作業工程は変化を続けている
ゲーム機自体も進化し、ゲームのグラフィックデザインは進化し続けています。かなりの高解像画像も表示ができるようになりました。こういった進化に伴い、2DCGデザイナーの作業工程も変化しています。
以前は、画面全体の画像もすべてドット絵の技術で描かれていました。しかし、現在ではアナログ作業だけではなく、高解像な画像を描くために様々なデジタルツールが使用され作成されています。
2DCGデザイナーは、画像データの縮小化の作業が欠かせません。ゲーム機が進化し、ゲームソフトが大容量化するなどのハード面で進化があっても、常に画像データの縮小化を意識した作業が必要です。データサイズの縮小化の方法の一つに画像の減色があげられます。ソフトウェアはウェブテクノロジ社の「OPTPiX」シリーズが使われることが多いようです。
2DCGデザイナーの年収
求人情報サイトによると、2Dデザイナーの仕事の平均年収は約479万円です。
3DCGデザイナー、2DCGデザイナーともに平均年収にあまり差はないようです。
参照:求人BOX
実際のCGデザイナーの平均年収は、300~500万円と幅があります。これは、役職や持っているスキルによって平均年収に差が出るためです。
2DCGデザイナーのキャリアパスとは?
2DCGデザイナーのキャリアパスとして、3DCGデザイナーやアートディレクターがあります。CG制作スキルを磨き3DCGデザイナーとして活躍をする方もいます。また、CG、デザインスキルを身につけアートディレクターになる方もいます。アートディレクターは、スキルがあることが前提であり、基本的に実務経験がないとアートディレクターへのキャリアアップが難しい場合がほとんどです。ディレクター職は、チームの制作や作画の進行管理を行う責任が伴います。全体をまとめる役割も担うため、責任が伴う分、給与も上がるケースが多いです。
2DCGデザイナーになるには?
2DCGデザイナーになるには、デザインソフト(例 Photoshop、Illustrator)が使えるスキルが必須です。未経験から2DCGデザイナーを目指すことも可能ですが、まずはスキルの習得が必要です。実務経験が求められることの多い職種ではありますが、しっかりポートフォリオ(作品集)を持ってアピールすることで未経験から2DCGデザイナーになることも可能です。スキル習得のために学ぶ方法は複数あります。
・独学
・専門学校や大学で学ぶ
・デジタルハリウッドのような専門スクール
・オンラインスクール
必要な資格
2DCGデザイナーに必須の資格はありません。しかし、これからご紹介する資格を持っていることで一定のスキルを持っていることを証明することは可能です。転職の際に有利になる可能性もあるため持っていて損はありません。
・Photoshop®クリエイター能力認定試験
・Illustrator®クリエイター能力認定試験
・CGクリエイター検定
・色彩検定
必要なスキル・経験
2DCGデザイナーは、幅広いスキルや経験が求められます。いくつか項目に分けて紹介します。
・デッサン力
デッサンは絵を描くための基礎的なスキルです。必ずしもデッサンが上手くないといけないわけではありませんが、立体感、距離感を表現することができるスキルが求められます。
・2DCG制作スキル
2DCGを制作する際には、PhotoshopやIllustratorといったグラフィックデザインソフトを使いこなすことのできるスキルや経験が必要です。
・アニメーション制作スキル
PremiereやAfterEffectsを用いた映像編集やエフェクトの技術があると良いです。
・3DCG制作スキル
2DCGだけではなく、3DCGのスキルもあることで業務の幅が広がります。
向いている人
2DCGデザイナーになるのに向いている人の特徴をいくつか紹介します。
・複数人のチームでコミュニケーションをとりながら作業を進めることができる
・納期や締め切りを守って作業ができる
・デッサン力がある(基礎的な画力)
・人気のテイストや流行りを追うなど情報収集ができる
・得た情報を基に新しいクリエイティブを生み出すことができる
2DCGデザイナーを目指すなら“デジタルハリウッド専門スクール
2DCGデザイナーを未経験から目指すならデジタルハリウッド専門スクールがおすすめです。
デジタルハリウッド専門スクールは、大学生・社会人向けの専門スクールです。未経験から2DCGデザイナーを目指すことも可能です。全国約9万人の卒業生がクリエイティブ業界で多数活躍しています。
2DCG専門のコースは設けられていませんが、カリキュラムの中で2DCGも学べるCGのコースは複数あります。
その他にも身につけたいスキルや、将来のキャリアをうかがったうえであなたにあった最適なコースをご案内することも可能です。
まとめ
今回は、2DCGデザイナーとはどういった役割や仕事内容、年収、キャリアパスなのかといった内容をご紹介いたしました。3DCGが全盛期ではありますが、そもそも3DCGデザイナーも2DCGのスキルを持っていることが求められます。また、逆もしかりで2DCGデザイナーも3DCGの制作知識を持っていることで業務を進めやすくなります。
今後も2DCGのスキルは必須であり、活躍の場もあることが想定されますので、気になる方はまずは学習に取り組んでみましょう。