公開日:2023-07-01
近年では海外だけでなく日本でも盛り上がりを見せる「VR」。
「VR元年」と呼ばれた2016年から数年が経ち、VRの認知も高まっていますが、具体的にVRについて説明できる人、VRの仕組みなどを理解している人はまだ少ないと思います。
そこで今回は、VRについてしっかりと理解を深められるよう、VRの意味から仕組み、VRが各業界でどの様に活用されているか紹介します。
VR (バーチャル・リアリティ)とは?
VRの意味は?
VRとは「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」の略で、日本語では「仮想現実」と訳されます。
専用の「HMD(ヘッドマウントディスプレイ)」やゴーグル型の「VRゴーグル」を顔に装着し、映像や音響で視覚と聴覚を刺激することで作り出された“仮想の世界”であるにも関わらず、“本当にその場にいるような錯覚”、“現実と同等な体感”を得ることができる技術です。
人は五感から得た情報を脳が処理し感覚を得ていますが、その中でも特に視覚と聴覚から得ている情報が多く、さらに他の感覚と相互作用していると言われています。視覚と聴覚を刺激することで脳は他の感覚も補完し、錯覚・体感を起こすことができるのです。
VRゴーグルについて
おすすめのVRゴーグル5選
VRゴーグルの種類はPCやゲーム機とつなげる「据え置き型」、スマートフォンを取り付ける「モバイル型」、本体のみでVR体験ができる「スタンドアローン型」の3タイプに分けられます。
それぞれのメリットデメリットとおすすめVRゴーグルについてお伝えしていきます。
「据え置き型」VRゴーグル
メリット
据え置き型のVRゴーグルはPCと繋げることにより、PCが映像の処理を行います。そのため、高画質なコンテンツを楽しめるメリットがあります。
高性能なパソコンが処理を行い、VRゴーグルに映像を映し出すので、高画質なコンテンツを楽しめるのが魅力のタイプです。
デメリット
まずパソコンを用意しなければなりません。そのPCもVRを見るためにはハイスペックなPCが必要です。
そのパソコンとVRゴーグルをケーブルで繋がなくてはいけないため、やる場所を選びます。
「据え置き型」VRゴーグルのおすすめ商品
・HTC VIVE(エイチティーシーヴァイヴ)
HTCとvalveが共同開発したヘッドセットでvavleが提供するゲーム配信プラットフォーム「Steam」のVRゲームや「バーチャルキャスト」をはじめとした他社のVR関連サービスのVRを楽しむことがきます。
・PlayStation VR(プレイステーション ヴイーアール/PS VR)
ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) が開発しているヘッドセットです。PlayStation をもっていれば繋いで体験することができます。200以上のコンテンツがあるのが魅力で、VRはもちろんのこと、非VRコンテンツの映画などを楽しむこともできます。
※Oculus Rift(オキュラス リフト)は2021年に製造を終了しています
「モバイル型」VRゴーグル
メリット
スマートフォンとVRゴーグルがあれば手軽に楽しめ、価格も安価なのが最大のメリットといえるでしょう。
デメリット
一報でPCを使った据え置き型や、スタンドアローン型と比べるとVR映像の質が悪いのが欠点です。
「モバイル型」VRゴーグルのおすすめ商品
・ DSLON
DSLON社のVRゴーグルはスマホ用です。本体にスマートフォンを挟み込んでセットします。 スマートフォンをディスプレイとして手軽にVR動画を楽しめるので、まずは少しVRを経験してみたいという人にはこちらが良いでしょう。価格も三千円弱で購入可能です。
「スタンドアローン型」VRゴーグル
メリット
据え置き型と違いコードレスでプレイできるので自由度が高いのがなによりのメリットです。PCを用意する必要もありません。デバイス価格も2~3万程度で高画質の体験ができるのも魅力です。
デメリット
それなりに高画質で体験できますが、さらに高品質を求めようとしても、Steamなどのゲームはプレイできません。高品質を一番に考える場合は据え置き型のほうがよいかもしれません。
「スタンドアローン型」VRゴーグルのおすすめ商品
・OculusQuest2
Oculus Quest 2は、フェイスブック・テクノロジーのブランド「Oculus」が開発したOculus Questの後継となるヘッドセットです。2020年10月13日に発売開始し、対応アプリも豊富です。
Pico G2 4K
4Kの超高感度ディスプレイを採用したヘッドセットです。バッテリーを後頭部側に配置しており、ゴーグル部が軽いので長時間装着していても首が疲れません。コントローラーが1つのため、VRゲームなどの操作には向きません。高画質で映像コンテンツを楽しみたい方向けヘッドセットです。
VRの活用事例
VRゲーム
「PlayStation VR(PS VR)」を代表とする家庭用のコンシューマー向けものから、ここ最近はアミューズメント施設でより臨場感溢れる体験ができる「ロケーションベースVR(施設型VR)」が盛り上がりを見せています。
これまでは画面越しにあったゲームの世界に、実際に入ったような体験が得られるVRとの親和性は非常に高く、特に相性の良いシューティングやホラーといったジャンルで数多くの作品が誕生しています。VR市場の中でも最も大きな割合を占めるVRゲームは、今後さらに拡大していくでしょう。
スポーツでのVR利用
一般の方向けには360度動画が主流となっており、野球・サッカー・バスケットボールといった人気スポーツの試合をVR空間で観戦したり、選手の練習を間近で見たりと、VRだからこそ体験できるコンテンツがあります。さらに、VRゴーグルを装着して専用のマシーンでVR映像に合わせてエクササイズを行う「VRフィットネス」を取り入れたスポーツジムも登場しています。
選手向けには、実在する選手の計測データを取り込み「プレーをVR空間で再現しトレーニングする」といった活用方法などで導入しているチームもあり、スポーツの分野においてもVRは様々な形で活用されています。
VR広告
VR広告は、360度動画やVR空間内でコンテンツの一部として広告を表示させるタイプといったものがあります。
従来の広告よりも没入感の高いVR広告では、実際にその場にいるような体験や芸能人と会話をしているような、非日常的でありながらも一方通行ではないインタラクティブな体験ができるため、国内においても活用する企業が増えてきています。
VRコンテンツの作成にはコストがかかるという点や、VR機器の普及といった課題はありますが、アイデア次第では非常に効果の高い施策となるでしょう。
医療でのVRの使用
医療の分野でもVRは様々な方法で活用されています。
VR空間での医療機器を使ったリアルなVR手術シュミレーションといった利用や、名医の手術シーンをVR化し解説とともに手技を学ぶといったソリューションも登場しています。
VR技術を活用することで、手術の現場に直接立ち会わなくても同時に大勢の方が研修できるといったメリットもあります。
また、患者への説明もVRを用いることで理解を高めることできます。
VRは医療分野との相性が良く、医師と患者の双方において今後さらに活用が増えていくでしょう。
VRとAR(拡張現実)との違いは?
ARとは?
ARとは「Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)」の略で、日本語では「拡張現実」と訳されます。
スマートフォンやタブレットなどのデバイスを通して現実世界を見た時に、“CGや文字といったデジタル情報を付加する”技術です。
世界中で話題となり現在も人気の高いスマートフォン向け位置情報ゲームアプリ「ポケモンGO」や、自分の顔をリアルタイムにスタンプやメイクで加工できるカメラアプリ「SNOW」でもAR技術が活用されています。
MRとは?
MRとは「Mixed Reality(ミックスド・リアリティ)」の略で、日本語では「複合現実」と訳されます。仮想世界へ入り込むVR、現実世界にデジタル情報を付加するARに対して、MRは“現実世界と仮想世界を融合させる技術”です。
CGや3Dで作られた仮想のホログラムを、現実世界に実在するかのように投影させるだけでなく、触ったり操作することができ、同じ空間にいる人達は同時体験も可能です。
Microsoftが開発したMR用HMD「HoloLens(ホロレンズ)」で注目され、現在は建設・製造・医療などの分野で活用されています。
VRの仕組みは?
人間の目は左右で異なる角度から物体に焦点を当てて見ているため、左右で見え方が異なり両眼視差(ズレ)が生じています。両目で見ている場合、このズレを感じることはありませんが、これは脳が補正しているためです。この両眼視差を脳が補正することで、奥行きを知覚し対象を立体的に見ることができます。
VRの仕組みは、この原理を利用し左右それぞれ目に別々の画像・映像を見せることで実現しています。左目と右目それぞれに調整した画像・映像を用意し、専用のVR機器を通して見ることで立体的に見ることができるのです。
また、ハイエンドなVR機器では頭の動きや身体の動きに合わせて映像も動くようトラッキング技術が駆使されており高い没入感を得ることができます。
VRについて勉強する際のおすすめ方法
1.独学
最近はYouTubeなどの動画で学ぶこともできるので、見ながら進めていくのもよいでしょう。多少お金はかかりますが、オンラインスクールなどで勉強をすると、自分で進めながらも効率よく学べます。
2.本で学習する
VRの本は大きく分けてスキル系とビジネス系に分かれます。ビジネス系はVR業界全体の話や携わる人について書かれたものが多いです。
今後VRをビジネスにしていきたいという方向けの書籍は『VR for BUSINESS 売り方、人の育て方、伝え方の常識が変わる』です。株式会社アマナのVRチームが書いていることもあり、使用している機器なども具体的にかいてあるため、実践につなげやすいです。
今後VR制作をしていきたい人向けの書籍は『60分でわかる! VRビジネス最前線』がおすすめです。開発について書かれているので、仕組から理解したい人にぴったりです。
3.スクールで勉強する
VRの仕組を学ぶことと、VRで活用する中身の3DCGデータを作るための学びがあります。デジタルハリウッドでは、VRに使用するUnityというソフトの学習や、VRに使用する3DCGデータを作りこむためのMayaやZbrushといったCGソフトを学習することが可能です。
▼VRアーティストとして活躍している卒業生
伊東 ケイスケさん
今後VR市場は将来性はあるのか?
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社の「2023年までの世界AR/VR関連市場予測」によると、「世界のAR/VRのハードウェア、ソフトウェア及び関連サービスを合計した支出額は、2018年は89.0億ドル、2019年の168.5億ドルから2023年には1,606.5億ドルに達する見通しで、2018年から2023年にかけての年間平均成長率は78.3%」と高い成長が見込まれています。
さらに、「高速・大容量」「多接続」「低遅延」といった特徴を持つ新たな通信技術「5G」が登場し普及することで、高価なVR機器を使用しなくても良質なVRコンテンツの体験ができるようになり、VR市場も伸びることが期待できるしょう。
まとめ
以上、VRの意味から仕組み、各業界における活用方法や今後のVR市場についての紹介でした。
VRに興味を持つ人は多くいると思いますが、一般にまで広く普及したかといえばそうではなく、まだまだこれからの分野です。しかし、VRは私たちが夢にみた世界を実現させてくれる技術の一つであり、ビジネスの分野でも有効活用できることは間違いありません。
今後もVRの需要は増えていくことが予想されるので、まずは自分の興味のある業界や分野のVRに触れてみてはいかがでしょうか。