公開日:2023-07-01
動画クリエイターとは、「動画制作に関わる人材」のことです。
Youtubeや各SNSでの動画コンテンツの普及や、企業の動画活用の拡大に伴って、その存在は増え、より一般的になりました。
テレビ番組の制作に関わる各専門の人材や、CGデザイナーなども、広い意味では動画クリエイターですが、近年Web向けの小規模な動画制作案件が増加して、少数または1人で、編集や撮影、または動画制作全般を作り切る人が増えた背景から、そのような「1人で幅広く動画制作を行う人材」としてのニュアンスがどちらかと言うと強いでしょう。
この記事では、動画クリエイターの仕事の内容や、必要なスキル、なり方について、幅広く紹介していきます。
動画クリエイターとは?
前述の通り、動画クリエイターとは「動画制作に関わる仕事をする人材」を指しますが、特に、動画制作における幅広い工程・技術を、1人で担当し、制作を行う人材、というニュアンスは強いです。
個人として動画制作を受注して、全般に携わる人のことを「ビデオグラファー」と言うことも多いですが、そのようなニュアンスにも近いでしょう。ビデオグラファーというと「1人制作会社」という風に表現されることもありますが、小規模案件を1人でも受注できるような人材を指しますが、「動画クリエイター」というと、そこにさらに、YoutubeやSNSで自身のコンテンツを作り続けている個人も含むでしょう。
また、広い意味で捉えると、テレビ制作の各専門スタッフや、CGデザイナーなども含むと前述しました。「動画クリエイター」という職種を、この記事内であえて詳しく定義するなら、「動画全般の知見や技術を持ち、企画・撮影・編集・配信その他動画制作全般、または一部の業務を担当する人材」というところでしょうか。
次に、動画クリエイターの中には、どのような人材(役職)がいるのか、少し細分化して紹介いたします。
動画クリエイターの人材(役職)について:専門職
動画クリエイターの人材を細分化したときに、業務の一部のプロフェッショナルである「専門職」か、個人で幅広い業務を担当する「フリーランス」か、その2つに大きく分類し、そこからさらに分類して紹介します。まずは「専門職」の人材からです。
プロデューサー
動画制作の責任者であり、企画や予算・スケジュールに関して取りまとめ、顧客と主にやりとりを行う人材です。
ディレクター/アシスタントディレクター
ディレクターが企画に沿って、映像の細かい構成・演出を主に取りまとめ、ディレクターと、その補佐であるアシスタントディレクターが実際の制作進行の管理を行う人材です。
カメラマン
映像の撮影・機材の手配・管理を行う人材です。
エディター
映像の各種編集を行う人材です。
カラリスト
映像の色調整(カラーコレクション/カラーグレーディング)を担当する人材です。
CGデザイナー
コンピュータグラフィック(CG)を使用して、3Dまたは2Dの各種デザインを作成する人材です。
動画クリエイターの人材(役職)について:フリーランス
次に、個人で幅広い業務を担当する「フリーランス」の人材について紹介いたします。
ビデオグラファー
動画制作の企画・撮影・編集から納品までの一連の業務を個人で担当し、仕事を受注する人材です。
Youtuber
自身やチームによる動画コンテンツの企画・撮影・編集・配信を行い、収益につなげる人材です。
また、一部のインフルエンサーやライバー(ライブ配信者)という存在も、各SNSの動画機能を活用し、自身の動画コンテンツや各種商品の紹介レビュー等の投稿・ライブ配信を行っており、動画制作が仕事のメインではないですが、動画の作成・投稿や配信を介して収益を得ているという意味で、広い意味では動画クリエイターという立ち位置としても考えることができます。
動画クリエイターが制作する映像の種類は?
次に、動画クリエイターが制作する動画の種類について、紹介いたします。
まず、専門職として、様々なメンバーで比較的大規模な案件まで制作を行える場合は、テレビ・Web問わず、様々な動画を制作することができます。
フリーランスのビデオグラファー的な立場であっても、様々な職種のメンバーと案件ごとに協力したり、個人案件でも、規模感や企画内容の制約はありつつも、アイデアと実行力で幅広い動画を制作できると言えます。
制作する動画の種類について
- ブランディング動画
- 商品・サービス紹介動画
- 広告・プロモーション動画
- Webコンテンツ
- 会社紹介動画
- 採用動画
- 社内向け研修・セミナー動画 etc…
下記のリンクでは、様々な用途の動画について、解説しております。ぜひこちらもご覧ください。
映像制作・動画制作|制作フローや料金相場、学び方を紹介
動画クリエイターになるには?
動画クリエイターになるには、独学や専門スクールで学んで、就職や個人の仕事につなげていったり、アルバイトで制作会社で働きながらステップアップを目指すような方法があります。
就職や仕事につなげていくための勉強法について、紹介していきます。
動画クリエイターになるための勉強法や学び方
動画クリエイターとして、就職したり、個人の仕事を得ていくためには、ある程度の制作事例を作っておく必要があります。そのためには、企画・撮影・編集に関わる様々な知見・技術を効率的に勉強して、自主制作をこなしていく必要があります
独学で動画編集・映像制作を学ぶ方法
まず、独学で学ぶ方法についてですが、ある意味最も効率的に「自分の作っていきたい動画」を作るための近道だと言えます。YoutubeやWebサイト、書籍などは充実しており、検索力を駆使して、作りたい動画の各要素に関係するチュートリアル・技術解説に辿り着くことができれば、それによって得た色々な引き出しを組み合わせて、作りたい動画に近いものを作れるようになります。
「どのソフトが自分の作りたい動画に最適なのか?」「企画・動画マーケティング・シナリオの考え方とは?」「映像の色味の作り方・整え方は?」「このエフェクトの作り方は?」「整音の方法とは?」・・・
このように、色々と自分で、必要な知見・技術を細分化・分析・体系化できるような能力があれば、多少時間がかかるでしょうが、独学によってかなりの実力をつけることはできるでしょう。
アルバイトで動画制作会社で働きながら身に着ける
実際の仕事をすることが一番の上達の近道と言われることは多いように、現場のレベル感や緊張感の中で培える知見は、かなり役に立つものになると言えるでしょう。
ただ、制作やソフトの使用経験が薄い場合に、良い会社を見つけ、いい出会いがあるかどうかは難しい部分はありますし、会社の取り扱う案件によっては、知見が技術が一部に偏ることも考えられます。
専門学校やオンライン学習で学ぶ
独学やアルバイトで学ぶデメリットとしては、自身でよほど分析・検索していける力がなければ、なかなか体系化して幅広く動画制作について学ぶことが難しいということです。
専門学校やオンラインの教材を活用することで、一連の流れに沿って、体系化された内容を学ぶことが可能になります。
効率的に、仕事をする上で必要な技術・知見を高めることができるので、特に、早く仕事につなげたいと思う人にとっては、価値が高いと言えるでしょう。
動画クリエイターの月収・年収や依頼相場を紹介
動画クリエイターとして仕事をしていく上で、収入や案件の相場感に関しては気になるポイントだと思います。それらを簡単に紹介いたします。
動画クリエイターの月収・年収は?
例えばディレクターやアシスタントディレクターの場合、大手テレビ局か、下請けの制作会社かによって、大きく収入は異なります。
大手であれば、平均年収が1000万円を超える企業も多いですが、平均だと350万円程度というデータもあります。
フリーランスの収入としては、各個人の営業力や繋がり、受ける仕事の単価によって大きく変動するため、一概に言うことは難しいです。
例えばですが、15万円の広告動画案件を月に4本制作したとすると、月の売り上げが60万円となりますが、そこから様々な事業費として例えば20万円差し引くと、月40万円が実際の収入となります。単純計算を行うと40万円×12ヶ月=440万円が年収となります。
ただ、安定して案件を得られるようになるまでに、多くの場合ある程度は時間がかかることが予想されるので、多くの若手フリーランスは、これよりも低い年収で動いていることは多いでしょう。
逆に、単価の高い案件を効率よく受けられている場合は、収入も飛躍的に上がる、と言うことになり、それはフリーランスの醍醐味と言えます。
動画クリエイターに動画作成・編集を依頼する場合の相場は?
動画の種類・企画内容・ボリュームによって大きく前後しますが、企業案件としてフリーランスの動画クリエイターに依頼する場合、10万円〜80万円というところでしょうか。
基本的に撮影・編集など各工程の基本単価 × 所用時間という算出の考え方が基本のため、工程の多さや、所要時間の大小、クリエイターとしてのグレード(単価)によって、大きく異なります。また、撮影の機材グレードなどによっても大きく変動があります。
そのほか、Youtubeの編集とテロップ制作だけを行うような案件の場合、数千円〜数万円という低単価の案件も数多く存在します。
参考:
動画制作の発注費用の相場と、後悔しないための発注先選びのポイント
プロモーション動画制作の平均費用と料金相場【2021年完全版】
【2020年版】動画の制作にはどのくらいの費用が必要?相場を大公開
下記のリンクでは、「制作会社に依頼する場合」の相場感について、解説しております。ぜひこちらもご覧ください。
次からは、動画クリエイターとして働いていくために必要な様々な視点の解説を行っていきます。
動画クリエイターに向いている人の特徴
まずは映像クリエイターに向いている人の特徴の例について、いくつか挙げてみます。
映像や映画・アートが好きであること
映像制作は、様々な映像作品やアートの事例を踏襲したり、モチーフ・参考にして演出に取り入れることが多いため、日々映像やアートに触れることが苦でない方が向いていると言えます。
日々の情報収集や学習を継続できること
トレンドや新しい技術、使用する機材やソフト、ツールの進化などが、企画や撮影・編集業務に直結するため、日々情報を更新していける人が向いていると言えます。
数多いコミュニケーションが苦ではないこと
クライアントや、撮影・編集メンバー、撮影現場のキャストやメイクなど、案件や職種によってバラバラですが、映像制作には基本的に多くの人間が関わるため、基本的なコミュニケーションやチームビルディングについても日々考えていける人が向いていると言えます。
PCでの長期間の作業ができること
編集ソフトの使用、ExcelやPowerPointでの資料作成、Webサイトでの調査、そのほか様々なタイミングで、どうしても長期間PCに向かうことが多くなる仕事です。それでもあまり苦に感じない人は、向いていると言えるでしょう。もちろん、こまめな休息を取れることがまずは重要です。
動画クリエイターとしてフリーランスで働く場合の活動方法
次に、フリーランスとして活動を始めるときに、仕事を得るためにどのように動けば良いのか?という視点について紹介します。
行動例① 既に映像クリエイターとして活躍している人材とつながる
仕事の制作事例が少ない中で、新規に営業をかけるのは、なかなか厳しいと言えます。
既に活躍している映像クリエイターと繋がりを持つことができれば、うまくいけば協力関係になり、仕事を手伝ったり、仕事の相談があったり、ということが実現します。
まずは知り合いに、動画クリエイターで紹介してもらえる人がいないか探ってみたり、同じ地域で活動している気になるクリエイターに直接サイトやSNSで連絡してみることなどが、選択肢としてあるでしょう。
もちろん、最低限見せられる制作事例や、伝えられるアピールポイントなどがある前提です。
行動例② 知り合いの企業・知り合いの紹介で、動画制作・マーケティングのニーズがある事業者がいないか探る
営業をする上で、まずは動画ニーズがある事業者に効率的に提案していけることが重要になります。知り合いの事業者や、知り合いの繋がりからであれば、ニーズを把握することも比較的しやすいと考えられるため、可能であれば、知り合いの繋がりから探っていくことが選択肢となります。
行動例③ クラウドソーシングを利用する
クラウドワークスやランサーズといった、発注者と受注者のプラットフォームを活用して、案件を獲得していく選択肢もあります。
動画関連の案件を探すと、低単価のYoutube編集案件が数多くヒットしますが、中には比較的高単価の企業案件も多く存在します。高単価の案件は、競争率が高く、応募はできますが、制作実績が少ないと中々発注先として選んでもらえません。
どこまでの単価で仕事を受けられるのか、基準を設けた上で、効率的に案件を検索し応募していければ、1つの収入源になり得るでしょう。
行動例④ 業界を絞り、事例を作って営業していく
新規で営業を行う場合、闇雲に連絡をしても、なかなか仕事につながることは少ないです。
製造業であれば製造業、美容業界であれば美容業界というように、できる限り、得意分野であり、事例を作れそうな分野に絞りるのが良いでしょう。まずは事例をいくつか作り、その後、戦略や目標を立てて、新規で企業に連絡をしていくのが良いでしょう。
動画クリエイターになるための必須スキルについて
次に、映像クリエイター(特にフリーランスのビデオグラファー)にとって必須スキルと言えるものについて、いくつか紹介いたします。
動画編集・加工スキル
様々な動画編集に対応できるよう、カット編集やテロップ制作、モーショングラフィックス、実写合成など、編集・加工の基礎的なスキルは幅広く必要となります。
また、音声の加工・調整に関する知見についても、必ずといっていいほど必要となってくる分野となります。
撮影のスキル
キャストや商品、様々な被写体を適切に撮影していくための、カメラやレンズ、照明の基本的な扱い方・使い分け方や、カメラワークの種類や選び方といった知識や技術は必要となってきます。
資料制作・コミュニケーションのスキル(ディレクションスキル)
提案書や、絵コンテ、見積もり・スケジュール作成、請求書の作成など、資料作成ができることは必須です。
提案の要旨を口頭でうまく伝えたり、目的や趣旨に沿ってヒアリングや議論を進めていくための打ち合わせの進め方についても、様々な配慮や工夫を持って、日々精度や効率性を高めていく必要があります。
デザインに関する知見
フォント選定や、トンマナ・レイアウトの体裁によって、動画のクオリティが大きく左右されるため、動画制作にデザインの視点は必須です。
動画クリエイターの仕事には欠かせないソフト5選
次に、動画クリエイターの仕事に欠かせないソフトについて、いくつか紹介いたします。
動画編集ソフト
動画のカット編集やテロップ入れ、色調整(カラーグレーディング)などの基本的な編集を行えるソフトはもちろん欠かせません。「Adobe Premiere Pro」や「DaVinci Resolve」などが挙げられます。
下記のリンクでは、動画編集のおすすめ人気ソフトについて、数多く解説しております。ぜひこちらもご覧ください。
エフェクト・VFX制作ソフト
モーショングラフィックスや各種エフェクト、VFXに特化したソフトがあれば、映像加工の効率化に繋がったり、表現の引き出しが広がります。「After Effects」などが一般的なソフトです。
デザイン作成・加工ソフト
素材である写真やイラスト等の調整や新規作成にあたっては、デザインソフトを使用することとなります。「Photoshop」や「Illustrator」などが一般的なソフトです。
写真レタッチ・RAW画像現像ソフト
動画撮影を行う現場で、場合によっては動画だけでなく、合わせて写真も依頼を受けて扱うことは多いです。
撮影した写真のレタッチには、専用のソフトが必要になります。「Lightroom」や「Capture One」などが一般的なソフトです。
スケジュール・タスク管理ツール
工程が多く、複数の案件が並行して動くことが多い映像制作の仕事では、個々人・チーム全体それぞれで、うまくスケジュール・タスク管理を行っていくことがかなり重要なことです。
Excelなどで独自にフォーマットを作って管理することも可能ですし、オンラインのツールを使用して、管理することもおすすめです。
まとめ
ここまで、動画クリエイターそのものの紹介や、収入や案件の相場感、勉強のポイントや、仕事をしていくにあたっての様々なポイントについて解説をしてきました。
この記事が、今後動画クリエイターになっていく人・検討している人とって、「どんな仕事を得ていきたいのか?」「どのような道筋で目指していきたいか?」ということを考える助けに、少しでもなれば幸いです。
動画の担い手は、ここ数年で飛躍的に増えていますが、幅広い視点を持ち、精度の高い提案や演出ができる人材は限られています。クオリティと効率性を高めながら仕事や学習を継続した経験は、他の動画クリエイターとの差別化へ繋がり、さらなるより良い仕事へつながっていくことでしょう。