映像制作・動画制作|制作フローや料金相場、学び方を紹介

公開日:2023-07-01

テレビCMに留まらず、YoutubeやSNSなどWebでの動画活用が広がり、ブランディングやマーケティング・PRにおいて動画制作を行うことが一般化している中、自社PV・CMを制作して活用していきたいと思っている方は多いことでしょう。

そんな中、どんな制作フローや金額の相場感で動画制作が行われているのかは、とても気になるポイントだと思います。

この記事では、動画制作の主な流れ、料金の相場感について、そして映像制作・動画編集の学び方についても合わせて紹介いたします。

映像制作(動画制作)の主なフローと、その詳細について

まずは動画制作のフロー(流れ)について、紹介していきます。

実写かアニメーションか3DCGか、Youtube案件かCM案件か、など状況によって細かくは異なってくるものですが、主なものとしては、以下のようなフローとなります。

  1. ①ヒアリング・打ち合わせ
  2. ②提案(企画書・見積もり・スケジュールの作成、提案)
  3. ③企画・構成(絵コンテ・キャスティング・ロケハン)
  4. ④撮影(撮影準備、撮影)
  5. ⑤編集
  6. ⑥MA
  7. ⑦納品

各フローの内容や参考の制作期間について、説明していきます。

①ヒアリング・打ち合わせ

目安期間:お問い合わせ・案件相談 ⇒ 数日後に打ち合わせ1日 ⇒ その後の議事録共有や擦り合わせに2日〜1週間程度

※記事内で参考に紹介する「目安期間」は、実際の作業にかかる時間ではなく、スケジュールを大まかに考える上での、1日単位の期間となります。

動画制作の依頼が発生した際に、まずは、詳細な内容のヒアリングが必要になります。

クライアントが動画制作が必要になった背景や課題・目的、想定するターゲットや露出先(掲載先)・予算感や公開希望時期・企画のアイデアや方向性などに関して、できる限り詳細にヒアリングを行います。

その後、議事録としてまとめて共有し、不明点の解消や、確認が必要な点の擦り合わせるを行い、その後の提案につなげます。

②提案(企画書・見積もり・スケジュールの作成、提案)

目安期間:初回ヒアリング後、1週間〜2週間後に提案の打ち合わせ1日 ⇒ その後の議事録共有や擦り合わせに2日〜1週間程度

初回のヒアリング・打ち合わせで確認した内容を元に、企画の提案書・概算の見積もり・公開までの大まかなスケジュールをまとめて、クライアントに提案を行います。

絵コンテなど詳細の企画構成については提案や予算が通った後に行うことが多く、この段階の提案では、課題・目的・仕様等の整理(与件整理/要件定義)や、競合や市場トレンドの調査データや、企画構成のコンセプト・方向性などを資料にまとめて、概算見積もりやスケジュール感と合わせて提示を行います。

提案した内容や予算が通った場合、契約書や発注書の手続きを行い、その後、詳細な企画構成段階に入ります。

③企画・構成(絵コンテ・キャスティング・ロケハン)

目安期間:1週間〜数週間

提案段階で決めた企画に沿って、詳細内容を詰めていく段階です。

この段階で、必要な映像カットの視覚的な情報と、各カットの説明・テロップ・セリフなどについて説明する資料である絵コンテを作成して、内容を具体化することが多いです。

案件によっては、視覚情報はなく、文字だけで映像の内容を説明した文字コンテだけの場合や、作成しない場合もあります。

そのほか、必要なキャスティングの確認・手配や、撮影場所の選定や、撮影場所の下見・確認(ロケハン)といったことも、必要になってきます。

また、デザインや CG 、アニメーション、ナレーションなど、別途必要なメンバーの手配も、この段階で行うことが多いです。

④撮影(撮影準備・撮影)

目安期間:撮影準備に1週間程度 ⇒ 実際の撮影は1日〜数日にかけて

絵コンテやキャスティング・撮影場所についての、クライアントの承認や、手配が完了したら、実際の撮影に入ります。

準備としては、必要機材の手配や、細かい撮影手順を時系列に沿ってリスト化した資料である「香盤表」の作成・共有などが必要となります。

本番の撮影では、作成した香盤表に沿って撮影を進めていきます。天候や様々な状況により問題はつきものとは言えますが、できる限り、遅延や、キャストの余計な待機が発生しないように進めていきます。

また、別途デザイン・イラストや、CGの素材が必要な場合、編集段階までに制作を行って、クライアント確認を済ませておきます。

⑤編集

目安期間:2週間〜数週間 ⇒ その後、試写や修正期間を1週間程度

撮影が完了したら、撮影した映像と、各種素材(企業ロゴや、テロップ、そのほか別途制作したデザイン・イラスト・CG等)を組み合わせて、編集を行います。

映像の方向性や素材の内容によって、映像の加工・調整の量が増減し、編集は案件によって大きくの作業量が異なります。

また、「編集」と一口に言っても、色調整(カラーコレクション/カラーグレーディング)、カット編集、テロップ入れ、合成(VFX)・エフェクト作成、など多岐に渡り、映像の内容によって必要な工程が異なります。

編集が完了したら、クライアントの確認(試写)と、修正期間に入ります。映像の細かい意図や、修正の方向性などを、その場で口頭で説明・確認するために、クライアントと直接一緒に確して、フィードバックをもらうことも多いです。

⑥MA

目安期間:録音当日に1日 ⇒ 調整に数日〜1週間程度

編集の内容が固まったら、各種音声データの繋ぎ込みであるMAの工程に入ります。

大きな案件であれば、スタジオを借りて、クライアント立ち合いのもとナレーションを収録することもあります。小規模な案件や、Youtubeなど案件によっては、ナレーション自体がなかったり、音声用にスタジオは借りずに収録を行うことも多いです。

そのほか、BGMや効果音の挿入を行い、クライアントの最終確認を行います。

⑦納品

目安期間:編集・MA完了後、数日程度

編集・MA含めて、クライアントによって全て承認されたら、納品を行います。

取り決めた通りのデータ形式で、データの送付を行い、案件が完了となります。

映像制作(動画制作)する上でどのような用途の動画があるのか

これまで、動画制作のフローについて説明してきました。映像や動画と言っても、その目的や用途には様々なものがあります。

ここでは、主な動画の種類について、いくつかを簡単にご紹介いたします。

ブランディング動画

企業やサービス・ブランドの認知やイメージ向上のために、コンセプトを映像化したものです。すぐに売りに繋げることは重視されず、比較的柔軟な体裁で、コンセプトやターゲットに沿った企画やデザイン、キャスティングが行われます。主にTV・webのCMなどで利用されます。

商品・サービス紹介動画

商品・サービスの価値・用途を具体的に説明し、顧客の理解を深めるためのコンテンツです。

実写映像とテロップがメインだったり、インフォグラフィックスのアニメーションなどの体裁があります。主に自社のサイト・Youtube・SNSなどで利用されます。

広告・プロモーション動画

露出を広げて新たな顧客を獲得したり、既存顧客への認知を再度広めてリピーターへ誘導したり、販売促進のための広告として活用されるコンテンツです。主に各種広告媒体で利用されます。

Webコンテンツ

自社のYoutube・SNS・サイトでの発信に特化したコンテンツです。番組風に編集して企業や商品の理念や価値を伝えたり、タレントやインフルエンサーを活用して、商品紹介やレビューをコンテンツ化したり、商品・サービスの特性やトレンドに合わせて様々な体裁で制作がされます。

会社紹介動画

顧客や関係者へ向けて、会社の事業概要や理念・雰囲気などを伝えるためのコンテンツです。

理念や言葉を文字だけでなく映像として視覚・聴覚的にまとめることで伝わりやすくなるメリットや、店舗や施設の内部、社員の働く姿を直接見せることで、内部の設備や雰囲気まで伝えることができ信頼感が高まる、というメリットがあります。主に自社サイトでの掲載や、各種会社説明会で活用されます。

採用動画

企業が新卒・中途の採用活動を効率的に行うために、企業のビジョンや事業概要、各職種ごとの社員紹介などを動画にまとめ、就職・転職活動を行う人に対して認知を広げたり、必要な情報を届けるためのコンテンツです。採用サイトや、会社説明会で活用されます。

社内向け研修・セミナー動画

企業の内部で使用される社員向けの各種コンテンツで、新卒研修・昇格者研修・コンプライアンス啓蒙・各職種向けの技術向上のセミナー、などの各種研修・セミナーをオンライン上で行うための動画です。主に企業の内部サイト(イントラネット)上にて掲載されます。

映像制作(動画制作)における料金や相場は?

次に、動画制作にかかる料金の相場感についてご紹介いたします。

動画に関わらず、Web制作・システム構築・デザインなど、クリエイティブやシステムの業界において、基本的には、「単価×工数」という考え方で見積もりが行われ、金額が算出されます。

各人材の職種やグレードによって設定されている基本単価が会社ごとにあり、どんな職種やグレードの人材が、何人、何日間動くのか、という考え方・計算の仕方です。

機材に関しても同様に、機材グレードにより設定された基本単価×使用期間という考え方で算出されることが多いです。

企画構成やディレクション、撮影準備や実際の撮影、編集やMAなど、前述の映像制作の工程それぞれにおいて、様々なメンバーや機材が関わり、それらの工程別に算出されたものを合算して、金額が提示されます。

どこまで内訳を細分化して見積もりが提示されるかは会社によって異なるため、なかなかその内情は見えませんが、映像の種類やボリューム感から、ある程度は、相場感の幅というものは大まかに掴むことはできるでしょう。

テレビCMの相場感

金額の相場感についての情報は、調査元や情報サイトにより出ている情報がまちまちな通り、金額の振れ幅は大きいと言えますが、キャスティングやメディアでの放映料を除いた、中小企業向けの実写CM制作費の目安としては、40〜300万円程度ではないでしょうか。(例:企画費・ディレクション費・撮影費・機材費・編集費・MA費)

※よほどの機材グレードや、目新しい企画や撮影手法、かなり有名なクリエイターの多数起用など、企画によっては目安に関係なく無尽蔵に予算は上がってはいきます。

カメラやスタジオのグレードや、クレーン・ドローンといった機材のレベルにより大きく変動するほか、撮影に大勢の人材が関わることで撮影費が増加したり、著名なクリエイターの起用によって企画・制作費が大きくなったりします。

また、ここでは除いていますが、キャスティングや放映料によって、変動がかなり大きくなります。

各種Webムービーの相場感

会社紹介や、プロモーション動画などの各種Web用ムービー制作の相場感ですが、こちらも調査元やサイトにより出ている情報はまちまちですが、目安として、15万円〜200万円程度ではないでしょうか。(例:企画費・ディレクション費・撮影費・機材費・編集費・MA費)

低価格のスタジオで撮影した実写映像にテロップを組み合わせたような商品紹介ムービーや、特別なセットなどが不要のイベントムービー等であれば、低予算でも実現可能ですが、スタジオセットを作り込むようなブランディングムービーの場合は、スタジオ費用や、撮影関係者の数が増えたりして、費用は大きくなるでしょう。

Youtube動画の相場感

例えばYoutuberの動画制作として、撮影はYoutuber本人が行い、編集だけをフリーランスに発注するような場合、参入が個人でも簡単な反面、数千円程度〜数万円というかなり少額での依頼が多いのが現状です。

対して、企業の案件として「企画・撮影・編集」までを行う場合は、中には10万円程度からの格安な見積もりを出してくれる企業もあるでしょうが、基本的に算出の仕方としては他の各種Webムービーと大して変わらないため、同じような金額感になるといえるでしょう。

個人に依頼する場合

繋がりのある個人事業主や、クラウドソーシング(ランサーズやクラウドワークスなど)の仕組みを使用するなどで、企業に発注するよりもかなり金額を抑えて制作を行える場合があります。

どこまでの実績や知見、対応力があるのかといった判断には難しいものがありますが、ケースバイケースでフリーランスの人材を活用する選択肢もあります。

また、特にテレビCMの場合は、Web動画に比べて納品のフォーマットなどがシビアに規定・管理されるため、個人への依頼の場合はどこまで規定に合わせ制作・納品を行ってもらえるかの判断が難しいと言えます。

そのほかの金額の算出方式について

上記で説明した以外に、工数計算による基本金額と併せて、広告の成果や売り上げの数%をインセンティブとして受け取る、といった契約方式も一部存在します。その場合は、どのように成果を算出するのか?詳細な計測数値をどこまで開示してもらえるのか?という視点も必要でしょう。

映像制作(動画制作)における最新動画手法をご紹介

最新の技術やトレンドを取り入れた様々な動画手法についても、活用していくことの可能性は大きいです。ここでは、いくつかの動画手法を紹介いたします。

VR・AR

VRを使用したゲームや、ARを活用したアプリなどが浸透して久しいですが、まだまだ活用や発展の可能性が大きい分野です。

映像の単なる視聴ではなく、「体験」できるコンテンツとして、今後様々なアイデアでプロモーションにも活用されていく分野だと言えます。

ドローン・FPV

ドローンは、DJIの製品など低価格で多く展開され始めており、企業・個人を問わず活用が広がっています。

小型で小回りの効くドローンであるFPVドローンも、映像作品での使用がされることもあり、独特の臨場感が楽しめる映像づくりのアイデアとして、今後も選択肢として広がっていくでしょう。

パーソナライズド動画

ユーザー一人一人の属性や閲覧履歴・購買行動などに合わせて、個別の動画を表示することができる機能で、顧客のデータベースから一部の情報を動画内の一部に表示する、という仕組みです。

ユーザーの名前を動画内に表示させたり、閲覧・購入などの行動履歴から表示するコンテンツや商品を個々人で変化させたりすることができ、今後より活用方法が広がっていくことが予想されます。

映像制作(動画制作)会社の選び方のポイント

次に、動画制作会社を選ぶ上で、重要になるポイントについて、簡単に紹介いたします。

目指す動画に近い制作実績があること

依頼を検討している制作会社に、目指すイメージに近い動画がある方が、安心して依頼できるということはいうまでもありません。実績ができる限りは多く掲載されている制作会社、その中でも目的にあった事例がある制作会社を優先的に選ぶのが良いでしょう。

提案のクオリティ

制作会社の実施した提案内容について、動画制作を行う背景・目的が理解されており、課題解決に繋がっており、ターゲットとの親和性も感じられる、というような、論理的な企画になっているかどうか、というポイントをチェックすることは大切です。

また、表現・演出の方向性が分かりやすいことや、見積もりや納品までのスケジュール感が分かりやすく示されていることも、齟齬がなくスムーズな制作を進めていく上で重要な視点となるでしょう。

金額感が合うかどうか

どんなに企業やサービスにあった企画だとしても、希望する金額感と見積もりがかけ離れていては、実現することができません。可能な予算の範囲内で、適切な企画を実施してもらえる制作会社かどうかを判断する必要があります。

映像制作(動画編集)を学ぶには?

近年、動画撮影・編集がより一般化したことや、動画市場の発展に伴い、独学する環境や、スクールの選択肢が充実する状況となりました。

Youtubeでのチュートリアルや書籍は豊富に存在するので、ある程度の知識や技術であれば、独学だけで学ぶことができる一方で、体型的な学びや、学習の進め方の相談やつまづいた際のサポート、横のつながり、というようなポイントで、スクールに通うメリットは大きいです。

まずは、ネットで解説を調べたり、書店で様々な本を探して、独学でどこまでできるのかチャレンジしてみて、並行してスクールに通うメリットも検討してみるのが良いでしょう。

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まとめ

動画制作のフローや、大まかな料金相場、学び方のポイントについて紹介してきました。

動画制作を行う人材・制作会社が増加したり、動画を学ぶ環境が整っている今、制作会社に発注するという選択肢だけでなく、動画制作やマーケティングが得意な人材の採用を検討してみたり、社内で動画制作を行える人材を教育する方向性を探ったり、様々な方法を検討することができると思います。もちろん色々検討してみた上で、やはり制作会社に依頼するのがベストだと判断するのも1つの正解だと思います。

動画の技術・トレンドや、動画制作・マーケティングに関わる人材のあり方については、日々変化していくものです。動画を事業にどのように活用していけるのか、日々柔軟に探っていく姿勢が、大切なことです。

著者:デジタルハリウッド スクール 編集部