ヨルシカMV制作”ぽぷりか”氏
特別ライブ授業開催レポート

公開日:2022-07-01

 

今回は7月31日に開催した、ネット動画専攻特別ライブ授業の様子をお届けします!

 

「YouTubeは見る専門…だけど自分でも作れたら格好良いな…」

「やってみたいけど未経験でも業界に入れるの…?」

とお悩みの方におすすめの ネット動画クリエイター専攻 。未経験から4ヶ月間であらゆるプロのノウハウを伝授するコースです。

さまざまな特別講師が登壇する ライブ授業 では、業界のトレンドや映像編集のテクニックなどに加え、講師の経験も聞くことができる貴重な場になっています。

 

そんなライブ授業に、今回はなんと『ヨルシカ』のMVなどを手掛けている人気アニメーター”ぽぷりか”さんがデジタルハリウッド初登壇!自身の経験を交えながら、映像制作の魅力、未経験から業界にチャレンジするポイントを語っていただきました!


ぽぷりかさんってこんなひと

映像制作チームHurray!代表。

2011年から映像制作を始める。思春期、青春感のあるモチーフを特に好み、 カタルシスによる魅力を重視した手描きアニメーション作品や3DCGを併用したモーショングラフィック作品を制作する。
企画提案からコンポジット、手描きアニメーション、イラスト、3DCG、楽曲制作(簡易なもの)、撮影まで一通りこなす。


CM
クリーム玄米ブラン「新しい朝」篇
三井住友VISAカード バンパーCM「日本篇」

MV
ヨルシカ「ただ君に晴れ」「だから僕は音楽を辞めた」
伊藤歌詞太郎「僕たちに似合う世界」
THE SxPLAY(菅原紗由理) 「君とこの空の下で」
角川つばさ文庫『少女マンガじゃない!』販促用PV など。

WEB:http://hurray.fun/#_works
Twitter:@POPROQ



ダメならダメで諦めがつく。挑戦してみないと始まらない

スタッフそもそもなぜモノづくりに興味をもったんでしょうか?


ぽぷりか氏ちゃんとモノを作ろうと思ったのは高校3年生の時です。 子供のころは絵を描くのが好きで楽しかったけど、これを仕事にしようとは思わなくて趣味でできればよかった んです。中学の時には先生からバカにされたことがすごく嫌で、勉強を頑張ったこともあります。その結果進学校に入りましたが、勉強についていけず2年生で高校を休みがちになりました。その時に『ニコニコ動画』で見たある動画がすごく自分の心に刺さって、「なんかやろう」と思ったのが大きなきっかけです。休みがちだった1年間で、 本当にやりたいことを人生の中心に置かずに生きていくのはキツイ なと感じ、『一回挑戦してみよう。ダメならダメでいいや』って思って美大を目指しました。


スタッフ:最初は趣味から始まったものが、今では仕事になっているということですね!

 

スタッフ:美大を目指すなかでなぜ『映像』の道を選んだのでしょうか。


ぽぷりか氏:目指していた美大の一次試験がデッサンで、二次試験が色彩構成でした。色彩構成の試験は「自分の頭にあるイメージをさまざまな色で表現し画面に書き、先生にプレゼンする」という内容だったんですが、それがめちゃくちゃ苦手だったんです。良い絵と面白いことを両方伝えたかったけど、説明的になって絵が悪くなるし、絵を良くしようとしたら伝わらなくなってどうしたらいいか分からなくなってしまって。その時に 1枚じゃなく4枚くらいの連作にさせてくれたら伝えられるのに…って思いまして。じゃあ絵ではなくて「映像」で表現すればいいのではと感じ大学に入ってから映像制作を始めました。


スタッフ:苦手な状態で諦めず、どうやったら伝えられるか?と考えることは大事ですよね。その後、実際に映像を作り始めていつごろから軌道に乗られたんでしょうか。


ぽぷりか氏:正直めちゃめちゃ苦労したっていう時期はないんですよ。 美大1年生の時、無名で宣伝もないのに、本当にたまたまニコニコ動画でランキング1位を取ることができました。その時「やばい。才能あるわ」って勘違いできたのがよかったと思います。自信にも繋がりましたし、本当に運がよかったです。 それ以降大学生の時にわかりやすく伸びた!っていうのはなかったですが2位は何回か取っていました。もう1回周りに見てもらえたのは、現在の映像制作チーム(Hurray!)を作ったときで、ヨルシカさんのMVでさらにドン!って感じでしたね。

 

スタッフ:自信を持つきっかけがあるとモチベーションにも繋がって良いですね!

 

映像制作を通じて自分の成長も実感できる

スタッフ:映像の大変なところを教えてください。


ぽぷりか氏:想像力を補う作業は大変です。頭にある良いものを描きたいのに自分の右手が邪魔するんだ~!ってなるのは間違っていると思っていて。 頭の中にイメージできてないから描けないんじゃないか と思うんです。頭の中に描いてるのってめちゃくちゃ漠然としていて、でも想像の中ではすごくイイものに感じるんです。ただ、漠然としているから実際に描いてみろよって言われたら描けないし映像にしてみろよって言われてもできない。 映像を作るときに大変なのは本当に頭の中にできているイイものクラスにまでアウトプットをもっていくこと ですね。

 もし、そこでつまづくなら一旦出力してみるも大事だと思います。ダサいな、すごくかっこ悪いな、頭の中にあるものはもっとかっこいいのに、、、ってなった時にどこがどう違うんだろう。今、目の前にあるものと頭の中にあるものってどうゆう差異があって、どうやれば頭の中のイメージに至れるんだろうって考えていく作業がめちゃくちゃ長くて大変です。自分自身もMV1本作るのに3か月くらいかかっていますが、その半分は最初の絵作りをやっています。


スタッフ:イメージを固めるためのインプットと、それを形にするアウトプット両方が大事ということですね。では反対に、映像の楽しいところを教えてください。

 

ぽぷりか氏:すごく大変なのがそのまま楽しいに直結している気もします。例えば、今回はこの前よりも早く頭の中にあるものに近づけたら楽しいし、次回はもうちょっと上にいけるかもしれない、その結果ゴールにまでたどり着けることも楽しいですね。 以前はできなかったことができるようになる、さらに早く作業が進むこと、なんでだろうと考えながらも着実に先に進んでいく感じ はとても楽しいですし、自分の成長も実感できますね。


スタッフ:たしかに、制作を重ねることで作品も増え、自分の成長が見えやすいように感じます。

 

技術ではなく企画内容で評価される時代

スタッフ:映像業界の盛り上がりはどのように感じられていますか。


ぽぷりか氏:私の肌感としてはめっちゃ周りが盛り上がっているって感じはないですが、映像を副業にしましょう・お金にしましょうみたいなCMがすごい多いなとは思います。そもそも映像を作るってめちゃくちゃ簡単になっていると思っていて、スマホで写真が撮れてアプリで編集・加工ができてってそういう意味では盛り上がっているのかもしれないです。ただ、それが追い風になるとは限らなくて。
理由としてはシンプルに価値の話です。例えば、 昔はカメラを使うことも技術が必要で特殊な人材だったと思います。ただ今はスマホで良い写真を撮れるし、加工もできるし・・・昔はカメラを扱えるだけで価値があったのに。映像も一緒で、だれでもアプリを使って簡単に作れるんだったら、ただ作るだけでは全く意味がない、価値がないと思われます。 どんな映像をつくるかの技術じゃなくて、 企画や構成など中身の話が大事 です。企画を練らないと価値がないという時代になっているし、どれだけ狙いすましても消費速度がめちゃめちゃ早くて一瞬一瞬で過ぎてしまうので、どんどん新しいものを出す必要はありますね。自分も20年後にMV作っているかって考えたらそうじゃないだろうし、時代に合わせてスタイルを変えていくんだろうなとは思っています。


スタッフ:誰でも手が出しやすくなっているけど、だからこそ技術よりも中身の部分が大事ですよね。

 

業界に挑戦することは誰でも余裕

スタッフ:未経験でも業界に挑戦できると思いますか。


ぽぷりか氏:これは明確に余裕。絶対余裕です。
さすがに「ソフトも何も触れません、明日から雇ってください」って状態はさすがに厳しいけど、「やったことないけど、やれるかな~」だったら全然余裕だと思います。持論ですが映像作ることだけだと誰にでもできると思うし、頑張って2年間勉強してプロになれないことはないですね。自分も大学に通いながら、独学で休みの時だけ制作していたけど、2年間で結果は出ているし絶対余裕だと思う。 別に『なんでも全部できます!』ってなってから仕事を始めなくても、『手伝ってみたいんです!』って人だったらスキルに応じて依頼してくれる人もたくさんいる から、『仕事したいです!』っていう気持ちがあるならどんどん動けばいいと思います。

ただ、自分で自分の責任を持たなきゃいけない仕事はしっかり修行して、これでやっていける!ってなってからでも良いかもしれません。 どちらにしても基本ビビっているよりは『いってみます!』のほうが良いですね。学ぶ姿勢だけぶれないでいけば1年間ぐらいでも全然いけるし、めちゃくちゃ要領がよかったら半年程度でもいける と思いますよ。


スタッフ:チャレンジする姿勢があれば、スキルに応じて仕事を始められるのは安心ですね!

 


スタッフ:最初の仕事はどういった経緯で始まったんでしょうか。


ぽぷりか氏:ニコニコ動画で1位を取った時にあるアーティストの動画を非公式で作っていましたが、その方からお声掛けいただきました。『あの時のPVかっこよかったんで公式で作ってくれませんか?』って感じでもらいました。 非公式で作ってたものが2年後には公式に なって嬉しかったですよ。みんな頑張ればいけます。



スタッフ:独学だとソフトを使えるようにはなるけど、現場の声を聞くことも大事ですか?

 

ぽぷりか氏:1人で完結する仕事(MV作成など)をやりたくて独学しているのであれば、現場の声を聞く必要はなくて自分の感性でいけばいいです。チームワークの仕事では現場の声を聞く必要があるので、業界に入ってから学んでほしいですね。 現場の声って本やチュートリアルでは学べないので。ただ、人の話を聞いたからって必ず学べるものじゃないし、結局自分で痛い目見るのも必要ですよね。とにかくまずは手を動かすことが一番です。


スタッフ:手を動かして制作することで、気づくところ、見えてくるものもありますよね。

 

今回は残念ながらここまでになりますが、経験談も交えながらのお話ありがとうございました!

これからのご活躍も楽しみにしております!

 

 

 

イベント終了時には参加者で記念写真を撮影しましたが、その後も約1時間にわたりぽぷりかさんを質問攻めにしている光景が続き、チャンスを逃すまいと食いつく皆さんの姿が印象的でした。

 

ネット動画専攻では、今後も引き続きYouTuberや業界関係者の授業を計画しています。ぽぷりかさんがおっしゃる通り、 制作を始めること、業界を目指すこと自体はとても簡単なこと です!

このブログを読んで迷っている今がチャンスです!まずはお近くの校舎までお越しください!



映像制作(動画編集)を学ぶには?

デジタルハリウッドの「ネット動画クリエイター専攻」は、Web動画の制作技術・知見を短期間で身につけるため講座となっています。

映像のカット編集やモーショングラフィックス、実写合成を始めとする各種編集・エフェクト作成技術や、シナリオ作成や動画マーケティングなどの知見を、授業・ウェビナー・オンライン教材・個別サポート等の幅広いサービスによって、総合的に学ぶことが可能です。

\STUDIO新宿・三宮にて新講座開講/



著者:デジタルハリウッド スクール 編集部