1. ZBrushとは?
ZBrushは、デジタル彫刻(スカルプティング)に特化した3Dモデリングツールです。他の3Dモデリングソフトウェアと比べて、手作業で粘土をこねるような直感的な操作感が特徴です。そのため、アーティストがアイデアをスピーディーに形にすることができます。
2. ZBrushでできること
ZBrushを使うことで以下のようなことが可能です。
詳細なキャラクターデザイン
映画やゲームに登場するリアルで複雑なキャラクターをモデリングできます。肌の質感や筋肉のディテールまで緻密に作成可能です。
コンセプトアートの作成
短時間でアイデアを視覚化できるため、コンセプトデザインに適しています。
ハードサーフェスモデリング
機械や武器などの無機的なデザインも可能です。
3Dプリント用データの作成
作成したモデルを3Dプリントに対応した形式でエクスポートできます。
3. ZBrushの主な機能
ZBrushには多彩な機能が搭載されています。特に注目すべき機能をいくつか紹介します。
Dynamesh
モデリング中にポリゴン構造を自動的にリメッシュ(再生成)する機能です。この機能は、モデルの形を大きく変形させてもポリゴンの密度を均一に保ち、彫刻作業をスムーズに進められるように設計されています。モデリング作業中にポリゴンが引き伸ばされる問題を気にせず、粘土を扱うように自由に形を変えられます。
ZRemesher
モデリング中に複雑になったポリゴン構造を最適化し、均一できれいなトポロジーに再構築してくれる機能です。アニメーション制作やゲーム開発のワークフローに適した軽量かつ効率的なモデルデータを簡単に作成できます。ワンクリックで適切なポリゴン構造に自動リメッシュできるため、複雑な手作業を省けます。また、必要以上に細かいポリゴンを減らし、軽量なデータを作成できます。これにより、処理速度の向上や3Dプリント時のデータ最適化が実現します。
SubTool1つのプロジェクト内で複数のオブジェクト(パーツ)を管理する仕組みです。たとえば、キャラクターの頭、胴体、手足を別々のパーツとして作成しながら、同じシーン内で編集・管理ができます。SubToolを使うと、複数の要素を効率的に扱えるだけでなく、個別に編集したり、特定のパーツだけに作業を集中したりすることが可能です。各SubToolで異なるSubdivision Level(分割レベル)を設定できるため、メモリの効率的な使用が可能です。
Sculptris Pro
モデリング中に必要に応じてポリゴンを自動生成または削除し、リアルタイムでポリゴン密度を調整します。この機能により、事前にトポロジーやポリゴン数を気にせず、スカルプト(彫刻)作業に集中できます。しかし、ハードサーフェスモデリングや正確なエッジ処理には向いていません。こうした場合は通常のモデリング手法を用いるほうが適しています。また一部のブラシ(Move、ZModelerなど)ではSculptris Proは動作しないので注意が必要です。
PolyPaint
ZBrushにおける塗装機能で、テクスチャやマテリアルを使用せずに、モデルのポリゴンそのものに直接色を塗ることができます。ポリゴン単位で色情報を持たせるため、UV展開が不要で、スカルプトしながら直感的にカラーリングが可能です。
FiberMesh
3Dモデル上に毛髪や草、毛皮などの繊維状のオブジェクトを直接生成するツールです。この機能を使うと、キャラクターの髪の毛や動物の毛皮、フィールドの草や苔といった自然なディテールを簡単に作成できます。
4. ZBrushの活用例
ZBrushは、以下の分野で特に活用されています。
映画とゲーム業界
映画のモンスターやゲームのキャラクターはほとんどがZBrushを使って作られています。
3Dプリンティング
工業デザインやフィギュア制作でもZBrushが使われています。
アートと教育
デジタル彫刻の学習やアート作品の制作にも最適です。
5. 他の3Dソフトとの違い
ZBrushはスカルプティングに特化しているため、他のモデリングツール(MayaやBlenderなど)と比べて直感的に形を作り上げることができます。一方で、アニメーションやレンダリングの機能は限定的なため、他のツールと組み合わせて使用するのが一般的です。
6. 参考動画
以前開催したセミナーがわかりやすいため、動画でご紹介します。
7. まとめ
ZBrushは、幅広いユーザー層に対応できる3Dモデリングツールで、使いこなすことで多様なクリエイティブ作業に役立ちます。その直感的なインターフェースと豊富な機能群は、さまざまな表現を可能にするため、作品づくりにおいて大いに役立ちます。
ZBrushを使って様々なクリエイティブに挑戦してみてください。