リアルタイムCGとは

公開日:2025-07-15

リアルタイムCG(リアルタイムレンダリング)とは、ユーザーの操作や状況の変化に応じて、即時に画像を描画・表示するコンピュータグラフィックスのことです。従来の映画やアニメ制作で使われてきた「プリレンダリング(事前に時間をかけて描画する方式)」とは異なり、リアルタイムCGはその場で映像を生成します。

この技術は、ゲームをはじめ、ニュース番組の天気予報、バーチャルリアリティ(VR)、拡張現実(AR)、イベント展示、産業用シミュレーターなど、幅広い分野で活用されています。

リアルタイムCGの魅力と効果

リアルタイムCGは、インタラクティブ性が求められるコンテンツにとって不可欠な技術です。特にゲームにおいては、爆発や煙、光の反射、天候の変化といった演出がリアルタイムで描画され、ユーザーの操作に即座に反応することで、圧倒的な没入感と臨場感を提供します。

例えば、ボタンを押すと画面上で爆発が起こる、敵が反応する――こうした反応の速さが、プレイヤーの「手応え」や楽しさに直結しています。もしリアクションが遅かったり乏しかったりすれば、体験そのものの魅力が損なわれてしまいます。

リアルタイムレイトレーシング

リアルタイムレイトレーシングとは

従来、レイトレーシングは映画や映像制作で用いられる、現実に近い光の反射や屈折を再現する高精度なレンダリング技術で、レンダリングには数時間〜数日かかるのが一般的でした。

しかし、近年ではGPUの性能向上により、レイトレーシングをリアルタイムで行う「リアルタイムレイトレーシング」が登場。特にNVIDIAが開発したRTXシリーズをはじめとする最新のGPUは、ゲームやVR空間においてもフォトリアルなグラフィックをリアルタイムに再現可能にしています。

リアルタイムレイトレーシングの活用されるシーン

リアルタイムレイトレーシングは現在、以下のような分野で活用されています:

  • ハイエンドゲーム(例:『Cyberpunk 2077』『Alan Wake 2』など)
  • 建築ビジュアライゼーション(実物に近い光の再現で説得力あるプレゼンを実現)
  • VR/AR体験(仮想空間でのリアルな没入体験)
  • バーチャルプロダクション(リアルタイム背景生成による映画撮影)

さらに、「Unreal Engine 5」や「Unity HDRP(High Definition Render Pipeline)」といった最新のゲームエンジンでは、リアルタイムレイトレーシングに本格対応しており、プリレンダリングに迫る表現力を持つコンテンツがリアルタイムで制作可能になってきています。

まとめ

リアルタイムCGとリアルタイムレイトレーシングは、今やエンタメだけでなく産業分野でも重要な技術です。ハードウェアとソフトウェアの進化により、かつては不可能だった表現がリアルタイムに可能となり、「リアルとバーチャルの境界線」がますます曖昧になってきています。

今後もこの分野は進化を続け、より没入感のある体験、リアリティの高いビジュアル表現が求められる時代が加速していくでしょう。

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著者:デジタルハリウッド スクール 編集部