公開日:2023-07-01
イラストレーターとは
「イラストレーター」は、イラスト制作の依頼を受け、趣旨に合うイラストを制作・提供する職業です。クライアントの要望をくみ取り、様々な媒体に合わせオリジナリティーのあるイラストを描きます。
ペンや絵の具などでアナログでイラストを描くこともありますが、パソコンとペンタブレットを使ってイラスト用のソフトウェアを使い描く人も多く、現在はデジタルツールでの制作が主流になってきています。
どんな仕事・業務?
イラストレーターは雑誌やポスター、Webサイトなどに掲載されるイラストのデザインを中心とした仕事です。描きたいものを描くアーティストではなく、基本的にはクライアント(発注者)の要望に沿ったイラストを描くことになります。
広告デザインの場合にはWebデザイナー、グラフィックデザイナーやコピーライターなどとチームを組んで、作品を完成させていきます。
どんなソフトウェアを使うのか
デジタル
基本的には「Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)」というデザインソフトと「ペンタブレット」や「液晶タブレット」というペン状のデバイスを使いパソコン上でデジタルに描くことが多くなっています。近年では「iPad Pro(アイパッド プロ)」などタブレットPCの普及により、これらに「Apple Pencil(アップルペンシル)」などのタッチペンを用いて描く人も増えてきています。デジタルには、修正がしやすい、素材の合成ができる、凹凸のない表現ができるなどの特徴があります。
アナログ
最近ではデジタルが主流ですが、紙に色鉛筆やコピックというマーカー、水彩絵の具・アクリル絵の具などを使いアナログでも描きます。温かみを出したり、滲みなどが味となりアナログならではの独特の雰囲気を出すことができるなどの特徴があります。
デジタルが主流とは言え、アナログ・デジタル両方を目的によって使い分ける人も多いです。
どのような職場がある?
一般的には広告代理店や制作プロダクションなどで働くイラストレーターとして勤務します。
専門分野では「テクニカルイラストレーター」という、マニュアルなどの図柄などを制作する人や、医療系のイラストをメインとする「メディカルイラストレーター」と言った職種もあります。
最近は、ゲームのキャラクターやアバター、ゲーム背景のイラストを書くことができるイラストレーターを募集している企業も増えてきています。いずれにしても、デジタル作画の制作スキルは必要になります。
業務例
イラストレーターの業務内容は、主に以下の様な流れが多くなっています。
- クライアントから依頼を受ける
- 詳しい要望をヒアリングする
- 要望に合わせてデザインサンプル(ラフ)をいくつか提出
- OKができたらイラスト制作に入る
- クライアントに提出、修正があれば随時対応
- 完成して納品
働き方は?
企業に属する場合はデザイナーであったり、プランナーなども兼ねているケースもあります。また、企業で勤務したのちにフリーランスになるケースが多いです。
フリーランスですと自宅で作業もできますし、どこに住んでいてもネットがあれば仕事が出来るため、主婦であったり、自分の生活スタイルに合わせて地方移住なども可能です。ですが、納期もあるので体調管理やスケジュール管理も大切になってきます。
収入(年収・月収)は?
イラストレーターの年収は、企業に勤める場合はおおよそ300万円~500万円前後が相場です。イラストレーターの年収は、クリエイティブ職の中では若干低めであると言えますが、企業で勤務する場合は安定した収入を確保できます。しかしフリーランスとして独立するとなると、実力次第で収入は大きく変わってきます。一般の人でも見たことがある、名前が知られているくらいのレベルになると、収入は大きく増えていきます。
将来性は?
イラストレーターを志す人は多く、人気があり職業です。しかし同時にクオリティも上がっており競争率は高くなります。イラストレーターとして収入を得るには複数の案件を受け、要望を汲み取るコミュニケーション能力や、納期を守る管理力も大切です。また近年、AIも発展していますが個性のあるイラストはAIには描くことはできません。
Web業界は年々成長を続けていることもあり、Web業界に属するイラストレーターの場合はそれに伴い仕事も増える見込みもありますし、いつの時代もイラストは需要があります。デジタル機材などの技術の進化などに対する情報収集を怠らず、あわせて自分らしく他の人には描けない個性を大切にしながら時代のニーズに合わせて行くことが大切です。
どんなキャリアが歩めるか
イラスト制作会社やゲーム会社に勤務する場合は、ディレクターとなりプロジェクトの指揮をとる立場になり、クオリティ管理やスケジュール管理などを行います。
フリーランスの場合は、有名な賞をとるや、大きなプロジェクトに参加するなどし、自分の名前を売り知名度をあげて行くなどがあげられます。
また、グラフィックデザイナーやアニメーター、芸術関連の講師といった道に進むなど様々なキャリアパスが考えられます。
求人動向
イラストレーターの需要は増えています。ソーシャルゲームの人気によるものも多く、画面数の多いゲーム業界ではイラストレーターの需要が高いです。また、テレビの報道やバラエティなどで使われるイラスト、広告などのイラストなど、イラストレターは幅広く必要とされています。
企業に勤める以外にも、クラウドソーシングやお仕事紹介サイトなどもあり、企業が直接依頼できるイラストレーターを探しています。働きながらイラストレーターを目指す人は使ってみるのもおすすめです。
なるには
一般的にどのようななり方があるのか
一般的には美大やグラフィック系の専門スクールを経て企業に就職することが多いです。
また、最近ではインターネットの普及によりSNSを通じてイラストレーターになる人も出てきています。イラストを描く力があれば活躍するきっかけもある世界なので、趣味でイラストを描き始めて仕事を受けるようになり、気づけばフリーランスのイラストレーターになっていたという人もいます。
未経験からなるには
イラストレーターには学歴などは関係ありませんが、デザイン・芸術に関する基礎的な知識やスキルは持ち合わせておくことはイラストレーターを目指す人にとってとてもおすすめです。美術系の大学や短大で、デッサンなどの描画力や、ビジュアルコミュニケーション、デザインの歴史についてなど広い知識をつけることも出来ますし、イラストレーターに特化したデザイン系の専門スクールでは、より短時間で基礎知識やスキルを習得することもできます。
必要なスキル
イラストレーターになるためには「見る力」と「クライアント(発注者)の要望をくみ取る力」が大切です。そのためにはコミュニケーション能力も大切になります。
必要なスキルに関しては、基礎的な能力としてデッサン力に加えて、「Adobe Illustrator」、「Adobe Photoshop」などのデジタル作画のスキルは必須となります。また、納期を守れるスケジュール管理能力も必要です。
必要な機材
デジタルイラストの場合、主に以下の様な機材があります。
パソコン
大きな画面が使いやすいため、ノートパソコンの場合はスペックの高いものにすることと、色などの再現性の高い外部モニターが必要です。デスクトップの場合は大きなモニターのものを選ぶようにしましょう。いずれにしても、イラストの作成にとってパソコンのパワーは重要です。後々作業が重くて進まないなどが発生しないためにも、予算が許す限りできるだけハイスペックにすることをおすすめします。
ペンタブレット
マウスでも描けないことはないですが、基本的にはペンタブレット(ペンタブ)を使用します。「Wacom(ワコム)」などが有名です。高機能なものもたくさんありますが、慣れるまで少し時間がかかるので、はじめは高価なものでなくても構いませんので、実物を見て試す事をおすすめします。
液晶タブレット
また、ペンタブレットの他にも「液晶タブレット(液タブ)」と呼ばれるタブレットPCに描いているような感覚で使えるモニター型のタブレットもあります。ペンタブレットはPCなどの画面を見ながら手元のペンを動かすのに対し、液晶タブレットではモニターに直接描くことができるので、紙とペンを使っているような感覚で描くことができます。少々値が張りますので、予算にも合わせて選択をしましょう。
iPadなどのタブレット端末を使う場合は、ドロー系の専用アプリケーションの「Adobe illustrator Draw(アドビ イラストレーター ドロー)」などもあることで、どこでも仕事ができてしまいます。自分のワークスタイルなど合わせて選択し使い分けることをおすすめします。
なるための適性は?
イラストレーターに向いている人は、基本的かつ大事なことは「絵を描くことが好き」な人です。
描きたいものを描くアーティストではないので、クライアント(発注者)の要望に沿ったイラストを作画し、企業に貢献できることに喜びややりがいを感じることができる人が向いています。
なるための難易度は?
目指す働き方でも難易度は変わってきます。主に以下の様な働き方があります。
副業として本業とは別にはじめる
副業ではじめる場合は、本業の傍らチャレンジすることができ難易度も低いです。作成したイラストを素材として販売したり、グッズにしてECサイトで販売する。クラウドソーシングやスキル販売サービスで出品して稼ぐ方法などがあります。
企業に属して働く
広告代理店や制作プロダクション、ゲーム開発を行う企業などで社員をして勤務する場合、デザイン知識やデザインソフトを使えるスキルも必要となり、難易度は上がります。
フリーランスとしてイラストレーター1本で働く
こちらは一気に難易度が上がります。まず仕事を確保しなくてはなりません。また、1人で仕事をしなければならないので、ビジネススキルも必要となります。
なるにはどれくらいお金がかかる?
美大や短大に通う場合の学費は国公立・私立によっても全く異なりますが、画材なども含めると卒業までに1,000万円近くかかることがあります。専門学校の場合は200万~400万円前後となります。社会人向けの専門のスクールや養成講座の場合は10万円~300万円前後が多く、内容や期間によっても価格は大きく変わってきます。自分の目的やライフスタイルに合う選択が必要です。
書籍などを参考にする場合、1冊2,000~3,000円が相場です。また、IllustratorなどのAdobe関連のソフトフェア使用料(全て使えるコンプリートプランで5,680円/月(税別)※学割あり)や、パソコン、画材の購入費用も必要になります。