こんにちは！
デジタルハリウッド東京本校の河野です！
デジタルハリウッド東京本校では、 2024年7月に公開したばかりの 映画 『キングダム 大将軍の帰還』 の 特別VFXメイキングセミナー を開催しました！
『キングダム 大将軍の帰還』のVFXを担当された 株式会社Spade&Co. の方々をお招きし、ここでしか見れないメイキング映像や、ここでしか聞けない制作裏話について、お話しいただきましたので、セミナーの様子をお届けいたします！
▼会社紹介
2014年9月に設立し、今月で設立10周年を迎えます。2024年9月現在、社員は55名。
映画を中心に、配信ドラマ・CM・PVなどのハイエンドなVFX制作を行うプロダクションです。
作り手である監督・プロデューサー・撮影スタッフに常に寄り添い、
技術的なアドバイスを行うことはもちろん、 演出的な提案力や問題解決力の高さを特徴としています。
▼シリーズ第4作！映画『キングダム 大将軍の帰還』
■映画『キングダム 大将軍の帰還』
秦と趙の全てを懸けた＜馬陽の戦い＞で、敵将を討った信（山﨑賢人）と仲間たちの前に突如として現れた、 その存在が隠されていた趙国の総大将・龐煖（吉川晃司）。 自らを＜武神＞と名乗る龐煖の圧倒的な力の前に、次々と命を落としていく飛信隊の仲間たち。 致命傷を負った信を背負って、飛信隊は決死の脱出劇を試みる。 「俺たちで、信を守り抜くんだ――。」
一方で戦局を見守っていた王騎（大沢たかお）は、 趙軍の裏に潜むもう一人の化け物の存在を感じ取っていたが、 劣勢を覆すべく最強の大将軍として再び戦地に舞い戻った。
王騎と龐煖の過去の因縁とは？ 遠くから戦いを静観する軍師・李牧（小栗旬）の正体とは？？ 今、因縁が絡み合う馬陽の地で忘れられない戦いが始まる――。
【作品概要】
タイトル：『キングダム 大将軍の帰還』
監督：佐藤信介
キャスト：山﨑賢人 吉沢亮 橋本環奈 清野菜名 吉川晃司 小栗旬 大沢たかお 他
脚本：黒岩勉・原泰久
音楽：やまだ豊
原作：原泰久「キングダム」（集英社「週刊ヤングジャンプ」連載）
配給：東宝株式会社 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
©原泰久／集英社 ©2024映画「キングダム」製作委員会
▼登壇者紹介
株式会社Spade&Co.
Compositing Supervisor
白石 哲也／Tetsuya Shiraishi 氏
ポストプロダクションにてCMや映画のCG制作を経験後、2014年にSpade&Co.設立に携わる。
現在はCompositing スーパーバイザー・VFXスーパーバイザーとして従事。
即戦力となるクリエイターを育てる為に、実践的な手法での指導に力を入れている。
【代表作】
「キングダム」
「キングダム2 遙かなる大地へ」
「キングダム 運命の炎」
「キングダム 大将軍の帰還」
「ゴールデンカムイ」
「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」
「空白」
「missing」
「ドライブ・マイ・カー」
「悪は存在しない」
「全裸監督 シーズン2」（Netflix）
「御手洗家、炎上する」（Netflix）
「忍びの家」（Netflix）
etc.
株式会社Spade&Co.
CG Supervisor
木川 裕太／Yuta Kigawa 氏
ポストプロダクションにてCMや映画のCG制作を経験後、Spade&Co.設立に携わる。
以降、CG Supervisorとして「るろうに剣心」シリーズ、「キングダム」、「ゴールデンカムイ」など
多くの映画やドラマ作品に参加。 マットペインターやゼネラリストとしての経験を活かした、
エンバイロンメントワークを得意としている。
【代表作】
「キングダム」
「キングダム2 遙かなる大地へ」
「キングダム 運命の炎」
「キングダム 大将軍の帰還」
「ゴールデンカムイ」
「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」
「御手洗家、炎上する」（Netflix）
「忍びの家」（Netflix）
etc.
株式会社Spade&Co.
Lead Compositor
藤枝 京佑／Kyosuke Fujieda 氏
デジタルハリウッドを卒業後、2019年4月 Spade&Co.に入社。
「キングダム」シリーズや「ゴールデンカムイ」など、複数の大型作品でリードコンポジターを経験。
フルリモートでも作業スピードとクオリティを落とさない集中力と技術力で、制作を支えている。
【代表作】
「キングダム2 遙かなる大地へ」
「キングダム 運命の炎」
「キングダム 大将軍の帰還」
「ゴールデンカムイ」
「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」
「ザ・ファブル」
「全裸監督 シーズン2」（Netflix）
「御手洗家、炎上する」（Netflix）
「忍びの家」（Netflix）
etc.
▼撮影とアセット
2020年にスタートした映画『キングダム』の撮影は、まさに新型コロナウイルスが世界中で広がり始めたタイミングと重なり、撮影は非常に困難な状況だったそうです。
・中国での撮影
(木川)
当初、中国で撮影をする予定でしたが、コロナの影響で中国に撮影しに行けなくなってしまいました。そのため、日本で撮影することとなり、背景のほとんどをCGで作ることになってしまいました。
・アセット
(木川)
中国の黄河石林という独特な岩の地形をモデルとして背景のアセットを作りました。
フォトグラメトリという、地上や上空から撮影した写真をもとにモデルデータを起こすという
手法を使ってスキャンを行いました。
1番広い地形だと、3km四方のエリアを数日間かけて何百万枚と写真を撮影し、 その写真をモデル化する計算に数か月もかかりました...。フォトグラメトリした際に影が入ってしまうことがあるのですが、ディライティングしてそれをテクスチャベースとして使用しています。
アセットはシリーズ2,3,4で使いまわすので、CGの見た目を決定するルックデヴ は 慎重 に行いました。
実物にそっくりな質感というのを、かなり厳密にコントロールしたアセットを作りました。
▼制作の工夫・こだわり
咸陽
(白石)
1作目の咸陽では見せることのできなかった咸陽の映像を見せたいという監督の強い思いがありました。実際に撮影した写真をリファレンスとして、よりリアルに咸陽を見せるにはどうしたらいいのか試行錯誤しました。
実際に中国にある映画セット(咸陽のような城)をドローンで撮影しました。もちろん咸陽ほど大きいセットではないため、その他の部分はCGで作っています。 1部分でも本物の映像の素材があるとよりリアリティーが上がります！
背景・群衆のCG
(白石)
群衆のCGでは、いかにばらつきが出るように見せるのが難しいです。
砂埃にも気を遣っていて、シリーズ2では砂埃を多く入れてごまかしたりしていたのが、シリーズ4ではなるべく砂埃を入れないで、映像クオリティで魅せるようになりました。このように映像のクオリティを上げる事が出来るのも連作で制作するメリットの1つですね。
(木川)
目線を誘導する画づくり は常に意識おり、誘導させたい場所以外に影を付けたり、煙を付けたり工夫をしています。
王騎vs龐煖シーン
(白石)
王騎vs龐煖の撮影場所はスタジオのグリーンバック、ロケ地のグリーンバック、グリーンバックのないロケ地の3つの撮影場所がありました。馬に乗っているシーンはスタジオでは取れないため、ロケ地での撮影となっています。逆に馬から降りてからのシーンはスタジオ内で撮影しています。
光の当たり方が変わってきてしまう ため、そこに違いが出ないよう意識しました。
(藤枝)
実際ではありえないような空気の動きを砂埃の動きによって可視化させて、より戦いを激しく見せられるなどの工夫もしています。
▼Q＆A
Q.シリーズ2～シリーズ4まで連作とのことでしたが、連作だからこそ難しいところはありますか？
(木川)
CGの話をすると、使っている ツールのバージョンをアップデートすることが出来ない ところはありますね。あとは、毎年同じような作業をしているため、モチベーションを保つことも難しいところだと思います。
(白石)
AI機能を使うためにバージョンを切り替えなければならないという細かいデメリットはありましたが、連作で出来るメリットの方が多かったと思います。
(藤枝)
僕もモチベーションを保つことは難しいところだと思います。
Q.グリーンバックでの王騎vs龐煖の撮影で、なぜ群衆を別撮りでなく、一緒に撮影したのですか？
(白石)
群衆はそんなに動いてはないのですが、 全部をCGで作ってしまうと、より所がないように感じてしまう からです。確かにフルCGで作れる場所もあったとは思うのですが、実写のカットを混ぜる事で、他のCGのカットでもよりリアル感が増すと思います。
(木川)
どうしても群衆はコピペになってしまい、顔が同じになってしまうため、実写で良かったと思います。
(藤枝)
群衆の素材のリファレンスになるので、正直結構助かってはいました！
Q.お三方に質問です。Spadeさん以外のVFXの作品で、すごいと思う作品がございましたら教えて下さい。
(白石)
クリストファー・ノーラン監督の作品が好きで、「インターステラー」や「テネット」、CGがなければ成立しない作品ですが、 CGをどう使っているのか分からないような作品 が好きです。
(木川)
僕も「テネット」ですね。いわゆるヒーローもののVFXも良いと思うのですが、実際にどこで使われているのか分からないCGには 惹かれますね。
(藤枝)
本当に偶然なのですが、僕も「テネット」が好きです(笑)
二人と同じ意見になってしまうのですが、どこにCGが使われているのかを探すのが面白いですね。
▼Spadeさんの求人情報！
Spade&Co.さんの採用ページ を見て頂ければ、各アーティスト一般募集をしているのですが、
最近 コンポジットチームの制作進行役 を必要としているそうです！
制作進行にも興味があるという方でしたら、 採用しやすいかも？ とのことでした！
この機会を逃さず、ぜひSpade&Co.さんにエントリーしてみてください！
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