こんにちは。
デジタルハリウッド東京本校の河内です!
2022年7月17日(日)に行われた、「ピクサー現役アニメーター原島朋幸氏登壇イベント」の内容を皆様にお届けいたします。
本イベントはデジタルハリウッド大学夏のオープンキャンパスDay1の一部として実施されました!
今回は動画配信サービスDisney+にて配信されている 『私ときどきレッサーパンダ』 を題材にしたメイキングセミナーや海外で活躍するために必要なこと等をお話していただきました!
イベントに参加した方、または参加できなかった方、興味のある方は是非ご覧ください!
▼ゲスト紹介
原島 朋幸(はらしま ともゆき)氏
アニメーター/Pixar Animation Studios
神奈川県出身。電気通信大学を卒業後エンジニアとして勤務している時にデジタルハリウッドを知る。デジタルハリウッド在籍中に作成したショートフィルムが 1999 年にロスアンゼルスで開催されたシーグラフのエレクトロニックシアターで上映される。
2001 年に渡米し、サンフランシスコの美大、アカデミー・オブ・アートでピクサーのアニメーターが教える通称ピクサークラスを履修する。アカデミー・オブ・アート在籍時にロスアンゼルスの老舗 VFX Studioのリズム・アンド・ヒューズでアニメーション・インターンとして『ガーフィールド 2』の制作に携わる。
その後 DreamWorks Animation と PDI/DreamWorks にてアニメーターとして『ヒックとドラゴン 1、2』や『マダガスカル 2、3』などの制作に携わる。ピクサーでは『ファインディング・ドリー』、『カーズ/クロスロード』、『インクレディブル・ファミリー』、『トイ・ストーリー4』、『2分の1の魔法』、Disney+にて配信されている『ソウルフル・ワールド』制作に携わる。
それでは原島氏登壇イベントレポート、お楽しみください!
1.どのような職種が携わっているのかを解説!
◆『私ときどきレッサーパンダ』に携わっている職種
海外では長編アニメーションや映画を制作する際には、それぞれの作業を分担して行うことが一般的になっているとのことです。『私ときどきレッサーパンダ』制作時には以下のような職種の方々が携わっていたとのことです。
モデラー
キャラクターやアセット(キャラクター以外の背景や小物など)の制作。(海外ではキャラクターモデラ―をオーガニックモデラ―、アセットモデラ―をハードサーフェイスモデラ―と呼ぶ場合もある)
モデラ―の詳細はこちら!
リガー(キャラクターセットアップ)
制作したキャラクターをアニメーターが動かすことができるように骨や関節を入れる作業を行う。
リガーの詳細はこちら!
レイアウト
CGアニメーション等におけるカメラマンの役割。構図を決めたり、カメラワークのアニメーションを行う。
レイアウトの詳細はこちら!
アニメーション
原島さんも担当している、モデラ―が制作したキャラクターやモノに動きをつける仕事。
アニメーションの詳細はこちら!
シミュレーション
髪の毛や服、水の中に浮いている塵など幅広い制作を行う。
『私ときどきレッサーパンダ』のパンダメイの毛のフサフサ感を表現しているのもシミュレーション!
エフェクト
水しぶきや炎、煙、爆発など視覚効果の演出・制作を行う。
エフェクトの詳細はこちら!
ライティング
映像作品における、光や照明設定を行う。
ライティングの詳細はこちら!
上記のような職種は、企業によって呼び方や担当領域なども変わってくるとのことでした!
2.アニメーション制作の流れを解説!
ここからは実際に原島氏が制作を担当した実際のシーンを交えながら、制作の流れやこだわりをお話いただきました!
ピクサーでは以下の流れでアニメーション制作を行っているそうです。
①ストーリーボード
日本語で近いものだと絵コンテ。絵コンテのもう少し先のビデオコンテのような感じ。CG制作の前に監督がこういうイメージを持っているということを手で書いて、アニメーターさんなどに伝えるもの。
CGの空間におけるカメラワーク設定を行う。キャラクターなどを大まかに配置してどのように見えるのかを確認する。監督から場面の説明や指示があり、アニメーターは監督に色々な意見を出したり質問をするというのを繰り返します。
③ブロッキング
監督がどういうものを作りたいのかを引き出して、それをもとにブロッキングを作成します。
ブロッキングを見せた後にフィードバックがあり、手直しするので複数回見せることが多いです!
ブロッキングで固まったイメージをもとにアニメーションを実際にキャラクターにつける。
⑤ファイナル(完成)
アニメーターは 「監督のビジョンを形にする」 ということが制作工程を見るだけでよくわかります!
3.『私ときどきレッサーパンダ』の裏話
監督の経験が反映された作品
ドミー・シー監督の経験をもとに作られたのが『私ときどきレッサーパンダ』
監督はトロント出身で、『私ときどきレッサーパンダ』の舞台も2002年のトロントです。
監督が十代だった頃の時代設定になっていて、監督の当時の経験や気持ちを映像化した作品になっています。
メイの親友3人のアニメーションは同時に動く!?
メイ(主人公)友達として登場するメイリン・アビー・プリヤは3人が振り向くときは同じタイミングで振りかせるなど、ユニットとしてとにかく同時に動かしてほしいという監督の要望がありました。
アニ メーターとしては3つのものを同時に動かして同時に止めるというのは自然な表現ではないですが、監督が求めているのはこのようなカートゥーンな表現でした。
4.ピクサーってどんな会社?
今まで色々な素晴らしいキャラクターを生み出してきて、
世界中のファンから愛されている会社
だと思っています。
「素晴らしい映画を作りたい」
という共通の目的を全員が持っているという会社ですね。
働きやすい環境の提供など、
仕事と生活のバランスを重視してくれる会社
です。
ピクサーに限らずですが、家族を大切にするというのはアメリカの文化なので、子供の誕生日や家族のイベントがあると、会社の方から休むことを推奨されるような会社です。
ピクサーは社内教育にも力を入れています。 PU(Pixar University)は社員向けの教育チームです。ゲストスピーカーを呼んでくれたり、会社の中の社員がインストラクターになってフィギュアドローイングやフィギュアモデリングを教えてくれたりというものがあります。
色々な部署で毎年サマーインターンがあり、アニメーションも今8人くらい来てますね。
最近はコロナの影響でなかなか出社できず、『私ときどきレッサーパンダ』はピクサーでは完全リモートで制作した初めての作品になりました。
5.海外で活躍するために必要なこと
「正しい場所に正しい時に。」
「at the right place at the right time」 日本語で言うと、人事を尽くして天命を待つという意味に近いと思います。
ピクサーで働いている人に聞くと、「すごいラッキーだった」という人が多いんですけど、ラッキーっていうのはみんな とにかく自分ができることを全てし尽している んですよね。
そういう人にはタイミングが回ってくると思います。
例えば、いつどこで採用担当の人と出会うかは分からないので、常に自分の作品を携帯の中とかに入れておいて、会ったときにその場で見せれて次のステップに進める人と、その場では見せれず家に帰ったら送りますという人だと前者の人の方が良いですよね。なので、できることはあらゆる可能性を踏まえてとにかく準備をしておくことが大事です。
「周りに親切にする」
あとは、実際の仕事の中では、「周りに親切にする」ということは心がけています。
技術や情報を自分だけのものにするのではなく、みんなに共有したり、何か困っている人がいたら助けてあげる。そういうことをしていると自分が困っているときにも助けてくれるんですよね。
違う会社に行ったときとか、次のプロジェクトでリーダーになった時に良い印象を持ってもらえたりします。
「責任感を持って自分の仕事をやる」
「責任感を持って自分の仕事をやる」というのもとても大切です。自分が言ったこと、やったことは責任を持ってやりましょう。 出来ますと言ったことはやる、出来ないと思ったらできませんって言う。
あとは進捗報告やトラブル連絡は迅速に。出来ると言ったことも出来ないなと思ったら早めに報告する。
会社側から見れば、出来ないことを早く言ってくれたらいくらでもヘルプを入れれるんですよね。
でもそこで、出来ないと言ったら自分の評価が下がるんじゃないかなど考えて最終的にギリギリになって出来ませんでしたとなるとみんなこまるんですよね。
それよりはきちんと報告してヘルプが必要なら素直に頼るというのを出来る人が評価されます。
すごく当たり前のことで、日本で言うホウレンソウ「報告・連絡・相談」のような感じですね。
当たり前のことをきちんと出来る人がきちんと評価されます。そういう世界だと思います。
Chase Your Dream!
自分の夢を諦めず追いかけ続けてください。
夢がまだ明確ではない方々は、是非色々な事に興味を持って自分が何をしたいのかを探し続けてみてほしいです。
自分の人生を決めるのは自分自身です。夢を追いかけて、ひたむきに努力をし続けて夢を叶えてください。デジタルハリウッドで学ぶことでその第一歩となるのであれば、私たちスタッフも全力でサポートいたします。
デジタルハリウッドには、アニメ、映画、ゲーム等とにかくCGで表現することが大好き!CGを仕事にしたい!という同じ目的を持った受講生が日々学んでいます!デジタルハリウッドで学ばれている8割の方はクリエイティブ経験がない未経験の方です。同じ境遇、同じ目的を持った「仲間」と切磋琢磨できる環境もデジタルハリウッドの魅力の一つです!
是非夢を叶える第一歩を踏み出してみてください。