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【イベントレポート】
ピクサー現役アニメーター原島朋幸氏登壇イベント内容をご紹介!

2021-08-31

こんにちは。

デジタルハリウッド東京本校の岸山です。


2021年7月18日(日)に行われた、「ピクサー現役アニメーター原島朋幸氏登壇イベント」の内容を皆様にお届けいたします。


今回は動画配信サービスDisney+にて配信されている『ソウルフル・ワールド』を題材に、アニメーターの仕事内容やコロナ過での海外の働き方等、CGを学んだ経験がない、学び始めて経験が浅いという方に向けたとても分かりやすい内容となっております。


・CGをこれから学びたい!

・ディズニーピクサーがとにかく大好き!

・未経験だけどCGを仕事にしたい!


など、CG業界のことが全く分からないという方でも楽しめる内容となっております。

是非、最後までご覧ください!

▼ゲスト紹介

原島 朋幸(はらしま ともゆき)氏
アニメーター/Pixar Animation Studios


神奈川県出身。電気通信大学を卒業後エンジニアとして勤務している時にデジタルハリウッドを知る。デジタルハリウッド在籍中に作成したショートフィルムが 1999 年にロスアンゼルスで開催されたシーグラフのエレクトロニックシアターで上映される。


2001 年に渡米し、サンフランシスコの美大、アカデミー・オブ・アートでピクサーのアニメーターが教える通称ピクサークラスを履修する。アカデミー・オブ・アート在籍時にロスアンゼルスの老舗 VFX Studioのリズム・アンド・ヒューズでアニメーション・インターンとして『ガーフィールド 2』の制作に携わる。
その後 DreamWorks Animation と PDI/DreamWorks にてアニメーターとして『ヒックとドラゴン 1、2』や『マダガスカル 2、3』などの制作に携わる。ピクサーでは『ファインディング・ドリー』、『カーズ/クロスロード』、『インクレディブル・ファミリー』、『トイ・ストーリー4』、『2分の1の魔法』、Disney+にて配信されている『ソウルフル・ワールド』制作に携わる。

この記事の目次

1.アニメーションとは?

◆そもそもアニメーションって何?

アニメーションは英語でanimationと書き、ラテン語で霊魂を意味するanima(アニマ)という言葉に由来しています。そこから「生命のないものに生命を吹き込む」という意味でアニメーションという意味で使われるようになりました。
アニメーションをつけるという作業は、作ったキャラクターを動かすことでまるで命を吹き込む仕事といえるのです。アニメーションをつける作業をする人はアニメーターと呼ばれます。

さらに詳細を知りたい方はこちら


◆アニメーション制作で原島氏が意識していること

原島氏がアニメーションを制作する上でとても重要と考えている要素が以下の2点だそうです。


①spacing(スペーシング)→空間

→モノやキャラクターがA地点からB地点動いた1コマあたりの移動量


②timing(タイミング)→時間

→モノやキャラクターがA地点からB地点まで移動する時間


なぜこれらが重要になるのかを、以下の画像のような3つのボールのはね方の違いで説明いただきました。



こちらの画像はボールのスタートとゴールのタイミング(時間)は同じなのですが、ゴールに行くまでのスペーシング(移動量)に違いがあるというものです。

この移動量が違うだけで、見た目が同じボールでも跳ね方が変わっているように見え、ボールに「重さ」という表現を生み出すことができるのです!


ただ動かすだけでなく、動きによってキャラクターやモノの状態、特徴を演出することがアニメーターの重要な仕事内容の一つだそうです。

2.アニメーターって何するの?『ソウルフル・ワールド』を題材に解説!メイキングセミナー!!

◆『ソウルフル・ワールド』に携わっている職種

海外では長編アニメーションや映画を制作する際には、それぞれの作業を分担して行うことが一般的になっているとのことです。『ソウルフル・ワールド』制作時には以下のような職種の方々が携わっていたとのことです。


モデラー

キャラクターやアセット(キャラクター以外の背景や小物など)の制作。(海外ではキャラクターモデラ―をオーガニックモデラ―、アセットモデラ―をハードサーフェイスモデラ―と呼ぶ場合もある)

モデラ―の詳細はこちら!


リガー(キャラクターセットアップ)

制作したキャラクターをアニメーターが動かすことができるように骨や関節を入れる作業を行う。

リガーの詳細はこちら!


レイアウト

CGアニメーション等におけるカメラマンの役割。構図を決めたり、カメラワークのアニメーションを行う。


アニメーション

原島さんも担当している、モデラ―が制作したキャラクターやモノに動きをつける仕事。

ちなみにピクサーには現在6名日本人が在籍しており、原島さん含め3名の方がアニメーターさんだそうです!

アニメーションの詳細はこちら!


シミュレーション

髪の毛や服、水の中に浮いている塵など幅広い制作を行う。


エフェクト

水しぶきや炎、煙、爆発など視覚効果の演出・制作を行う。

エフェクトの詳細はこちら!


ライティング

映像作品における、光や照明設定を行う。

ライティングの詳細はこちら!


上記のような職種は、企業によって呼び方や担当領域なども変わってくるとのことでした!

ご自身の目標とする企業がある場合は、仕事の領域や何と呼ばれているのかなど調べてみると面白いかもしれませんね!


◆アニメーション制作の流れ

ここからは実際に原島氏が制作を担当した実際のシーンを交えながら、制作の流れやこだわりをお話いただきました!


ピクサーでは以下の流れでアニメーション制作を行っているそうです。


①ストーリーボード

絵コンテとも呼ばれ、CG制作の前に監督がこういうイメージを持っているということを手で書いて、アニメーターさんなどに伝えるもの。ピクサーではストーリーボードアーティストと呼ばれる方々が制作を行っているそうです。


②レイアウト

CGの空間におけるカメラワーク設定を行う。キャラクターなどを大まかに配置してどのように見えるのかを確認する。ストーリーボードではOKでも実際に制作をすると画角的に表現が難しいなども頻繁にあるそう。


③ブロッキング(ここからアニメーターが携わります!)

こういう表現をしようと思います!とアニメーターのアイデアを監督に売り込み、イメージを固めていくラフスケッチのようなもの。監督からもっとこうしてほしいとオーダーがあったり、キャラクターを魅力的に見せるために2Dアニメーションの観点からのアドバイス等もあるそうです。アニメーション内に監督のイメージが手書きで描かれ、それをもとに修正する場合もあるとのこと。この細かい演出のこだわりによって、別のシーンで別のアニメーターが同じキャラクターにアニメーションを付けたとしても、一貫したキャラクターとして見せることができるとのことでした。


④アニメーション

ブロッキングで固まったイメージをもとにアニメーションを実際にキャラクターにつける。


⑤ファイナル(完成)


原島氏も講演の中でおっしゃられていた、アニメーターは「監督のビジョンを形にする」ということが制作工程を見るだけでよくわかります!

3.参加者からのQ&Aに原島氏が回答!

Q1.実際には存在しないものにアニメーションをつけるときどのように考えているのか?

まずは、実際に存在しているもので近い動きをするものを参考にしています。例えば、空を飛んでいるときは鳥の動き、地上にいるときは猫の動きというキャラクターの場合は、鳥の動きと猫の動きの資料を集めてそこから動きをミックスしてアニメーションに活かすということをよくしています。最終的にできあがるものは誰も見たことがないものになるかと思うので、そこに説得力を持たせられるかがアニメーターの仕事だと思っています。


Q2.アニメーション制作の際はどの部位から作り始めるか?

どんなカットかにもよりますが、物語において絶対に大事になるポーズからやることが多いですかね。先ほどお見せしたソウルフル・ワールドの飛んでいるシーンなら、キャラクターの大まかな動きから着手しました。そこが決まると足の動きや手の動きなど細かい動作にアニメーションを付けることがよりイメージしやすくなります。


Q3.ピクサーに入るためにはどんな素質が必要?

自分が何をやりたいのか見つけることが重要だと思います。先ほども職種についてお話しましたが、アニメーターとライティングでは必要となるスキルが全く違うので、自分が何をしたいのかを明確にしてそこに向けたアプローチをしていくことが必要だと思います。天才でなければ入れないということは全くありません。また、「好き」という気持ちはとても大切で、好きでないことはそこに向けたアプローチを続けることが難しくなってしまうと思います。なので、必要な素質が何かと聞かれれば「好き」という気持ちがあるかどうかではないかと思います。


Q4.コロナで変化したことは?

まず制作環境は大きく変わりましたね。ソウルフル・ワールドのアニメーション制作の仕上げにに入ったあたりで、アメリカでロックダウンが始まり、自分のPCをもって自宅で作業をするようにと通達がありました。なので、去年の3月ぐらいから1年半ほどずっと自宅でアニメーション制作の作業をおこなっています


あとは、劇場公開だけでなくDisney+などストリーミングでの配信もできるようになり、コロナのような状況下でも多くの人に作品を届けることができるようになったことも大きな変化ですね。ただ、制作側としてはやはりお客さんに映画館で、大きなスクリーンで見てもらいたいという思いもあります。今回のソウルフル・ワールドも、もともとは劇場公開予定でしたが、コロナウイルスの状況を加味してDisney+の利用が可能な国では配信のみという形を取ることになりました。それに対して、劇場で見たかったというコメントをいろいろなところで目にして、とても歯がゆい思いをしました。


ソウルフル・ワールド含め、ピクサー作品はDisney+ではプレミア公開でなく、メンバーシップになっていれば追加料金なしで視聴することができるようになっています。これは監督や制作に携わったアーティスト全員の、映画館で見ることができないならできるだけ多くの方に届けられるようにベストを尽くしたいという思いがあったため通常の配信となっています。


ストリーミングではストリーミングならではのコンテンツの配信ができるので、今後配信予定の作品も、是非期待していただければと思います。


また、次回作の『Turning Red』は現状では劇場公開を予定しているので、そちらも是非楽しんでいただければと思います。

4.未来のクリエイターへのアドバイス


とにかくいろんなことに興味をもって、いろいろなものに触れてみてください。何かを表現したいと思ったときには、必ずインプットが必要になります。そしてインプットも実際の動きを見てみたり、体験したりする等、映画やアニメで表現されたものだけではなく本物を見ることがとても大事だと思います。

また、就職面に関しては会社によって求められる資質に関して、特色があるのでそれらを調べ、会社にあったアプローチを行っていくことが重要だと思います。

最後に、先ほどの繰り返しとなってしまいますが、自分が何をやりたいのか何が好きなのかを明確にして、そこに向かって努力し続けるということがとても大事になります。自分の好きなこと、やりたいことを見つけてそこに向かってこれからも頑張ってください。





大事なのは自分の「好き」を見つけて、「好き」に向かって努力し続けること!

原島氏もお話されていたように好きなことが何よりの素質!好きなこと・ものに熱中して、努力し続けていくことがクリエイターにとって何より大切な事なんですね!皆さんも好きなことを明確にして、それを仕事にするため、より熱中するためにはどんなアプローチが必要かを考え行動してみてください。

デジタルハリウッドには、アニメ、映画、ゲーム等とにかくCGで表現することが大好き!CGを仕事にしたい!という同じ目的を持った受講生が日々学んでいます!デジタルハリウッドで学ばれている8割の方はクリエイティブ経験がない未経験の方です。同じ境遇、同じ目的を持った「仲間」と切磋琢磨できる環境もデジタルハリウッドの魅力の一つです!

皆さんの「好き」を仕事にするための第一歩をデジタルハリウッドが全力でサポートいたします!!

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