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「グラフィックデザイン、 ウェブデザインあなたはどっち?」セミナーレポート

2022-12-03

「グラフィックデザイン、 Webデザインあなたはどっち?」セミナー報告

Webデザイナーの育成スクール「デジタルハリウッド STUDIO広島」(広島市中区)で11月6日、「グラフィックデザイン、 Webデザインあなたはどっち?〜違い、丸わかりセミナー〜」が開かれました。講師の田中由花さんが、さまざまな分野のデザインの特徴や仕事の違いなどを解説。参加者7人が熱心に耳を傾けました。

たなか・ゆか(Web/グラフィックデザイナー) 1981年廿日市市生まれ。大阪、東京で広告制作を経験し、2016年から家族とともに広島へUターン。転職をきっかけに、紙からWebのデザイナーに転向。現在はWeb制作会社株式会社フォノグラムで週3日勤務しながら、フリーランスのWebデザイナーとして活動中。

―グラフィックデザインとWebデザインの違いは?

グラフィックデザインとWebデザインの「どちらを勉強しよう」「自分に向いているのはどっちだろう」と悩む人は多いと思います。両者の違いや仕事の内容などをお話ししますので、一緒に考えていきましょう。
 まず、言葉の定義をしておきますね。Webデザインは大きな意味でいえば、グラフィックデザインの一つの形態になります。ただ、「グラフィックデザインの中でWebを除いたもの」という言葉はないので、ここではWebデザインとグラフィックデザインという文脈で扱います。
 デザインといってもいろいろあります。ポスターやパンフレット、ロゴはもちろん、アプリや洋服のような製品、建築や都市など大きなものや経営といった形のないものにもデザインという言葉が使われます。これらのデザインを「広告」や「製品」「コンテンツ」などのカテゴリで分類してみました。すると、Webとグラフィックは、デザイン全体の中ではかなり近い位置付けにあります。Webサイトやポスターは、広く伝えたいメッセージをユーザーに伝わるように発信していくという同じ役割を持っています。
 グラフィックかWebかを選ぶとき、人生の分かれ道だというぐらい重く考えるかもしれませんが、実はすごく近いものなので、そんなに気負う必要はないと思います。

―使用するソフトや学ぶ内容は?

大きく分けると分野は近いのですが、細かく見たときの違いはどこにあるでしょう。

グラフィックで主に使うソフトは、IllustratorとPhotoshop。ほかにも印刷の基礎知識を学ぶことになります。Webのソフトでは最近、XDがよく使われるようになりました。加えて、HTMLとCSSという言語を学ぶ必要があります。コーディングを頑張って、サイトを公開できるところまで作り上げるボリュームに対して、印刷の知識として学ぶことはそんなに多くはありません。「じゃあWebの方が大変!」と感じるかもしれませんが、コーディングを勉強しておくと、就職のときに他の人と差をつけやすい利点があります。

―コーディングの初級レベルは易しい

 Webデザイナーの初心者が到達すべきところは、図の一番上の部分です。氷山が海から頭を出している小さいところですね。初級レベルのコーディングを習得して、もうちょっと深いところは、実務をしながら身に付けていけば大丈夫です。技能を深めたい、エンジニアとして仕事をしたい人は、さらなる深みを目指しましょう。初級レベルの内容なら多くの人が習得可能です。丁寧な指導のもとで学べば、心配ないでしょう。

―配置の自由度が低いWebデザイン

 学ぶ内容のほかに、デザインの自由度が違います。グラフィックは、配置の自由度が高く、それに比べるとWebは低くなります。グラフィックは、写真やイラストを傾けたり重ねたりして好きなレイアウトを作れます。Webはあまり自由にデザインすると、コーディングがしにくくなります。

 一方で、Webの大きな特徴は、動きを付けられることですね。スクロールするとコンテンツが現れたり、スライド画像が切り替わったりするなどは印刷物にはありません。

 みなさんがどちらの仕事をしようかと考えるとき、「自由に配置できる方が得意」「動きを付けられるのが面白そう」など、媒体の特性をどう感じるかを視点にするのも一つの方法だと思います。

―どんなデザインが得意か考えよう

 媒体の違いだけではなく、どういう仕事をしたいのかを意識してみましょう。グラフィックもWebも「ゆとりのあるレイアウト」もあれば、「装飾を盛るタイプ」のデザインもあります。Webでは、ECサイトやLPなど、にぎやかに情報を盛り込んだサイトがあります。一方でコーポレートサイトのように、余白をとったデザインで企業の理念を伝えるものもあります。制作会社によってある程度、デザインの傾向があると思います。就職先を探すときは、その会社が制作した実績紹介を見たり、会社案内やパンフレットをチェックしたりしてみましょう。

―グラフィックとWeb、業界の将来性は?

 紙だけの仕事は減っているとも言われていますが、体力のある会社は生き残っていくでしょう。Webの仕事は私の印象では増えていますが、創業まもない会社と駆け出しのデザイナーさんがひしめいています。仕事の増減だけではなく、会社の安心感や風通しの良さ、成長できそうかを見極めたいですね。

 グラフィックとWebは近い存在なので、どちらでキャリアをスタートしてもきっと大丈夫です。私のように、途中で紙からWebにステップを変えてもいいし、入口がどちらかということは、そんなに大きな違いではありません。気を楽にして、やりたい方からチャレンジしてみてください。

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