Webプランナー/Webプロデューサー

公開日:2023-07-01

Webプランナー/Webプロデューサーとは

「Webプランナー/Webプロデューサー」は、Webサイトの企画立案者です。市場調査から始まり、コンセプト設計、プロモーション企画などを行います。 Webプロデューサーになると、予算管理や顧客折衝も加わり、すべての統括を行う責任者になります。
業界を問わずWebサイトは商品のプロモーションや販売促進などに必要不可欠ですので、社会全体から必要とされる職業として人気です。

どんな仕事・業務?

Webプランナーの主な仕事内容は、Webサイト制作の設計を行うことです。クライアントからの要望や打ち合わせの内容をまとめ、Webサイトを構築するために設計(プランニング)を行い、制作者側に伝えます。コンテンツの内容を取材・企画・制作する業務を担当することもあり、プランニングだけでなくページごとの細かい設計や編集作業を行います。クライアントと、制作者の間に立って橋渡しとなることが多い重要な役割を持つ仕事です。
Webプロデューサーは加えて一連の流れにおいてのプロデュースを行い、最終到着地点までメンバーを導くことになります。また、プロジェクトにはトラブルはつきものですが、こういった時こそ力が発揮されます。適切な判断を速やかに下すことができ、チームが進むべき道に正しく導きます。

Webデザイナーとの仕事内容の違いでいうと、本来、WebプランニングとWebデザインは、Webサイトの設計段階という意味では一体の作業のようにみえますが、プランニングもデザインもそれぞれ重要かつ作業量が多いため、基本設計を行うプランニングと、それを形やビジュアルにする作業を行うデザインを、分けて進めるケースが多くなっています。
Webプランナーの場合、Webデザイナーがデザイン作業を行っている間に、コンテンツ(Webサイトに掲載する情報)を取材したり企画したりして制作する業務までを担当する場合もあります。

どのような職場がある?

広告代理店、Web制作会社、事業会社、Webコンサルティング会社、加えてフリーランスとして働きます。企業の業態によって関わる部分が異なります。
広告代理店の場合は顧客のサービスや商品、マーケティングにおけるプロモーション全般を行い、メディア戦略なども行います。Web制作会社の場合、顧客や広告代理店から依頼を受け、Webサイトの制作を行います。事業会社になると自社サービスや自社の商品のプロモーションなどのプランニングを行い、広告代理店やWeb制作会社と一緒に仕事をします。フリーランスでは、これらすべての領域を必要に応じて担当します。

業務例

企業や取り扱う業態によっても様々ですが、以下のような業務を行います。

  • クライアント先に訪問し、要望やスケジュール、予算などのヒアリング
  • 要望を元に企画書の作成
  • Webサイトの仕様書の策定
  • チームメンバーに進捗の共有や報告、スケジュールの確認や調整
  • 社内の幹部や役員などに報告、会議

このようにクライアントや制作メンバー、幹部や役員など多くの人と関わり業務を行います。

働き方は?

広告代理店、Web制作会社、事業会社、Webコンサルティング会社で働く場合、基本的には正社員として働いています。Webプロデューサーはプロジェクトの管理を行うため、他の職種の様にフレックスや裁量労働制で自由に働く人もいます。また、企業で実績を積み、フリーランスとして独立して働く人もいますが、企業とフリーランスでは働き方も変わってきます。企業では基本的には平日8時間勤務ですが、フリーランスでは曜日など関係なく働く人もいます。

収入(年収・月収)は?

Webプランナーの場合、450万円前後が相場です。
年齢によっても大きく変動し、20代では350万円前後でも30代になると630万年前後となり、実績を積むことで高収入を狙えます。
Webプロデューサーの年収も大きくは代わりませが、有名な案件の実績を持つ人は年収1,000万円を超えることもあります。

将来性は?

豊富な経験と知識が必要な職種なため、需要は基本的に安定しています。またWeb業界の普及と需要が年々高まっていることからも、Webプランナー/Webプロデューサーは今後も必要とされていく見込みです。
Web業界は進化の早い業界のため、時代のニーズに合わせて提案できるように、業界のトレンドも常に把握しておくことが好ましいです。

どんなキャリアが歩めるか

Webプランナーの場合、Webプロデューサーとしてステップアップするという道が第一候補としてあります。WebプロデューサーはWebサイト制作の最上位職種となりますが、ビジネスに関する総合力があるWebプロデューサーは起業して会社を立ち上げるなど、自分の事業を持つという道もありますし、フリーランスとして活動するという道もあります。

求人動向

Webプランナー/Webプロデューサーは、Webディレクターと比べて求人は圧倒的に少なくなりますが、数年変わらず豊富で需要も高まっています。ですが、高いスキルと業務経験が必要となってくるため、慢性的に人材が不足しています。特に、技術はつけることはできてもコミュニケーションスキルに関しては実践が必要です。自分の技術に関するスキルアップと共に、上流の段階から業務に関わりながらヒューマンスキルを磨くことを意識しましょう。

なるには

一般的にどのようななり方があるのか

Webデザインやプログラミングなどの実務経験を積み、Webディレクターへステップアップし、その後Webプランナーになることが多いです。
この背景としては、制作に携わる幅広い職種のクリエイターに指示を出し、顧客のニーズに応じて企画・提案するため、Webに関する全般知識やコミュニケーション能力、問題解決能力が求められ、また出来上がってきた品質のチェックも行うなど、Webサイト制作フロー全体に深く携わるためです。

現在WebデザイナーやWebディレクターとして働いたり、フリーランスでWebデザインやディレクションを行いながらプロデューサー的役割も担っているようであれば、Webプランナー/Webプロデューサーとしてのキャリアアップを目指せます。また、経営者目線で考えることができたり、人を動かすリーダー力などがあれば、他業種からの転職も考えられます。Web業界の経験がないからこその客観的な視野を持ち合わせることで活躍することも期待できます。

未経験からなるには

前述の通り、全くの未経験からいきなりWebプランナー/Webプロデューサーは難しいですが、他業種などでリーダーを勤めていたりマネージメントを経験していれば目指すこともできます。
その様な経験がない場合は、まずはWebデザイナーやWebディレクターとしてWeb制作会社や広告代理店で勤務してWebプランナー/Webプロデューサーと一緒に働きながら、クリエイターとしての経験を積むと共に経営者の視点も学んで行き、ゆくゆくキャリアアップしていくことも目指せます。

必要なスキル

Webプランナー/Webプロデューサーになるために必要なスキルは、人と人をつなげるコミュニケーション力や、企業の課題を解決するソリューション力、案件を通すプレゼンテーション力が大切です。
また、クリエイターとしてのスキルや知識も必要です。「Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)」「Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)」などのデザインソフトの基本知識と、コーディング(HTML、 CSS、 JavaScriptなど)のプログラミングの基本知識です。これらのスキルはデジタルハリウッドの専科Webデザイナー専攻、本科UI/UXD専攻で学ぶことができます。
それに加え、Webにおけるトレンド、Webに関する全般知識、何より、リーダーシップ、コミュニケーション能力、プロジェクトマネジメント力も必要で、人間力が鍛えられる職業といえます。

必要な機材

まずパソコンは必要になります。同時に様々なプロジェクトを進行管理したり、データの量が多くなることもあるため、大容量のハードディスクが備わっているものが望ましいです。最近ではiPadなどのタブレットを持ち歩きプレゼンテーションや打ち合わせを行うケースも増えています。
また訪問先でネット環境に繋がらないことも考え、持ち歩きできるWi-Fiもあることが望ましいです。そのほかにはクライアントやメンバーといつでも連絡が取れるスマートフォンや、持ち歩きできるポータブルハードディスクなどがあります。

勉強法

どこにビジネスチャンスがあるか、色々な分野に精通してトレンドに敏感であることが必要です。
情報収集能力を高めるためには、多種多様な勉強会に参加をしたり、検索した情報が正しいのか自らの足でリサーチし、事実に基づいた正しい情報を仕事に活かしていきます。IT周りの最新技術や傾向だけでなく、異業種の話題や哲学、政治、経済、社会に関するあらゆる情報が、プランニングの際に発想展開につながります。フットワークを軽くし、色々な場に足を運びましょう。
また資格が必要なわけではありませんが、取るのであれば「ウェブデザイン技能士」「Webプロデューサー試験」などがおすすめです。

なるための適性は?

人の間に立って物事を進めることが好きな人、情報収集能力のある人、スケジュール管理のできる人、情報をまとめることが好きな人、そして好奇心旺盛であるということも大切です。
Webサイトは、業界を問わず商品のプロモーションや販売促進などに必要不可欠ですので、幅広い企業が、利用しています。それに伴いクライアントは、とにかく多様です。
Webプランナーは自分が知らない業界のことや社会のこと、トレンドを知って分析し、クライアントが求める集客アップや収益アップというサイト制作の目的を叶えるプランを考えていくことが大切です。そのため、好奇心が旺盛で、知識に対して学ぶ意欲が高く、それを楽しいと感じることが出来る人には天職です。

なるための難易度は?

なるためにはWeb制作や運用などを行なってきた実務経験が最も重要になります。そのためWebデザイナーやエンジニアとして経験を積む必要があります。また多くの人と関わるため、ディレクターとしての要件定義の経験や予算の管理、マーケティングに関わる経験、コミュニケーション力なども必要となることから、他の職種に比べると難易度は上がります。

なるにはどれくらいお金がかかる?

Web業界の知識が学べる専門のスクールに通う場合、30万円~120万円前後が多いです。学ぶ内容や期間によっても価格は変わってくるため、自分の目的やライフスタイルに合うスクールを選びましょう。
マーケティングなどに関する書籍など購入する場合、1冊2,000~3,000円が相場です。
また、PhotoshopなどのAdobe関連のソフトフェア使用料(全て使えるコンプリートプランで5,680円/月(税別)※学割あり)、インターネット費用(3,000~4,000円/月)、また自分でサイトを公開する場合にはレンタルサーバー代(300円前後~/月)などがあります。
すでに使えるパソコンがあれば必要ありませんが、パソコン購入費も必要になります。

講師インタビュー

熊谷 周太さん (30代男性) 株式会社博報堂プロダクツ クロスメディアプロデューサー
デジタルハリウッド大学卒業生
デジタルハリウッドSTUDIO 特別講師

Webプロデューサーの役割は、クライアントの要望や目的を聞き、全体設計やコンセプト策定をした上で、クリエイターをスタッフィングしてプロジェクトを牽引することです。

その為、コミュニケーションスキルや、提案力が求められます。
指示された業務をこなすよりも、プロジェクト全体の統括・責任者としてチームをまとめることに興味がある方に向いていると思います。

私は新卒で博報堂プロダクツに勤め、ウェブプロデュース・ディレクションの仕事から入り、その後現在は、ウェブだけでなくデジタルとアナログを融合したクロスメディアなプロモーションの企画提案・実施制作に従事しています。

在学中に、Webデザインだけでなく、映像制作やマーケティングなど、領域横断的にクリエイティブを学んだ経験も、現在の仕事に生かされていると思います。

著者:デジタルハリウッド スクール 編集部