Webアナリスト

公開日:2023-07-01

Webアナリストとは

「Webアナリスト」は、アクセス解析ツールやヒートマップ解析ツールなどを使い、クライアントのWebサイトのアクセス解析、サイト改善案を提案するお仕事です。WebマーケターやWeb広告の担当者、Webディレクターもアクセス解析ツールは活用しますが、Webアナリストは「Excel(エクセル)」を駆使し、高度な統計学を用いてWebサイトの分析を行います。そのためWebアナリストには、より専門的な知識が求められます。

どんな仕事・業務?

Webアナリストの仕事は、先述のようにアクセス解析などを行い最終的に事業のマーケティング課題を解決に導く事です。業態によって業務内容は多岐に渡りますが、ECサイトを運営する企業を例にとると、Web上のデータだけではなく顧客のフィードバックや現在の市場に基づく分析など行います。Webメディアを運営する企業の場合や広告代理店の場合では、広告のクリック率やA/Bテスト、リスティング広告の効果測定などを行います。

どんなソフトウェアを使うのか

主なツールの例としては、Googleが提供するアクセス解析ツールの「Google Analytics(グーグル アナリティクス)」などがあります。サイトの訪問者の動きを把握し、人気のページや人気のないページ、また問題のあるページなどを把握し改善を行うことで満足度を高めます。その他にもサイトの検索順位の監視や管理ができる「Google Search Console(グーグルサーチコンソール)」や、「Adobe Analytics(アドビ アナリティクス)」「SQL(エスキューエル)」「Python(パイソン)」など他のアクセス解析ツールやUI/UX解析ツール、A/Bテストツール、プログラミング言語を扱うことがあります。

どのような職場がある?

Webアナリストという職業は日本でも少しずつ増えており、主に大手ECサイトを運営する企業、ゲームを提供する企業、大手メディアを運営する企業、Webマーケティングを請け負う企業、ビックデータを取り扱う企業などがあります。
欧米では3割程度のWebアナリストが複数の企業で働く場合もあり、同時に4社以上の掛け持ちをしている人もいます。同じように日本でも、フリーランスのWebアナリストとして活躍する人もいます。

業務例

Webアナリストの業務は、クライアントの業種によっても異なるため一概にはいえませんが、例を挙げると以下のような業務があります。

  • サイトのアクセス解析、ヒートマップ解析
  • 競合他社のWebサイトを調査し、クライアントのWebサイトと比較及び改善案の提案
  • メルマガの開封率、クリック率やオプトアウトの傾向分析
  • 検索広告、バナー広告、メール、記事広告など広告のトラッキングとその分析
  • アンケート、CRMなどの分析、市場トレンドの分析
  • オンラインキャンペーンの計画と実行とその評価
  • オンラインマーケティングの戦略策定と最適化
  • KPIの設計、戦略や戦術設計、ロードマップ設計
  • ソーシャル、リスティング分析
  • SEO、LPO、A/Bテスト

このように、多岐に渡る分析を行い、最終的にクライアントの業績向上に寄与します。

収入(年収・月収)は?

日本での平均年収は400万〜580万円前後と言われています。他のWeb系の職種よりも高めとなっており、他の職種に比べて年齢が上がるにつれての年収の上がり方も高いです。もちろん未経験などの場合はこれよりも少ないこともありますが、専門性の高い職種のため、年収を増やしていける見込みがあります。
欧米での平均では経験年数10年を超えた人で年収74,000~135,000ドルと、日本と同じように他のWeb系の職種よりもかなり高めです。また日本円に直すと年収1,000万円超の求人も見られます。日本でも大手企業の求人が多いため同じように高い年収を提示している企業もあり、比較的高待遇が見込めます。

将来性は?

欧米ではWebアナリストはすでにポピュラーの職種の一つとなって確立されています。これに対し日本では、欧米に比べてWebアナリストの認知度はまだ低いというのが現状です。
Web関連企業であれば、社員として雇用されているケースも増えていますが、一般的な企業では外部のWeb制作会社やWebコンサルティング会社へ依頼することがほとんどであり、Web制作会社やWebコンサルティング会社でも、Webアナリストという名称で専門的に行うものはそれほど多くはありません。仮にあったとしてもWebプロデューサー、WebディレクターやWebマーケターが兼任していることが多く、本格的に取り組んでいる企業は少ないというのが現状です。
しかし、近年のIoTなどのインターネットやテクノロジーの著しい発展もあり、ニーズは高まっていると言えます。今後のAIの益々の発達が進むことを考えると、ビックデータの分析やプログラミング言語などを扱えるスキルも必要と考えられます。

求人動向

欧米での高い需要をみると今後も需要が増えて行くことが考えられます。日本での求人はまだそこまで多くはありませんが昔に比べると増加している傾向があります。競合他社に勝るにはWebアナリストの能力が必要なため、大手ネット広告代理店やコンサルティング会社などで求人が増加しています。
これから就職、転職を考えている場合は、一つのWebサイトを徹底して深堀りしたい場合は、目的の分野の求人を探しましょう。さまざまな業種の企業を網羅的に扱いたいといった場合はWeb制作、コンサルティング会社での求人を探すことをおすすめします。
また、アクセス解析の業務はWebディレクターやWebマスターの方になることもありますので、業務内容をしっかり確認する必要もあります。

なるには

一般的にどのようななり方があるのか

Webアナリストになるには、未経験から応募が可能な求人に応募する方法、企業においてマーケティング部門などで分析の経験を積んだのちにキャリアシフトするという方法があります。また、はじめから目指す業界がある場合は突然業界未経験から目指すのではなく、その業界でWebディレクターやWebマーケターといった職種を経験してからキャリアをシフトしていくという道もあります。

未経験からなるには

未経験から応募できる求人もありますが、行う業務は企業により様々です。そのため、資料作成能力やプレゼンテーション能力、円満なコミュニケーション能力、数値分析を行うためのExcelのスキルや、インターネットに関する知識などを持っておくと良いです。後述でも書きますが、「Webアナリスト検定」「Web解析士」「Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)」など、持っておくと有利となる資格もあります。その他にもセミナーも開催されているので、積極的に参加しておくこともおすすめです。

必要なスキル

Webアナリストになるために最も必要なスキルは、統計学を用いた高度な分析能力です。そしてさまざまな視点からWebサイトを解析し、それを基に仮説を立て、施策を実行、検証といういわゆるPDCAを回すことのできる能力が必須といえます。また施策の実行に関しては、Webアナリスト自身が実行するわけではないため、クライアントにその意図を説明し、理解を得るために説得しなければなりません。そういった意味ではプレゼンテーション能力もWebアナリストになるための条件の一つといえます。またWebプロデューサー、Webディレクター、Webデザイナーなどとチームを組んで依頼された案件にかかわることも多いため、それぞれの担当者との折衝も多く、コミュニケーション能力も重視されます。

さらにWeb制作、コンサルティング会社でWebアナリストをする場合、さまざまな業界の最新情報を入手し、常にその動向を抑えておく必要があります。そうすることでクライアントのどんな依頼に対しても適切な判断、アドバイスができるようになります。
そのほか、Webアナリストにとって欠かすことのできない定番のアクセス解析ツール「Google Analytics(グーグル アナリティクス)」などが使えるスキルが挙げられます。新たな機能が追加された場合はすぐにその機能を理解し、使い方を習得しましょう。
統計学を用いた分析においては、Excelを駆使することになるため、基本的な関数はもちろんですが、ピポットテーブル、マクロ、VBAなどの機能も問題なく使える方が望ましいです。

必要な機材

まずアクセス解析やヒートマップの解析に用いるパソコンが必要です。Excelなども活用することから、そういった作業が行いやすいものが望ましいです。その他には電卓が挙げられます。「CPA(Cost Per Action)」などの顧客獲得単価の計算、クリック単価の「CPC(Cost Per Click)」、「ROAS(Return On Advertising Spend)」や「ROI(Return On Investment)」などといった広告の投資利益率や費用対効果の計算を行う際に利用します。

勉強法

Webアナリストになるために必ず必要な資格はありません。持っておくと有利な資格として「Webアナリスト検定」「ウェブ解析士」「Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)」などがあります。その他関連のある資格では、「Web解析マネジメント講座」などが挙げられます。また必須ではありませんが、Excelを活用する事も多いため「Excel表計算処理技能認定試験」の1級や、「ビジネス統計スペシャリスト」の資格を持っていると、就職や転職の際に役に立つことがあります。

なるための適性は?

Webアナリストに向いている人は以下のような人です。

  • 統計学に興味がある人
  • 数学が好きで論理的思考が得意な人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • プレゼンテーション能力が高い人
  • 学習意欲が高く、常に最新動向に目を向けられる人
  • ロジカルシンギングができる人

なるための難易度は?

ウェブ解析士の資格を例にとると、初級~マスターまであり全体の合格率は全て70%以上と資格試験での難易度はそこまで高くありません。しかし、広い知識が求められるようになるので、それ相応の勉強は必要です。
最近は企業でもWebアナリストの育成に力を入れているところも多く、未経験で入社して知識とスキルをつけていくこともできます。

なるにはどれくらいお金がかかる?

専門のスクールに通いWebに関わる基礎知識をつける場合、30万円~120万円前後が多いです。学ぶ内容や期間によっても価格は変わってくるため、自分の目的やライフスタイルに合うスクールを選びましょう。
SEOやアナリティクスなどに関する書籍を購入する場合、1冊2,000~3,000円が相場です。セミナーの参加や資格取得の場合は参加費や受験料がかかります。
その他にはインターネット費用(3,000~4,000円/月)、また自分でサイトを運営してテストなどを行う場合にはレンタルサーバー代(300円前後~/月)などがかかります。
すでに使えるパソコンがあれば必要ありませんが、パソコン購入費も必要になります。

著者:デジタルハリウッド スクール 編集部