公開日:2023-07-01
IoTエンジニアとは
「IoTエンジニア(アイオーティー・エンジニア)」は、「インターネット」と「モノ」を繋げてより便利な社会にする技術を開発するエンジニアです。
「モノ」がセンサーを持つことで関連する別の「モノ」がネットワークで繋がり、遠隔操作などが出来るようになります。身近なものではスマートウォッチで心拍数を計測して分析したり、外出先から自宅の電気を操作する家電などがあり、このような生活に役立つ技術の開発などをしています。
話しかけるとAIアシスタントが反応してアクションを起こしてくれるスマートスピーカーなども、IoTの技術が活かされています。
どんな仕事・業務?
IoTとは「Internet of Things」の略であり、直訳すると『モノのインターネット』となります。ネットワークによって様々なモノがつながっている状態をいいます。
今までネットワークにつながっているモノといえば、PC、ゲーム機、レジのPOSシステム、銀行のATMなど、個人で扱うモノか、大規模なシステムを組みこんだモノかに留まっていました。
しかし最近では通信機器やセンサーの小型化、ネットワークデータ通信量の高速化、大容量化により、応用できる範囲が劇的に広がっています。
例えば自動車とIoTを組み合わせると、リアルタイムの渋滞情報を知ることができたり、自動運転に転用するこができます。今後IoT搭載自動車が増えれば、それらのデータを集積、解析することで、渋滞そのものが起きないように誘導したり、事故が頻発している場所を特定し、原因の追究や未然に防ぐということも可能になってきます。
または家電と組み合わせたスマート家電といわれるモノもあり、冷蔵庫と組み合わせれば、食材の賞味期限管理や入っている食材でのレシピ提案、電子レンジと組み合わせれば、食材に最も適した温め方や、食材を入れるだけで自動調理するということも可能になります。
この様にネットワークにつなげることで、従来の機能だけでは拡張の限界があったモノの可能性が大幅に広がります。
IoTエンジニアは、これら組み合わせるモノに適したプログラミングや構築など、開発を行います。
どのような職場がある?
自動車メーカー、精密機器メーカー、物流システムなどの構築を行う企業、IT系の企業などがあります。このように、システムなどの開発を行う企業が多くみられます。
ゆくゆくはモノを通じて蓄積して行ったデータを蓄積・分析し、ビッグデータとして活用すれば大きな利益を生み出せる可能性もあり、大きな影響を与える技術として企業は積極的に投資や人材確保に乗り出しており注目度の高い職業になってきています。しかしIoTには設備投資が必要であり、人材不足もあるためIoTを導入したくてもできない企業も多いです。
働き方は?
基本的には企業に正社員として所属し、企業の展開するシステムの開発に関わります。就業形態や待遇・福利厚生がしっかりとしているところが多く、メリハリをつけて働くことができます。またフレックス制度などを取り入れている企業も多く、こういった企業では個人の裁量やスケジュールに合わせて働くことができます。
収入(年収・月収)は?
新しい職種のため明確なデータはありませんが、未経験では300万円~500万円、経験者ですと600万円や800万円の求人や、中には1000万円を超える求人も見受けられます。
他のエンジニアと年収に関しては大きな差はありませんが、IoTは電子回路や基盤などのハードウェアとの連携がメインになるため、組み込み系プログラマーでもあるIoTエンジニアはより重宝されます。また、取り扱う言語でも少し変わってくるので、より高収入を目指すのであれば、「C言語」や「C++」といった言語を覚えるようにするとよいです。
将来性は?
「先端IT技術」のひとつであるIoTは、今後全体的にニーズが拡大しているとされています。
新たなサービス事業の展開や、事業の革新などに影響をもたらすとされるIoTエンジニアは今後もより注目を浴びる可能性の高い職業です。
今後、より多くの先端IT技術を持つエンジニアが必要とされるとともに、IoTエンジニアの人材不足は進むことが予想されるため、将来性は高いと言えます。
求人動向
「IoT」とは近年聞く様になった言葉ですが、実は昔から使われている技術でアメリカが発祥です。
日本でも自動車メーカーなどの製造業やIT企業を中心に広がりを見せていますが、2015年の日本での普及率はアメリカの半分ほどと言われています。IoTエンジニアに関する求人がここ数年で増えてきています。しかしエンジニア全体で人材不足となっている昨今、専門知識が多く必要なIoTエンジニアは更に不足しています。
なるには
一般的にどのようななり方があるのか
新しい職種なので明確なステップは確立されていませんが、まずはプログラマーとして実務経験を積み、IoTを組み込むハードの専門的な知識をつけていきます。または、従来ネットワークに結び付くとは思いもしなかったモノがつながっているので、新たな領域に進出したいと考えている企業が、ハードの知識を有する従業員にプログラミングスキルを身につけてもらい、IoTエンジニアにキャリアアップするパターンも増えています。
未経験からなるには
未経験からの就職を歓迎する企業も全体の半数程度あり、未経験でもチャレンジすることが可能です。しかし、何もしないまま就業すると就業後にギャップを感じることもあります。何かコードを書いたことがあるのとないのでは大きく異なるため、オンラインサービスや専門スクールなどで経験することをお勧めします。自分でコードを書けるようになり、実際に動くものが作れるようになってくると自分の適正や進みたい分野などが見えてきます。GitHubなどに完成したコードを掲載したり、制作したIoT製品はポートフォリオに掲載してアピールすることもできます。
必要なスキル
IoTエンジニアになるには、大きく分けて6つのスキルや知識が必要となります。
組み込み系のスキル
パソコンやスマートフォン、家電といったデバイスにセンサーなどを組み込みセンシングするには、ソフトウェアの知識だけではなく、基盤 / センサー / デバイス等のハードウェアの知識とスキルも必要です。
ネットワークに関する知識とスキル
製品をインターネットに繋げるためには、ネットワークに関する知識は必要不可欠です。IoTにおける通信方法はBluetoothや無線など、多くの方式があります。様々な通信方法に対応できる必要があります。
セキュリティに関する知識とスキル
ネットワークを介する通信の際は、セキュリティに関する知識や対応は必須です。最近ではIoT製品に向けたサイバー攻撃の事例も多数報告されており、割合が増えてきています。悪意あるハッキングでは情報漏洩だけではなく財産が奪われる等の可能性もあります。
AI(人口知能)の知識とスキル
データの活用において、IoTとAI(人工知能)は非常に密接しています。収集したデータを分析 / 解析するときはAIを利用することが多いため、AIや機械学習についても知っておいたほうが良いです。
スマートフォンアプリに関する知識とスキル
スマートフォンは世界で広く普及しており、スマートフォンに専用アプリケーションをインストールして操作をするものもたくさんあります。そのため、スマートフォンアプリが開発できるスキルが必要になることも多いです。
プログラミングに関する知識とスキル
「C言語」「C++言語」「Java」「Python」「Assembler(アセンブラ)」などが挙げられます。
特にC言語は歴史のあるプログラミング言語で凡用性が高く、WindowsのOSなどもC言語が使われており、組み込み系システムなどでも広く使われています。
必要な機材
IoT製品を作るのに必要な機材は多岐に渡り、企業によっても様々ですが、個人で行う場合、まずプログラミングを行うパソコンは必要です。その他にも、IT基盤やセンサーなどがあります。
自分でIoT製品を作ってみる場合のひとつの例として、イギリスのラズベリーパイ財団(Raspberry Pi Foundation)が開発を行なっている、通称「ラズパイ」と呼ばれる「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」という超小型のシングルボードコンピュータがあります。このような機器を使うと、IoTデバイスのプロトタイプなどを安価に作成することができます。スマートスピーカーや、室温を遠隔で確認できる温度センサーなどが作ることができ、今後増やしていくべき機材などの特徴も掴めてきます。
勉強法
IoTエンジニアを目指すにあたり資格は特別必要ではありませんが、現在「IoT検定制度委員会」という団体から以下のような検定試験が出ています。 スキルを可視化する為資格を取るのも一つと言えます。
- IoT検定レベル1試験プロフェッショナル・コーディネータ
- IoT検定ユーザー試験パワー・ユーザー
これらはIoTに関する広い分野での知識を測ることができます。また合否ではなくグレード制のため、理解度を示すこともできます。
なるための適性は?
IoTエンジニアに向いている方は、世の中の様々なモノに関心を持ち、新たにIoTを活かせる分野に気づけるような、多角な視野を持った方に向いています。IoTが活かせる分野はまだ少ないですが、アプリやプログラミングで制作ができれば、アイディア次第で市場はもっと広がります。また企業が積極的にIoT開発に乗り出しているので、技術があれば企業にアピールすることもできます。
技術はマストで必要となるため、前身としてプログラミング、アプリ開発の経験があると理想的です。
なるための難易度は?
IoTエンジニアはハードウェア、ソフトウェアの知識だけでなくプログラミングの知識やアプリ、セキュリティなど多岐にわたるため、難易度は他の職種に比べて高くなります。しかし、現在はIoT技術に特化したスクールも多いため、この様なスクールで必要な知識つけて学ぶことでIoTエンジニアになる近道となります。
なるにはどれくらいお金がかかる?
社会人向けのスクールに通う場合は、20万円〜120万円前後が多くなっています。学べる内容や期間などによっても価格は大きく変わってくるため、自分の目的やライフスタイルに合うスクールを選択ことが大切になります。
また、すでに使えるパソコンがあれば必要ありませんがパソコン購入費なども必要になります。