サーバーとは?種類や仕組みについて徹底解説

公開日:2023-07-01

最近では、どの業種の人でもIT用語やシステムについて知らなくては、仕事ができない世の中になってきました。特に新規事業を始める方、個人で情報発信をしていきたいと考えている方は、ホームページを作るということが、まず頭に浮かぶのではないでしょうか。その時に必ず目にする「サーバー」という言葉。そもそもサーバーって何?という疑問を持つ方が多いですね。よく聞く言葉だけど、実際サーバーってどういう意味か、どういう役割があるのか、どんな種類があるのか・・・今回はそんな疑問にお答えするため、「サーバーとは?」をIT初心者の方でも理解できるように簡単に解説していきます。

サーバーとは

サーバーとは、簡単に言うと「情報を保存する箱」です。「情報の保存」以外にも様々な役割がありますが、まずここでは、「情報を保存している箱」と覚えておきましょう。

お店のホームページでいうと、お客さんの購入情報や個人情報を保存していたり、ホームページを表示させるプログラムや、画面のレイアウト・デザイン(HTML・CSSファイル)の情報が保存されていたりします。

サーバーという言葉をさらに具体的にイメージするため、サーバーと関連の強い用語「ネットワーク」「クライアント」についても簡単に解説していきます。

ネットワークとは

ネットワークとは、様々な情報を伝達する仕組みのことです。インターネットはネットワークの一つですね。世界のいろんなコンピュータがインターネットで繋がっています。自宅のパソコン・スマホと、お店のホームページをつなぎ合わせたり、企業のホームページとコールセンターをつなぎ合わせたりしています。

これが一対一の線ではなく、無数に存在するホームページなどのシステムやスマホ・パソコンをつなぎ合わせているため、「情報を伝達する網」となっています。

物理的に隣り合ったコンピュータをつなぐ回線もネットワークの一つと言えるでしょう。ネットワークがあることで、私たちは、いろんなサーバーに保存されている情報を自由に見ることができるのです。

サーバーとクライアント

サーバーを理解するうえで、もう一つ重要な用語は「クライアント」という言葉です。

クライアントというのは、「得たい情報を指示する端末」のことです。その端末を操作する人も含めてクライアントと呼ぶこともあります。先ほどネットワークの説明でも登場したパソコンやスマホをイメージすると分かりやすいですね。サーバーに大量に保存されている情報のうち「この情報が欲しい」ということをクライアントから指示します。サーバーはその指示に対して、答えとなる情報を返します。サーバーが情報を保存する箱であるのに対して、クライアントは「得たい情報を指示する」役割があります。

サーバーとは何?

サーバーは「情報を保存している箱」であり、クライアントからの「この情報が欲しい」という指示に対して、ネットワークを介して、その答えとなる情報を返す役割があるということになります。

あなたが日常的に使うGoogleの検索エンジンをイメージすると分かりやすいですね。知りたいことがあればGoogleで調べ、情報を手に入れることができます。

これは、スマホやパソコン(クライアント)からの「この情報が欲しい」という指示が、ネットワークを介してGoogleのサーバーに伝わり、Googleのサーバーは、大量に保存している情報の中から、クライアントの指示にあった検索結果を返すという一連の流れによるものなのです。

サーバーの種類は主に4つ

サーバーとは何かを理解したところで、次にサーバーの種類について解説してきます。

実際にホームページやシステムを作るということになると、いろんなサーバーがあって迷ってしまいます。ここでは代表的な例をあげて、それぞれのサーバーの特徴や料金、代表的なサービスを説明していきます。

レンタルサーバー(共用サーバー)

レンタルサーバーは読んで字のごとく、「借りるサーバー」のことです。一般的にはサーバーの貸出をしている企業に月額料金を払えば、その企業が所有しているサーバーを利用できるようになっています。


レンタルサーバーの特徴
レンタルサーバーは、サーバーに関する専門的な知識がなくても、すぐに利用できる手軽なサーバーであることが大きな特徴です。一方で、他の利用者と共用になっていて、設定や利用できるサービス・プログラムなどが制限されている場合が多く、自由度が低いサーバーでもあります。


レンタルサーバーの料金
無料~3000円/月程度。


レンタルサーバーの代表的なサービス
さくらレンタルサーバー

クラウドサーバー

クラウドサーバーを理解するためには、まず「クラウド」を理解する必要があります。クラウドとは日本語で「雲」。つまり、クラウドとは、雲のように自由に大きさや形を変えられることを意味します。クラウドサーバーは、実際には物理的なコンピュータなのですが、そのコンピュータがとても大規模で、利用者は利用範囲や利用方法を自由に選択できます。


クラウドサーバーの特徴
クラウドサーバーの特徴は、利用容量や処理速度などを変更できることです。繁忙期と閑散期の利用状況の差が大きいサービスは、クラウドサーバーを利用することで、その時期に合わせて柔軟に利用範囲・利用方法を変更することができます。


クラウドサーバーの料金
月額数百円~利用状況に応じて従量課金制が多い。


クラウドサーバーの代表的なサービス
GMOクラウドサーバー
Amazon
Google Cloud Platform

VPS(Virtual Private Server)

VPSとは、Virtual Private Serverの略で、仮想専用サーバーという意味です。「仮想」という言葉が理解しづらいですが、これはクラウドサーバーと似ています。実際には大きな一つのコンピュータですが、そのコンピュータを論理的に分割し、一人一人の利用者に割り当てています。利用者からみれば、分割された一部を使っているという感覚はなく、自分専用のサーバーを使っているのと同じになります。


VPSの特徴
VPSの特徴は、設定やインストールするアプリケーションを自分専用のサーバーのように自由に追加・変更できることです。クラウドサーバーのように容量や処理速度を変更することはできませんが、それ以外の細かな設定まで自分のパソコンのように自由に変更することができます。そのためVPSを使いこなすためには、ある程度サーバーに関する専門知識が必要です。


VPSの料金
月額数百円~1万円程度。


VPSの代表的なサービス
さくらVPS
ConoHa
KAGOYA

専用サーバー

専用サーバーは、その名の通り、あなた専用のサーバーです。物理的にも一つのサーバーです。


専用サーバーの特徴
専用サーバーの特徴は、物理的に一つのサーバーを個人または法人で占有しているということです。もちろんカスタマイズも自由。一方で、容量や処理速度は物理的なサーバーに依存しているので、変更はできません。レンタルサーバー、クラウドサーバー、VPSは物理的な部分を共有していますが、専用サーバーは電源に至るまで独立しています。


専用サーバーの料金
月額3000円~数万円


専用サーバーの代表的なサービス
さくら専用サーバー
CPI
KAGOYA専用サーバー

環境別に分類した場合のサーバーの種類

利用環境によってサーバーの種類を分ける方法があります。

利用環境によって分ける場合、種別は大きく「物理サーバー」と「仮想サーバー」の2種類に分かれます。さらにここからいくつかの方式に細かく分かれます。


物理サーバー

物理サーバーとは、物理的に存在する1台のサーバーのことです。一般的に「サーバー」と呼ばれる場合は、物理サーバーを指す場合が多く、仮想サーバーと比較したいときに物理サーバーと呼ばれることも多いです。

さらに物理サーバーは「共有サーバー」と「専用サーバー」の2方式で利用されます。


仮想サーバー

仮想サーバーとは、1台の物理サーバーを、仮想化のソフトウェアを使って複数台のOSを動かし、仮想的に複数台のサーバーとして機能させます。

クラウド技術の普及などにより近年広がっているサーバーの形式です。仮想サーバーの種類は、「 VPS 」と「クラウドサーバー」の2種類があります。

サーバーの代表的な使用用途

サーバーは、「情報を保存する」以外にも、用途ごとのミドルウェア・アプリケーションをインストールすることにより様々な役割を果たすことができます。個人などでは、一つのサーバーに複数の役割を持たせることが多いですが、企業など大規模なシステムとなると、役割ごとにサーバーを分けて利用するのが一般的です。

ここではいくつか例をあげて、使用用途ごとに簡単に解説してきます。

項目 用途
Webサーバー Webサイト(インターネット)のコンテンツを表示
データベースサーバー 情報の保存に特化したサーバー
メールサーバー メールを送受信する役割を担う
FTPサーバー ファイルの送受信を担うサーバー
DNSサーバー ドメインとIPアドレスを紐づける役割
SSHサーバー セキュリティーを守るためのサーバー

Webサーバー

WEBサーバーとは、その名の通り、WEBつまりインターネット上で働くサーバーのことです。

誰かがホームページにアクセスしてきた場合、最初にアクセスを受けるのがWEBサーバーの役割です。アクセス量やアクセス方法を制御したり、大量にくるアクセスを複数のコンピュータに振り分けたりすることもあります。

データベースサーバー

データベースサーバーとは、情報の保存に特化したサーバーのことで、特にデータベースと言われるアプリケーションを動作させるサーバーのことをデータベースサーバーと呼ぶことが多いです。企業などでは、個人情報や購入情報などあらゆる情報を、このサーバー内のデータベースに保存しています。

メールサーバー

メールサーバーは、メールを送受信する役割を担うサーバーのことです。システムによっては、メールの送信のみを行うサーバーもあります。企業などでは、毎日膨大なメールが飛び交うため大量の処理が常に動き続けます。そのため、メール業務だけを独立したサーバーで管理することが一般的です。

FTPサーバー

FTPサーバーとは、File Transfar Protocalサーバーの略で、ファイルの送受信を担うサーバーのことです。SNS利用の拡大によって、高画質な写真や長時間の動画をアップロードすることが増えてきました。メールなどでもファイルの添付は可能ですが、ファイル転送に特化しているわけではありません。FTPサーバーがファイル送受信を専属で行うことによって、大容量で大量のファイルアップロードに対応することができるようになります。

DNSサーバー

DNSサーバーとは、Domain Name Systemサーバーの略で、ドメインとIPアドレスを紐づける役割を担っています。インターネット上にも住所のようなものがあり、これをIPアドレスと言います。しかし普段私たちが、IPアドレスを目にすることはほとんどありません。それは普段私たちがIPアドレスの代わりにドメインを利用しているからです。実際には、「128.000.000.000」というIPアドレスのサイトであったしても、それをexample.comというドメインに置き換えて利用しています。この実際のIPアドレスとドメインを紐づける役割をDNSサーバーが担っているのです。

SSHサーバー

SSHサーバーは、Security Shellサーバーの略で、セキュリティーを守るためのサーバーです。クラウドサーバーや、VPS、レンタルサーバーは、インターネットを介してアクセスすることがほとんどです。つまり遠隔地からサーバーを操作するというのが一般的です。その際、悪意のある人物が自由にそのサーバーにアクセスできるのは問題ですよね。そこで、サーバーにアクセスする際に、SSHサーバーを介することで、悪意のある人物があなたの利用しているサーバーに侵入できないようにする役割をSSHサーバーは担っているのです。その仕組みを説明すると長くなってしまいますが、簡単に言えば、あなたしか知らない鍵の情報をSSHサーバーと共有することで、SSHサーバーが認識している人物のみにアクセスの許可を与えることができます。

仕組みごとに分類した場合のサーバーの種類

仕組みでサーバーを分類することもできます。その場合、大きくアプライアンスサーバーと汎用サーバーに分けられます。


アプライアンスサーバー

アプライアンスサーバーとは、特定の用途向けに設計や開発されたサーバー製品のことです。特定の機能を提供する専用の製品(機器)を物理アプライアンスと呼びます。仮想アプライアンスは、特定の仮想化ソフトで展開できるような環境下で仮想マシンとしてパッケージされています。


汎用サーバー

汎用サーバーは、アプライアンスサーバーが特定の用途向けに対応しているのとは異なり、様々な用途に対応しています。サーバソフトウェアをインストールすれば、1台のサーバー用機器で様々なサーバになることができます。

サーバーラックとは何か?

サーバーラックとは、名前の通りサーバーを収納するためのラックのことです。

大切なファイルやデータを保存しているサーバーが万が一故障してしまうと、業務に支障が出てしまいます。そこでサーバーラックを使用することでサーバーラックにサーバーを収納しながら安心してデータの受け渡しができます。

サーバーには3種類の形状が存在する

サーバーラックには、3種類の形状が存在します。システムの規模感にあわせてどの形状を使うのが良いかを考える必要があります。

今回は、タワー型、ラックマウント型(ラック型)、ブレード型についてメリット・デメリットなどを紹介します。


タワー型

タワー型は、いわゆるデスクトップ型PCのような形状です。中小企業に導入されていることが多いです。

メリットとしては、サーバールームを設置することなくオフィス内に置けることです。また、制音性にも優れています。

一方、タワー型の場合は、単体で設置するのが前提のため台数が増えると設置スペースに困る点がデメリットです。


ラックマウント型(ラック型)

ラックマウント型(ラック型)は、サーバールームの専用ラックに収納できる縦に長い直方体です。

メリットは、中規模〜大規模のシステム構築をするのに適していることです。大企業で導入されていることが多い型になります。複数のサーバーを特定のスペースに集めることが前提の設計になっています。デメリットは、3種類のうち最も消費電力が高いことです。


ブレード型

ブレード型は、限られた空間に多くのサーバーを設置し、システムを集約して活用したい場合、小さなスペースに収納する形状です。

メリットとしては、省スペースに大規模システムの場合でも収納ができる点です。電源や冷却装置はサーバー間で共有するため部品の数が少なく保守がしやすいです。

一方、デメリットは、タワー型やラックマウント型(ラック型)に比べ高額である点です。また、サーバー本体にはサイズなど業界標準規格がないため、乗り換えの際には層取り換えとなり費用がかかるためメーカーを乗り換えづらいという面もあります。

まとめ

サーバーには、レンタルサーバーや、クラウドサーバー、VPS、専用サーバーなど様々な種類があり、「情報を保存する」役割以外にも、ミドルウェアやアプリケーションと組み合わせることで、様々な役割を担うことができます。料金も月額1万円以下で利用できるものが多く、誰でも利用することができるものです。今回は、「サーバーとは何か?」という観点で初心者でも簡単に理解できるように解説しました。さらに詳しく知りたいという方は、今回紹介したサーバーの種類や使用用途を個別に調べたり、書店に売っている専門書を読んでみたりしてみるとよいでしょう。

著者:デジタルハリウッド スクール 編集部