生成AIとは?仕組みや従来のAIとの違い、できる事・苦手なこと、活用例などを解説

生成AIとは?仕組みや従来のAIとの違い、できる事・苦手なこと、活用例などを解説

公開日:2024-07-22

生成AIの台頭により、業務効率が上がったり、新しいアイディアが創出しやすくなったりビジネスの場において活用が急激に進んでいます。生成AI(ジェネレーティブAI)の活用について気になっている方も多いのではないでしょうか。今回は、生成AIとは何かといった概要から、仕組みや従来のAIとの違い、できる事・苦手なこと、活用例などを紹介します。

【目次】

生成AI(ジェネレーティブAI)とは

生成AI(ジェネレーティブAI)は、学習済みのデータを基に新しいコンテンツを生み出すことのできる機械学習モデルの一つです。例えば、生成AI(ジェネレーティブAI)を活用することで文章や画像などのコンテンツを新たに生み出すことが出来ます。専門知識不要で誰でも利用できるということもあり、近年、非常に注目を集めています。

生成AIの仕組み・特徴とは?

生成AIの特徴は、ディープラーニングの手法が使われていることです。ディープラーニングとは、機械学習モデルの手法の一つです。ディープラーニングは、深層学習を意味しています。新しいコンテンツを生み出すために事前に大量のデータを与え学習をさせます。学習後、AI自身が、事前に与えられたデータを基に最も良いと思われる回答を見つけ、高度なコンテンツを生成します。

従来のAIと生成AIの違いは何?

従来のAIは、人間が与えたデータを学習し、適切な回答をしたり結果予測を行ったりしていました。

一方、生成AIは、ディープラーニングを活用することでAIが自ら学習したデータを用いて、文章・画像など様々なオリジナルコンテンツを新たに生成することができます。生成AIは自らが学習したデータを基に様々な特徴や関係性をインプットし、自らが獲得した学習結果から新たなコンテンツを生成することができる点が従来のAIとの違いです。生成AIの注目が高まっているのは、今まで人間が行っていた「0から1を作り出す」という作業ができるようになったことが理由の一つと言えるでしょう。

生成AIが注目される背景

《種類別》生成AIでできること

ここでは、5つの種類別に生成AIが出来ることをご紹介します。

1:テキスト生成

テキスト生成を活用し、記事の作成や論文の要約、メールマガジンの作成などのテキストを作成することができます。今までは、人が0からアイディアを出し文章におこしていた作業を生成AIが代わりに行ってくれることで効率化され作業時間の短縮につなげることが出来ます。アイディアを出すという点では、キャッチコピー案を複数テキストで提案してくれるなど様々な活用方法があります。

2:画像生成

画像生成AIは、テキストでどのような画像生成をしてほしいか指示を出すと、指定した画像を生成してくれます。Webサイトやブログ、SNSのアイキャッチやアイコン、イラストなど幅広く生成可能です。生成されたAI画像を素材とし、自身で新たなコンテンツを作成するのに活かすことも出来ます。

3:動画生成

画像生成AIと同じく、テキストでどのような動画を生成してほしいか指示を出すことで動画を生成することが出来ます。現在では、ハリウッドなど実際の映画制作の場においても動画生成AIを活用することが増えています。とはいえ、まだ長尺動画の生成は難しい状態です。

4:音声生成

音声AIは、ある一人の声を学習させ、音声入力やテキストの入力で新しい音声を生成します。大量に学習させたデータを基に、その人の声質と全く同じ声質で、入力したテキストを読み上げさせることができます。

5:3Dモデル生成

入力したテキストや1枚の画像から3Dモデルを生成することができます。今までは三面図やリギングといった複雑で専門的な工程が必要でしたが、3Dモデル生成AIを活用することでこれらの工程の削減につながり効率的に3Dモデルが作成できるようになり始めています。

生成AIに用いられる代表的なモデル

ここでは、生成AIに用いられることの多い代表的な4つのモデルをご紹介します。

1:GPT

現在、生成AIのモデルの中では、最も「GPT」を耳にすることが多いかもしれません。一番有名なサービスは、OpenAIが開発した「ChatGPT」です。2024年5月時点では、「GPT-4o」が最新版として公開されています。GPT-4oは今までのモデルに比べ精度と応答速度が向上しています。またより自然な回答や対話ができるようになっています。

2:VAE

VAEは、画像生成AIに採用されているディープラーニングによる生成AIモデルです。VAEは、AIに学習用データを与え、AIがそこから特徴を抽出し、そのデータの性質を持つ新しい画像を生成します。大量に、ある一人のイラストレーターの作品画像を学習させると、そこからイラストレーターの作柄などの特徴を抽出し、新たなイラストを生成することができます。ただし、利用の際には、著作権侵害の問題には注意が必要です。

3:GAN

GANは、画像生成AIに活用される生成モデルの一つです。GANは、Generator(生成ネットワーク)とDiscriminator(識別ネットワーク)という2種類のネットワーク構造を競わせることによって高度なコンテンツを生成します。何度も繰り返し2種類のネットワークを比較させ、競わせることで解像度の高い画像が生成されます。

4:拡散モデル

GANの発展型とも言われるのが「拡散モデル」です。拡散モデルは、学習用の元の画像にランダムにノイズを徐々に加え、そこからノイズを少しづつ取り除き復元することで画像生成プロセスを学習します。何度も繰り返し復元するプロセスを行うことが高精度の画像生成につながります。画像生成AIで有名な「DALL-E 3」には拡散モデルが使われています。

生成AIを活用したサービス例・技術

実際に生成AIが活用されているサービスや技術をいくつかご紹介します。

ChatGPT

ChatGPTとは、ユーザーが入力したテキストに対し、まるで人間と会話しているかのように自然な対話ができるチャットサービスです。2022年11月に公開され、無料で利用できることから大きな話題を集めました。イーロン・マスク氏を始めとした実業家たちが出資しているOpenAIによって開発されたサービスです。ChatGPTは、プロンプトと呼ばれるテキストでの質問や指示に対して、インターネット上の大量の情報を学習したデータを基に、最適な回答やテキスト生成を行うことができます。

Adobe Firefly

illustratorやPhotoshopなどクリエイターであれば誰もが知っているツールを開発しているAdobe社が、生成AIを活用した画像生成のサービス「Adobe Firefly」をリリースしました。Fireflyで使用されるクリエイティブは、AdobeStockと呼ばれるAdobeのストックフォトを利用しているため著作権に抵触することなくサービスの利用ができる点が特徴の一つです。

Canva

デザイン知識やコードの知識不要で利用ができるオンライングラフィックデザインサービスである「Canva」に生成AIを活用した拡張機能がどんどん追加されています。テキスト入力で画像生成が出来たり、自動で文章を生成してくれたり、比較的工数を省いた工程で生成AIを活用したクリエイティブやコンテンツの制作ができるようになっています。

Gemini

Googleが提供する生成AIサービス「Gemini」は、2023年12月にリリースされました。Geminiより前に既にリリースされていた「Bard」というチャットAIサービスの名称が変更されたサービスがGeminiです。Geminiでは、サービス内容もアップデートされています。テキスト・音声・画像・動画など様々な情報を横断的に学習を行う最先端のマルチモーダルAIモデルな点が特徴の一つです。

SGE

SGE(Search Generative Experience)は、Googleが新しい検索機能としてリリースしました。2024年7月時点では、国内外ともに試験運用の状態です。SGEを利用すると、Googleで検索した際に、検索意図に沿った回答が自動で生成されます。今までは自らが複数のWebサイトを見て情報の取捨選択をしてきましたが、SGEを利用することで、一目でまとめられた情報を見ることができるため、ユーザーからすると情報の取捨選択の負担を減らすことができます。

生成AIが苦手なことや課題・危険性について

活用メリットの多い生成AIですが、苦手なことや課題があること、利用するにあたって危険性があるということも認識しながら使用するのがおすすめです。

感情理解

生成AIが苦手なことの一つは、感情を理解することです。人間のように嬉しい・悲しいなどの感情を持っておらず、その場の反応で対応を変えるなど臨機応変な判断は不得意です。

創造性の欠如

人間であれば、自身の感情や考え方、ひらめきなど主観を基に創作を行うことができます。一方で、生成AIは一見するとオリジナル性のある創作物を生成しているように見えますが、学習データを基にコンテンツを生成しています。

倫理的な判断

生成AIは、感情に左右されることなく最適だと思われる合理的な回答を出すことを得意としています。回答内容が、たとえ倫理的に問題があったとしても、問題を解決するのに合理的で一番良い回答だと判断すれば提案を行うこともあります。生成AIが導いた回答が倫理的な判断が出来ているかどうかについては人間の目視でのチェックが必要です。

著作権・商標権の問題

生成AIを活用した画像や音声Aiにおいては、著作権に注意が必要です。例えば、あるイラストレーターのイラスト作品をAIに多数学習させることで、イラストレーターのイラストの特徴とそっくりなイラストが生成できてしまいます。著作権・商標権の侵害にあたる可能性があったり、イラストレーターの知らない場所でまるで自身が描いた作品であるかのようにイラストが拡散されてしまう恐れがあるなどリスクもはらんでいる点には注意が必要です。

情報漏洩の問題

テキスト生成AIの場合は、入力された情報をデータ元としデータベースに記録していきます。社員の個人情報や機密情報を入力した場合、他のユーザーが何か質問を行った際に、何らかのタイミングで学習記録として残った機密情報のデータが表示されてしまうかもしれないという危険性をはらんでいます。企業で生成AIを活用する際には、秘匿性の高い情報は入力しないなどのルールを決めていた方が良いのかも知れません。

サイバー攻撃

テキスト生成AIの特徴を悪用し、サイバー攻撃用のプログラムを生成する目的で使用される可能性があります。使っているユーザーが悪意を持って生成AIを利用しているかどうかの判断は生成AI自身は出来ません。生成AIが発展するに伴い、悪用するユーザーが仮に増えてしまった場合、サイバー攻撃の激化につながる可能性があります。

学習していない範囲の未来の予測

生成AIは、大量の学習データを基に画像や動画、テキストを生成します。つまり、学習していないものに対しての生成は現状、不得意な分野です。学習をしていれば、次にくるであろう内容を確立より予測し回答を導き出しますが、無関係なことを組み合わせて回答するのは苦手です。

人に代替する可能性

生成AIを活用することで業務が効率化するなどメリットも多くある一方で、そもそも人自体を代替する可能性もはらんでいます。生成AIが人が今まで行っていた作業を取って代わることで、社員のリストラを大量に行うなど、今後人の存在価値を問うケースも増えてくる可能性があります。

生成AIは今後、社会にどのような変化を与える?

生成AIがより一層普及することで、様々な業界・私たちの生活に大きな変化をもたらすと予想されています。

既に多数の企業で生成AIを活用したサービス展開が行われたり、今まで人が行っていた業務を生成AIに代替し業務効率化を図ったりするなど、生成AIの活用が目まぐるしいスピードで進んでいます。今後、飛躍的なスピードで技術の革新が進むことで、人間の業務負担が減り、あらゆる業界の進化、変革につながる可能性があります。

生成AIは、日常生活だけではなく、教育・エンターテイメント・医療・流通・ヘルスケア・金融・通信・製造などありとあらゆる業界での活用が見込まれます。未来の社会では、より個々の要望にあったサービスの提供がされるようになる可能性があります。

単に生成AIが人にとって変わるだけではなく、人と協同することによって今までは考えもつかなかった新しいアイディアや解決策が生まれ、新たな価値の創出につながるかもしれません。

詳しく学ぶならデジタルハリウッド専門スクール

デジタルハリウッド専門スクールでは、「プロンプトエンジニアリングマスター講座」という講座を開講しています。デジタルハリウッド専門スクールは、社会人向けのスクールですが、大学生でWスクールで通いながら受講する方もいます。デジタルハリウッド専門スクールでは、プロンプトエンジニアリングが今後クリエイターにとって標準的なスキルになると考えています。そこで、2023年9月から本講座と前身となる「クリエイターのためのプロンプトエンジニアリング講座」の提供を開始しています。

この講座では、生成AIに馴染みのない方でも、優れたプロンプトを操る能力を身に付けることを目標としています。


▼5ステップの学習体系で生成AIのポテンシャルを最大限に学習が可能です。


STEP1:生成AIの技術的な背景と基本的な構造を理解し新世代の人材像を把握する

STEP2:フレームワークを活用した質の高いプロンプトの作成能力を習得

STEP3:強力なプラグインの活用方法を学ぶ

STEP4:65種類のTipsから自身のビジネススキル/クリエイティブスキルを伸長

STEP5:20のケーススタディで実務での活用方法を身につける


毎月1日の開講となりますので、ご興味のある方はまずはお問い合わせください。

まとめ

今回は、生成AIとは何かといった概要から、生成AIの仕組みや従来のAIとの違い、できる事・苦手なこと、活用例などを紹介してきました。生成AIは今後より精度が高まり、リアルタイムな処理ができるようになったり、対話がスムーズにできるようになったり、私たちの日常生活だけではなくあらゆる分野や業界で活用が進むと考えられます。

生成AIは、無限の可能性を秘めていると言えますが、一方で生成AIが現状苦手なこと、使用するにあたって課題やリスクがあることがあることを認識し安全な利用を心がけましょう。