公開日:2023-07-01
SNS・動画配信サイトの浸透や、安価なデジタル一眼レフやシネマカメラの登場によって、個人レベルでも、本格的な映像制作を目指すハードルが下がってきました。
また、企業の動画活用の促進に伴い、動画制作の求人やフリーランスの制作案件も増加し、企業・個人に関わらず、動画を活用する機会が大幅に増えています。
映像制作や、映像に携わる仕事がより身近になった中で、これから新たに勉強したいと思う人も多いでしょう。
- 映像制作を学びたいが、独学でもできるの?
- 映像制作関連の仕事に就きたいが、どう勉強するべき?
そんな悩みを持つ人に向けて、映像制作を学ぶということついての様々なポイントを紹介します。
映像制作の仕事で必要なスキルとは?
さて、ディレクターやクリエイターとして映像制作会社で仕事をするにあたって、どんなスキルが必要になるでしょうか。
編集や撮影といった技術的なものや、ビジネススキルなど、幅広い知識・能力が求められますが、いくつかおおまかにピックアップするならば、以下のようなものが重要でしょう。
映像編集・加工スキル
AdobeのPremiere ProやAfter Effectsなどをはじめとする、映像制作ソフトの基本的な操作法はもちろんのこと、ソフトを使ったカット編集や、タイトル・モーションデザイン、VFX表現など、様々な映像編集・加工のノウハウを持っておくことは重要です。
Youtubeや書籍などで、かなり広い範囲で知識を得ることができるため、比較的独学がしやすいスキルだと言えます。
撮影やライティング(照明)の知識・経験
安価なものも増えてきたとは言え、個人で機材を揃えて撮影経験を積むのは、独学ではハードルが高い分野ですが、基本的な機材の特色や選び方・扱い方を、知っておくことは大切です。まずは解説や実演動画を見て、概要をつかむのが良いでしょう。
現場で学ぶことが近道ですが、個人でも、可能な限りの機材で、撮影の経験は積んでおくべきでしょう。
ディレクションスキル
対顧客や社内でのコミュニケーションや、資料制作、また、スケジューリングや工数感覚と言ったスキルは、どんな案件においても、常に必要とされる能力です。ディレクター職でなくとも、制作に関わる以上は、制作進行や企画構成に関わるスキルは持っておくべきでしょう。様々な事例やノウハウを事前に知っておくこともとても重要ですが、やはり実践知として現場で培われていく要素が強いスキルです。
デザイン・アートディレクションスキル
デザインの心得やパターンを広く知り、扱えること、そしてPhotoshopやIllustratorと言ったデザインソフトの知識があることも重要です。
グラフィックデザインの領域は、映像制作よりもさらに、webや書籍が充実していて独学がしやすい分野だと言えます。
また、日頃から様々な映像やデザインに意識的に触れて、ストックを増やし続けていくことで、いわゆるセンスも養われていきます。
これらの、映像制作領域で必要なスキルを学んでいくにあたって、なかなか個人ではハードルが高いものもありますが、最近はYoutubeをはじめとしたチュートリアル動画もかなり充実しており、独学でも幅広い知識を学べる環境が整っています。
ここからは、独学で上記のようなスキルを勉強しようと思った時に、スクールに通うことと比較して、どのような「良い面」「悪い面」があるのかに着目していきます。
映像制作を独学するメリットとは?
ある程度のスペックのPCと、編集ソフトと、ネット環境さえあれば、編集・デザインのノウハウを幅広く得ることができるほどに、Youtubeを中心に解説コンテンツが充実し、独学しやすい環境になりました。
自分の計画や判断で勉強をどんどん進めていける一方で、良い教材を自分で選び取る検索力や判断力が常に必要だったり、学ぶモチベーションやスピード感を担保するのが難しい、というようなデメリットがあります。
まずは、映像制作スキルを独学で学ぶメリットについて、見ていきましょう。
メリット1: 無料/有料の教材が充実している。
後ほど具体的なYoutubeチャンネルや書籍、サイトも紹介しますが、映像制作関連のチュートリアル(解説)動画は、数年前とは比較にならないほど増えてきました。
カメラ選びから撮影方法、編集ソフト選び(Premiere Pro・After Effects・Final cut Proなど)、カット編集、カラーグレーディング(色調補正)、VFX(視覚表現)、配信のノウハウ...と、映像制作の様々なジャンル・工程に渡って、幅広い技術を知ることができます。
コンテンツの量や幅広さの面で、映像を学ぶにはYoutubeを強く活用することをおすすめます。さらに、書籍や、有料コンテンツ(後述するvookやudemyなど)も、信頼できるものを選んで使っていくことで、より段階的・体系的にまとめられた情報が得られます。無料コンテンツと有料コンテンツを併用して、着実に技術を身に付けていくのが良いでしょう。
メリット2: 自分のペースで学習ができる
人によって、環境や、確保できる学習時間は様々です。仕事や生活の状況に合わせて、学習内容やスケジュールをコントロールして進めることができる点もメリットと言えるでしょう。
メリット3: 通学の必要性がない
スクールで学習するのに比べ、通学の時間がかからないこと、人との接触を避けられることも利点として挙げられます。
ただスクールも、ウェビナーやオンライン上での面談が一般的になった昨今、よりオンラインの活用が進んでいます。リモート環境の利便性と、リアルな場で学ぶ価値を両立する形態になっていくことが予想されます。
次に、独学のデメリットについて、見ていきましょう。
映像制作を独学するデメリットとは?
デメリット1: 計画力・検索力・リテラシーによって、学習の質が左右される
独学する場合、学ぶ教材・コンテンツは、自分で見つけて、進めていく必要があります。
いつまでにどんなスキルが必要か、ロードマップをある程度作った上で、Youtubeや検索サイトを駆使して、優良なコンテンツや書籍を必要なだけ見つける必要があります。
また、自分が良いと思ったコンテンツでも、「本当に正しい知識なのか」を判断できるリテラシーや、前提知識が必要になってきます。
自分にあった教材に絞れるというメリットがある反面、学習の質が、自分の判断力や検索力に左右されてしまう、というデメリットがあります。
スクールでは、講師が、学習計画や、教材の良し悪しについてアドバイスしてくれます。同じように独学でも、気軽に質問や相談ができる存在がいないと、進めていく上での不安に繋がることもあるでしょう。
デメリット2:モチベーションやスピード感を保つのが難しい
スクールと違って「制作課題」がなく、講師が行うような「他者による評価」がない場合が多いと思います。
他人との関わりや期限がないと、モチベーションや集中力を保つことが難しいと感じる人も多いでしょう。独学の場合は、例えば、友人や身近な会社のために動画を作成するなど、人の依頼や評価が発生する環境を作るなどの工夫をしていくのも効果的でしょう。
また、スクールでは講師から、学習の方向性や制作物のクオリティに対して客観的な助言を得られることが大きなメリットですが、独学ではそうはいきません。教材だけでなく、「コーチ」としての存在が必要な場合も、自分で見つけなければいけません。
最近では、オンラインサロンも活発化しているので、信頼できる映像系のサロンを探してみるのも手かもしれません。
デメリット3: 人との繋がりを作るのが難しい
前述の内容とも関連しますが、講師との関係、受講生通しの繋がりが、よりスムーズに学習を進めていくための助けになります。また、その後の仕事や就職に繋がることもあるでしょう。独学では、そういった機会を作りづらい、というデメリットがあります。
映像制作を勉強するコツ
上記のメリット・デメリットを踏まえて、どのように勉強を進めていくのが良いでしょうか。いくつかのポイントをまとめて、挙げていきます。
Youtube・書籍や有料コンテンツを使い分ける
前述の通り、Youtubeの無料コンテンツでの多様な情報、書籍やwebの有料コンテンツでの体系的な基礎知識、どちらも活用して、学んでいくのが良いでしょう。基礎を時間をかけて積み上げていくことも、引き出しの量を日々増やすことも、どちらも考慮して学び進めることが大切です。
まずは、Youtubeの無料コンテンツで、「好きなもの」「やってみたいもの」「やりきれそうなもの」をいくつもピックアップしてやってみる中で、映像制作の各作業のいろはや、レベル感を掴んでいくのが良いでしょう。
その後、基礎的な書籍を数冊選び、全体を通して学習するなど、しっかりとした基礎をまんべんなく得ていくことは力になるでしょう。
ある程度の基礎を掴んだあとは、さらに伸ばしたい分野に絞ってコンテンツや書籍を探したり、そのタイミングで再度スクールを検討したりして、得意分野を磨いたり、仕事としてのクオリティを意識しながら取り組んでいくという流れになるでしょう。
学習内容を整理する
例えばYoutubeは、チャンネルによって、使う技術や、映像の方向性が大きく異なります。
また、同じチャンネルだとしても、個々のコンテンツが乱立していて、多くのチュートリアル動画があったとしても、知識としては体系化されていないことが多いです。
そんな中でも、自分の中で知識を積み上げていくために、「映像制作のどの工程(分野)の技術なのか?」と言った点や、「どんなジャンルの映像に役立つ技術なのか?」と言った点を、意識・整理しながら学び進めていくのが良いでしょう。
▼映像制作のどの工程(分野)の技術なのか?
企画やディレクション
撮影技術・機材選び
グラフィックデザイン
映像カット編集
カラーグレーディング
空間演出・加工技術(VFX)
モーショングラフィックス
3DCG
など
▼どんなジャンルの映像に役立つ技術なのか?
企業CM・VP
ドキュメンタリー・インタビュー
Vlog
アニメーション
番組・コンテンツ
ショートフィルム・映画
など
特にある程度の基礎を身につけたあとは、闇雲に続けるのではなく、自分はいま「どんなジャンルの映像に活かせる技術を持っているのか」、「どの工程の技術がどのくらい身についているのか」、といったことを振り返り、整理しながら進めていくと、効率的でしょう。
自主制作作品を作る
そして早いうちから、身につけた技術を使って、オリジナルの映像作品を定期的に作っていくことをおすすめします。自ら考えて作る経験はやはり、学びの質を大きく高めるはずです。
いきなり着想や企画が難しいという方は、SNSやYoutubeで見つけた好きな動画を何かピックアップして、似たようなテーマやテイストで、自分なりにアレンジして撮影・編集してみる、ということでも良いでしょう。
もちろん、公開する場合は著作権や肖像権には必要以上に配慮して、ぜひ自主制作も並行して進めてみてください。
次に、どんな本やYoutubeチャンネル・サイトで学べば良いのか、おすすめのものを、いくつか具体的に紹介します。
おすすめの本・Youtube・サイト
おすすめの本
プロが教える! After Effects モーショングラフィックス入門講座 CC対応
https://shin-yu.net/book-aemg/
様々なモーショングラフィックスの解説を通して、映像加工やアニメーションの主要なソフトであるAfter Effectsの操作方法を、幅広く知ることができます。
後から紹介するYoutubeチャンネル「TORAERA DOUGA」の運営者が著者なので、Youtubeと合わせて学ぶことで、より身になります。
After Effects 空間演出技法
https://www.rutles.net/products/detail.php?product_id=783
色調補正や、ぼかし、光の表現といった、映像の演出のための様々な基礎的なエフェクトの使い方を学ぶことができる一冊です。
Premiere Pro よくばり入門 CC対応
https://book.impress.co.jp/books/1119101144
映像編集の主要ソフトPremiere Proの基礎を幅広く学べる本です。基礎を広く学ぶ本は他にもたくさんありますが、こちらは書籍のデザイン・イラストも優れており、動画の作例もデザイン性が優れ、トレンドを踏まえているので、楽しく学び進めることが期待できる一冊です。
知識ゼロからはじめる Premiere Proの教科書 CC対応
https://www.socym.co.jp/book/1191
こちらもPremiere Proの書籍ですが、さらにレベルを初歩に近づけた一冊です。webや映像にこれまで関わりが少なかった方や、Youtubeなどのチュートリアルを見ても、難しくて思うように作り進められない方に、おすすめです。
おすすめのYoutubeチャンネル
TORAERA DOUGA
https://www.youtube.com/channel/UCgHVDgwimLT5Z7cjJWFJfaw
After Effecsでのモーショングラフィックスを中心に、映像制作ソフトの基礎的な使い方を知ることができます。
サンゼ/ SANZE STUDIO
https://www.youtube.com/channel/UCOnr1C39WO22p98X8L6Q4uA
こちらも、モーショングラフィックス中心に、かなり実戦で使える技術をたくさん知ることができます。
ダストマンTips
https://www.youtube.com/channel/UCDwwZiOLmFWV_YmOgAks5Ug
実写映像の加工・演出(VFX)が多く、「一度はやってみたかった」「かっこいい」映像表現を、いくつも学ぶことができます。
Cinecom.net
https://www.youtube.com/channel/UCpLfM1_MIcIQ3jweRT19LVw
撮影方法や、VFX、カラーグレーディングなどの方法を、個性あふれるメンバー達が毎回楽しげに紹介してくれます。英語のチャンネルですが、有名な映画やミュージックビデオの撮影・制作方法を考察して再現したり、見ているだけでも面白いチャンネルです。
bird and insect
https://www.youtube.com/c/birdandinsect/featured
写真・映像のプロダクションが運営する、撮影方法やクリエイティブの考え方などを解説するチャンネルです。写真・映像制作に必要な、様々なプロの視点を知ることができます。
おすすめのサイト
Vook
https://vook.vc/packages
映像制作関連の記事や、クリエイターのポートフォリオが集まったサイトで、有料の映像制作を学ぶコンテンツも充実しており(月額課金型)、特に撮影や照明・音響と言った分野の基礎を学ぶには最適です。
Udemy
https://www.udemy.com/ja/
Web制作・マーケティングを始め、有料で様々な講義動画を購入することができるサイトで(教材は買い切り型)、映像制作系のコンテンツも充実しています。
VIDEO SALON
https://videosalon.jp/
こちらは映像関連の専門誌が運営する記事サイトですが、映像関連のトピックが詰まっており、日々の情報収集源の一つとしておすすめです。機材トピック・撮影や編集方法の紹介など、追っておくべき情報が集まります。
AdobeのPremiere ProやAfter Effectsを使った編集分野を中心におすすめを紹介しましたが、ほかにも、ためになるチャンネル・サイトや書籍はいくつもあるので、色々と情報を集めて、自分にあったものをさらに見つけていってください。
映像制作を学んだデジハリスクール卒業生
まとめ
これまで紹介してきたように、今は、優れた映像制作の教材が充実し、独学するのが便利な環境になっています。
独学かスクールに関わらず、適切な教材を選び、学習内容を整理しながら、幅広い学びを継続していく、ということが大切です。ぜひ、紹介したポイントも活かして、映像制作スキルを高めていってください。