
公開日:2025-05-27
DTPとは、Desk Top Publishingの略した言葉です。印刷物をパソコン上で作成し、出力する工程を意味しています。今回は、DTPとは何かといった概要、DTP制作の流れや必要スキルなどを紹介します。
【目次】
DTPとは何か
DTPとは「Desktop Publishing」を略した言葉で、パソコン上で印刷物のデータを制作する技術です。日本では1990年代前半からDTPが使われるようになり、パソコンの使用によりデザインの制作から版下の制作を1人でできるようになったことで一変しました。
DTPに求められるスキル
DTPに求められるスキルをいくつか紹介します。
・ソフトの操作スキル
DTPに用いるAdobe InDesign、Illustrator、Photoshopなどの基本操作ができる
・レイアウト設計スキル
文字の配置・余白・行間などを意識した視認性の高いデザインの構成スキル
・タイポグラフィの知識
紙全体の印象を左右するフォントの選定・文字サイズ・文字組などの知識
・印刷に関する知識
印刷工程に関する正確な知識が必要です。例えば、解像度(dpi)、カラーモード(CMYKとRGB)、トンボや塗り足しの設定についてです。
・入稿データ作成
ミスのないデータ制作が求められます。また、印刷会社の指定に応じた形式で入稿できるよう調整する対応も必要です。
・コミュニケーションスキル
クライアントの要望を正しく理解し、要望に応じたデザインを作成する力が必要です。
・デザインの表現力
クライアントの要望を正しく理解するだけではなく、制作目的やターゲットに応じて最適なデザインを提案し、制作を進めていくスキルも必要とされます。
DTPデザイナーとDTPオペレーターの違い
DTPの仕事には大きく分けて2種類あります。
ひとつは「DTPデザイナー」と呼ばれるDTPソフトウェアを使ってデザインを行う仕事です。イラストや写真、原稿などのレイアウトを行い、デザインを制作します。
もうひとつは「DTPオペレーター」と呼ばれるDTPデザイナーが作成したデータを受け取り修正や加工を行い、印刷ができるデータを作成する仕事です。DTPデザイナーに比べるとデザインをすることは少なくなりますが、デザインをする際にはオペレーターの知識も必要になるため、明確な線引きはなくどちらも行う人が多いです。
DTPとWebデザインは何が違うのか
DTP:印刷物のデザインを目的としたデザインであり、紙媒体向けにレイアウトや配色を最適化します
Webデザイン:Webでの画面上での視認性や操作性を重視したデザインであり、リンクや動きのある要素も設計対象です。
DTP制作の流れ
DTP制作の流れを大まかに7つのステップに分けて紹介します。
①企画・打ち合わせ
クライアントと制作物の目的や仕様を確認し、デザインの方向性を決めます。
②ラフ案の作成
まずはラフスケッチの状態で、紙面構成やデザインイメージを作成します。
③素材準備
テキスト原稿・画像・ロゴといった必要な素材を収集します。
④デザイン制作
DTPソフト(例 InDesignやIllustrator)を用いて、実際にデザインデータを作成します
⑤校正・修正
誤字やレイアウトにミスがないか校正を行い、ミスがあった場合は修正します。
⑥入稿データの作成
印刷会社に渡せるようカラーモードやトンボなどを設定し印刷用データを完成させます。
⑦印刷・納品
印刷会社にデータを入稿し、仕上がった印刷物をクライアントに納品します。
DTPで使われるアプリケーション
Adobe InDesign(アドビ インデザイン)
書籍やカタログなどページ数の多いもののレイアウトに向いています。ページをまたいでテキストを流すことができ、目次や索引、表組みなどの機能があります。
Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)
ポスターやフライヤー、名刺など、ページ数の少ない印刷物の制作に向いています。ベクター形式でイラストやロゴ、地図などグラフィックの制作に適しており、自由度の高いデザインができます。
Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)
写真などの加工や合成、色調整に適しており、画像編集の際に多く使われています。パスやブラシも使用できるため、工夫すればイラストなども作成できます。
QuarkXPress(クォーク エクスプレス)
InDesignが登場するまで定番となっており、圧倒的な人気を得ていました。操作性が高く安定感があるため、現在でも根強いファンがいます。
DTPにまつわる資格
資格 DTPエキスパート認証試験(公益社団法人 日本印刷技術協会)
DTP全般の専門知識を問う内容の試験です。出題範囲は、DTPの基礎知識から、印刷、カラーマネジメント、フォント、著作権、デジタルワークフローなど幅広いです。総合的な知識を体系的に学んでいることの証明の一つとなります。
資格 アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)
DTP制作で利用するAdobe製品(Adobe IllustratorやPhotoshopなど)の操作スキルを証明することのできる資格です。Web制作・グラフィックデザインなど幅広い分野において、実務に即した操作スキルが問われます。学生から社会人まで幅広く受験ができ、就職やキャリアアップの際にアピールポイントの一つとして活用ができます。
まとめ
今回は、DTPとは何かから制作の流れや必要スキルについて紹介してきました。DTPは、印刷物の制作には欠かせない専門スキルです。実践力・基礎知識どちらもバランスよく身につけることが大切です。