【企業訪問】
白組で働く卒業生2名にインタビュー




映画「ALWAYS 三丁目の夕日」や「シン・ゴジラ」、「STAND BY ME ドラえもん」など、数々の有名作品を制作し、最近では「ゴジラ-1.0」が第96回アカデミー賞視覚効果賞(Academy Award for Visual Effects)に日本映画として初めてノミネートされるなど、国内外の賞を数多く受賞してきた 『株式会社白組』 へ企業訪問してきました!

今回は、白組で活躍するデジタルハリウッドの卒業生2名へのインタビューを行いました!


写真左から、

向原 望さん:専科3DCGデザイナー専攻 大阪本校2020年9月生
鈴木 貴久さん:専科3DCGデザイナー専攻 東京本校2020年4月生

です!是非最後までお楽しみください。

白組とは

■企業紹介

『株式会社白組』 は、アニメーションとVFXを武器にハイクオリティな映像を制作し続けている、業界でも老舗の映像制作プロダクションです。

1974年の設立から、2023年で50周年を迎え、2023年8月の「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」に続き、11月には山崎貴監督の最新作「ゴジラ-1.0」が公開されました。

3DCGに興味を持ったきっかけ

スタッフ:まずは3DCGにご興味をお持ちになったきっかけを教えてください。

鈴木貴久さん(以下鈴木): 小さい頃からゲームが好きで、小学校6年生の時に『ゼルダの伝説 風のタクト』というゲームをやっている時に、絵自体はトゥーン調だったのですが、 カメラをぐるぐる回すとついてくるので、どうなっているんだろう? と思ったのがきっかで、これは 立体的だ!と気付いた のがCGに興味を持ったきっかけです。


向原望さん(以下向原) もともと映画が大好きで、小さいころから映画に関わる仕事をしたかったんです。ただ、アートの素養が無く諦めていたのですが、 デジタルハリウッド卒業生でPIXERの原島さんの記事を見てCGという道があることを知りました


スタッフ:映画はいつ頃からお好きだったのですか?


向原: 小さい頃は『モンスターズインク』が好きでよく見ていました。私の生まれた年に『ジュラシックパーク』が公開されたので、物心ついたときから映画にはCGが使われていましたね。振り返ると卒業文集にCGで映画を作ると書いていたんです。


一同:おおお!それはすごい!夢を叶えていますね!

デジタルハリウッドに入学した理由


スタッフ:ゲームや映画がお好きでCGの道を目指されたお二人ですが、本格的に学ぼう、デジタルハリウッドに入学しようと思ったきっかけをお聞かせいただけますか?


鈴木: 設計や工作が好きで学生時代は造園系のCADを学び、そのまま造園系の仕事に就きました。その後、よりビジュアルに関わってくるキャラクターやエフェクトに興味が湧き、自身でBlenderを触ってみたんです Blenderを触り始めると楽しくて、仕事にしてみたい と思い始め、企業でもよく使用されている Mayaを勉強したいと考えて見つけたのがデジタルハリウッド でした。


向原: 私も、大学卒業後IT企業に勤め、辞めてデジタルハリウッドに入学しています。先ほどCGの道を知るきっかけとなった原島さんも一般企業からデジタルハリウッドへ入学し、その後海外にわたりPIXERで働いたと知り、私もCGの道を歩めるのでは、と考えたのがきっかけです。


スタッフ:お二人とも一度働いてから、デジタルハリウッドに入学されたんですね。デジタルハリウッドに決めた決め手はありましたか?


鈴木: 1年間というのが大きかったですね。入学当時は24歳だったのですが、 集中して学ぶために仕事を退職して学ぼう と思っていたので1年という期間がいいな、と決めました。


向原: 鈴木さんは自身でBlenderを触られたとおっしゃってましたが、私は入学前にオンラインでCGを学べるオンラインアニメーションスクールのアニメーションエイドで少し学んでみたんです。それで楽しかったので、いけるかもしれない!と思って 本格的に学べるデジタルハリウッドに入りました


デジタルハリウッドの思い出

スタッフ:通学中の思い出はありますか?


鈴木: デジタルハリウッドの1年はあっという間でしたがとにかく楽しかったという印象があります。卒業後も先生とも仲良くしており、先日も食事にいきました。


向原: 毎日新しいことを吸収しながら、課題制作という形で好きなものを作れる環境が楽しかった です。また、課題で作った作品を講師やクラスメイトに披露する講評会という場が設けられていたのがよかったです。

私の作品を見てクラスメイトが笑ったり、びっくりしたりといったリアクションを直に見れるので、 課題制作における大きなモチベーション の一つになっていました。

他にも、作品を通してクラスメイトの人となりを知ることができて、交流が生まれるようになりました。


スタッフ:授業以外にどれくらい勉強していましたか?


鈴木: 入学したのがちょうどコロナによる緊急事態宣言の時期で、入学して最初の1カ月間くらいは学校に行けず、オンラインで授業を受けていました。学校に通えるようになってからは毎日のように学校に行っていましたね。

家からデジタルハリウッドが遠かったので、アルバイトをデジタルハリウッドの近くにすることで、昼間のバイトが終わってから夕方以降22時頃までデジタルハリウッドで制作というサイクルで制作していました。


向原: 通学していた時は仕事を辞めていたので、授業は日曜の週1日だけだったのですが、 休館日以外は毎日10時から19時まで学校で制作するという日々を過ごしていました


就職について


スタッフ:職種はいつ頃から定まってきましたか?


鈴木: もともと造形や絵に近いものをやりたいと思って始めたので、入学当初からモデラーになりたいと思っていました。ただ、担任はアニメーターの先生だったため、授業を受けていく中で アニメーションやエフェクトも楽しいぞ 、と思えたことは良かったことです。 色々なことを学んだことは就職に役立った と感じています。特に、 白組は色々なことをやる会社なので、志向がマッチした と感じています。


向原:アニメーションエイドを受講して、アニメーションが楽しかったので、デジタルハリウッド 入学時点でアニメーターになりたいと考えていました


スタッフ:お二人はどのようにして白組に入社されたんですか?


鈴木: デジタルハリウッドの クリエイターズオーディション ※1 白組が参加 してくださりオンラインでお話したのがきっかけです。3月に卒業して、6月くらいに入社しました。

※1:選抜制の就転職イベントで企業の担当者が来場しスカウトをもらえる場


向原: 私もクリエイターズオーディション です。まさか白組から声がかかるとは!と驚きました。


採用担当乱場様: 当時コロナ禍で実際にお会いすることができず、頼りになるのは作品でした。お二人とも作品力が高く、その後オンライン上で画面越しでお話しをし、お二人とも人柄がよかったのでぜひ来ていただきたいなと思いました。

仕事のやりがいについて

スタッフ:やりがいを感じる、CGをやっていてよかったなという瞬間はありますか?


向原:実写映画のプロジェクトに携われて 自分の名前がエンドクレジットに載っているのを試写室で見た時 は興奮しましたね。すごい場所に来たんだなと思い、やりがいを感じました。


鈴木: 制作過程で、 自分でレンダリングをした画像を見ていいラインに来たな、と気付いた時は嬉しい です。また、納品終わったときに クライアントさんが喜んでくれた と聞けたときもすごく嬉しいですね。


スタッフ:反対に大変だな、と思うことはありますか?


向原: デジタルハリウッド生あるあるだと思うのですが、学校ではMayaを中心に学ぶのですが、白組はメインソフトが3dsMAXなので、はじめは戸惑いました。とは言え、 デジタルハリウッドではMayaというツールの使い方だけでなくCG全般に通ずる知識を学べた ので、3dsMAXに慣れるのにはそれほど時間がかかりませんでした。


鈴木: 僕はモデリングがメインなので、 Mayaで制作したものを3dsMAXに持っていくというやり方ができる ので3dsMAX問題はアニメーターの方よりはマシかもしれません。もちろん最終的な調整は3dsMAXでやらなければならないので慣れなくてはいけない部分は同じです。

色々なことをやりたい!と思って入社していますが、仕事が本当に多岐にわたるので、新しいことをやる機会が多いことですね。自分で調べつつ、他の方に聞いて進めています。

社内の雰囲気


スタッフ:普段はどのような仕事の進め方ですか?


採用担当乱場様: 白組では様々な職種が一緒に制作をする固定のチームで働いています。一番少なくて7~8人のチーム、多くて30人程度、だいたいは20人くらいの規模のチームで働いています。そしてそのチームでプロジェクトに取り組んでいく形です。


鈴木: 僕は制作4部というチームにいるのですが、割と自由なチームだと思います。 チェックのタイミングも自分で決めて、その分スケジュールやクオリティも自分で決める のですが、分からなくなったときには聞きに行けばいいし、規律的なことはしっかりしていますが、その中で自由にやらせてくれるチームです。

守秘義務が厳しめな案件が多く、パーテーションで区切られていますが中はワイワイやっていますよ!最近デジタルハリウッド出身のアニメーターのSさんが同じチームに入ってきました。


向原: 鈴木さんのチームに入ってきたSさんは最近までゲームのプロジェクトで私たちのチームで一緒に働いてくれていました!他にも何人かデジタルハリウッド出身の先輩方も一緒に仕事をしています。

CGを学びたい方へのメッセージ

スタッフ:これからCGを学びたい人に向けてメッセージをお願いします。


鈴木: 今からやる人もやり始めている人も、目を鍛えてほしいなと思います。

もちろんCGの作品を見ることも大切ですが、普段から周りの動いているものや質感がいいと感じたものをなぜいいと感じたのかを考えてみてください。YouTube等の情報も多いと思うのですが、どの動画を開けば自分のためになるかという情報を手繰り寄せる目を鍛えてほしいです。その目があれば、始める恐怖ややっている最中の不安に打ち勝てると思います。


向原:まずは自分の出来る範囲で行動してみる ことがいいと思います。興味はあるがCGが自分に合っているのか、やっていて楽しいかなど分からない状況でとりあえず入学するのは時間もお金ももったいないです。私はアニメーションエイド、鈴木さんはBlenderで無理のない範囲でCGに触れ始めたように、まずは手持ちのPCにMaya や Blender をインストールしてYouTubeのチュートリアルで何か作ってください。それが楽しい人はデジタルハリウッドに向いていると思います。