【卒業生インタビュー】株式会社カラーで『シン・ウルトラマン』に携わる卒業生!

左から本校の講師、小倉以索先生,松井さん(株式会社カラー),岩里さん(株式会社カラー)

左から本校の講師、小倉以索先生,松井さん(株式会社カラー),岩里さん(株式会社カラー)

今回は現在、株式会社カラー で『シン・ウルトラマン』 の制作にも携わっている卒業生の松井祐亮さんと岩里昌則さんのお二人にインタビューをしました!

『シン・ウルトラマン』の制作についてや、在学当時のお話まで、様々なテーマでお話いただきました!

また、在学当時、松井さんの担任だったデジタルハリウッド東京本校講師の小倉以索先生も交え、当時の懐かしいエピソードも語っていただきました。




デジタルハリウッドについて

▼デジタルハリウッドに入学したのはいつですか。

松井 :23歳(2004年)の時に美容師をやめて上京しました。

岩里 :僕はもう少し早くて、2000年入学だったと思います。


▼デジタルハリウッドを選んだ理由

松井 :高校生の時の友達に絵がとてもうまい人がいて、高校出てすぐにデジタルハリウッドに入ったと聞きまして。当時CGの学校もそこまでなかったので、 1年制で通いやすいというのもありました。

当時電話したらすぐに対応してくれて、担当の人が不動産まで探してくれたり、親切にしてくれたのも印象に残っています。


岩里: 大学の時一緒に就活をしていた友達がデジタルハリウッドに通うと聞き、僕も入学しました。

その時は総合Proコースという名前の半年のコースでしたね。


▼デジタルハリウッドで学んで今に生かされいることは?

松井 ストイックになることですかね。

デジタルハリウッドは学校法人ではないので、オールナイトフリータイムなど、ひたすらやりたいことが自由にできる環境でした。泊まり込みで作業とかしてましたね。

岩里 今も使っている3dsMAX(ソフト)を本格的に学んだことですね。

あとは同じCGを仕事にしたいという友達ができて、今でもたまに連絡を取ったりしています。




現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか?



松井 ディレクターですかね。 最近は自分で作業というよりは、 指示を出したり管理をしたり演出をする立場です。

岩里 メインはCGアニメーターですが、最近は松井君と同じくディレクションとか、演出の技術方面でのサポートをしています。

松井 :僕はテクニカルの部分は少しうといので、岩里君に助けてもらってます。 お願いするとやりたいことを形にしてくれますね。

岩里 :新しいソフトとかプラグインとか調べるのが好きなんですよね。


▼『シン・ウルトラマン』の制作ではどこを担当されたのですか?

松井 : 今回は白組さんがメインでVFXのプロダクションを行っていたので、当初は大変だったところを手伝うという形だったんですけど、庵野さんから直々に、 過去の作品での経験を活かしつつカメラアングルをやってほしいと言われました。
一つの演技をしている舞台で、ひたすらカメラマンになって、レイアウトをさぐるような感じですね。


その後、 アバン(オープニングの前に流れる短い映像パート)のアニメーションとレイアウトもやってほしいと依頼がありました。

カラー担当分のプリヴィズパートを統括していた鬼塚さんの指示の下、大量にあったロケーションの参考写真を僕と鬼塚さんで選別し、それを僕の方でまとめた上で、禍威獣(カイジュウ)をどこに配置するか、どのように見せるべきかをディレクションしました。

他にも禍威獣だけでなく戦車の配置なども整合性を取りながら決め、全体の見え方を決める作業を多めにやらせていただきました。


岩里 社内の アニメーター全員で、各カットにつき何十アングルも動きをとったのですが、その中の一人としてアングル出しを行いました。
アバンのディレクションは私も携わりましたが、例えば地面が割れるシーンなどでは、松井君は演出面で、僕は技術面で、どういう風に作ったらいいかを担当アニメーターにアドバイスをしたりしました。

▼今回の制作で大変だったところは?

松井 ゼロからプランを考えるようなところもあったので、 それが大変でもあり面白くもありという感じでした。
あとはより良い画を作っていくために、 結果的に作業が増えてしまうこともあるので、 忙しい時だと大変ですね。
基本的には本当に楽しくやらせてもらいました。


岩里 : 本編の最後のほうでウルトラマンが回転しているシーンがあるのですが、 動き的にはそこまで複雑ではなかったんですが、絵として作り上げるのが難しかったです。

指示を 言葉だけで聞くとシンプルだけど、実際に作ってみるとキャラクター同士の位置関係の見せ方が難しく試行錯誤を重ねました。


▼アニメと実写のCGで、制作上違う点は?

松井 : 動きの誇張ですかね。CGでもアニメっぽい誇張をしてほしいということもあるのですが、
庵野さんは物理法則とか慣性の法則などを人一倍考えているので、
実写、フォトリアルになるとそれが顕著に出るのでより妥協できなくなりますね。


岩里 : これまで携わってきたアニメ作品とはアニメーションのつけ方が違うリアルさを求められます。
嘘がつけないので、それだけリアルな動きにしないといけないですね。


松井 : 実写だと、アニメで言うところの「止め」ができないですからね。
現実は常に何かしら動いているのでリアルに動き続けないといけないんです。


小倉 モーションキャプチャーは使ってるの?


松井 一部ですが『シン・ウルトラマン』でも使っています し、 『シン・エヴァ』でも使いました。ただモーキャプも万能ではなくて、 例えばエヴァ初号機や第13号機が手で槍を持つシーンなどでは、モーキャプのデータのままだと、槍を持っている手の指が開いたままだったりするので、指を修正してしっかり槍を握らせるなど、 動きとしてふさわしいポーズにするため修正する必要があります。

株式会社カラーが求めている人材とは

松井 : 採用面接をよく2人でやっているので、
やっぱりコミュニケーション能力がある人が話しやすいですね。
打ち合わせは大体会話なので、 意思疎通ができることが一番大事ですね。
当然技術があるのは当たり前なんですが、人柄も見てます。



岩里 まったく一緒ですが、コミュニケーション能力だけでなく、
積極性もあると、こちらも教えがいがありますね。



松井 自分でわからないことをすぐ調べられる積極性 があるといいですね。

今回インタビューを受けていただいた卒業生の詳しいご紹介



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松井祐亮氏 Yusuke Matsui


株式会社カラー/スタジオカラーデジタル部 
アニメーションディレクター

1981年生まれ、北海道出身。株式会社カラー所属。
美容師から一転、上京しサンライズで『FREEDOM』等の制作に参加した後、
スタジオカラーに移籍『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』ではリードアニメーター、
21年公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ではアニメーションディレクターを担当。

スタジオカラー・ドワンゴによるWEB配信アニメーションシリーズ『日本アニメ(ーター)見本市』でのCGアニメーション作品『カセットガール』、『神速のルージュ』、『機動警察パトレイバーREBOOT』をはじめ、株式会社カラー10年の歩みをテーマに描かれた、安野モヨコの漫画をアニメ化した『おおきなカブ(株)』、
ゲーム『GRAVITY DAZE』シリーズのアニメーション作品『GRAVITY DAZE The Animation 〜Ouverture〜』など、多くの作品でアニメーションディレクター(CGI作画監督)を務めている。


岩里昌則氏 Masanori Iwasato

株式会社カラー CGIアニメーター
大阪府出身 大阪芸術大学デザイン学科を卒業後上京。
TV番組CG、アニメCG、ゲームCGなど映像業界をメインに活動。
その後、2011年より株式会社カラーデジタル部に所属。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』や『日本アニメ(ーター)見本市』内のCGアニメーション作品『hill climb girl』『神速のルージュ』『カセットガール』、NHKアニメワールド 『龍の歯医者』など数々の作品にリードアニメーターとして参加。
その他ではPS4ゲーム『GRAVITY DAZE2』イベントシーンのCGアニメーションディレクターを担当。
21年公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ではルックデヴディレクター/リードアニメーター、
安野モヨコ氏原作『オチビサン』10巻発売記念短編ムービーではCGI監督を務めている。


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いかがでしたでしょうか。

現在映像制作で沢山の作品を世の中に発信している白組の歴史からどんな人材が重宝され
るかなどについてご紹介しました。

これから映像業界でVFXに携わり、活躍したいと思っている方々の参考になれば嬉しいです。




著者:デジタルハリウッド スクール 編集部