積み上げた経験は無駄にならない。
2Dデザイナーから3Dキャラクターモデラーへ
25歳の学び直しが開いた新しいキャリア

卒業生のプロフィール

PROFILE

畠山朋子さん

本科CGヴィジュアルアーティスト専攻卒業(現在本科CG/VFX専攻にて同カリキュラムを実施)

入学前
2Dデザイナー
卒業後
ゲーム系事業会社キャラクターモデラー

卒業生インタビュー

INTERVIEW

現在のゲーム制作会社でのお仕事について


  • まずは現在のお仕事について教えてください。

    私はゲーム会社にて、3Dデザイナーとして働いてきました。入社してからずっと自社のオンラインRPGタイトルを担当していて、役割は キャラクターモデラー です。毎月、キャラクターの課金衣装が出るのですが、その衣装の3D化や、武器などの小物モデリングを担当しています。

    在学中はどちらかというとジェネラリストを目指していたのですが、先生に作品を見てもらう中で、「キャラクターモデリングが一番向いているかもしれない」と思うようになりました。 入社時は職種を「3Dデザイナー」という括りで、背景担当になるかキャラクター担当になるかは配属次第だったんです。担当の方が作品を見て「あなたはキャラクターモデラーで」と言ってくださって、今の担当になりました。

    専門学生時代にソーシャルゲームのイラストレーターの仕事をしていたことがあって、その経験も今につながっていると思います。

  • キャラクターモデラーの魅力ややりがい、嬉しかったことは何ですか?

    SNSなどで、 ユーザーさんの反応がすぐに見られるところ です。喜んでもらえているのがダイレクトに伝わるのが、やりがいになっています。

    基本的には毎月出る課金アバターのモデリング制作が中心ですが、入社した次の年くらいに担当したモデルが好評で、反響が大きかったモデルとして社内で発表されたことがあります。衣装デザイン自体は2Dデザイナーさんの力が大きいのですが、その制作に携われたのはすごく嬉しかったです。 反応が見えるのは、事業会社ならでは だと思います。

  • 会社やチームの規模感や雰囲気を教えてください。

    キャラクターモデラーは、今は少人数のチームです。
    ほかに背景班、アニメーション班、モンスター班などがそれぞれあります。モデリング以外にもプログラマーやデバッカーがいて、複数職種が連携してゲームを作り上げています。

    自社開発ということもあり、自分でスケジュールを組んで進めることができる働きやすい環境 です。

  • 副業でデザインの仕事を続けているとのこと、どんな形で受けていらっしゃるのですか?

    会社が副業OKのルールでしたので、デジタルハリウッドの卒業生に案件を繋いでいる 「ランサーユニット」 経由でお仕事をいただいています。YouTuberさんのグッズのデザインが多いですね。たまに、デジタルハリウッド時代のクラスメイト経由でお仕事をいただくこともあります。基本的にはこの2つが主です。

デジタルハリウッド時代を振り返って


  • 在学中、どんなことを意識して学んでいましたか?

    当時はジェネラリスト志望だったので、最初は「全部学ぶぞ」という気持ちでした。でもCGってソフトも学ぶことも本当に多くて、量が膨大すぎたんです。 先生から「作りたいものやストーリーに合わせて、必要なものを絞ったほうが身になるし、作品も完成させやすい」とアドバイスをいただいて、確かにその通りだと思いました。そこからは、 必要なものを絞って学ぶことを意識していました

  • 課題で印象に残っているものはありますか?
    一番最初の課題ですね。ローポリで小さな舞台やキャラクターを配置する、ジオラマ風の課題です。初めてCGで「ひとつの作品を作り上げられた」という達成感が大きかったですし、クラスメイト同士で講評し合ったことで、客観的な視点をもらえたことも印象に残っています。

    その課題をもとに次の課題でアニメーションにしたので、流れとしても記憶に残っています。

▼ジオラマ風課題を使ったアニメーション課題『Day of collecting Stars』

  • クラスの雰囲気や、卒業後にもつながりはありますか?

    みんな割と積極的に意見を言い合う雰囲気だったと思います。卒業後も連絡を取っている人がいます。担任だった藏部先生が毎年、現在の在校生と卒業生も集まる忘年会を企画してくださっていて、今も交流の機会があります。

  • 在学中に身につけたことで、今の仕事に生きていることは何ですか?

    問題解決の仕方です。3Dソフトを使っていると、バグや分からない事態に直面することがあるのですが、そのときに先生に聞く、友達に聞く、調べる、という基本の動きが身についています。 学校では「Mayaの英語版を使いなさい」と言われていたので、調べるときも英語で調べると解決策が出やすい、ということも含めて、根本的な解決方法を教えてもらえたのが役立っています。

  • 「やっておいて良かった」と思うことはありますか?

    作品を作る前に、世界観などを考えるのに時間がかかると制作時間が削られてしまうので、入学前から「何を作ろうかな」を常にメモする癖をつけていたのは良かったです。事前に考えておけると、制作に入りやすいです。

  • 逆に「もっとこうしておけば良かった」と思うことはありますか?

    CGの試験対策に時間を使いましたが、今思うと、面接で見られるのは「資格」よりも「何を作ったか」なので、試験より作品作りやポートフォリオの充実に時間を割いても良かったかもしれません。1年間は本当に時間が限られているので、取捨選択が大事だと思います。何かを諦めて、これに集中する、という判断をもう少し早くできていたら、時間の使い方がもっと上手くできたかもしれないです。

▼卒業制作課題『CLOUD9』
▼『CLOUD9』キャラクターデザイン

将来に向けて


  • 今後、どんなクリエイターを目指したいですか?

    今は、2Dデザイナーさんが上げてくださったデザインを3Dにする仕事が中心ですが、将来的にはディレクション方面にも挑戦していきたいと考えています。

    今のキャラクターモデラーチームのチームリーダーが目指すべきロールモデルになっていますね。例えば2Dデザインの段階から内容を確認し「これは動かしづらい」「ここはボリュームを調整するともっときれいになる」といった見栄え面のアドバイスをすることもあれば、3Dモデルのチェックでは「この動きは不自然だから、メッシュの割り方を変えたほうがいい」といった技術的なサポートも行っています。そうした姿を見て、見た目の美しさと技術面の両方を理解し、企画や世界観全体を見渡しながら制作を支えられるクリエイターになりたいと思うようになりました。

  • 理想とするクリエイター像に近づくために、日頃意識していることはありますか?

    客観的な視点を持つことです。自分の好みだけで作るのではなく、見てくれるお客さんがいて成り立つものなので、「ユーザーさんはこれを見てどう思うだろう」「どういうものを作ったら喜んでもらえるだろう」という視点は常に意識しています。 要望があれば、時間が空いたときにその要望に合わせたモデルを作ってみることもあります。

AIとのかかわり方について


  • 会社ではAIは活用されていますか?また、AIによる不安についてどう思いますか?

    ※以下はあくまで私個人の見解であり、所属する会社の公式な意見ではありません。

    会社でのAI活用についてですが、現時点では業務全体に深く組み込まれているというよりは、必要に応じて活用されている印象です。私自身も日常業務で生成AIを積極的に使っているわけではなく、スクリプトがうまく動かないときに補助的に頼る程度です。モデリングなど制作の中心工程においては、まだ十分に使いこなせていないのが正直なところです。

    AIによって背景を簡単に生成できるなど、制作フローが変わりつつある側面は感じています。ただ、キャラクターは動かす前提のため、トポロジーを整え、筋肉の流れを意識しながら、綺麗に動くようにウェイトやボーンを配置する必要があります。現状のAI生成モデルではその部分が不十分なケースも多く、実用的に「綺麗に動かす」ことが難しいと感じています。

    そのため、AIがすべての仕事を奪うという状況は、少なくとも現時点では現実的ではないと考えています。

  • AIとの「共存」についてはどう考えていますか?

    AIとの共存については、あくまで効率化のためのツールの一つとして活用していくのが適切だと考えています。完全にそれだけに頼るのではなく、人の発想や判断を補助する存在として位置づけるイメージです。

    私は副業でデザイナーの仕事もしていますが、案件によってはラフを作成し、それをもとに写真撮影を行い、撮影された素材をベースに制作を進めています。その中でAIを使うのは、ラフ段階での「通行人の削除」「人物のライティング調整」「背景の拡張」など、あくまで限定的な用途にとどめています。最終的な成果物そのものにAIを使用することはありません。

    特に、ラフを複数パターン出す必要がある場合や時間が限られている場合には、AIが大きな助けになります。クリエイターが想像するものを形にするための補助として、効率化を図りながら共存していくのが現実的な向き合い方だと感じています。

クリエイターを目指す方への応援メッセージ


  • これからCG業界を目指す方へメッセージをお願いします

    デジタルハリウッドに入学される方は、社会人経験をしてから来る方が多いと思います。私ももともとデザイン業界にいて、一度やめてから入学しました。そのとき「キャリアを捨てるのか」と批判的なことを言われたこともありますし、 25歳で入学したので「仕事をしないで学校に入っていいのか」「CG業界に就職できる保証はあるのか」という焦りの中で必死に勉強していました。でも結果的に、きちんと作品を作っていれば、自分を採用してくれるCG業界の会社はたくさんあります。 今はデザインの仕事もできています。 積み上げたことは全部仕事につながっていくので、一度会社をやめて学校に入っても、キャリアを捨てることにはならないと今なら思えますね。

    焦りや不安はあると思いますが、絶対大丈夫です。 在学中にクラスメイトとのつながりができて、そこから仕事をもらえることもあります。自分のポートフォリオを充実させるために、 自分の世界観も大切にして、作品作りに集中すれば、必ず将来的に道はつながると思うので、頑張ってください。