公開日:2026-09-15
ラスターイメージとは|ベクターとの違い・特徴・使い分け
公開日:2026-01-20(更新日:2026-09-15)
グラフィックデザインやWebデザインを学び始めると、「ラスターイメージ」「ベクターイメージ」という言葉に出会います。この2つの違いを理解しておくことは、PhotoshopやIllustratorといったツールを適切に使い分ける上での土台になります。本記事では、ラスターイメージとは何か、ベクターイメージとの違いや使い分け、Webで使われる主な画像形式について解説します。
ラスターイメージ(ビットマップイメージ)とは|ピクセルで構成される画像の基本
ラスターイメージとは、ビットマップイメージとも呼ばれ、無数のピクセルで描かれた画像のことを指します。
ビットマップイメージで使われるビットマップ形式とは、画面の1マスであるピクセルの羅列・集合で表現するデータ再現方式のことです。写真をはじめ、色や階調の変化が細かい画像の表現に適した形式であり、デジタルカメラで撮影した写真データなどもこのラスターイメージにあたります。
私たちが普段パソコンやスマートフォンの画面で目にしている写真や画像の多くは、実はこのラスターイメージという仕組みで表示されています。1つ1つの小さな色の点(ピクセル)が無数に並ぶことで、全体として1枚の画像に見えているのです。画像を思いきり拡大していくと、この小さな点の集まりであることが視覚的にもわかるようになります。
グラフィックデザインやWebデザインを学ぶ上では、まず「画像は小さな点の集合体である」という仕組みを理解しておくことが、後述するベクターイメージとの違いを理解する上での前提になります。
ラスターイメージの特徴|拡大するとジャギが出る理由
ビットマップ形式の画像はモザイク絵のようなものなので、画像を拡大するとタイルの集合体のようにギザギザに見えることがあります。このギザギザのことを「ジャギ」といいます。
このような性質があるため、ラスターイメージ(ビットマップイメージ)は拡大に弱いという特性があります。もとの解像度以上に大きく引き伸ばすと、輪郭がぼやけたり歪んで見えたりしやすくなるため、使用するサイズに合わせて十分な解像度で用意しておくことが重要です。
またピクセルの集合体であるため、解像度が高くなるほど写実的でよりリアルな表現ができますが、それに伴ってデータ量が肥大化するという特徴もあります。精細な画像ほどファイルサイズが大きくなり、読み込みの負荷も増えるという点は、Web用途で画像を扱う際に意識しておきたいポイントです。
このように、ラスターイメージは「表現できる情報量の豊かさ」と「拡大耐性・データ量」がトレードオフの関係にあるといえます。用途に対して解像度が低すぎるとジャギが目立ち、逆に必要以上に解像度を高くしすぎると、ファイルサイズが無駄に大きくなってしまいます。実際にデータを作成する際は、最終的にどのくらいのサイズで表示・印刷するのかを事前に想定した上で、適切な解像度を選ぶことが大切です。
ベクターイメージとの違い|拡大しても劣化しない仕組み
ラスターイメージに対して、ベクターイメージという再現手法があります。
ピクセルの集合で再現されるラスターイメージと異なり、ベクターイメージはコントロールポイント(アンカー)と呼ばれる点と点を曲線で結ぶことで画像を再現します。
ベクターイメージはコントロールポイントの座標と曲線の曲率の計算によって都度描画されるため、ラスターイメージのように、拡大することで画像が劣化することはありません。また、ピクセルデータではなく数式(命令)として保持されるため、データ量が肥大化することもありません。
ただし、絵というよりは図形に近い方式であるため、写真のような写実的な描画は苦手とします。ロゴやアイコン、図解のようにはっきりとした輪郭を持つデザインに向いている形式といえるでしょう。
なお、ベクターイメージも最終的にパソコンの画面やプリンターに表示・印刷される際には、ピクセルの集合であるラスターイメージへと変換されます。これを「ラスタライズ」と呼びます。普段の作業ではあまり意識することはありませんが、ベクターデータで作成したロゴをWebサイトに画像として掲載する場合など、最終的にラスターイメージとして書き出す場面は少なくありません。
ラスターイメージとベクターイメージの使い分け
写実的な表現にはラスターイメージ、シンボルやロゴのようなものにはベクターイメージという使い分けが一般的です。
ラスターイメージの代表的な編集ソフトにはPhotoshopが挙げられ、ベクターイメージの編集にはIllustratorが挙げられます。写真の加工やレタッチを行う場合はPhotoshop、ロゴやアイコンなど拡大縮小を前提としたデザインを作る場合はIllustrator、というように、扱う画像の性質に応じてソフトを選ぶことが基本になります。
実際の制作現場では、この2つのソフトを併用する場面も多く見られます。例えば、Illustratorで作成したロゴやアイコンをレイアウトに組み込みつつ、背景となる写真はPhotoshopで加工するといった具合です。どちらか一方だけを使いこなせればよいというわけではなく、画像の性質に応じて両方の特性を理解し、適切に使い分けられることが、グラフィックデザインの実務では求められます。
Webで使われる主な画像形式
PNG・JPEG・GIFは、現在も主要ブラウザで広くサポートされている基本的な画像形式です。写真にはJPEG、透過やイラストにはPNG、簡単なアニメーションにはGIFというように、用途に応じて使い分けられています。
近年広く使われるようになった形式として、WebPが挙げられます。WebPは現在、主要なブラウザで広く対応しており、JPEGやPNGと比べてファイルサイズを抑えやすい形式とされています。Webサイトの表示速度を改善したい場合に採用されることが増えている形式です。表示速度はユーザーの利便性だけでなく、SEOの観点でも重視される要素であるため、画像形式の選択はWeb制作において軽視できないポイントの一つといえます。
さらに新しい形式としてAVIFもあり、WebPよりもさらに高い圧縮率を持つ形式として、主要ブラウザでの対応が進んでいます。今後、画像形式の選択肢としてさらに定着していく可能性がある形式といえるでしょう。
一方、TIFFは一部のブラウザでのみ対応している形式であり、すべてのブラウザで表示できるとは限りません。もともと印刷やデータの長期保存(アーカイブ)用途で使われることが多い形式であり、Webサイトでの配信にはあまり向いていません。また、BMPは表示自体は可能なブラウザが多いものの、データを圧縮しない形式のためファイルサイズが大きくなりやすく、Web用途としてはあまり推奨されていません。
Webサイトに画像を掲載する際は、こうした画像形式ごとの特徴を踏まえ、表示速度と画質のバランスを考えながら適切な形式を選ぶことが大切です。
なお、ロゴやアイコンのようなベクターイメージをWeb上でそのまま扱いたい場合には、SVGという形式が使われます。SVGは拡大縮小しても輪郭が劣化しないというベクターイメージの特性をそのままWebサイト上で活かせる形式であり、レスポンシブデザインが主流となった現在、ロゴやアイコンの表示に広く使われています。
まとめ|ラスターイメージとベクターイメージの違いを理解する
ラスターイメージは、写真など描写が複雑なデータの表示に適している一方、拡大縮小には適していません。編集・作成には、Photoshopなどの「ペイントソフト」が主に使われます。
ベクターイメージは、図形やシンボル、ロゴなどに適しており拡大縮小に強い一方、複雑な画像表現にはあまり適していません。編集・作成には、Illustratorなどの「ドローソフト」が主に使われます。
両者の性質の違いを理解し、目的に応じて使い分けられるようになることが、グラフィックデザインの基礎の一つといえるでしょう。どちらか一方が優れているというものではなく、扱う素材や用途に応じて適切な形式・ソフトを選択できることが、実務では重視されます。
こうした画像データの基礎知識は、実際にPhotoshopやIllustratorを使いながら学ぶことでより深く理解できます。体系的に学びたい方は、グラフィックデザイン系講座の詳細を確認してみることをおすすめします。
画像データの基礎を実務で活かすなら
ラスターイメージとベクターイメージの違いを理解することは、Photoshop・Illustratorをはじめとするデザインツールを使いこなす上での土台になります。デジタルハリウッドでは、未経験からでもグラフィックデザインの実務スキルを体系的に学べる環境が整っています。
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この記事のポイント
- ラスターイメージ(ビットマップイメージ)とは、無数のピクセルで描かれた画像のこと
- 拡大するとジャギ(ギザギザ)が出やすく、拡大には弱いが、解像度を上げれば写実的な表現が可能
- ベクターイメージはコントロールポイントと曲線で再現され、拡大しても劣化しない
- 写実的表現にはラスターイメージ(Photoshop)、ロゴ・シンボルにはベクターイメージ(Illustrator)が向いている
- Webでは、PNG・JPEG・GIFに加え、WebPやAVIFといった新しい画像形式も広く使われるようになっている
画像データの性質を理解して、目的に合った形式・ソフトを選べるようになりましょう。
デジタルハリウッド 編集部
クリエイティブ分野の学び直し・スキルアップに役立つ情報を発信。DTP・Web制作の実務知識からキャリア形成まで、専門スクール運営で培った知見をもとに解説しています。