ラスターとは|意味・ラスタライズの仕組みをやさしく解説

公開日:2026-09-24

ラスターとは|意味・ラスタライズの仕組みをやさしく解説

ラスターとは|意味・ラスタライズの仕組みをやさしく解説

公開日:2023-07-01(更新日:2026-09-24)

「ラスター」とは、コンピュータグラフィックスなどにおいて格子状(グリッド)に並んだピクセル(画素)の集合体で画像を表現することを意味します。デザインやCG制作の教材、ソフトのヘルプ画面などで見かけることが多い用語ですが、初めて聞くと意味がつかみにくい言葉でもあります。本記事では、ラスターの基本的な意味からベクターとの違い、あわせて知っておきたいラスタライズという変換処理の仕組みまでやさしく解説します。

ラスター(Raster)とは|格子状のピクセルで表現される画像の基本

「ラスター」とは、コンピュータグラフィックスなどにおいて、格子状(グリッド)に並んだピクセル(画素)の集合体で表現することを意味し、ラスターで表現した画像のことをラスターイメージやラスター画像、ラスターグラフィックスと呼びます。私たちが普段パソコンやスマートフォンの画面で見ている写真やイラストの多くは、このラスターという方式でデータが構成されています。

ラスターはディスプレイの表示能力や、アナログの情報をデジタルに変換する際の理論である標本化定理によって鮮明さが左右されます。低解像度の環境では、エイリアシング現象によってジャギーというギザギザが発生することがあります。また、ラスターイメージを拡大すると、さまざまな色の小さな点(ピクセル)の集合体で表現されていることがわかります。1つ1つの点は非常に小さいため、通常の表示倍率では滑らかな画像として見えますが、極端に拡大するとモザイク状の粒が目立つようになります。

画像データ形式としてのラスターの詳しい特徴や、JPEGやPNGといったWebでの画像形式の使い分けについては、ラスターイメージとは|ベクターとの違い・特徴・使い分けで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

ラスターとベクターの違い

デザインやCG制作の分野では、「ラスター」としばしば対比される言葉に「ベクター」があります。画像編集ソフトやイラスト制作ソフトのメニュー、ファイル形式の説明などでもこの2つの言葉はセットで登場することが多く、両者の違いを理解しておくと、ソフトの使い分けや保存形式の選択で迷いにくくなります。ラスターとベクターは、データの持ち方がまったく異なる2つの表現方式です。

ラスターは、データを「座標」と「色」の2つの情報で構成する形式です。格子状に並んだマス目に対して、この座標のマス目は赤、この座標のマス目は黒、というようにマス目ごとに色の情報を記録して表示しています。そのため、画像を拡大すると、1つ1つのマス目のギザギザが目立つようになります。反面、マス目が多ければ多いほど写真のような複雑で写実的な表現が可能になります。

一方、ベクターは直線や曲線などの形状を数式(座標と曲率の計算式)として扱う形式です。印刷物やイラスト、ロゴなどの制作でよく使われる「Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)」のようなドロー系ソフトウェアで主に扱われます。ベクターにはマス目という概念がないため、拡大・縮小をしても計算によって線が改めて描画されるだけで、ジャギーが発生せず劣化しません。ただし、複雑な図形を描くには線の情報が多く必要になるため、写真のような繊細な表現はラスターほど得意ではありません。

ラスターとベクター、それぞれの詳しい技術的な違いや、Photoshop・Illustratorといった編集ソフトの具体的な使い分けについては、ラスターイメージとベクターイメージの詳しい違い・使い分けで詳しく解説していますので、実務での使い分けを知りたい方はあわせてご覧ください。

ラスタライズ(ラスタライゼーション)とは

ラスターに関連してぜひ知っておきたいのが「ラスタライズ(ラスタライゼーション)」という言葉です。ラスタライズとは、線や曲線の数式として保持されているベクターデータを、画面のピクセルや紙などの基材上のインク粒子といった、実際に人の目で見える形式に変換する処理のことを指します。

この変換は、パソコンやスマートフォンの画面に表示するときだけでなく、印刷で紙に出力するときにも発生するとされています。たとえば、Illustratorで作成したロゴやイラストのベクターデータがあるとします。このデータをWebサイト上のブラウザで表示したり、チラシやポスターとして紙に印刷したりする段階では、必ずラスタライズという処理を経てから表示・出力されます。つまり、私たちが最終的に画面や紙の上で目にしているグラフィックは、元がベクターデータであっても、その瞬間にはラスター(ピクセルやインク粒子の集合)に変換されているということです。

ベクターデータのまま保存しておけば、拡大・縮小による劣化の心配は少なく、印刷用データとしても扱いやすいというメリットがあります。一方で、最終的に人の目に触れる段階では必ずラスターという形に変換されているという点は、デザインやDTP(印刷物のデータ制作)の基礎知識として知っておくとよいでしょう。

Raster (ラスター)の特徴

ラスターには、ベクターにはない独自の表現の強みがあります。多彩なブラシや繊細なグラデーション、塗り重ねたような色の表現やキラキラとした光の表現などは、ラスターイメージの得意分野です。写真のような複雑で写実的な質感を再現できるのは、ピクセル1つ1つに色情報を持たせられるラスター形式ならではの特徴といえます。

代表的なラスターイメージ編集ソフトウェアが、「Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)」です。写真のレタッチや加工、イラスト制作など、幅広い用途で利用されています。

注意点としては、1度小さく縮小したラスターイメージのドット数は減ってしまい、再度拡大した時には元の情報がなくなっているため、画質が劣化してぼやけてしまいます。そのため、Photoshopで拡大・縮小を伴う作業をするときは、スマートオブジェクトという、拡大・縮小をしても劣化しない形式に変換して扱うことが一般的です。

また、ラスター画像を扱ううえでは「解像度」という考え方も重要になります。同じ画像サイズでもピクセル数が多いほど高解像度となり、より精細な表現が可能になりますが、その分ファイルの容量も大きくなる傾向があります。用途に応じて適切な解像度を選ぶことも、ラスター画像を扱ううえでのポイントの一つです。

Raster (ラスター)を使用するシーン

ラスターは主にWebデザインや写真の編集・補正などの現場で使用されます。私たちが普段閲覧しているWebサイトはモニター上に表示されるもので、画面自体がピクセルというマス目で構成されています。そのため、Web上で使う画像の多くは、同じくラスター形式に対応しているPhotoshopなどのソフトを使ってデザインの制作や加工が行われます。

また、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した写真データもラスターです。撮影した写真の明るさや色味の調整、不要な部分のレタッチなどにも、Photoshopのようなラスター画像編集ソフトが使われています。写真のような自然でリアルな表現が求められる場面では、ラスターが欠かせない存在といえるでしょう。

このほか、SNSに投稿する画像やバナー広告、Webサイトのアイキャッチ画像なども、多くの場合ラスター形式で作成・書き出しがされています。イラストや図形をIllustratorなどでベクターとして作成した場合でも、最終的にWeb上に掲載する際にはラスター形式の画像として書き出す場面が多く、ラスターとベクターはそれぞれの得意分野に応じて使い分けられています。

画像データの基礎からグラフィックデザインを学ぶなら

ラスターやベクターといった画像データの基本を理解することは、Photoshop・Illustratorをはじめとするデザインツールを使いこなす第一歩になります。デジタルハリウッドでは、未経験からでもグラフィックデザインの実務スキルを体系的に学べる環境が整っています。

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まとめ

ラスターとは、格子状に並んだピクセルの集合体で画像を表現する形式のことです。数式で表現するベクターとは異なり拡大するとギザギザが生じますが、写真のような複雑で写実的な表現を得意とします。また、ベクターデータを画面や紙面に表示・出力する際には、ラスタライズという変換処理が必ず行われています。

Web制作や写真編集の現場で日常的に使われる基礎用語であるラスターは、デザインやCG制作を学ぶうえで欠かせない前提知識の一つです。画像データ形式としてのより詳しい違いや実務での使い分けを知りたい方は「ラスターイメージとは」もあわせてご覧ください。グラフィックデザインを本格的に学びたい方は、ぜひグラフィックデザイン系講座の詳細もチェックしてみてください。

この記事のポイント

  • ラスターとは、格子状に並んだピクセル(画素)の集合体で画像を表現する形式のこと
  • ベクターは直線や曲線を数式で扱う形式で、拡大・縮小しても劣化しない点がラスターと異なる
  • ラスタライズとは、ベクターデータを画面のピクセルや紙のインク粒子に変換する処理で、画面表示・印刷出力のいずれでも発生する
  • Photoshopなどのラスター編集ソフトは、Webデザインや写真編集の現場で広く使われている
  • 画像データ形式としての詳しい違いや使い分けを知りたい方は、姉妹記事「ラスターイメージとは」もあわせて参考に

「ラスター」という基礎用語の理解は、デザインやCG制作を学ぶ最初の一歩です。気になった方は、ぜひスクール説明会にもお気軽にご参加ください。

デジタルハリウッド 編集部

デザイン・CG制作を学ぶうえで欠かせない画像データの基礎知識をわかりやすく発信。ラスターとベクターの違いやラスタライズの仕組みなど、専門スクール運営で培った知見をもとに解説しています。