V-Rayとは?特徴やプラグインの種類について紹介

公開日:2023-07-01

「V-Ray(ブイレイ)」とは、ブルガリア共和国ソフィア市にある『Chaos Group Ltd.』の製品です。CG制作の現場で高い採用率を誇るレンダリングソフトウェアです。なお、このようなレンダリングを行うソフトウェアやシステム、ソフトウェアパーツを「レンダリングエンジン(Rendering Engine)」や「レンダラー(Renderer)」と言います。

V-rayを使用することで、 多くのCGアーティスト/デザイナーが使用するRevit、3ds Max、mayaなどの各種3DCGツールと組み合わせることにより、フォトリアルなイメージやアニメーションをすばやく作成することができます。

レンダリングの基本

モデリングした物体やモデルに付加された質感、カメラの情報や光源情報などを計算して画像や映像として生成します。設定次第でフォトリアルな表現、アニメのような表現など、さまざまな表現ができます。レンダラーは統合型の3DCGソフトウェアに搭載された「標準レンダラー」、外部が開発と販売をしている「サードパーティ製レンダラー」「外部レンダラー」があり、V-Rayは後者です。

V-Rayの特徴


V-Rayは3DCG(3次元コンピュータグラフィック)ソフトウェアのプラグインとして使うことができ、安定した動作と品質に定評があります。特に光に関する表現がとても優れており、間接光や空気感など、高品質なアウトプットが可能です。納期もクオリティも求められる業務にとってはうってつけのレンダラーです。
V-Rayは使用する3DCGソフトウェアごとに購入をして使用します。そのため複数のソフトウェアを使用している場合はその分料金もかかりますが、高速でフォトリアルなレンダリング、素早いアニメーション制作を行うことができます。また対応しているソフトウェアも多いです。

V-Rayのレンダリングスピードはどれくらい早い?

例えばAutodesk製品に搭載されているリアルタイムレイトレース (RTRT) レンダラーAutodesk RaytracerとV-Ray for Revitを用いてレンダリング時間を比較すると、約85%短縮することができるそうです。V-Rayもどんどん進化し、V-Ray3のころから比べるとV-Ray5はさらに早くなっています

V-Rayが対応しているソフトウェアの例

V-Rayは先述の通り3DCGソフトウェア毎に購入して使用しますが、製品名は「V-Ray for ○○(ソフトウェア名)」や「V-Ray Next for ○○(ソフトウェア名)」のようにソフトウェア名が入ります。対応ソフトウェアの例としては以下のようなものがあります。

  • 3ds Max(スリーディーエス・マックス)
  • Maya(マヤ)
  • MODO(モド)
  • Cinema 4D(シネマフォーディー)
  • Houdini(フーディニ)
  • Blender(ブレンダー)
  • Nuke(ニューク)
  • KATANA(カタナ)

V-Rayプラグインの種類を紹介

V-Ray 5 for 3ds Max 特徴や機能は?

多くのワークフローが最適化されたV-Ray 5 for 3ds MAXは、時間を節約してよりフォトリアリスティックな作品を作ることができるようになりました。ライトミックス・エレメントを使用し、シーンをレンダリングした後にライトの色と強度を自由に変更できる機能もつきました。

V-Ray 5 for Mayaの特徴や機能は?

V-Ray 5 Maya レンダリング後にV-Ray内でライトの調整や、カラーグレーディングができるプロセッシング機能が加わりました。レンダリングだけでなくポスト編集もV-Rayだけで完結できるので、他のツールへの移動をする手間が省けます。
また、新しいVRay Proxyノードも特徴です。使いやすいルールベースのマテリアルと可視性の割り当てを備えたシンプルな単一ジオメトリノード構造で、ビューポートとレンダリング速度の向上を実現しました。

V-Ray 5 for Cinema 4Dの特徴や機能は?

V-Ray Environment Fogによりさらに高速なレンダリングが可能となりました。そして、V-Rayマテリアルの新しいイルミネーションモードにより、半透明マテリアルのレンダリングが高速化されたので、Cinema 4Dの美しい映像を素早くレンダリングできます。

V-Ray 5 for Revitの特徴や機能は?

Revitは3DCADソフトで、BIMに特化しているのが大きな特徴のソフトです。建築設計・構造エンジニアリング・機械・電気・配管(MEP)および建設施工などに多く使用されます。
V-Ray 5 for Revitでは、Light Gen を使用することで何百もの照明シナリオを自動的に生成が可能になりました。屋内も屋外も、自然光を生成することがかつてないほど簡単になりました。建設物のレンダリングを明るく見せることが可能です。

V-Ray 5 for SketchUpの特徴や機能は?

SketchUpはアメリカのTrimble社が開発・提供している3Dモデリングのソフトウェアです。主に建築・建設やインテリア業界で使用されています。V-Ray for SketchUpは「リアルタイム」レンダリングと「フォトリアル」レンダリングの両方が搭載されたオールインワンのレンダリングソフトウェアとなっています。

V-Ray 5 for Rhinoの特徴や機能は?

Rhinoとは、Rhinoceros 3Dのことを指しています。フリーフォームNURBSモデリングに強い商用の製造業向け3次元CADソフトウェアです。またジオメトリをタイリングし、オブジェクトの表面上に複雑な幾何学パターンを表現することができるので、パネル、フェンス、布などを作成できるなど、インテリア業界に嬉しい機能満載です。

V-Ray for Nukeの特徴や機能は?

V-Ray 5 for Nukeは、コンポジットアーティストのためのパワフルなレンダリングです。使用すると、コンポジティングの制御と効率が向上し、さらに多くのワークフローが最適化されるため、時間を節約しクリエイティビティを最大限に高めることができます。(参照:V-Ray for NUKE|株式会社オーク

V-Ray Next for Modoの特徴や機能は?

優れたモデリングに特化したModoと相性のよい刷新された GPU レンダリング・コアにより、早いレンダリングができることが魅力です。改良されたVRayToonのトゥーンシェーダーを使えば簡単にアニメ調のスタイルでレンダリングを行うことができます。

V-Ray for Unrealの特徴や機能は?

V-Ray for Unrealを使用することでV-RayシーンをそのままVR化するなどリアルタイムコンテンツを作ることができます。Unreal Editorで直接、映画品質の高品位レイトレーシングレンダリングが可能になるのです。Unreal上でV-Rayを使用することでフォトリアリスティックなレイトレーシング画像を直接レンダリング、編集することができます。他のソフトで作ったものを取り入れたいときも、V-Ray 3ds Max、Maya等のV-RayシーンをUnreal Editorに直接取り込むことができるのも特徴です。

V-Ray 5 Render Nodeの特徴や機能は?

V-Ray Render Nodeは、ネットワークレンダリングやディストリビュートレンダリング用のライセンスです。使用すると、複数のマシンの能力を組み合わせて使用すると、高速にレンダリングが可能になります。レンダリング能力を拡張するためのお手頃な方法です。(参照:V-Ray Render Node – フレキシブルなレンダーライセンス

V-Rayの価格

V-Rayの価格は、どの3DCGソフトウェア向けのものを購入するかによって変わりますが、多くは10万円前後となっています。レンダリングだけを行うために購入すると考えると高価にも感じますが、その性能や効率の良さから経費削減につながると言われています。そのため、映画業界や建築ビジュアライゼーションなど多くの現場で浸透して使われています。なお、商用利用のできない個人学習用の低価格ライセンス「学生教員版」もあるため、現在学生の場合は1年間分のライセンスを¥12,500-(税抜)で使用することができます。

まとめ

今回の記事では、V-Rayとは何か、特徴やプラグインの種類について紹介させていただきました。V-rayは多くのデザイナーに使用されている業界標準のレンダリングソフトウェアです。CGデザイナーであれば多くの方が使用する3ds Max、Mayなどといったソフトと組み合わせることでフォトリアルなものやアニメーションを早くクオリティ高く作成することが可能です。

CG制作の現場で高い採用率を誇るレンダリングソフトウェアですので、いち早く最新の製品や情報を知りたい方は公式サイトを確認するのがおすすめです。

『Chaos Group Ltd.』公式サイト:https://www.chaosgroup.com/

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著者:デジタルハリウッド スクール 編集部