こんにちは。
デジタルハリウッド東京本校スタッフです。
今回は、CG・アニメ業界の第一線で活躍されているお二人、StealthWorksの米岡氏と、Production I.Gの榊原氏による特別対談イベントの様子をお届けします。
対談では、「エフェクト」「モチベーション」「絵作り」「AI時代のCGについて」といったテーマについて、現場で活躍されるお二人だからこそのリアルな話が展開されました。
これから業界を目指す方にとって、ヒントとエールに満ちた内容です。
ぜひ最後までご覧ください!
また、デジタルハリウッド東京本校ではMayaやVFXを本格的に学べる「 本科CG/VFX専攻 」をご用意しています。
目次
登壇者のご紹介
米岡 馨 / Kei Yoneoka
株式会社ステルスワークス 代表/CG,VFX SV
1976年生まれの山口県出身。2001年早稲田大学第二文学部卒。同年デジタルハリウッド卒業。アニマ(旧笹原組)からキャリアをスタートし、フリーでアニマロイド、デジタル・メディア・ラボ、株式会社オムニバス・ジャパン、OXYBOT株式会社などの著明プロダクションを渡り歩いた後2011年ベルリンのPIXOMONDO、2012年にバンクーバーのScanline
VFXでハリウッド作品に関わる。その後帰国し2016年StealthWorksを設立。2019年StealthWorks台湾を設立し事業拡大中。
Twitter: @Keiyoneoka
榊原將師/Masanori Sakakibara
Production I.G/IG3D
Effects Supervisor/Lead FX
プロダンサーから、セカンドキャリアとしてCG業界を目指し、2015年に27歳でデジタルハリウッド本科CG/VFX専攻へ入学。
卒業後はエフェクトアーティストとして数々の作品に参加。
2021年に参加作品にて、アニメーション界のアカデミー賞とされる、第48回アニー賞で「Best FX for TV/Media」にノミネートされる。
現在はProduction I.GのCG部門にてエフェクトチームの立ち上げに携わりながら、大型プロジェクトに参加中。
アーティストとして活躍しながら、デジタルハリウッドでHoudini講師も務める。
LinkedIn:www.linkedin.com/in/masanorivfx
Twitter:@masatroy
対談内容をダイジェストでご紹介!
当日は、様々なテーマに沿ってお話いただきました。
「エフェクト」とは?なぜエフェクトを学ぶべきか
榊原:
エフェクトって、画面を「飽きさせない」ためのものだと思っています。炎・煙・水・破片といった演出があると、作品全体の密度が上がります。
米岡:
アクションシーンに限らず、日常描写でも湯気や風があるだけで、ぐっとリアリティが増しますよね。視聴者の感情移入の手助けになるんです。
榊原:
あと、光の演出もエフェクトのひとつ。キャラの動きに合わせて光が揺れるだけで、空気が生まれる。
米岡:
エフェクトは「物語のテンポ」を作る、見えない編集みたいな存在。作品にリズムを持たせられる。
榊原:
しかも、エフェクトができる人って本当に少ない。背景モデラーやキャラモデラーは多いけど、エフェクト職人って貴重なんです。
米岡:
やれる人が少ないからこそ、学生時代から触っておくと、すごく強みになりますよ。
榊原:
「派手な表現が好き」「画面に動きを加えたい」という人は、ぜひ挑戦してみてほしいですね。
モチベーションの上げ方・保ち方とは?
米岡:
「仕事がしんどいとき、どうしてますか?」ってよく聞かれるんですが、僕は「好きな映像を観る」「原点に立ち返る」のが一番効きますね。
榊原:
僕もそれ、すごくわかります。あと、小さい成功体験を記録しておくのもいい。今日できたこと、乗り越えたことを自分で認めてあげる。
米岡:
SNSに上げるのも、気持ちの切り替えになりますよね。反応がもらえると励みになるし。
榊原:
でも、比べすぎると逆に落ち込んじゃうこともあるので、うまく距離感を取るのも大事。
米岡:
あと、「今日はこれだけやればOK」と自分で達成ラインを下げるのも続けるコツです。全部完璧じゃなくてもいい。
榊原:
あとは、仲間と話すことですね。今日やったこと、悩んでることを共有するだけで、気持ちが楽になる。
「絵作り」とは?その勉強の仕方とは?
榊原:
絵作りって、ただ「モノを並べてレンダリングする」だけじゃないんですよね。光の入り方、重心、色のコントラスト、全部が意味を持ってる。
米岡:
構図のルールを学ぶことも大事だけど、僕は「映画やCMを分析すること」が絵作りの勉強になると思っています。なぜこのカメラワークなのか?なぜ背景のあの部分に光が当たってるのか?
――そういう観察を習慣にする。
榊原:
「3Dは素材を置けば終わり」じゃないんですよね。ちゃんとレイアウトを考えて、意図的にカットを作れる人が、最終的にディレクションに進んでいく。
AI時代にCGを学ぶ意義とは?
米岡:
AIの進化、特に生成AIの登場で「もうCGを人が学ぶ必要はないんじゃ?」っていう声もちらほら聞くようになってきましたよね。
榊原:
確かに。それこそMidjourneyとかRunwayとかで「とりあえず見栄えのいいビジュアル」が作れてしまう。でもそれって、結局「自分の表現」にはならないんですよ。
米岡:
うん。誰かが作ったモデルに、誰かが設計した演算で、たまたま出てきたアウトプット。そこに「自分がどう作ったか」は存在しない。
大事なのは、なぜその画を作るのかという背景と意図。その部分があるからこそ、CGもアートも「人が作る意味」があると思っています。
榊原:
まさに。あとAIは便利なツールとしてはすごく優秀なんですよね。アイディア出しの補助にしたり、イメージボード作るときに使ったり。それを主役にしてしまうと表現が一気に薄くなる。
米岡:
しかも、そもそもAIにいいプロンプトを与えるには、CGやビジュアル表現に関する知識がいるんです。「リムライトがどう入っているか」とか「被写界深度をどれくらいにするか」とか、そこの感覚がないとAIにもうまく伝わらない。
榊原:
むしろこれからのCGクリエイターに求められるのは「AIをどう使いこなすか」と「どこで自分の意志を込めるか」を切り分ける判断力。だから“学ばなくていい”どころか、「今だからこそ、人がCGを学ぶ意義がある」というのが僕たちの結論ですね。
米岡:
その通り。たとえば、AIで1秒あたり60枚出力できたとしても、それを使って映画の1カットとして成立させるには、人が編集して、リズムを整えて、意味づけないといけない。
AIは素材を生成するけど、それを作品にするのは人間。それがこれから先、もっと重要になっていくと思います。
榊原:
あと、クリエイティブの現場って「なんとなくいい感じ」じゃ通用しないんですよね。監督に「なんでこの構図なの?」って聞かれたときに、「AIがそう出したから」じゃダメで。
米岡:
それは怒られるやつですね(笑)
榊原:
だから、AIはあくまで手段。作品を構成するための引き出しを持っている人こそ、これからのCG業界でも活躍できる。そのためには、学びは絶対に欠かせない。
米岡:
僕もそう思います。結局、AIに「任せる」じゃなくて、「使いこなす」人がこれからは強い。そういう意味で、今CGを学んでおくことは、むしろすごく武器になる時代なんじゃないかと。
最後に:未来のクリエイターへ
米岡:
学生のうちは、「好きなもの」を突き詰める時間にしてほしいです。遠回りに見えても、それが将来の武器になります。
榊原:
何かひとつ、完成させる経験をしてみてください。完成した瞬間の達成感と自信は、何物にも代えがたいです。
米岡:
そして、手を動かし続けること。失敗してもいいから、自分の感覚を信じて作っていくのが一番です。
参加者の声
ご参加いただいた方からの声をいくつか紹介いたします。
次はあなたがチャレンジする番です!
デジタルハリウッド東京本校では、今後も学びの一歩を踏み出すきっかけとした特別イベントを開催予定です。
映像やVFXの世界に一歩を踏み出したい方は、情報発信をお見逃しなく!
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