デジタルハリウッド東京本校 ブログ

【講師インタビュー】
現役UXデザイナーが語るUXデザインの魅力!

2021-08-04

こんにちは。

デジタルハリウッド東京本校の岸山です。


デジタルハリウッド東京本校では、本科UI/UXD専攻という1年間でデザインを体系的に学ぶことのできるコースがあります。本科UI/UXD専攻には全部で3つのコースがあり、受講の目的にあわせてコースを選択することができます。


① コミュニケーションデザインコース

② クリエイティブコーディングコース

③ サービスデザインコース

各コースの詳しい紹介はこちらのブログをご覧ください:https://school.dhw.co.jp/school/tokyo/blog/20210605.html


その中でも最近、サービスデザインを学びたい・UIやUXを学びたい・将来的にUXデザイナーを目指したいという方が増えてきています。

そこで今回は、サービスデザインコースにてUXの授業の講師を勤める西村講師に、サービスデザイン・UXデザインについてお話をうかがいました。


将来、UXやサービスに関わるデザイナーになりたい・興味があるという方、必見のインタビュー内容になっております。

講師紹介

西村 和則 講師


デジタルハリウッド総合Proコース Webデザイナー専攻 卒業


株式会社ルート 代表取締役
2012年 root(https://ic-root.com/)創業。デジタルハリウッド卒業後、都内の制作会社にてWebデザイナーとしてディレクション、デザイン制作業務を経験。その後、個人でのWebサービス立ち上げ、Webサービス開発に特化したデザインコンサルティング / 制作会社を展開。
スタートアップや事業会社の新規プロダクト開発に事業企画フェーズから関わり、UXデザイン、UIデザインを中心とした設計、デザイン制作を行う。



この記事の目次

1.UXデザイナーについて

①UXデザイナーになった経緯を教えてください

もともとはデジタルハリウッドでお世話になった講師の方の制作会社でアシスタントとしてWebデザインを担当していました。コーポレートサイトやランディングページを制作することが多く、デザインの素地をしっかり身に付けることができました。それまではインスタレーションやプロモーション広告などかっこいいものを作りたいという思いがあったのですが、とあるピッチコンテストに参加し、チームでデジタルプロダクトを作るという経験をしました。自身が出したアイデアでプロダクトが完成し、実際に目の前でユーザーに利用され、 意図したとおりにユーザーが利用してくれなかったり、もっとよりよいものにするためにはどうすればいいかを考えることがとても面白いと感じました。 そこで人が使うデジタルプロダクトをデザインすることの面白さに気づけたことが今のUI/UXデザイナーとしてのルーツになっていると思います。


②業務内容と働き方に変化はありましたか? 

プロダクトを作るという部分は制作会社でWebデザインをしていたころと変わらないと思います。ただ、UXデザインの場合はプロダクトを作る目的や誰のために作るのかというターゲット等を具体的にし、さらに細かく設定して、プロダクトやサービスへの落とし込みができることが強みだと思っています。それらの目的、ターゲット設定のためにアンケート等のデータを見ることもありますが、データだけでなくインタビューやヒアリングを通して実際の「人」と向き合ってユーザーやクライアントが何を求めているのか、何を考えているのか明確にすることを業務の中では特に大事にしています。 ただこちらが提案し制作するという形ではなく、しっかりコミュニケーションをとりながら一緒により良いものを作っていくというプロセスが制作会社にいた頃の業務や働き方と大きく違うところなのではないかと思います。


③難しい案件・面白かった案件などがあれば教えてください

難易度が高いものですと、何を作るのか、誰に届けたいのか等、具体的なものが全く定まっていないクライアントになりますかね。一緒に考えていく上で、クライアントが届けたいと思っているユーザーのことを理解できていない状態ですと事業やサービスにUXデザインの考えを落とし込むことが難しいです。そのため理解を深めるためクライアントと一緒にユーザーインタビューを行ったり、時にはプロトタイピングを制作して実際に触っていただいたりと検証を繰り返しながら、アイデア出しや構想、それをどのように形にしていくかを一緒に考えています。意外とクライアントもユーザーのことをわかっているようでわかっていない場合が多いですね。 特に企画をやられる方は直接ユーザーと接点を持っている場合が少ないので 調査やインタビューをやっていくうちに理解が深まり、いいサービスにつながっていく場合が結構あります。


面白かった案件で言いますと、お坊さんの葬儀のマッチングサービスのソリューションは面白かったですね。お坊さんの予定管理をしたいのでスケジュールの収集をしたいが、平均年齢が60歳以上とデジタルリテラシーがそこまで高くない方が多く、その中でどうやって集めるのがいいかという相談でした。UXデザインのアプローチに落とし込んでいった結果、選択肢としてはがきが検証されたりもしました。最終的にはLINEを使ったアプローチに決まりました。


④1プロジェクトどのくらいの時間をかけて取り組んでるのでしょうか?

会社にはよると思いますが、rootでは、継続的な関わり方をしています。事業会社のデザインをやっているのに近い関わり方ですね。中長期的に支援をしているというのが一つです。

一方で、決まった期間の中で成果を収めるというやり方で取り組むこともあります。スコープごと(例:Webサイトのリニューアルなど)に何を解決するのかを見つけ必要なプランニングや画面設計に取り組むということもあります。

継続して関わりを持つパターンでは、チームは自社だけではなく、お客様(エンジニアの方等)と一緒に取り組むこともあります。お客さんと一緒にインタビューをすることもあれば、インタビュー設計をして一緒にプロジェクトに取り組んでいくこともあります。

その一方で決まった期間であれば、役割を分けて担当することもありますかね。


そうなんですね。会社のメンバーだけではなくお客様と取り組んでいく・チームで取り組むというお話をうかがうと、人とのコミュニケーションが求められる仕事なんだなと感じますね。


⑤UXデザイナーのやりがいや醍醐味、面白さについて教えてください

利用してくれるユーザーと接点が持ちやすいところですね。前職のWebデザイナーのときには、コーポレートサイトやプロモーションサイトの制作を行っていましたが、実際に利用するユーザーとの接点はほとんどありませんでした。結果は数字でしか見ることがないので これから利用される、この人のもとに届くんだという実感の部分が大きく違う と思います。特にUXデザイナーは人と向き合う仕事なので、もちろんデータを見ることもありますがどの案件でも必ずと言っていいほど人と向き合うということが多くなります。それらを実感として得られるというところにとてもやりがいを感じます。


⑥UXデザイナーの需要は高まっているのでしょうか?

IT企業を中心に今後さらに需要が高まると思います。特に事業会社など自社でコンテンツやプロダクトを展開し、成長させていくという企業ではUXデザインの考え方はさらに求められる傾向にあるかと思います。 Web等の制作スキルに加えてUXデザインの考え方やプロセスを掛け合わせることができるとすごく価値のあるものになるのだと思います。

2.今後求められるスキルについて

⑦求められるスキル/これから市場価値のあるUIUXデザイナーはどのようなスキルを持った方になるのでしょうか?また、UXデザイナーを目指す上でWeb制作スキルだけでは難しいでしょうか?

まず、「制作」のスキルが一つ評価ポイントではありますね。「作る」の能力もレベルやクオリティはそれぞれですが、「作る」の能力を活かすと考えた時に UXデザインにおけるプロセスや考え方を掛け合わせることができることでより価値が生まれるのではないかと思います。

実際に、UXデザインは範囲が広いので、単にジャーニーマップを作るだけだと結果的に何を作るんだっけ?となりがちなんですよね。中間成果物だけが多くなりがちなんですが、中間成果物だけにとどめては、成果物にならない・仕事にならないことも多いです。

中間成果物を作るだけではなく、出口(例:アプリのインターフェイス、Webサイト)にどうつなぐことができるかやどうアウトプットが作れるかにつなげられるかが重要ですね。


この一連の工程を自分で全部できることも強みの一つです。

最近ではチームで取り組むことが多いので、 どう人と連携するかが大前提になる んですよね。

例えば、自分の強みとしていることが、調査を行い結果を整理する構造化できるといったものであれば、より制作スキルが高いデザイナーと連携できてよりプロダクトを良くしていけるなどの強みの掛け合わせ、そして、他の強みを持った人とどう連携できるかが重要だと思っています。


⑧デジタルハリウッドの学びは、デザイン知識と実際に手を動かしながら制作スキルを身に付けることをメインとしています。UXデザイナーとして仕事をされている西村先生の視点から見てどちらのスキルもあることは重要だと思われますか?

知識だけ・工程だけを知っていても、ユーザーに届くのは結局アウトプットされたものなので、最終的なアウトプットのクオリティを担保できるのかが重要だと思っています。

作れるだけ、考えるだけではだめで最終的なアウトプットにつなげることのできるスキルがあることが大切なのではないでしょうか。

業態にもよりますが、例えば、コンサル領域でも求められていますよね。戦略を考えるときもユーザーの情報やインサイトをどう戦略に取り込めるかの価値が高まっています。

確かに、プロジェクトの中には、中間成果物を出して終わることもあります。ただ、アウトプット作るときにどうつなげることができるか、ディレクションができるのかといったスキルも重要かもしれないですね。

どういった業態においてもプロセスを覚えるだけではなく、結局アウトプットが必要だと感じています。

また、UXはデジタルプロダクトだけではないので、そうなったときに範囲がすごく広くなります。そうすると、一気通貫ではできない範囲がどうしても出るんですね。

その中で自分ができる・できないの範囲の理解が重要です。自分だけでは、できないところはどう連携ができるのかが重要だと思います。組織内だけではなくいかに強みを持っている人とつながれるかがすごく重要で価値が高いのではないでしょうか。


⑧UXデザイナーを目指す上で、「マーケティングスキル」は必須になるのでしょうか?

業務内容にはよりますが、数字をどのくらい見られるのかも一つ求められていることではありますね。

Webサイトであれば、GA(Googleアナリティクス)の見方、デジタルプロダクトであれば会社としてKPIに寄与する数字の紐解きを考えられるかも必要なスキルの一つですね。


⑨これからUXデザイナーに求められるスキルはどのようなものでしょうか?また、 西村講師はどんな方と働きたいですか?

rootでは、具体的なアウトプットが作れるは求めているスキルの一つではありますが、

具体的なものと抽象的なものをいったりきたりできる能力 がすごく価値があると思っています。

今までのデザイナーは作ることにフォーカスしている人が多いように感じます。具体的なアウトプットができることが得意な人も多いですが、物事を抽象的にとらえて変換する能力が大事だなと思っているんですよね。抽象的なものの見方ができないと、戦略的な部分や企画からアウトプットへ落とし込みがうまくできないなと感じています。


なるほど。具体的なものと抽象的なものをいったりきたりって業務でいうと例えばどういったことになりますか?


例えば、ユーザーから「問い合わせのフォーム項目が分かりずらい」という評価・意見が出ますよね。

それを受けた時に現象をストレートに受け取って項目だけを直すのか、もしくは、いくつかの意見を交えて課題を広い視点で見て別のところに課題を見つけるのか、あるいは、フォームの手前のページを改善したほうがいいのかといった考え方を指しています。

この考え方って抽象的な観点や視野をもっていないとできないことなんですよね。


多角的な視点が必要なんですね。

3.UXデザイナーになるためには? 

⑩スクール卒業後、すぐにUXデザイナーになることはできるのでしょうか?

ジャーニーマップなどの中間成果物を作れるだけでは仕事にならないので、これまでに事業や製品を開発した経験がないとなかなか厳しいですね。 中間成果物がどう活かされどんなアウトプットになるのかという知見をこれまでのバックグラウンドで持っているかというのが大事 です。そういった経験がない方は入口としてUIデザイナーやWebデザイナーになるというのも一つのルートなのかなと思います。


rootでもジュニアレベルのデザイナーを雇うことがありますが、 最初の入口はデザイン基礎として制作の業務を一通りこなしてもらい、デザインを判断する力や作る力を身に着けた上でUIを専門にするのかUX詳しくを学ぶのかを振り分けていく ということもやっています。


やはり実務経験が大切ということですか?


そうですね。UXデザイナーというポジションがまだ確立しきっていないので、経験を積むことができる環境が少ないというのはあります。 企業は即戦力を求めているので、半実践できる環境があるとすぐにUXデザイナーになれるキャリアパスが開けてくる と思います。


元々マーケティングやコンサルをやっている人の方がUXデザイナーになるには有利ということですかね?


そういう方の方がUXデザイナーにジョブチェンジはしやすいと思います。

現在事業会社でUXデザイナーをやっている人も元々コンサル会社などで培った知識を応用してジョブチェンジしている人のほうが割合多いですね。


デジタルハリウッドの本科UI/UXD専攻の受講生の多くは社会人の方になるので、様々なバックグラウンドを持つ方が多いからこそ今までのスキルとの掛け合わせで1年の受講を通してUXデザイナーを目指すこともできるのかなと可能性を感じます。


⑪デジタルハリウッドでの授業のこだわり

UXデザインもモノづくりであることにかわりはないので、 一連の流れを経験できるかという点がすごく重要だと思います。

企画だけリサーチだけという断片的な学習では一部分の能力しか身につかないので、最終的な成果物につながっていかないんですよね。

UX基礎の内容では企画の段階からユーザー調査をやり、どういう課題に対してどのような施策に落ちていくのかという一連の流れを経験できるということはポイントかなと思います。

UXデザインを職業としてやっていくときに、制作を自分がやらないケースもありますが、 作り手側の考え方を理解できていないとチームでの連携がうまくいかず成果にもつながらないので、荒くても良いのでアウトプットを出せることは大切です。


確かにチームでの連携やコミュニケーションがうまくいっていないと質の良いアウトプットになりませんよね。UXデザイナーも考えるだけではなく制作のスキルも大事なんですね。


それこそ「作れる」ということに希少性や価値があると思うんですよね。 今の時代は作れるだけっていうのは通じなくなってきているし、かといって企画ができるだけで優れているかというとそうでもない ので、そこを上手くかけ合わせられる人材がこれから求められてくると思います。


⑫UXデザインの観点から注目している業界などはありますでしょうか?

この10年もともとデジタルではないものがどんどんデジタル化していくような時代になると考えているので、いろいろな業界にデジタル化のチャンスがあると思います。

最近だと建設業界やホテル業界でデジタル化が進んできていて、人が労力をかけていたことがデジタル化され少ない労力でできるようになってきていますし、データがあることによって今までできなかったことができるようになることもあります。

その中でそのデータや技術を人が使いこなすためにはインターフェースやプロダクトが必要になってきますし、ここをどうデザインしていくかというところにチャンスがあると思っています。


それはコロナ禍で加速しているんですかね?


そうですね。業界にもよると思うのですが、ホテル業界とかはその動きがありますね。

4.デジタルハリウッドでUIUXを学ぼうとしている方へのアドバイス

受講中/普段の生活でどんなことに注力したら良いでしょうか?

UXデザインをやっていると日常の当たり前だと思っていたことが当たり前では無かったということが多くあるんですよ。身近な家族や友人がどんなアプリを使っているのか意外と知らないと思うんですが、どんなアプリをどのように操作して、どのように感じているのかということが調査をしていると見えてくるんですよ。

何気ないことに対して意識を向けるというのがすごく重要で、日常の当たり前だと思っていることにアンテナをはって変化や気づきを得ること、そこに改善や課題解決のヒントが隠れていたりします。

結局、 人を知らない人は人にとって良いものを作れないわけです。普段から人をちゃんと観察したり、コミュニケーションを丁寧にとることが大事なこと だと思います。


普段から観点を持つことが大切なんですね。

自分1人の考え方ではなく、他の人が見てどう思うかという客観的な視点が大切だと思うのですが、ものづくりをしているとつい視野が狭くなり自分の作っているサービスが良いか悪いかわからなくなってしまうことがありますよね。


サービスを作るときに1人で作るという構造にならないのは大事で、 同じステップで学んでいるクラスメイトがいるので、他の人だったら同じお題をどう捉えて考えているのかを交えるだけでもすごく学びになると思います。 そこには自分にはない観点が必ずあると思うので、それをどう自分のサービスに活かしていくのかを考えることに価値がありますね。


確かに同じお題でも人によって全く違うアウトプットになることがありますよね。


デザインは成果物ができてしまうとそれに目が行きがちですが、大切なのはその裏にある意図や背景なので、ここをきちんと考えられるかが良いアウトプットにつながります。なので、その 考える過程を授業の中で理解したり、他の人の考え方や意図を交えられるかが大事 ですね。


西村講師ありがとうございました!

UXデザイナーはユーザーやクライアント等「人」に寄り添いより良いコンテンツやサービスを生み出していくとてもやりがいのある仕事ということがよく分かりました。日常生活からいろいろな観点や視点を持つことはすぐにでも実践できるかと思います!是非みなさんも「デザイナーの視点」を持ちクリエイターとしての一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?


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