医療×イラストレーション
事実を正確に、わかりやすく伝達するという前提のもと
医学・医療を可視化するツールであるメディカルイラストレーション。
今回は日本では数少ないメディカルイラストレーターとして活躍する
株式会社LAIMANのtokco氏にお話を伺います。
▼デジタルハリウッドに入学したきっかけ
―デジタルハリウッドでデジタルソフトのスキルとグラフィックを学ぶコースを卒業されたtokcoさんですが、まずは、2008年にデジタルハリウッドへ入学を決めたときのお話を聞かせてください。
医学専門の絵を描く人になりたいと考えていたことから複数の学校を検討していました。
当時はイラストやデジタルのツールに関しての知識がなく、今後私が身に着けるべき知識はデジタルツールの習得だと考え、デジタルハリウッドのホームページを見て必要なことが学べると分かり、入学を決めました。
ーメディカルイラストレーターになるには、アナログのスキルだけでは難しいのでしょうか。
正直、手描きだけでは難しいと思います。
もともとメディカルアーティストは、論文のイラストや専門書の挿絵を描く案件が主なので
最終的なアウトプットは出版物であることが多いです。
手描きで書いたものをスキャンする、あるいは原画を出版社に持ち込むといった方法もありますが
現代では主流ではありません。
私も当時デッサンはできましたが、デジタルのツールを使ってイラストを補正するなどの技術はありませんでした。
日本よりも業界が進んでいる海外のメディカルイラストレーターたちもいち早くデジタルツールを取り入れていたところからもデジタルツールの必要性を強く感じていました。
▼デジタルハリウッドで学んでいたこと
ーデジタルハリウッドではどのようなことを学ばれていましたか。
本科グラフィックデザイナー専攻※1に在籍していたのですが、頻繁にデッサンの授業があったことを覚えています。
加えてデジタルツールのAdobe Illustrator、Photoshop、InDesignも学びました。
私はデジタルツールに関して全くの未経験だったのでデジタルハリウッドで学んでいなければ
メディカルアーティストには、なれていなかったと思います。
※1 現在はコース編成を行い「本科UI/UXD専攻」として開講しています。
▼仕事を辞めて学ぶという決断
ーお仕事をやめて学ぶという大きな決断をするにあたって不安に思われたりはしましたか。
現実的な問題として獣医師を辞めることに対する金銭的な不安はどうしてもありました。
反面、学び始めることに対しての不安は、私の性格的上、感じませんでした。
加えてクラスメートとの交流や、先生に聞きやすい環境が
モチベーションになってとても学びやすかったです。
▼卒業後のお仕事について
ーデジタルハリウッドを卒業された後は、フリーランスとして活動されていたとうかがいましたが
当時のお仕事の内容についてお聞かせください。
フリーランスとして活動していた時はお仕事の取り方も含め、すべて手探りの状態でした。
仕事の案件も、 企業や団体ではなく、個人とやり取りすることが多かったです。
そのためお仕事をいただいた先生の口コミで次のお仕事につながることも多かったです。
仕事の内容としては、論文のイラストを描くのが主でした。
ーフリーランスでご活躍された後、株式会社LAIMANを設立されましたよね。
設立までの経緯や、それに伴う変化についてお聞かせください。
フリーランスとして仕事をしていた時は、当然ですが、はじめから終わりまですべて一人で行っていました。
活動する中でこのままでは体力的にも時間的にも、限界がきて頭打ちになってしまうなと思いました。
イラストレーター全般のお話にもなりますが、そういった環境を変えたいと思ったのが始まりです。
会社を設立して一番の変化は、仕事の依頼が個人から、大学や企業と対象が大きくなったことです。
案件の内容としては、フリーランス時と変わらず受けていた論文のイラストも、複数人で対応することで数百点、数千点という規模のイラストを一気に受けることができるようになりました。
それに伴い、フリーランスの時には気にすることのなかったチームワークや連携といったところに重点を置くようになりました。
論文のイラスト案件の流れとしては、まずはその分野を得意とするメディカルイラストレーターが論文を読み解きラフを制作します。医師や研究者とのやりとりを経てそのまま完成まで一人で担当する場合と、チームで手分けして進めることもあります。例えば機器や器具のイラスト制作であればメディカルが専門ではないイラストレーターさんに指示を出して手伝ってもらうこともあります。
▼メディカルイラストレーションについて
ーメディカルイラストレーションの分野に関して日本と海外の違いはありますでしょうか。
そうですね。分野として、日本は海外に比べ100年も200年も遅れていると思います。
日本ではまだまだ、認知も進んでおらずニッチな業界です。
対して、海外の特に北米、カナダ、ヨーロッパでは歴史のある業界ですので、教育がしっかり整えられています。
海外の医学部にはメディカルアーティストを教育するコースが付属しており、絵を描く力はもちろんのこと医療の基礎知識を学ぶ場として機能しています。
日本でメディカルイラストレーションを学べるのは、現状一か所のみということに加えて、業界そのものがニッチであるということが影響してせっかく学んだことを日本では生かしきれないという課題もあります。
ーメディカルイラストレーションの今後についてお聞かせいただけますか。
ここ数年で日本の医師や研究者の意識も変わってきています。
世界的には、美しいイラストや目を引くビジュアルというのは評価をされやすいという一面があることから
論文出すときにはイラストやビジュアルにとてもこだわります。
論文を提出する際にイラストの正確性によっては、受理してもらえないという事例もあり、メディカルイラストレーターの注目度や需要が拡大してきているように、ここ数年で非常に強く感じています。
加えて、医療の分野にもCGをはじめとする様々な最先端技術が日々導入されています。
そういった新たなスキルを持つエンジニアなどの作り手と、医療従事者が共同でモノづくりをする際の共通言語としての役割も持ちつつあります。
tokcoさんの今後の活動について
ーtokcoさんの今後の活動で力を入れたいと思っていることについて教えてください。
まずは、先ほどお話しさせていただいた教育の場所をしっかりと整えたいと思っています。
業界全体が盛り上がってきて、メディカルイラストレーションが新たな役割やニーズを持ち始めている今だからこそ力を入れていきたいなと考えています。
それに加えて、2016年に設立された「日本メディカルイラストレーション学会」の第二期役員に就任したので、学会の役割も考えながらメディカルイラストレーション業界の底上げと認知向上に力を入れていきたいと思います。
デジタルハリウッドを検討している方にメッセージ
ー貴重なお話をいただきありがとうございます。
最後にデジタルハリウッドを検討されている方に一言いただけますでしょうか。
何か目標をもって入学して、もし途中で変わるようなことがあったとしても確実に役立つ基礎を学べる場です。
実際に私もそうでした。
デジタルハリウッドで学ぶデジタルの知識やスキルは、メディカルイラストレーターに限らず、どんな仕事をするにしても仕事の幅を広げるうえで絶対に役立つものだと思います。
tokcoさん、インタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。
メディカルイラストレーターとしてのご活躍、応援しております!
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