エンターテイメント以外のCGの活用【医療CG】について
医療×CG(コンピューターグラフィックス)
CGはゲームや映画、というイメージを持つ方は多いのではないでしょうか?
CGという分野は実は
様々な業界
で使われています。
今回は東京大学在学中、デジタルハリウッドへの
ダブルスクール
にて 3DCG の基礎を習得。
3DCG の医療現場での活用を目指し、医療 3DCG 映像及び医療 3DCG ソフトウェアの研究・開発・制作に取り組んでいる、
瀬尾 拡史(せお ひろふみ)氏
にお話を聞きました。
▼CGとの出会い 中学生編
Windows 98が発売された1998年、21世紀はプログラミングくらい出来なければダメだと感じ、
当時中学1年生でパソコン部に入部した瀬尾さん。
そこで
「CGをプログラミングで作りましょう!」
という課題があったことがきっかけ。
CGの仕組みは数学と物理の塊。そのCGを全て0からプログラミングで作るのは中学生にとって至難の業。
運よく、国際数学オリンピック最多出場記録保持者の同級生もパソコン部に所属していたため、
彼がCGに必要な数学の教科書を作ってくれたおかげで、中学2年生でCGを作ることが出来た。
ちょうど同じ頃、テレビの科学番組を見て、
CG=映画、ゲーム
ではなく、科学の説明などにも使えることを知った。
中学3年生になると、よりデザインを考慮したCGプログラミングも行った。
▼CGの活用方法を考える 高校生編
高校生になった瀬尾さんはCGの可能性に改めて気づき、
様々なメディアに触れ、CGは勉強の手助けになるのではないかと考え始める。
科学の説明にCGを用いること
に興味を持った瀬尾さんは
しっかりと正しい知識を身に付けるために東京大学医学部へ進む。
ただ東京大学ではCGを勉強することはできないため
低学年のうちから単位を計画的にとり
Wスクール
を決意。
Wスクール先に選んでくれたのが デジタルハリウッド 。
▼医学×CG 大学生編
東京大学で医学を学んでいた瀬尾さんは
医療を題材としたCGを作りたい
と考えていた。
2007年、たまたま知り合った法医学の教授に医療CGの話をしたところ、
2009年から開始される裁判員制度でのCGの活用を提案された。
これがCGと医学を掛け合わせる転機の一つとなる。
大学3~4年生にかけて、模擬裁判用のCG画像、CG映像を制作。
CGを使う前は、司法解剖で得られた傷の知見などを文章と写真のみで説明するしか無かったが、
それをCGでわかりやすく説明し、状況をより正確かつ明確に伝えることができた。
※司法解剖…司法警察員,検察官,裁判官などの嘱託,命令によって,他殺死体,変死体,変死の疑いのある死体について行われる解剖。
参考:コトバンク
▼実際に制作したCGがコチラ
(人体の内部をイメージするCG映像が流れます。視聴にはご注意ください。)
心タンポナーデ(日本語版)
▼医療に役立つCG 卒業後編
さまざまな経験から直接医療に役立つCGについて知見を増やすため、医者として働き知識を得る。
そして、医者として得た知識をもとに、CT画像をわかりやすく見せるCGを制作した。
実際にCT画像を紹介したSIGGRAPH Asia 2018のポスター
https://www-ui.is.s.u-tokyo.ac.jp/amed/SigAsia2018/
最近では新型コロナウィルスについて正しい知識とウィルスを忠実にCGに起こすため
専門家と議論し、論文をよみミクロの世界で広がるコロナウィルスをCGで制作。
さらに、アンリアルエンジン4を駆使し、先天性心疾患をもった人の心臓をCGを使って状況を把握できるソフトウェアまで制作したのである。
※先天性心疾患…生まれつき心臓や心臓の周りの血管の形に異常がある状態の総称
小児心臓の3Dプリンタと3DCGとの比較映像
▼大切なこと、CGのこと。
「CGはツール です。
表現したいものを深く理解しているかどうか大事だと思っています。
すべてをできる必要はないですが、できる人にお願いしてやってもらったとき
どのくらい大変か、どの程度つらいか 知っておくことが大事です。
自分の中で当たり前だと思っていることをやっているし、
私は地味でもいいから本当に役立つことをしたいと思っています。
正確さを過度に追い求めすぎず、その人の需要にあったものをつくることが大事です。」
いかがでしたか?
医療CGという分野で必要だと思うことを考え常に動いてきた
瀬尾さん
。
結果医療という現場や裁判など多くの場所でCGが活用され、活かされています。
映画や、ゲームなどで多く活用されている印象のCGは人を楽しませることはもちろん、
人の命を救うことや、業界の一歩を支えるツールとしてこれからもなくてはならないものとなるでしょう。
<プロフィール>
株式会社サイアメント 代表取締役社長
瀬尾 拡史(せお ひろふみ)
デジタルハリウッド大学大学院 特任准教授
東京大学先端科学技術研究センター 学術支援専門職員
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1985 年東京生まれ。東京大学医学部医学科卒。医師。東京大学医学部附属病院にて初期臨床研修修了。
東京大学在学中、デジタルハリウッドへのダブルスクールにて 3DCG の基礎を習得。
3DCG の医療現場での活用を目指し、医療 3DCG 映像及び医療 3DCG ソフトウェアの研究・開発・制作に取り組んでいる。
2016 年には、ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅良典先生のノーベル賞受賞。
レクチャー用3DCG 映像(Working Model of early step of autophagy induction)を制作し、
スウェーデン ストックホルムの受賞会場にて上映された。
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