<開催レポート>本科デジタルアーティスト専攻 山口情報芸術センター[YCAM]合宿
本科デジタルアーティスト専攻では、山口情報芸術センター[YCAM]にて合宿を実施いたしました。
本科デジタルアーティスト専攻は、メディアリテラシー養成を中心に、マーケティング力、コラボレーション力などを身につけ、イマジネーションとテクノロジーを高度に融合させ「自ら主体となって表現するアーティスト人材の育成を目指しています。
YCAMでの2泊3日の合宿では、メディア・テクノロジーを用いた新しい表現と鑑賞者をつなぎ、好奇心や想像力を刺激する教育プログラムを受講しました。参加型デザインの重要性を学び、自身のこれからの創作活動の方向性を決める場となった合宿の様子をお伝えします。
学びの場としての山口情報芸術センター[YCAM]
YCAMは山口県山口市にあるアートセンターで、展示空間のほか、映画館、図書館、ワークショップ・スペース、レストランなどを併設し、メディア・テクノロジーを用いた新しい表現の探求を軸に活動しています。展覧会や公演、映画上映、子ども向けのワークショップなど、多彩なイベントを開催しています。
YCAMは、展示の鑑賞者や、イベント参加者全員にアーティストや研究者を目指してもらいたいわけではないといいます。鑑賞者としてのレベルがあがることで表現者がさらに表現の幅を広げ、よりアートが昇華されることを期待しているのです。
YCAMのワークショップを通して、本科デジタルアーティスト専攻の目指す、アートを仕事として捉え、良い企画をつくり、それをきちんと作品として形にし、世の中に届けられる土台作りを行いました。
ワークショップ『walking around surround』
デジタルアーティストとは、いま社会で起きている様々な事象に関心を持ち、課題を見つけ、自ら主体となって表現をし、それらを解決していく存在
ワークショップ『walking around surround』
デジタルアーティストとは、いま社会で起きている様々な事象に関心を持ち、課題を見つけ、自ら主体となって表現をし、それらを解決していく存在です。『walking around surround』のワークショップでは、人々が当たり前のように接している〈音を聴く〉という現象を改めて捉え直し、音を時間軸と空間にコンポジションしていく手法を学びました。
です。『walking around surround』のワークショップでは、人々が当たり前のように接している〈音を聴く〉という現象を改めて捉え直し、音を時間軸と空間にコンポジションしていく手法を学びました。
まずは1人が目隠しし、もう1人が誘導していく『目隠しウォーク』により、見えないと音の感じ方が敏感になるとともに、床質、環境の広さ、過去の情報からの想像、気にしていなかった音…普段無意識に多くの情報量を浴びていることを発見しながら、視覚以外のあらゆることに感覚が研ぎ澄まされていくのを感じます。
こうして得た音を形成する様々な事象、特に「空間」に着目し、YCAM開発のワイヤレススピーカーシステムを用いた音楽制作『時間と空間のコンポジション』を行います。サイン波、矩形波、ホワイトノイズといった人工音のフレーズを、8台のスピーカーに16小節ずつ割り当てていく作業は、通常のメロディラインを追っていく「時間的コンポジション」の作曲に加えて、空間内のどの位置に音源を配置し、空間を響かせるか、といった「空間的コンポジション」の重要性について学びました。
スピーカーの置き方の工夫で音の伝わり方を変えるチーム、自らスピーカーを持って空間を演出するチームと、まさに直前の『目隠しウォーク』により得た空間による音形成という気づきを存分に活かした“作曲”をし、「音による創造性」への新たなアプローチを切り拓くといったワークショップのテーマを見事に体感していました。
スポーツクリエーション『スポーツハッカソン』
続いて、開発(デベロップ)と実践(プレイ)を繰り返す「デベロップレイ」と呼ばれる制作手法を中心に、頭と身体をフル回転させ運動会競技を開発する『スポーツハッカソン』にも挑戦しました。
1チームは、YCAMとSonyCSLが開発した複数の人と「目(視界)」を共有する「JackIn(ジャックイン)ワークショップ」のツールを使用したスポーツ作りに挑戦。これは、簡易型のカメラ付きヘッドマウントディスプレイを装着して、他の参加者の「目(視界)」を共有する「ジャックイン」状態、つまり「他の人に見えているものが、自分にも見える状態」になるアイテムです。親となった人の視界が子になった3名に映ることで、親が視線で導き、フラフープをくぐり、くぐった回数を競うスポーツを作り上げました。
もう1チームはスマートフォンを入れられるビーチボールに振動カウンターアプリを入れた「YCAMボール」を使用したスポーツを考案。ボールを前に、大繩を使ったスポーツにしようというところまでを考えたものの、カウンターを増やすことで勝利とするか、逆にカウンターをいかに動かさないことで勝利とするかといった勝敗の決定方法など、議論が繰り返されます。
まずはやってみましょう!というファシリテーターの導きから実践に移すと、この動きではカウンターは動かないといった仕組みの気づきや、2分と設定していた時間も1分が体力の限界であることなど多くの発見がありました。高速にプロトタイピングを作成し検証を行う「デベロップレイ」は、つい、失敗を恐れてアウトプットを躊躇してしまっていた受講生も、いかに机上の空論から脱し、まずはアウトプットをすること、そこから学びを得てさらに進んでいくことを改めて重要だと認識する機会となりました。
合宿を通して学んだ参加型デザインの重要性について
現代のアートはテクロノジーの加速で、イノベーションが起こり、”見る・買う”から”遊ぶ”へ変化をし、最高のエンタメ産業になっています。YCAMの実例紹介や、ワークショップを通して “体験をデザインする”経験をしました。この経験は、人々が感動し・驚き・買ってみたいと感じるような体験を生み出し、アートを「人に何かを伝えるための手段」と定義するための一歩でした。
合宿を通し得た価値ある作品を制作するための【スキル】以外の能力と、今後平行して学んでいくスキルとを掛け合わせ、自身の仕事として作品を広く世の中に送り出していくアーティストを目指していきます。
本科デジタルアーティスト専攻<全日/選抜制>
国内外を問わず活躍できるCGアーティストの育成を目指し「世界共通の感動と体験を創造するCGアーティスト」の輩出を目的に設置した本専攻。
近年、映像表現は新しいテクノロジーやアートと融合し、映画の演出はもちろん、 舞台でのパフォーマンスやインタラクティブなライブコミニケーションの演出へも大きな影響を与え、 エンターテイメント業界で仕事をするデジタルアーティストの活躍の場は国境を飛び越え海外へも広がりを見せています。
そんな世界で活躍する人を育てるために、クリエイティブ経験のある小人数制で形成する学習環境を用意し『生命感を感じるキャラクター』『躍動感あるアニメーション』 『世界共通の感情を揺さぶるストーリー』を手にし、世界を魅了する映像表現を追求する本科のエキスパートコースです。
本科デジタルアーティスト専攻<全日/選抜制>の詳細はこちら
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